全国で書店が急速に減っている。 出版文化産業振興財団(東京・千代田、JPIC)によると、2024年3月時点で
書店ゼロの自治体は27.7%。 インターネット通販の普及や雑誌の販売減少などが直撃している。
JPICのまとめによると、24年3月時点の全国の書店数は7973店と22年9月時点(8582店)か
ら609店(7.1%)減った。 書店がゼロの自治体の割合も1.5㌽上昇した。 地域内に書店が1店しかな
い自治体も47.4%に達する。
書店の経営を圧迫するのが来店客の減少とコスト増だ。 例えば24年6月末に休業した長崎次郎書店(熊本市)。
雑誌やコミックの販売で定期的な来客があったが、雑誌の休刊やコミックの電子化で逆風が強まっていたと
ころに、電気代の上昇やキャッシュレス決済手数料など店舗運営のコスト上昇が響いたという。
書店の閉店は地方だけの話ではない。 大都市圏でも賃料上昇などを受けて書店の閉鎖が相次いでいる。 J
PICによると東京都内の無書店自治体の割合は24年3月に12.9%もあった。 出版科学研究所によると、
22年12月時点で、人口1万人当たりの書店数は全国で0.29店。 東京都は大型店が多いこともあり、0
.90店とこの水準を下回る。
日本出版販売ストアソりーション課の「出版物販売額の実態2023」によると、書店の営業利益率は0.7%
と19年版(2.5%)から大幅に低下した。 日本では独占禁止法の適用外として、著作物には再販売価格
維持制度が導入されており、出版社が書店などでの著作物の販売価格を決めることができる。 逆にいう
と店舗運営のコストが上昇しても、販売している著作物の単価を書店の判断で引き上げることはできない。
こうした仕組みに縛られているところに新型コロナウイルス過が発生。 それが電子書籍などの普及につ
ながり、定期的な収入源として書店の支えになっていた紙の雑誌やコミックの販売が落ち込んだ。
ほぼ並行して人件費や光熱費の上昇で店舗の運営コストが大きく上昇し、書店の収益を圧迫している。
「キャッレス決済の導入で、店頭で現金払いが減り、キャッシュレスサービス提供会社からの入金が遅れ
ることで、資金繰りが厳しくなっている書店もあるのではないか」との指摘もあった。
こうした環境下ででも地域に書店を残そうと奮闘する企業は少なくない。 書店の閉店が相次ぐ中で新規出
店をしているのがリラィアブル(北海道釧路市)が運営する複合店、コーチャンフォーだ。 22年10月に
は茨城県つくば市に2000坪の店舗を開店した。 まず、これまでの出店実績から郊外に大規模店舗を
自前で建てることで家賃負担を抑制。 文具など書籍以外の商品を扱うことで収益性を高めている。
「売り上げに占める書籍の割合は過去10年で49~52%で推移している」(リラィアブルの近藤専務)とい
い、地域の書店として機能している。
出版物の返品率も自社開発の商品管理システムのおかげで抑えている。 データを参考にチェーン店内で
売れている作品を在庫として保有することで「あそこに行けば本が手に入る」という印象を作り、来店者
数と客単価の上昇につなげている。
同じ書籍を扱う図書館と組んでいるのが埼玉県桶川市の「OKEGAWA honプラス+」だ。 市から
指定管理者制度で運営を請け負った図書館とイベントスペース、大型書店「丸善桶川店」が駅前の商業
施設の同じフロアに同居。共存している。 本との接点を増やす企画をイベントスペースで開いている
ほか、紙の書籍が好きな人を図書館が集めることで、書店側の集客にもつながっている。 図書館内の
端末で書店の在庫が検索できるシステムもあり、ウィンウィンの関係を目指している。
最近は店員が自分の選んだ書籍を中心に並べる、個性的なテーマを設定した書店も増えてきた。 企業コ
ンサルタントの”小島さん”は「昭和のビジネスモデルは終わっているのに書店はそこから抜け出せてい
ない」と指摘している。 日本の出版物の流行では、雑誌の発売にあわせて物流網が組まれ、書籍は雑
誌のネットワークを借りるかたちで書店に運ばれていた。
そのため現状では、書店で新刊書籍を注文しても届くまでに時間がかかることも少なくない。 小島さん
は「物流システムを書籍中心のものに転換し、読者が書店で書籍を手に入れられるようにしべきだ」と
提案している。
海外に目を向けると、インターネット通販の浸透にもかかわらず書店が増えている国もある。 米国書店
協会(ABA)の会員数は23年に11%増え、米国内では3年連続で200以上の独立系書店が開店し
ている。 日本の書店も独自の生き残り策を考えることが求められている。 ただそれには関係する各社
の協力と理解が第一に必要ではないでしょうか。
書店ゼロの自治体は27.7%。 インターネット通販の普及や雑誌の販売減少などが直撃している。
JPICのまとめによると、24年3月時点の全国の書店数は7973店と22年9月時点(8582店)か
ら609店(7.1%)減った。 書店がゼロの自治体の割合も1.5㌽上昇した。 地域内に書店が1店しかな
い自治体も47.4%に達する。
書店の経営を圧迫するのが来店客の減少とコスト増だ。 例えば24年6月末に休業した長崎次郎書店(熊本市)。
雑誌やコミックの販売で定期的な来客があったが、雑誌の休刊やコミックの電子化で逆風が強まっていたと
ころに、電気代の上昇やキャッシュレス決済手数料など店舗運営のコスト上昇が響いたという。
書店の閉店は地方だけの話ではない。 大都市圏でも賃料上昇などを受けて書店の閉鎖が相次いでいる。 J
PICによると東京都内の無書店自治体の割合は24年3月に12.9%もあった。 出版科学研究所によると、
22年12月時点で、人口1万人当たりの書店数は全国で0.29店。 東京都は大型店が多いこともあり、0
.90店とこの水準を下回る。
日本出版販売ストアソりーション課の「出版物販売額の実態2023」によると、書店の営業利益率は0.7%
と19年版(2.5%)から大幅に低下した。 日本では独占禁止法の適用外として、著作物には再販売価格
維持制度が導入されており、出版社が書店などでの著作物の販売価格を決めることができる。 逆にいう
と店舗運営のコストが上昇しても、販売している著作物の単価を書店の判断で引き上げることはできない。
こうした仕組みに縛られているところに新型コロナウイルス過が発生。 それが電子書籍などの普及につ
ながり、定期的な収入源として書店の支えになっていた紙の雑誌やコミックの販売が落ち込んだ。
ほぼ並行して人件費や光熱費の上昇で店舗の運営コストが大きく上昇し、書店の収益を圧迫している。
「キャッレス決済の導入で、店頭で現金払いが減り、キャッシュレスサービス提供会社からの入金が遅れ
ることで、資金繰りが厳しくなっている書店もあるのではないか」との指摘もあった。
こうした環境下ででも地域に書店を残そうと奮闘する企業は少なくない。 書店の閉店が相次ぐ中で新規出
店をしているのがリラィアブル(北海道釧路市)が運営する複合店、コーチャンフォーだ。 22年10月に
は茨城県つくば市に2000坪の店舗を開店した。 まず、これまでの出店実績から郊外に大規模店舗を
自前で建てることで家賃負担を抑制。 文具など書籍以外の商品を扱うことで収益性を高めている。
「売り上げに占める書籍の割合は過去10年で49~52%で推移している」(リラィアブルの近藤専務)とい
い、地域の書店として機能している。
出版物の返品率も自社開発の商品管理システムのおかげで抑えている。 データを参考にチェーン店内で
売れている作品を在庫として保有することで「あそこに行けば本が手に入る」という印象を作り、来店者
数と客単価の上昇につなげている。
同じ書籍を扱う図書館と組んでいるのが埼玉県桶川市の「OKEGAWA honプラス+」だ。 市から
指定管理者制度で運営を請け負った図書館とイベントスペース、大型書店「丸善桶川店」が駅前の商業
施設の同じフロアに同居。共存している。 本との接点を増やす企画をイベントスペースで開いている
ほか、紙の書籍が好きな人を図書館が集めることで、書店側の集客にもつながっている。 図書館内の
端末で書店の在庫が検索できるシステムもあり、ウィンウィンの関係を目指している。
最近は店員が自分の選んだ書籍を中心に並べる、個性的なテーマを設定した書店も増えてきた。 企業コ
ンサルタントの”小島さん”は「昭和のビジネスモデルは終わっているのに書店はそこから抜け出せてい
ない」と指摘している。 日本の出版物の流行では、雑誌の発売にあわせて物流網が組まれ、書籍は雑
誌のネットワークを借りるかたちで書店に運ばれていた。
そのため現状では、書店で新刊書籍を注文しても届くまでに時間がかかることも少なくない。 小島さん
は「物流システムを書籍中心のものに転換し、読者が書店で書籍を手に入れられるようにしべきだ」と
提案している。
海外に目を向けると、インターネット通販の浸透にもかかわらず書店が増えている国もある。 米国書店
協会(ABA)の会員数は23年に11%増え、米国内では3年連続で200以上の独立系書店が開店し
ている。 日本の書店も独自の生き残り策を考えることが求められている。 ただそれには関係する各社
の協力と理解が第一に必要ではないでしょうか。