一般に市販されている「完成されたSPシステム」はメーカーで音造りがされています。この一般のSPの場合、大きく元のサウンドを変える事は難しいと思います。これに対して自作でユニットや箱を買ってアセンブルしたシステムでは「低域」、「中域」、「高域」のユニットを自由に組み合わせる事が出来ます。今までに10セット以上のSPをアセンブルして来ました。その結果から帯域によって再生の表現のどの部分に効いて来るのかが段々判って来ました。
「低域」は再生音の基本的土台の部分に当たります。500Hz以下の帯域で耳に聴こえる音の約70%を占めています。この70%の数値が物語る様に非常にウェートが高い部分です。しかも何処のメーカーでもコーン型(ダイナミック型ユニット)でほぼ共通しています。この帯域の部分の「音質」を上げる事は、中高域の「倍音成分」を良質なものにする効果が出て来ます。
「中域」は500~8000Hz位を私は指しています。この帯域でSP全体の「音色」が決まってくるようだと捉えています。またこの帯域は、コーン型、ホーン型(コンプレッションドライバー)、ドーム型等のユニットが多い様ですが、使われるユニットの方式で音の出方が大きく変わって来ます。コーン型は低域のユニットがコーン型の可能性が高いので一番繋がり易く、多くのSPに用いられています。しかし、「質感」(力感・きめの細かさ等)ではホーン型に遠く及びません。この辺の使い方と音質ニーズでユニットの選択が出て来ます。
「高域」の帯域は8000~120KHzの非常に広帯域の様に見えますが、実際は対数的な処が有りますので、低域ほどには幅は有りません。この帯域は「空間再現」や「定位」に効いて来ます。特に100KHz近くの帯域が出せると定位が真ん中に安定する様です。
チョッと粗っぽく分けて説明しましたが、まだまだその帯域毎に色々な「表現」が有ります。参考程度にお考えください。