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平和とは永遠に求めて得られない青い鳥

2013-07-17 21:49:32 | 日記
先日、NHKのBSプレミアムで、手塚治虫と石ノ森章太郎の特集があったのですよ。
それで、テレビアニメ化された二人の作品の第一話と最終話を放送していまして、
サイボーグ009好きの自分はもちろん、チェックさせていただきました。

サイボーグ009のテレビアニメ第一シリーズが放送されたのが1968年のことですから、
自分も見るのは初めてなのですが、これがもう、子供向けアニメなのかと、
そう思わされるテーマ性を持っていてビックリさせられたのですよ。


特に、その最終話ですが、タイトルはこんなカンジです。




ストーリーは、命令がくだされたらミサイル発射のボタンを押さなければならない
使命を負った軍人の、国家への使命感と倫理の間で葛藤する姿を中心に展開します。


この軍人は自分の娘に、こんな悩みを打ち明けます。


 「もしも戦争になって、私が何百万・何千万の人を殺したら、
  お前はパパのことを勇敢な軍人と褒めてくれるか、それとも、人殺しと罵るだろうか」





そこで登場するのは、姿はあっても実体のない、ある存在。

女の子に見えますが、怖いです。
大人の自分が見ても十分に怖いです。





これがまあ、悪魔、ということで認識されるのですが。

要は、この悪魔が人間の悪い心を支配しているふうなのですが、
サイボーグ009と対峙したときの台詞がまた更に怖いのです。


 「誰でもない、私さ、君とはずっと前からおなじみじゃないか」

 「そう、私は人間のいるところならどこにだっている、
  あるいは君の心の中にも住んでいるかもしれんな、わかるかね」

 「かつて私はドイツに行ってちょび髭を生やした小柄な男に取り憑いたことがある、
  そいつにユダヤ人を大勢殺させた、そう、あいつはヒットラーとか言ってたよ」


 「だが、なんと言ったって一番楽しめたのはエノラ・ゲイとかって爆撃機に取り憑いて
  広島に行ったときさ、あのときはさすがの私も驚いた」

 「これほど人間ってやつが残酷になるとは思ってなかったよ、ハハハ、
  奴ら、原爆のスイッチを押しちゃったんだよ」

 「40万人の非戦闘員、そう女・子供・生まれたばかりの赤ん坊の上にだよ、
  しかも、そのパイロット達、平然としてるんだよ」

 「その理由がまた最高にケッサクなんだよ、
  大統領が許可して、司令官が命令したから、なんだって、ハハハ、ハハハ」





 「それで私を倒すつもりかい? 私は不滅なんだよ、
  人の心にぽっかり空いた隙間から、私はいつでもやってくる」


怖い・・・
しかも、それが真実だから余計に怖い・・・


どう思います?

これ、本当に子供向けですか?
子供に理解できる内容だったんでしょうか?


あの、サイボーグ009ファンの方なら、このへんのプロットは
原作の地下帝国ヨミ編と似ていると気づくと思います。

宇宙で悪の本体と対面するところとか、初めて神様に祈る想いとか、
002が009を助けにやってきて宇宙から大気圏に突入するシーンとか。

それだけでなく、ヨミ編では00サイボーグの敵、ブラックゴーストの本体によると、
彼らが言うには彼らを滅ぼしてもブラックゴーストは滅びない、
何故ならそれは常に人間の心にあるものだから、ということなのでした。





悪玉と言われるものを倒したところで、人間がいる限り悪はなくならない、
争いや戦争もなくならない、その思想はこのテレビシリーズでも貫かれていたのですね。
子供に届いたのかどうか。。


さて、この最終話は、ボタンを押せない軍人が仲間に撃たれ、
代わりにボタンが押されてしまうも、サイボーグの活躍により
世界は大戦を迎えずに済むのですが、次のナレーションで終わるのです。


 「地球上に真の平和が訪れるのは果たしていつ?
  あるいはそれは永遠に求めて得られない青い鳥なのであろうか・・・」


ちょっと、子供には難しすぎるんじゃないかと思わずにいられませんが。。。

というか、現代の大人に見てほしいですよ。

どんな大義をかざそうと、戦争なんていつだって国のごく一部の権力側が、
大多数の国民に犠牲を強いるものでしかないのです。


国防軍だのなんだの自民党は高支持率にかまけてほざいていますが、
そんな政党に政権を預けて本当にいいのですか?