ちょい不良ゴーシュの豪酒録

何年やってもビギナーチェリストの日記

真珠の耳飾りの少女

2013年02月11日 20時21分19秒 | 映画・ドラマ
2月の3連休中にHDに録りだめておいた映画をまとめて見た.
その中で印象に残っている作品のひとつが「真珠の耳飾りの少女」.

フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」(↓)は「北のモナリザ」とも言われている.
この作品のモデルには,多くの謎が残されている.



この謎をモチーフにした同名の小説を映画化したもの.

画家のフェルメールの屋敷で使用人として働き始めたグリートは,ある日アトリエの窓拭きをしたことで光を変化させ,フェルメールの創作意欲を刺激する.
やがてフェルメールはグリートの色彩センスを見抜き、彼女に絵の具の調合を手伝わせるようになるが・・・.




と言うようなストーリー.
話しの展開は推理の域を出ないが,見事なのは映像の美しさ.
当時の風景や衣装を完璧に再現している.

光が波動性と粒子性を兼ね備えていることを理論的に示したのはアインシュタイン.
しかし,アインシュタインに先立つこ300年近く前,光が粒子であることを直感的に見抜いていた人がいた.
それが17世紀オランダ美術を代表する画家ヨハネス・フェルメール.

映画の映像は,まるでフェルメールの絵のようだ.
光の粒子性までも再現している.

以前,ANAの機内誌「翼の王国」に分子生物学者・福岡伸一によるフェルメールの作品をめぐる美術紀行が連載されていた.
その語り口は分子生物学と絵画との間の「動的平衡」であり,フェルメールの絵に隠された秘密のベールをひとつひとつ解き明かすような面白みがあった.
出張や旅行で飛行機に乗るたびに,その連載の美しい写真や奥深い文章を楽しみにしていた.
それがフェルメールを知るきっかけ.

だから,この映画にはものすごく期待してた.
そして,期待を上回る素晴らしい映像美.

グリート役のスカーレット・ヨハンソンの役作りも繊細.
表情や仕草のひとつひとつに微妙な陰影があり,「光,刹那の微分」(窓からの一瞬の光を捉える!)を表現できるフェルメールの相手役にぴったり.
セリフがなくても全てを語っているような表情やしぐさはさすがです.



フェルメールの世界観に同調した珠玉の映画.
そして,美人には謎が多いほうがいいかも?