普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

民主党の公約を読む

2008-09-09 17:01:05 | 民主党

 昨日、民主党から次の様な政権構想が発表されたが、その個々の項目については次のように考えている。(*注記)
[賛成・条件付き賛成]
・「消えた年金記録」の被害救済、年金制度一元化
・温室効果ガス排出量の半減に向けた省エネルギー徹底

・国の補助金はすべて廃止し地方に自主財源として一括交付
 都道府県の経済力に応じて如何に適切、公平に分配するか、知事たちがその使い方を誤って破産状態になったとき、その知事を選んだ住民の責任で済まされるかなどの問題を解決する必要がある。

・特殊法人などの原則廃止や役人の天下りの全面的禁止
 今までの「一人が昇格すると他の同期人がはみ出る」慣行の見直しなど、真面目に働いていた職員の定年までの生活を保証する公務員制度改革が前提となる

・国会審議は国民の代表である国会議員だけで行う、与党議員100人以上を政府の中に入れる
 後者については私も「懸案の問題を多く抱えている升添さんにもっと人員を配置する」ようにと提案したことがあるが、マスコミも民主党のこの政策にも賛成の意見が多いようだ。
 その理由は大臣のほか一人や二人の副大臣がそれぞれの部屋に閉じ込められては、肝心の情報も上がらず、下からの書類をサインするだけで何も出来ないからだ。
 然し一つの省に7~10人の議員が居ては事務の停滞や職員の士気の低下に繋がりかねないので、どの部署に配置するか、配置された議員と職員の職務区分をどうするかなどの問題があるが、やってみる価値は大きいと思う。

・強固で対等な日米関係を築く、国連の平和活動に積極参加
 衆院選では必ず自民党側から追求されるのは間違いない、差し迫ったアフガニスタンの海上給油について政権政党になったらどう処理をどうするか、そのまま頬被りして何もしないか、または今までのような実行不可能な対案でなくて、具体的な対案を示す必要がある。

[財源の裏付けがなく「ばら蒔き」と言われているもの]
・年金基礎(最低保障)部分の全額税方式
 この件に年金制度の現状からすればやむを得ないことで、自民党も似た様な提案をしており、「ばら蒔き」で片づけられる問題ではないが、その財源は明らかにすべきだ。

・子供1人当たり月額2万6000円の「子ども手当」支給
・農業の戸別所得補償制度創設(後記)
・高速道路無料化、ガソリンの暫定税率廃止と増税分の国民への還元
 民主党はこれは「ばら蒔き」ではないと主張するのは当然だが、それに必要な財源をどうするか、その財源確保できる時期と公約実施時期のずれをどうするかを明らかにすべきだ。

[反対]
・農業の戸別所得補償制度創設

 これは農業の停滞に繋がっている今までの農業の支援策の焼き直しだ。
 同じ農村を援助するなら、もっと農業に明るい希望を持たせ、若者がUターンできるような、前向きの方向で援助策を考え、それを補完するものとして、その政策に就いて行けない老人達の弱者の救済を図るべきだ。

[問題含み・説明不足な政策]
・年金基礎(最低保障)部分の全額税方式
 提案そのものは判るが、前述のように財源の裏付けがはっきりしない。

・後期高齢者医療制度廃止
 これについての少子高齢化の進展を見据えた同制度に代わる具体的な対案を出すべきだ。
 政権を取ったら今までのように、同制度反対が対案だなどと言っておれない筈だ。

・医療制度一元化
 党としての具体案はあるのだろうが内容の報道がされていないのでコメントは省略。

・「働く貧困層」解消、中小企業の財政的支援による最低賃金の引き上げ
  最低賃金の引上げ→企業のコストの上昇→競争力の低下→日本経済の沈滞→政府の収入の低下の問題についてどのように処理するかについて具体的に明らかにすべきだ。

[民主党の構想で抜けているもの]
・貧弱な経済政策
 日本経済を如何に回復、成長させるかは上記の政策から殆ど見えてこない。
 どの専門家に聞いても、民主党の政策で日本経済が回復するとか伸びて行くと言う人は恐らく一人も居ないと思う。
 自民党の総裁選で論争の中心は如何に日本経済を回復させ、そして政策実施のための財源を如何に確保するかだ。
 衆議院の選挙戦で、政府攻撃、ばら蒔き政策中心の民主党の主張と、経済、財源確保の問題を主張する自民党のそれとは格が違い過ぎる。
 選挙だから政府攻撃一本槍でも通るかもしれないし、予想される選挙中のマスコミの報道姿勢から考えてると、或いは民主党の選挙向けの公約?の方が効果があるかもしれないが、それが選挙結果にどうでるか判らない。
 一番の問題は政権を取った暁に、この公約で財政面や経済面からの野党の自民党の攻撃に耐え得るか否か一度考え直すべきだと思う。

・国会議員の定数削減
 今までのマニフェストから「国会議員の定数削減」が抜けているのは何故だろうか。
 この公約は間違いなく国民の喝采を受けるのに、そして政権奪還→その実現のチャンスが大きくなっているのに何故だろう。

[最近の与論調査が示すこと]
 最近の読売新聞
の世論調査では、最も期待する首相として、麻生さんが30・6%に比して小沢さんは僅か9・6%、政党支持率は自民は29・7%(前月比0・8ポイント減)、民主は16・9%(同1・8ポイント減)だった。
 自民党寄りと良く言われる読売の調査の数字は、割り引いて考えて見ても無視できない数字だと思う。
 なおNHKでは自民党の支持率は前月31.4%,今月は33.8%、民主党は前月21.1%、今月18.4%だった。

 現在、千載一遇のしかも圧倒的に有利な立場にある民主党に対する世論の支持がこれだけで終わっているのは何故だろうか。
 今の公約で良いのか、小沢さんで良いのか、恐らく民主党の多くの人がこの理由を知っていて、意識的に眼を瞑っているとしか思えない。
 然しこの問題を真摯に考えねば、政権奪回のチャンスはフイになるか、折角政権を奪回しても短命に終わってしまうかもしれない。
 その為には今回の公約の見直し(特に財源と経済問題)と、果たして小沢さんの首相で持つのかもう一度考え直す必要があると思う。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
政治ブログランキングへ
政治ブログへ

*注記:民主党の[政権構想の概要]
・「消えた年金記録」の被害救済、年金制度一元化と基礎(最低保障)部分の全額税方式、後期高齢者医療制度廃止、医療制度一元化
・子供1人当たり月額2万6000円の「子ども手当」支給
・「働く貧困層」解消、中小企業の財政的支援による最低賃金の引き上げ
・農業の戸別所得補償制度創設
・高速道路無料化、ガソリンの暫定税率廃止と増税分の国民への還元
・特殊法人などの原則廃止や役人の天下りの全面的禁止
・国の補助金はすべて廃止し地方に自主財源として一括交付
・国会審議は国民の代表である国会議員だけで行う、与党議員100人以上を政府の中に入れる
・温室効果ガス排出量の半減に向けた省エネルギー徹底
・強固で対等な日米関係を築く、国連の平和活動に積極参加