土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

浄瑠璃寺の九体阿弥陀堂は現存する唯一のお堂です。

2012年07月19日 | 京都の古寺巡り


(2012.07.15訪問)

新薬師寺ショックから気を取り直して、浄瑠璃寺を訪ねました。
前回浄瑠璃寺を訪ねた時は、アライグマにワルサをされた三重塔修復のため、塔を見ることが出来ませんで
したが、この日は樹叢の中に毅然と建つ新装三重塔を見ることが出来ました。
紫雲たなびく浄瑠璃世界、緑のグラデが浄土の荘厳、此岸から彼岸の世界へ衆生を誘う薬師さんが本尊の三
重塔は、静かに東の山中に見え隠れ、宝池にその姿を映しています。一方西には阿弥陀さん九体本尊の本堂
が横長の堂景を見せています。宝池を挟んで陽の昇る東の浄瑠璃浄土から、陽の沈む西の極楽浄土を拝せる
寺観設計は、平安の人々の浄土観の強い意志が現代のボクたちにも伝わってくる思いがします。

▼三重塔(国宝)。



[ 浄瑠璃寺 ]
●山号 小田原山(おだわらさん)
●寺号 浄瑠璃寺(じょうるりじ)
●宗派 真言律宗
●開創 永承二年(1047年)
●開基 義明上人(ぎみょうしょうにん)
●本尊 東方本尊 薬師如来坐像(重文) 西方本尊 阿弥陀如来坐像九体仏(国宝)

浄瑠璃寺縁起
永承二年(1047年)僧義明によって開かれ、当初は西小田原寺と称され、嘉承二年(1107年)本尊薬師如来を祀
る本堂を建立、これが九体阿弥陀堂で、保元二年(1157年)現在地に移設。治承二年(1178年)京都一条大宮の
寺名不詳寺から三重塔をこの地に移築、池を挟んで東西に塔と阿弥陀堂が向き合う伽藍配置が整い現在に至っ
ている。

▼名勝史跡浄瑠璃寺境内の石碑。参道脇に建っています。




▼参道。ヤブカンゾウが所々咲いています。この参道は樹種が多く、特に馬酔木を中心にいよいよ鬱蒼として
きました。




▼山門です。石段をわずかに上るだけで中は清浄な浄土の世界、薬師さんと阿弥陀さんがお待ちですよ。




▼鐘楼。前に懸かる青もみじ、グーな感じと思いません? 




▼宝池の中之島。




▼宝池越しの三重塔。




▼宝池畔に咲く桔梗。




▼石段下から三重塔。




▼三重塔(国宝)。塔高16.08m、檜皮葺。本尊 薬師如来坐像、像高86.4cm、木造、鎌倉時代。




▼桔梗。




▼本堂(国宝)。桁行十一間、梁行四間、寄棟造、本瓦葺、一間の向背付き。




▼本尊 阿弥陀如来坐像九体仏。(浄瑠璃寺パンフレットからスキャン)
中尊像高221.0cm、脇仏像高138.0~143.0cm。平安時代。
横長のお堂に九体の阿弥陀仏が横一列に並び、それぞれ漆箔が残り壮観です。中尊を真ん中に左右四体ずつ
の脇仏は像造年代と仏師の個性差がお顔の違いに表れており興味深いものが感じられます。




▼宝池を右に巡りつつ西方浄土本堂、阿弥陀堂へまいりましょう。樹々越しの本堂。




▼緑の中で撫子のピンクが映えています。




▼本堂。




▼阿弥陀堂から三重塔の眺め、ふと後ろの樹叢を見ると薬師如来の姿が…。てな訳ないですよネ。




フロクです。このお寺には猫がたくさんいます。本堂横の影にまとまって寝てました。
▼ヒゲやハナ、ミミを触りまくっても目を開けないニャンコ。暑さにマイッテいるのか、根性があるのか、
図太いのか。




このお寺は陽の沈む頃、本堂全扉が開かれ、九体仏に照明が当てられ、宝池にその姿が幻想的に映り込む、
まさに極楽がそこに在る幽玄の世界が見れるそうですが、一度そのチャンスに会ってみたい気がしつつ、
現世に戻りました。



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