土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

聖徳太子縁の橘寺を訪ねました。

2011年01月13日 | 奈良の古寺巡り


(2010.12.25 訪問)

▼橘寺遠景。
明日香のメイン道路、県道155号線沿い道路をはさんで北に川原寺跡、南に聖徳
太子建立七大寺の一つ、橘寺が在ります。白壁の築地塀が一直線に伸び、初秋の
真っ赤な彼岸花の写真でお目にかかることの多いこの地は、今冬の状景が開けて
います。田圃の稲の苅り跡が寒々しい気がしますが。



▼川原寺遠景。



[ 橘寺 ] たちばなでら
●山号 仏頭山(ぶっとうさん)
●院号 上宮皇院(じょうぐうおういん)
●寺号 橘寺(たちばなでら)
●宗派 天台宗 直末
●開基 聖徳太子
●本尊 聖徳太子像(重文)

橘寺縁起
寺伝では、574年聖徳太子出生地とされる伝承があり、太子居住の上宮があっ
たともいわれ、太子の推古天皇への勝鬘経講説のおり、いろんな慶事がおこり天
皇勅でこの地に尼寺を建立したのが橘寺の始まりとされている説があるそうです。
勝鬘経は天竺王の娘、勝鬘夫人が説いた経典といわれ、短絡ですが尼寺を建立し
たという伝えは単なる伝承の域は越えているのかも知れませんね。

▼橘寺寺標。
県道155号沿いに建つ寺標。聖徳太子御誕生所と刻されています。



▼参道。
正式な参道は東門(正門)側、この道は西門に続く農道だと思います。



▼西門。
通常こちらからの入山になります。



▼手水舎。



▼本堂(太子殿)。
お堂としては新しく1864年に再建された建物です。
本尊聖徳太子像(重文)は室町時代の作。太子35歳時、推古天皇への勝鬘経講讃
の姿を映したものと伝わるそうです。内陣には、太子像の他に伝教大師像、不動
明王像や釈迦誕生仏、聖徳太子十六歳像なども祀られています。



▼本堂偏額。
太子殿と揮毫されています。



▼東門から本堂。



▼太子愛馬の黒駒像。
今も僅かに残る太子道を黒駒に跨がり、飛鳥と斑鳩を行き来する太子は時の世情
をどうしたかったのでしょうか。



▼放生池。
橋を挟んで東西に大きな池が在りますが、この日は両面ともビッシリ凍っていま
した。



▼観音堂と本尊、如意輪観音坐像。(重文)
如意輪観音坐像は藤原時代の作。
密教儀軌通りの像造作法に見えますが細部がハッキリとはわかりません。しかし
堂々の像形、如意輪観音さんとしてはかなり大きい像高です。





▼護摩堂。
五大明王像が祀られています。護摩行執行でしょうか堂内は煤汚染です。堂内護
摩行は迫力あるでしょうね。



▼経堂と本尊、阿弥陀如来坐像。
比較的新しそうな本尊は、如来の柔和なお顔そのもの、なぜか気持ちがホッとし
ます。





▼鐘楼。
実は鐘楼となりに塔跡の心礎が残っていますが、見るのを忘れました。



▼阿字池。



▼境内からの東門。
左に写る桜はその季節見事な枝振りを見せますよ。



▼東門。
実はこちらが正門です。お寺の正門には珍しく狛犬が左右に控えています。



このお寺は現在、聖徳太子信仰が前面に出ていますが、天台宗のお寺です。各お
堂のご本尊が多宗にわたりハッキリ言って聖徳太子はお像のみ、太子への強い信
仰を感じることは出来ません。元は法相宗だったと云いますが残念ながら各宗い
いとこどりの観光寺院という印象のお寺でした。

これから山田道を走ります。