徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

空がまた暗くなる

2011-03-16 18:48:58 | News



時勢を考えればタイマーズでもカヴァーズでもいいんだけど、これ名曲。
今一番響くんじゃないかな…20年前にこんなことが起こってもおかしくなかったわけで、それを受けて清志は作ったわけだし。
大人だろ、勇気を出して本当のことを言えよ。

DOWNWIND PEOPLE

2011-03-16 03:07:33 | News
今日も長い一日だった。
そしてついに一線を越えてしまった。
何だかんだで朝方まで起きていて、さすがに仮眠しようと思ったのが8時少し前。その直後にテレビから聴こえてきたのが東京電力の記者会見だった。記者は「一線を越えたのか?」と詰め寄っていたが、この期に及んで広報は言葉を濁す。しかし一線を越えてしまったのはテレビで推移を追っていた視聴者にも明らかだった。一気に眠気は覚めた。
福島第一原発からの放射能漏れは明らかになった。しかもそれは定期検査中の4号機。
事故の直前、6時の会見で政府と東電が合同対策本部を作ると発表したのも今考えれば、一民間企業としてはあまりにも影響が大きすぎる、事故機の危機的な状況に耐え切れなくなった東電を政府が守る(担保する)形になったように思う。まだ実際の事故の経緯はわからないし、それは10年後、20年後にならなければ明らかにされない可能性もあるが、何を今更といった感じで実に遅きに失したタイミングだと思ったし、事故直前の発表というのも穿った見方をしてしまいそうなタイミングだった。
しかし彼らはなぜ流出から2時間も経ってから発表したのか。
現地は北よりの風、首都圏が風下になる。
所謂首都圏の住民はDOWNWIND PEOPLEになるわけである。広瀬さんの本でも読んだ、あの不吉な言葉。
しかも4号機の爆発は6時過ぎに起こっている。会見の時点ですでに爆発から約2時間が経ち、会見前後からTwitterでは都内近郊で異常な上昇を続ける放射線量の値がツイートされ始めていた。さすがに20分か、30分か、鳥肌が経つような思いがした。
ただテレビを観てから、バスタブに水を貯めるのも、11時から始まる菅首相の会見の前に野菜と卵と牛乳を買いに行ったのも自分を落ち着かせる行動だったと思う。何か、すーっと腹が座った気がした。
その一方で在日大使館が自国民に向けて首都圏脱出を勧告し続けているように、東浩紀のように東京脱出を表明する人も本格的に増えるだろうなと思った。まだ脱出を考えるような事態ではないと思うし、そもそもその気はないのだが、正直この程度の状況でパニックになっていたら原発30キロ圏内の被害者の皆さんに申し訳ない。もちろん現場で事態を収束させるべく対処している関係者の皆さんにも。
それ以前に、ここのところ東京脱出を「自己責任」で勧める、エコな方々の無責任なツイートにはうんざりするのだが。

しかし申し合わせたように一日一機ずつトラブルが起こる。原発4機が同時に危機的なトラブルを抱えるという前代未聞の事態である。しかし今夜はもうたぶん、余程大きな余震かトラブルが起こらない限りは大きな動きはないだろう。今晩は粛々と注水作業を続けるしかない。

一方で計画停電は続く。
ここで想像してみた。仮に何らかの形で原発事故が収束したとする。そのとき日常を取り戻した首都圏には何が残るか。当然被災者のみならず、首都圏に住む個人個人に大きなインパクトを残しつつある原発事故後のシナリオを関係者は描いているはずだ。
震災、そして原発事故の被害者を置き去りにしたまま、しばらくは首都圏には計画停電という「日常」だけが残る。
そして計画停電という「言い値」で世論をコントロールしながら原発再開というシナリオは十分考えられる。つまり「原発を再開させないと計画停電は続きますよ?」というロジックは必ず登場する。
日常が取り戻されたときに、それでもNOと言える人はどれぐらいいるだろうか。当然東北関東大震災の直接の影響だけでも首都圏(日本)の経済的なダメージは大きいわけで、なかなか以前のような日常は戻ってこないかもしれないが、原発再開と引き換えに、震災前までの(今までどおりの)インフラという日常を望む人がいても、それはそれで仕方がない。
一線を越えたとき、用心すべきことは確実にある。

(追記)
と思っていたところで、今度は静岡で地震が起きた。もう何が何だかわからない。しかしこの状況で「念の為」でもいいが、浜岡原発をストップしない関係者は何を考えているのか。いくら現状で問題がなくとも、少なくともこの状況で稼動しているのは、国民にとっては勿論、対外的にもリスクでしかない。