徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

併合ドミノを恐れる周辺エリアマップ/ウクライナ軍事介入問題

2014-04-13 23:59:59 | News Map

■CIS加盟11カ国
<ウクライナが19日、旧ソ連圏諸国でつくる独立国家共同体(CIS)から脱退する方針決定を表明したことは、旧ソ連圏の再統一というロシアのプーチン大統領の野心的構想に暗雲をもたらした。また、北大西洋条約機構(NATO)との「緩衝地帯」がなくなることを意味し、ロシアの安全保障にも重大な影響を及ぼす。ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的な悲劇」と呼ぶプーチン氏は、「ユーラシア同盟」を設立して旧ソ連圏を再統一する構想を進めている。前段階となる関税同盟でロシアと親密な関係にあるカザフスタンやベラルーシも支持を表明していないうえ、ウクライナのCIS脱退は大きな痛手。(中略)旧ソ連では、1991年にバルト三国がソ連から独立したのに続き、ウクライナが国民投票でソ連離脱を決め、CIS設立に至った経緯がある。プーチン氏は半島のロシア編入を宣言した18日の演説で「(半島の住民投票のように)ウクライナも同じことをしてソ連離脱を表明した。クリミアの権利はなぜ拒否するのか」と批判していた。バルト三国は既に欧州連合(EU)に加盟しており、プーチン政権はEUの東方拡大を「侵略」ととらえ、ウクライナ新政権が目指すEU加盟の動きに強い警戒感を持っていた。さらにウクライナのCIS脱退で、プーチン政権は今後、半島に次いでロシア系住民の多いウクライナ東部の攻略に追い詰められる可能性もある。>
(東京新聞2014年3月21日付 ウクライナCIS脱退へ 旧ソ連圏復活に暗雲/「兄弟国」ロシア圏外へ)


<ウクライナ南部クリミア半島の少数民族クリミア・タタール人の間に70年前の悪夢が甦り始めた。街なかのロシア国旗が日ごとに増え、ロシア系住民のお祭り騒ぎが続く中、旧ソ連・スターリン時代に強制移住による苦難を味わった高齢者らが、民族の将来に不安を募らせている。(中略)ナチスへの協力を疑ったソ連政府はタタール人を根こそぎ中央アジアなどに移住させた。ソ連崩壊後の時期を中心にクリミアに帰還したタタール人は現在、半島の人口の約15%を占める。大半がイスラム教徒だ。(中略)強制移住で多数の親戚を亡くしている女性会社員ニヤラ・ナガエワさん(24)は「恐怖は毎日大きくなっているが、私たちには対抗する手段がない」と打ち明ける。ロシアが半島を実効支配して以降、タタール人は大規模デモなどによる抵抗はみせていないが、「地下に潜って抵抗する人が出るのが怖い」と心配する。「国際社会はもっと強い行動で私たちを助けてほしい」とナガエワさんは訴えた。>
(東京新聞2014年3月23日付 タタール人甦る悪夢/「ロシアがほしいのはクリミアだけ」/70年前強制移住、多数犠牲に)


■人口に占めるロシア系の割合
<ウクライナ以外でも、1991年まで旧ソ連に属していた周辺国には今も多くのロシア人が暮らしており、ロシアが言い掛かりをつける状況はいくらでも存在する。実際、19日の国連人権理事会でロシアは、バルト三国のひとつエストニアについて、言語政策によりロシア語を話す住民が不利な扱いを受けていると「懸念」を表明した。(中略)欧州では国境をまたぐ民族問題で戦争が繰り返されてきた。冷戦終結から25年。国境線が力づくで変えられた事態に、ドイツのシュタインマイヤー外相は「パンドラの箱が開いた」と危機感を表している。>(東京新聞2014年3月27日付 ロ併合ドミノ恐れる周辺国/クリミア「悪い前例」)


<ロシアのプーチン大統領は、28日のオバマ米大統領との電話会談で、ウクライナ南西で国境を接するモルドバの東部ドニエストルに言及し、3割強を締めるロシア系住民が「往来や経済活動を妨害されている」と懸念を示した。ロシア系住民の保護名目で強行されたウクライナ南部クリミア半島に続く「第二の併合」の可能性が浮上し、決定的に悪化した米ロ関係の新たな火種になりそうだ。(中略)モルドバは昨年11月、旧ソ連圏6カ国を欧州統合市場に組み込むことを目指すEUとの連合協定に仮署名し、EU加盟への一歩を踏み出した。しかし、ロシアは「衛星国」とみなすモルドバのEUへの接近を阻止する構え。(中略)北大西洋条約機構(NATO)軍のブリードラブ最高司令官は23日、ロシア軍が国境に10万人ともされる部隊を集結させたことに懸念を示し、ドニエストルを「クリミアに続き狙っている」と警戒感をあらわにした。ドニエストルのロシア系住民は約30%を占め、約32%のモルドバ人と拮抗。モルドバの大部分は第二次大戦前にはルーマニア領だったが、ドニエストルは旧ソ連(ウクライナ)だったため、住民のロシア帰属意識が高い。06年の住民投票ではロシアへの編入を希望した住民は97%に上った。>
(東京新聞2014年3月30日付 ロシアのクリミア併合 ドニエストル飛び火も/モルドバ東部 ロシア系地域)

<プーチン大統領はウクライナ南部クリミア半島の併合を宣言した18日の演説で、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟すれば安全保障上の脅威になると指摘。「NATOがわれわれの家の周りで、わが物顔に振る舞うのには反対だ。(クリミア半島南部)セバストポリ駐留のNATO軍の元へ、われわれが客として招かれるような事態は想像だにできない」と述べた。中世のロシアは200年以上にわたりタタール人(モンゴル人)の支配下に置かれた。近・現代史でもナポレオンやナチス・ドイツの侵略に遭った。それだけに防衛本能は強い。(中略)ところがNATO加盟を視野に入れる暫定政権が2月、ウクライナに誕生した。クリミア併合の最大の狙いをNATOの拡大阻止とみる識者もいる。そのNATOにロシアは疑心と疎外感を抱き続けてきた。冷戦終結で敵、味方の関係は解消されたはず。なのになぜ軍事同盟のNATOは存続し、しかもわれわれの方へ勢力を広げるのか、と。一方、旧ソ連に支配された悪夢がよぎる東欧やバルト諸国は、ロシアが怖い。>(東京新聞2014年3月30日付 ロシア暴挙の背景は NATOへの警戒心・青木睦)


<ロシア国境に近いウクライナ東部のドネツクなど4都市で、7日までの三日間に、親ロシア派住民らのデモ隊が相次いで行政庁舎などを占拠した。(中略)ドネツクでは7日、州政府庁舎を占拠したデモ隊が「ドネツク人民共和国」の樹立を宣言。(中略)デモ隊が独自に組織した「人民会議」が勝手に決定したにすぎないが、遅くとも5月11日までの住民投票実施を要求。ロシア軍派遣を要請した点で、ロシアがクリミア半島を併合した流れと類似する。5月25日に大統領選を予定するウクライナの東部国境に近いロシア領には、ロシア軍部隊数万人が集結し圧力をかけ続けている。ウクライナの(中略)アバコフ内相は交流サイトのフェイスブックで、ウクライナを追われたヤヌコビッチ前大統領がロシアのプーチン大統領と結託、混乱を誘導しているとの見方を示した。ウクライナからの情報では、ヤヌコビッチ氏の出身地ドネスクでは6日から、中心部の広場で親ロ派住民2000人がロシア編入を求め集会を開催。(中略)庁舎周囲に有刺鉄線や廃タイヤでバリケードを築き選挙した。7日には旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身のウクライナ保安局(SBU)庁舎も占拠した。行政庁舎などの占拠は6日、ハリコフやルガンスクでも起きた。(中略)一方、首都キエフでは7日、親欧州派の自警団が最高裁周辺を封鎖した。>
(東京新聞2014年4月8日付 親ロ派デモ 庁舎占拠/編入求めウクライナ東部4都市/クリミアと似た流れ 「独立」宣言も)


<ロシア系住民のデモ隊による州政府庁舎占拠で騒乱状態にあるウクライナ東部ハリコフ州の州都ハリコフで8日早朝、内務省特殊部隊が庁舎内に立てこもる70人を拘束し、庁舎を奪還した。(中略)ウクライナのウニアン通信によると(中略)州庁舎突入では発砲せず、負傷者も出なかった。(中略)デモ隊について、この両州を視察したティモシェンコ元首相は7日、「ロシアの情報機関員が含まれる」と指摘。ウクライナ保安局は7日、ルガンスク州でロシア軍情報機関要員の男を拘束したと発表した。これに対し、ロシア外務省は8日、「ウクライナや(民族主義勢力)右派セクターによる『国家親衛隊』、米国の民間軍事組織150人が東部や南部に派遣された」として、内戦につながる恐れのある軍事的準備を即時停止するよう警告(中略)欧州連合(EU)加盟路線を加速化するウクライナ新政権に対し、ロシアは、経済的にもつながりが強い東部への影響力を確保するため、連邦制を導入し、中立宣言を盛り込む憲法改正を要求している。連邦制に移行すれば、中央政府が任命する知事を住民の直接選挙で選ぶことになり、親ロ派の指導部を誕生させやすい。>
(東京新聞2014年4月9日付 新政権側庁舎を奪還 ハリコフ「共和国宣言」/ウクライナ 騒乱、南部にも波及)

<ケリー国務長官は、上院外交委員会の公聴会で、ウクライナ東部地域で親ロシア勢力による「共和国宣言」が相次いでいることについて、「ロシアの工作員」が関与していると主張し、「到底受け入れがたい」と強く非難した。(中略)「主権国家を不安定にする活動は違法」と強調した。>
(東京新聞2014年4月9日付 「共和国宣言、ロシア関与」米長官が非難)


<親ロシア派のデモ隊による州政府庁舎の占拠が続くドネツク州などウクライナの東部三州で、親ロ派武装集団による地元行政、治安施設に対する急襲が急拡大している。ドネツク州のスラビャンスクで12日、市庁舎が1000人以上のデモ隊に占拠され、ロシア国旗が掲げられ地元警察署やウクライナ保安局も武装集団に占拠された。地元治安機関の一部には親ロ派に寝返る動きも見られ、暫定政権は徐々に統治能力を失いつつある。>
(東京新聞2014年4月13日 ウクライナ東部 親ロ派庁舎占拠拡大 新政権統治能力弱まる)

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