徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

レジェンドというギャンブル/清水降格を受け入れるための覚書その1

2015-10-22 18:52:40 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス2015
鈴与の鈴木与平会長は、堀池巧がチームを離れる時、「三羽烏がフロントに入る時、クラブはプロになる」と言ったという。
これは初期のS極のレポートでも書かれている有名な話で、実に正しい清水エスパルスの「物語」である。
この物語はある程度はサポーターの間で共有されていたはずだ。そしてこれは一部のサポーターには問答無用(思考停止)の印籠になった。

しかし日韓ワールドカップ以降のエスパルスは試行錯誤とギャンブルの連続だった。勿論大榎克巳の監督就任もギャンブルだった。
彼は大学で、そしてユースで指導歴を重ねてきたのだから反論がある人もいるだろうが、やはり大榎克巳の監督就任はギャンブルだったと思うのだ。
何よりも状況がスクランブル過ぎた。指導力を吟味することなく、キャリアを度外視して、清水ナショナリストの不平不満を抑えるにはこの選択肢かなかったのだろうと思う。健太時代の夢よもう一度といったところだろうか。

そう、清水は同じようなギャンブルを10年前にもしている。
日韓ワールドカップ以降の低迷期に、長谷川健太というもうひとりのレジェンドをスクランブル的に監督起用したのだ。一年目こそ残留争いしたものの、2年目以降は劇的に飛躍した。
そしてそのギャンブルにある程度勝った。健太時代はサポーターの誰にとっても最高に面白い時代だったのだ。
ベテランのノボリや森岡は世代交代を悟り自らチームを去り、有望な若手が毎年台頭する。越えられないハードルはないと誰もが感じた。そして6年間で清水が優勝してもおかしくないという空気が確かに熟成された。
しかし蜜月は長く続かない。その反動が凄まじかった。健太退任と同時に主力の大半が移籍するというチームの大崩壊はギャンブルの反動としてはあまりにも大き過ぎた。

そしてついに今度のギャンブルには負けしまった。
レジェンド起用は不平不満のガス抜きで、付け焼き刃のギャンブルであったこと、そしてそれに負けたこと。それは認めなければならない。ドリーム・イズ・オーバー。
10年ががりの降格というのはそういうことである。その背景には鈴木与平の言葉と物語がある。
オレはまだその物語が間違っているとは思わない。
それでも失敗は認めなければならない。認めないのは欺瞞であり、クラブの歴史への裏切り行為である。

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