本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

ボーン・アルティメイタム

2009-08-10 07:30:55 | Weblog
■本
61 河合隼雄のカウンセリング入門/河合 隼雄
62 グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業/夏野 剛
63 こんな世界に誰がした―爆笑問題の日本原論/爆笑問題

61 河合隼雄さんの講演と実技指導の内容が臨場感を持って伝わってくるいい本です。昭和40年代の講演なので、ロールプレイングで取り上げられる相談内容がかなりその時代を反映した古くさいものになっていますが、それにもかかわらず現在でも通用する普遍的な内容になっています。講演の質問者が明確な回答を求めているのに対して、河合さんがのらりくらりと(一見思えるような)回答しているところに、カウンセリングというものの複雑さと奥の深さを感じます、人間のこころは二分法で解決するものではなくて、結局は忍耐強く寄り添っていくことでしか理解が深まらないのだと思います。わかりやすくとっつきやすいのですが、読むたびに新たな発見がありそうな奥深い本です。

62 タイトルに惹かれて買ったのですが、少し期待した内容と異なりました。そういう意味では筆者と編集者の思惑にはまったのかも知れません。前半は目新しい視点はないもののネットビジネスの現状を踏まえながら、「当たり前のことを当たり前にやる」というこの分野での成功者らしい地に足のついた議論で面白いのですが、後半は妙なテンションでの批判と自慢が増え、飲み屋での与太話のようになって残念です。私のようにタイトルだけで買うと期待外れになる可能性が高いです。とはいえ、参考になるところはありますので(前述の通り目新しい視点はないので、類書をたくさん読まれる方にはお勧めしませんが)、少し立ち読みされてから読むかどうか判断されることをお勧めします。

63 2002~2003年の時事ネタを元に漫才形式で綴った本。拉致被害者一時帰国など、ずいぶん前のような気がしますが、世の中の動きが速くなったからでしょうか? 凄く面白いのですが、あとがきも含めて、ネタに悲壮感さえ漂っているのは、時代を憂う大田光さんの心境を反映しているのかもしれません。大田光さんはどこに向かおうとしているのでしょうか? 楽しい反面、今後の日本や世界の進む方向がすごく不安にもなる本です。


■映画
24 舞妓Haaaan!!!/監督 水田伸生
25 僕のニューヨークライフ/監督 ウディ・アレン
26 トランスフォーマー/リベンジ/監督 マイケル・ベイ
27 ボーン・アルティメイタム/監督 ポール・グリーングラス

24 舞妓さんを題材にした発想と相変わらずぶっ飛んだクドカンさんの脚本は面白いですが、今ひとつ物足りない印象のする映画です。阿部サダヲさんは大好きな役者さんですが、本作では少しカラ回り気味です。堤真一さんのコメディ演技はよかったです。柴咲コウさんはメインキャスト的位置づけですが、完全に脇役ですね。スケジュールが合わなかったのかと思うほど、出番が少なく、存在感がないです。ヒロインは完全に小出早織さんの方でしょう。舞妓さんの世界の厳しさと京都の夜遊びの奥深さを勉強できました。

25 2000年代(正確には「ギター弾きの恋」以降)になって、復調著しいウディ・アレン監督作品ですが、本作は地味な小品ながら、その中でも特によいです。ニューヨークの街並みがすごく美しく撮られています。基本構造は、エキセントリックな女性に振り回される男性の話というありふれたものですが、「人生の秘密」がきちんと描かれていれ、こじんまりとしていながら奥深い作品です。しみじみとした切なさとおかしさの余韻が残ります。ウディ・アレンが脇にまわって、主人公の歳を取った変な友人を怪演しているところもいいです。少し細めになったヒロインのクリスティーナ・リッチが身体を張って好演しています。当時70歳近いウディ・アレンが20代前半の男女の関係を巧みに描いているところに感心します。

26 こちらはよくも悪くも大作です。2作目で登場人物の紹介が必要ない分、スピーディーにストーリーが展開されるところはよいです。トランスフォーマーのCGシーンは、見慣れたためか1作目ほどの衝撃はなかったですが、迫力満点です。人間のキャラが立っている(特に、ジョン・タートゥーロ演じる捜査官がよかった)反面、悪役も含めてトランスフォーマー側(宇宙人に個性は不要かもしれませんが)のキャラ立ちが弱い気がしました。上映時間が長い割には、最後の敵があっけなく負けますし、人間ドラマとアクションのバランスが少し悪い気がします。個人的には爽快感が感じられるアクションシーンをもっと観たかったです。

27 ジェイソン・ボーン シリーズ第3弾であり完結編。このシリーズは3作ともだれることなく、一気に展開していて脚本が本当に面白いです。シリーズを通して世界の各都市での追跡シーンが見所の一つですが、本作ではモロッコの迷路のような街並みを巧みに活用し、派手な銃撃戦はないものの、リアリティある緊迫した場面に仕上げています。これまでの作品で張った伏線を、さりげなく繰り返しつつ巧みに回収しているところも上手です。ストーリー展開が難しすぎず、やさしすぎず、適度に意表をつきながら落ち着くところに収まる、「ちょうどいい」難易度が観ていて心地よいです。もっと評価されていい(少なくとも「パイレーツ・オブ・カリビアン シリーズ程度)傑作だと思います。お勧め。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする