本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

The King of Limbs

2011-04-10 06:28:53 | Weblog
■本
29 「つながり」を突き止めろ/安田 雪
30 静かな爆弾/吉田 修一

29 個人的な話の脱線が多くて、この文体に慣れるまでは読むのが結構つらいです。しかし、大学の講義のようなものと割り切ると、社会ネットワークについての筆者の研究のエッセンスが詰まっているので、それなりに楽しく読めます。扱っている題材は示唆に富んでいるので、もう少し違うまとめ方があったのでは、という残念な印象が残りますが、ここは好みの問題だと思います。あとがきの「時間」と「空間」の話が一番興味深かったです。

30 東京での比較的おしゃれな暮らしを舞台にした方の吉田さんの作品。僕は個人的には地方都市を舞台にした粗野で閉塞感漂う生活を描いた吉田さんの作品の方が好きなので、本作の評価はどうしても辛めになります。TV局でドキュメンタリー番組にかかわる主人公がタリバンの仏像破壊の関係者を取材する様子と、耳が聞こえない恋人との関係が深まっていく(そして仕事が多忙になり、少し綻びが見え始める)過程をからめながら、他者を理解することの困難さやわかった気になっていることの危険性を示しています。読者に考えさせるためにあえてそうしているのだと思いますが、あまりどろどろとした感情を描かずに(特に主人公の恋人)、さらっと流れているところが、個人的には食い足りなさが残りました。とはいえ、一気に読ませる魅力のある作品だと思います。


■CD
26 Loose/Nelly Furtado
27 The King of Limbs/Radiohead

26 以前にNapsterではまっていた作品を改めて購入。やはり楽曲の質が秀逸。アイデア満載のアレンジで何度聴いても楽しめます。アーチストよりも純粋に作品自体が評価対象になる特殊な作品です。正直、Nelly Furtadoの他の作品には全く興味ありませんし。

27 静かな作品。さらっと流れて印象も薄いのですが、なぜかもう一度聴いてみようという引っかかりが残ります。Radioheadの作品という先入観がそうさせるのか、作品自体の魅力なのか、現時点ではまだ判断しかねています。個人的にはRadioheadの現時点の最高傑作は、実験性とポップさが絶妙に融合した前々作の「Hail to the Thief」なのですが、前作「In RAainbows」と本作はエレクトロニックとオーガニックが融合した新たな傑作を生み出すための過渡期的作品という印象も持ちました。当分聴きこみます。


■映画
12 なくもんか/監督 水田伸生

 宮藤官九郎さんの脚本らしく、スピーディーな展開で悲惨な人生をコミカルにポップに描いた作品。阿部サダヲさんを筆頭に俳優人の演技もすばらしく、瑛太さんや竹内結子さんもすごく魅力的。「もう終わり」といった感じで時間も忘れて一気に観たのですが、不思議と観終わった後の引っかかりは少ないです。全ての映画が観客に何か引っかかりを残す必要はなく、2時間現実を忘れさせて楽しませる作品があってもいいと思いますが、本作は完全に後者の作品です。リラックスして笑える映画を観たい方にお勧めです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Voodoo | トップ | 映画の構造分析 »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事