本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

カメラを止めるな!

2018-08-18 11:42:07 | Weblog
■本
66 「リベラル」がうさんくさいのには理由がある/橘 玲
67 天才はあきらめた/山里 亮太

66 橘玲さんによる「理由がある」シリーズの3作目ですが、どちらかと言えば先月読んだ「朝日ぎらい」と連なる本だと思います。どちらも日本の「リベラル」の主張の矛盾について書かれた本ですが、それをグローバルな基準から見れば「リベラル」な立場である橘さんが批判しているところが新しいです。本作では「沖縄『集団自決』裁判」についてのかなり突っ込んだ取材に基づく考察もなされていて、読みごたえもあります。まずます過激さを増すトランプ大統領の発言が、ある層からは底堅い支持を受けていることからも明らかなように、知的産業優勢の現代社会で、取り残されたと感じている層に響く上から目線ではない言葉を、「リベラル」が見つけ、この分断を解消することが世界的な課題なのだと感じました。

67 南海キャンディーズの「山ちゃん」の自虐的な自伝本です。歴代の相方に対するえげつないダメ出しや相方「しずちゃん」の活躍を妬む姿など、思わず引くほどのクズっぷりを余すことなく書かれているので、一周まわって爽快感さえ感じます。「パラノイヤだけが生き残る」を地で行くような本ですが、そんなパラノイヤぶりを俯瞰して見ることができるだけの客観性を持ち合わせているので、成功した経営者の自慢話だけが書かれたビジネス本よりは、はるかに共感して読むことができました。何より、お笑いで生きていくという(屈折しながらも)強い覚悟に胸を打たれます。M-1グランプリに特化して2本のネタだけを磨き切った戦略など、天才でない我々が自分の好きな領域で生き残っていくために参考となる知恵も満載です。2004年M-1グランプリの準優勝から、2005年の最下位への急降下の背景(多忙のためのネタの練り上げと稽古不足)も知ることができ、M-1ファンにとっても興味深いです。この本を読んで山里さんを好きになることはないですが、千鳥の大悟さんやオードリーの若林さんのことが好きになると思います。


■映画 
61 ハッピーウエディング/監督 片島 章三
62 カメラを止めるな!/監督 上田 慎一郎
63 百円の恋/監督 武正 晴

61 今をときめく吉岡里帆さんがブレイク前に主演した作品です。新米ウエディングプランナーを演じる吉岡里帆さんの初々しいかわいさとコメディエンヌとしての魅力を堪能するための作品です。ウエディング業界の宣伝目的の映画ですが、それを隠そうとしていないところも好感が持てます。脚本はよくあるお仕事奮闘ものですが、気楽に安心して観ることができます。各キャラクターもいかにもな感じで、いい意味でも悪い意味でも予想を裏切りません。仕事に疲れたときに観て、吉岡さんの笑顔に癒されるのがよいと思います。

62 とっても面白かったです。早朝の会で観たのですが満員でした。上映後拍手が起こったのは、「この世界の片隅に」を観て以来でした。メタな映画ですね。ネタバレしないようにこの作品のチラシの範囲で感想を言うと、「長回しワンカットのホラー映画」と「2度始まる構造」の2つのビッグアイデアがとても効果的です。このどちらかを思いつくだけでも凄いのに、2つを惜しみなく一つの作品に注ぎ込んだことが勝因だと思います。有名俳優が出ない低予算の作品でも、アイデア次第では面白い映画を創れるという希望に溢れた素晴らしい作品です。すでにネットなどでかなり話題になってますが、細かいものも含めたアイデアの妙を味わうことが肝な作品なので、情報を遮断して早めに観ることをお勧めします。

63 オリジナリティーはあるものの非常に地味で陰鬱な脚本を、安藤サクラさんの個人技により、カタルシスのある作品へと昇華させた、演技の力をまざまざと見せつけられるような作品です。地方都市に住む半引きこもりのアラサー女性の鬱屈とした生活を描いた前半から、その鬱屈を打ち破るかのようにボクシングに打ち込んでからの疾走感溢れる終盤の展開への転調も非常に巧みです。構造的には「ロッキー」とよく似た作品ですが、ハッピーエンドとはならない苦みと甘さが微妙に入り混じったエンディングも日本的だと思いました。小粒ながらもキラリと輝く素敵な作品ですが、タイトルはちょっと違和感が残りました。確かにラブ・ストーリーではありますが、それがメインテーマではないと思います。
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