■本
48 考えの整頓/佐藤雅彦
49 苦役列車/西村 賢太
48 「ピタゴラスイッチ」などで有名なクリエイターである佐藤雅彦さんのエッセイ集です。タイトル通り佐藤さんが日々の生活や研究の中で引っかかったものごとについて、ご自身なりに考えを整頓されています。その独特で緻密な思考に、読む側も自分の考えの癖や欠けている視点に気づかされます。知識の多さや論理的思考とは違う種類の知性(地頭のよさとでも言うのでしょうか)について実感できるよい本です。ユーモラスな語り口で単純に読み物としてもとても楽しく読めます。
49 人間の嫌な面や弱さがこれでもかと描かれているのに、どこかユーモラスで共感できる、「人間失格」にも通じるような普遍性のある作品だと言えば褒めすぎでしょうか。好き嫌いの分かれる作品だと思いますが、僕は好きです。私小説と言い切っているので、この後、この主人公が芥川賞を取るほどの成功をおさめる小説家になるということもわかっていて、一見救いのない唐突なエンディングにも、どこか救いを感じます。筆者自身の人生が一つの作品となっているので、小説単体として評価する上では若干ずるい気もしなくはないですが、それも含めてやはり筆者の能力と魅力なのだと思います。この主人公のその後が気になるので、西村さんの他の作品も読みたくなりました。
■CD
36 Ep's 1988-1991/My Bloody Valentine
37 Go/Jonsi
38 Stage Fright/The Band
36 僕の一番好きなバンド、My Bloody ValentineのEP集。しかも、フロントマンであるKevin Shieldsによるリマスター。未発表曲も収録されていて、EPをすでに全て持っているという僕のようなコアなファンでも楽しめます。こうやって、通して聴くと楽曲によるクオリティの波は激しいものの、You Made Me RealiseやSoonといったキラーチューンのクオリティはやはり卓越しています。純粋にポップソングとしても楽しめますし、深読みしようと思えばいくらでもできる、懐の深さもあります。この才能が21世紀の今にどんな作品を作るのか、是非聴いてみたいです。逆に、すごい駄作を作りそうで怖くもあるのですが。
37 Sigur Rosのヴォーカリスト、Jonsiのソロ作品。ヴォーカルがすごく立ったサウンドです。Sigur Rosの幻想的な雰囲気はそのままに、もっと力強くわかりやすい多幸感溢れるカラフルな作品となっていて、万人に愛される傑作だと思います。聴いているとテンション上がります。ジョギングの時に聴くとすごく効果がありそうです。
38 The Bandの3作目。Amazonの輸入版で500円台だったので衝動買いしました。名作と誉れの高い、1,2作目と比較すると、気合の入り方というか重量感が全然違いますが、こういった力の抜けた作品の方が、このバンドらしい、引き出しの多さやスキルがよくわかるような気がします。気楽に力を抜いて音楽を楽しめる、この作品はこの作品としてもっと評価されてもよいと思います。近所の小さなクラブハウスで、気の合ったメンバーと観客に囲まれて演奏しているような暖かな雰囲気が僕は好きです。
■映画
33 ファミリー・ツリー/監督 アレクサンダー・ペイン
34 グリーン・ゾーン/監督 ポール・グリーングラス
33 結構悲惨な境遇を描いた作品なのに、淡々と抑制の効いた演出で、アカデミー賞候補作となったのも理解できます。ジョージ・クルーニーも中年の悲哀(陳腐な表現ですが)を少しコミカルに力を適度に抜いて見事に演じきっています。誰も悪い人はいないのですが、微妙な行き違いや一時の気の迷いで、いろんな歯車が狂ってきているのですが、その狂いも妻(母)の死を伴に乗り越えていく過程で修復できるという希望の持てる内容です。残された家族がわかりあえた様子を示すエンディングも絶妙。ハワイの雄大な自然の描写も含め、素朴な人生の喜びを感じさせられる秀作だと思います。ただ、邦題の「ファミリー・ツリー」は、テーマを押し付けすぎであまり好きではないです。原題の「The Descendants」(子孫って意味のようです)、のようにもう少し婉曲なタイトルの方が抑制の効いたこの作品にふさわしい気がしました。
34 イラクの大量破壊兵器の有無をテーマにした社会派映画。アメリカが悪者になっている作品なので、全米受けはしなかったように思いますが、重いテーマにもかかわらずエンターテインメントとしても成立していて、僕は楽しめました。こういう陰謀ものは話が単純化されすぎていて、あまり好きではないのですが、この作品は政治家、軍隊、ジャーナリスト、イラク国民、それぞれの視点をできるだけニュートラルに描こうとしていて好感が持てました。『ボーン』シリーズのポール・グリーングラス監督とマット・デイモンのコンビだけあって、アクションシーンの描き方も巧みで魅せられます。
48 考えの整頓/佐藤雅彦
49 苦役列車/西村 賢太
48 「ピタゴラスイッチ」などで有名なクリエイターである佐藤雅彦さんのエッセイ集です。タイトル通り佐藤さんが日々の生活や研究の中で引っかかったものごとについて、ご自身なりに考えを整頓されています。その独特で緻密な思考に、読む側も自分の考えの癖や欠けている視点に気づかされます。知識の多さや論理的思考とは違う種類の知性(地頭のよさとでも言うのでしょうか)について実感できるよい本です。ユーモラスな語り口で単純に読み物としてもとても楽しく読めます。
49 人間の嫌な面や弱さがこれでもかと描かれているのに、どこかユーモラスで共感できる、「人間失格」にも通じるような普遍性のある作品だと言えば褒めすぎでしょうか。好き嫌いの分かれる作品だと思いますが、僕は好きです。私小説と言い切っているので、この後、この主人公が芥川賞を取るほどの成功をおさめる小説家になるということもわかっていて、一見救いのない唐突なエンディングにも、どこか救いを感じます。筆者自身の人生が一つの作品となっているので、小説単体として評価する上では若干ずるい気もしなくはないですが、それも含めてやはり筆者の能力と魅力なのだと思います。この主人公のその後が気になるので、西村さんの他の作品も読みたくなりました。
■CD
36 Ep's 1988-1991/My Bloody Valentine
37 Go/Jonsi
38 Stage Fright/The Band
36 僕の一番好きなバンド、My Bloody ValentineのEP集。しかも、フロントマンであるKevin Shieldsによるリマスター。未発表曲も収録されていて、EPをすでに全て持っているという僕のようなコアなファンでも楽しめます。こうやって、通して聴くと楽曲によるクオリティの波は激しいものの、You Made Me RealiseやSoonといったキラーチューンのクオリティはやはり卓越しています。純粋にポップソングとしても楽しめますし、深読みしようと思えばいくらでもできる、懐の深さもあります。この才能が21世紀の今にどんな作品を作るのか、是非聴いてみたいです。逆に、すごい駄作を作りそうで怖くもあるのですが。
37 Sigur Rosのヴォーカリスト、Jonsiのソロ作品。ヴォーカルがすごく立ったサウンドです。Sigur Rosの幻想的な雰囲気はそのままに、もっと力強くわかりやすい多幸感溢れるカラフルな作品となっていて、万人に愛される傑作だと思います。聴いているとテンション上がります。ジョギングの時に聴くとすごく効果がありそうです。
38 The Bandの3作目。Amazonの輸入版で500円台だったので衝動買いしました。名作と誉れの高い、1,2作目と比較すると、気合の入り方というか重量感が全然違いますが、こういった力の抜けた作品の方が、このバンドらしい、引き出しの多さやスキルがよくわかるような気がします。気楽に力を抜いて音楽を楽しめる、この作品はこの作品としてもっと評価されてもよいと思います。近所の小さなクラブハウスで、気の合ったメンバーと観客に囲まれて演奏しているような暖かな雰囲気が僕は好きです。
■映画
33 ファミリー・ツリー/監督 アレクサンダー・ペイン
34 グリーン・ゾーン/監督 ポール・グリーングラス
33 結構悲惨な境遇を描いた作品なのに、淡々と抑制の効いた演出で、アカデミー賞候補作となったのも理解できます。ジョージ・クルーニーも中年の悲哀(陳腐な表現ですが)を少しコミカルに力を適度に抜いて見事に演じきっています。誰も悪い人はいないのですが、微妙な行き違いや一時の気の迷いで、いろんな歯車が狂ってきているのですが、その狂いも妻(母)の死を伴に乗り越えていく過程で修復できるという希望の持てる内容です。残された家族がわかりあえた様子を示すエンディングも絶妙。ハワイの雄大な自然の描写も含め、素朴な人生の喜びを感じさせられる秀作だと思います。ただ、邦題の「ファミリー・ツリー」は、テーマを押し付けすぎであまり好きではないです。原題の「The Descendants」(子孫って意味のようです)、のようにもう少し婉曲なタイトルの方が抑制の効いたこの作品にふさわしい気がしました。
34 イラクの大量破壊兵器の有無をテーマにした社会派映画。アメリカが悪者になっている作品なので、全米受けはしなかったように思いますが、重いテーマにもかかわらずエンターテインメントとしても成立していて、僕は楽しめました。こういう陰謀ものは話が単純化されすぎていて、あまり好きではないのですが、この作品は政治家、軍隊、ジャーナリスト、イラク国民、それぞれの視点をできるだけニュートラルに描こうとしていて好感が持てました。『ボーン』シリーズのポール・グリーングラス監督とマット・デイモンのコンビだけあって、アクションシーンの描き方も巧みで魅せられます。
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