本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

終末のフール

2013-06-15 12:32:16 | Weblog
■本
49 インテンション・エコノミー/ドク・サールズ
50 レイヤー化する世界/佐々木 俊尚
51 終末のフール/伊坂 幸太郎

49 企業が顧客を管理するCRM(Customer Relationship Management)から、生活者が自身に関する様々な情報やその提供先企業を管理するVRM(Vendor Relationship Management)への変化を提唱している本です。生活者にとっては、提供する情報やその提供範囲の意思を明らかにすることにより、自分の知らない間にそれらの情報が勝手に使われることを避けられるというメリットがありますし、企業側にとっても推定を元に展開している現状のマーケティング活動が、個人の明確な意思をベースにしたものに変わるので、その精度が劇的に上がるというメリットがあると主張されています。法制度から技術面まで、丁寧に議論されていて、それぞれの各論の納得感は高いです。ただ、それらを統合した具体的な未来像(特に、個々人がが手間をかけてまで自分のデータを管理するインセンティブがよくわかりませんでした-ポイントなど金銭的なインセンティブが必要な気がします-)がいささかぼんやりしていて、観念的なところが少し残念でした。しかし、ビックデータ時代の個人と企業の関係を改めて考える上での材料を豊富に提供してくれているよい本だと思います。

50 こちらもインターネット、スマートフォン、ソーシャルテクノロジーなどITが普及した後の個々人の生き方について考察された本です。これらのテクノロジーの発達により、これまでの国家などのウチとソトといった区別がなくなり、全てがフラット化していく中で、これまでの富の恩恵を受けていた先進国の生活レベルは下がり、それに伴いこれまでとは違う生き方を模索していく必要性が主張されています。これまで絶対的とみなされていた国家の力が相対的に低くなっていく中で、国家以外の会社や地域コミュニティ、ある共通の製品を使っているユーザー、趣味のサークル、などなどといったつながりや集合体(本書の著者は「レイヤー」いう言葉を用いています)の重なりとして自身をとらえ、それらのレイヤーの基本となるテクノロジーとうまく付き合い(同じく著者は「共犯」という言葉を用いています)ながら生きていくという戦略を提唱されています。一見、右肩下がりの悲観的な未来像にも思えますが、これまで搾取されていた後発国の生活レベルが上がるのと同様に、これまでの資本主義中心の社会にうまく適合できなかった人々が、自分の趣味や特技などを活かして身の丈にあった幸福を追求できる可能性も示唆されています。個人的には、そこまで極端にものごとは進まないとは感じていますが(格差は引き続き残り、テクノロジーとは無縁の生活を送り続ける人は無視できない程度の一定数は必ず存在する)、惰性に流さず、これからの個々人の生き方を考える上では有益な本だと思います。

51 設定などで突っ込みどころはてんこ盛りですし、ウエルメイド過ぎる話で「感動させたい」っていう筆者側の意図が見え見えにもかかわらず、それでも心が揺さぶられる不思議な作品です。現実世界の常識から考えると綻びがあるものの、筆者が創作した世界の中での辻褄は完全に合っていて、筆者の力技の凄さを感じます。個人的は、家族を失った人たちが、擬似的な家族を演じているうちに、それぞれの失ったものを補い合っていく「演劇のオール」という話がツボでした。欠点を指摘することは容易ですが、それにも増してやはり魅力的な作品だと思います。


■CD
54 Be/Beady Eye

 よいです。派手さはないですが、どの曲も普通にメロディがよくて、何度も聴きたくなります。リアムの声もオアシス全盛期のような艶と張りがあって素敵です。勢いよりも洗練が強調された作品なので、賛否は分かれるでしょうが、大人の観賞にも耐えうる優れたロックアルバムだと思います。



■映画
42 G.I.ジョー /監督 スティーヴン・ソマーズ

 悪役の動機が浅すぎるなど(単純な誤解による恨み)、設定はぶっ飛びすぎてチープな漫画的ですが、CGもアクションシーンも迫力があり、悪くない作品だと思います。ただ、ヒロイン(というか悪役の女性)の魅力がなさすぎ、と思っていたらラジー賞を受賞していたんですね。かなりひどいです。続編作る気満々の中途半端なエンディングもいただけないです。といった風に、なかなか欠点が多い作品ですが、近年の作品には珍しくB級臭がタップリですし、テンポもよく個人的にはそれなりに楽しめました。
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