本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Summer Teeth

2012-12-08 11:18:42 | Weblog
■本
120 ここがおかしい日本の社会保障/山田 昌弘
121 BE ソーシャル!/斉藤 徹
122 〈アイデア〉の教科書 /山田壮夫

120 「パラサイト・シングル」の山田昌弘さんによる日本の社会保障制度の問題点を指摘した本です。社会環境の変化により、非正規雇用やフリーランスといった、これまでの社会保障制度が想定していた「サラリーマン-専業主婦」と「自営業」の2つパターン以外の世帯が増大したため、現行社会保障制度はすでに実態にあっていない、というのが主な論点です。若年層の支援による少子高齢化の緩和や、女性のより一層の社会進出を促し日本経済を活性化させると言う意味でも、社会保障制度の抜本改革が必要と何度も主張されています。財源の見通しについては詳細に書かれていないので、若干理想的過ぎる印象は残りますが、問題点の指摘や改善案は非常にロジカルに整理されていて、とても説得力があります。問題点の指摘に終始し暗い気持ちにさせるだけでなく、具体的な提言によりかすかな希望が残る良い本だと思います。

121 斉藤さんの著書である「ソーシャルシフト」の続編的位置づけの本です。前作が企業がソーシャル化(企業の取り組みを特にソーシャルメディア上で隠し立てなくオープンに情報公開し、生活者と直接交流していく取り組み、と私は理解しています)する上でのテクニカルな話が多かったのに対し、本作はソーシャル化にあたっての心構えや理念といったより上位の話に力点が置かれています。規模の大小、国内外を問わず成功事例も豊富にありとても参考になります。かなり性善説的な内容で、善人以外はソーシャル化の進んだ社会では成功できないとなると、私のような屈折した人間は生きにくくなりそうな気もしますが、本書で論じられているような流れに社会は間違いなく進んでいる気がします。いずれ、揺り戻しがある可能性もありますが、ソーシャルメディアの発達により、「今何が起ころうとしているか」を知るためには非常に良い本だと思います。この本を鵜呑みにするのではなく、そこから次の行動のヒントをどのように得るかがより重要な気がします。

122 「アイデアのつくり方」など、これまでのアイデア創出のノウハウについて書かれた本と筆者及び電通の現場で使われている方法論のエッセンスをとてもコンパクトにわかりやすい言葉でまとめられています。筆者も書かれている通り、読んで理解するだけでなく、実際にこのノウハウを使ってみて、自分の中に落とし込むのが重要でかつ時間がかかりそうです。1時間もあれば読める短い本ですが、消化するのに時間がかかるタイプの本です。


■CD
101 Raw Power/Iggy & The Stooges
102 Summer Teeth/Wilco

101 パンクロックの代表作の一つ。ClashやSex Pistolsが怒りを基本にしつつ、意外と知性やかわい気を感じさせるのに対し、こちらは、どろそろとしたむき出しの情念が滲み出ています。そういう意味では日本人向きなような気がします。曲数も短くたたみかけるような疾走感が聞いていて心地よいです。

102 Wilcoの3作目。一般的には次作の「Yankee Hotel Foxtrot」が最高傑作と言われることが多いですが、この作品もかなりの完成度の高さです。カントリー・ロックという枠組みを超えて、よりスケールの大きいWilco独自のポップなサウンドは本作で完成の域に達したと思います。捨て曲無しの楽しく和める作品です。


■映画
72 ウディ・アレンの夢と犯罪/ウディ・アレン

 ウディ・アレンのシニカルで悲観的な面が強く出た作品。救いがありません。ユアン・マクレガーやコリン・ファレルといったメジャーな俳優を使いながらのこの地味で全く主人公が魅力的に観えない描き方はさすが。ウディ・アレンはぶれません。非常に監督の作家性が強く出た作品ですが、逆にウディ・アレンの成功した作品(「アニー・ホール」、「カイロの紫のバラ」、「ミッドナイト・イン・パリ」などなどたくさんありますが)が俳優の個性も存分に発揮されていたのと比べると、若干の物足りなさが残ります。人物があまり魅力的ではないのと対称的に、ロンドン郊外の風景はとても美しく描かれていて、「ロンドン3部作」は結局人よりもこの風景を描きたかったのかも、という印象を受けました。単純にウディ・アレンは女性を描くほどは男性には興味がないだけかもしれませんが。
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