本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

メタバースとは何か

2022-11-12 09:44:45 | Weblog
■本
91 オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る/オードリー・タン
92 メタバースとは何か/岡嶋 裕史

91 先日読んだ「オードリー・タン 自由への手紙」に共感したので、引き続き彼女の作品を。テクノロジーや市民参加を活用した台湾の新型コロナウイルス対策の記述など、重なるところもありますが、彼女のテクノロジーや社会に対するポジティブな信頼感が伝わってきました。「保守的なアナーキスト」という立場について理解できていなかったのですが、この本を読んでよく理解できました(命令や強制から自由になり、個々人の自由や意思を尊重し合える立場、であると私は理解しました)。佐藤優さんがよく引用されている、柄谷行人さんの「交換モデルX」(不特定多数の人々と家族のように見返りを求めず助け合う交換モデル)について触れられている点も興味深かったです。オードリー・タンさんが、自発性、透明性、インクルージョン、イノベーションといった概念を非常に大切にしていることが伝わってきました。何より、彼女が自分が天才であることを自覚しつつ、その能力を自分のためだけでなく、社会全体のために使おうとされている姿勢を尊敬します。「自分には社会を良い方向に変える力がある」という強い信念を感じました。凄い人です。若い人に是非読んでもらいたいです。

92 先週読んだ「メタバース革命 バーチャル経済圏のつくり方」に引き続きメタバース関連の本を読みました。私は決して「メタバース信奉者」ではなく、「バズワードについて少し集中して勉強してみるか」といった感じで本書を手に取ったのですが、いい意味で予想を裏切られる素晴らしい本でした。サブカルチャーなどの身近な事例から「メタバースとは何か」をわかりやすく説明してくれる前半もよいのですが、GAFAMがなぜメタバースに取り組んでいるいるのかを、それぞれのテックジャイアントの強み弱みに触れながら分析されている終盤が特に秀逸です。「メタバース」に限らず、GAFAM各社の戦略をここまでわかりやすく分析した本は、なかなかないと思います。「メタバーズ」=リアルとは違うもう一つの都合のいい世界、「デジタルツイン」=リアルをそっくりそのまま模倣したサイバー空間、「ミラーワールド」=リアルとの相互作用が生じるデジタルツイン、と定義した上で、リアルとの関係性が必要のない「メタバース」には「VRヘッドセット」、リアルとの関係性が必要な「デジタルツイン」、「ミラーワールド」には「スマートグラス」が相性がよいという考察も説得力があります。その上で日本企業が生き残るためには、「デジタルツイン」、「ミラーワールド」では、現実世界での蓄積が既にあるテックジャイアントに敵わないので、アニメやゲームでの強みを活せる「メタバース」で勝負すべし、という結論も切れ味が鋭いです。このようなビジネス面での考察だけでなく、メタバース内でどう生きていくのか?など哲学的な考察も、メタバースに浸りたいというオタク的な視点から展開されていてとても興味深かったです。オードリー・タン さんの本以上に「デジタルとAIの未来」に考えさせられる刺激的な本でした。


■映画
67 ONE PIECE FILM Z/監督 長峯 達也

 大ヒット中の「ONE PIECE FILM RED」に抜かれるまでは、映画版ONE PIECEで最も興行収入が高かった作品です。昔気質の元海軍大将ゼットを相手に、麦わらの一味が立ち向かう男臭い作品です。「だらけきった正義」でおなじみの元海軍大将青キジが、地味に活躍しているのが、彼推しのファンとしてはうれしいです。原作の方は登場人物や伏線が増える一方でついていくのに苦労していますが、本作は「麦わらの一味」それぞれの見せ場や、海軍の思惑などを手際よく処理して、ゼットとルフィの対決に焦点を当てた展開がわかりやすくてよかったです。ストーリーをシンプルにしたことにより、バトルシーンの迫力や映画オリジナルキャラのゼットへの共感が増したと思います。原作の背景情報がさほどなくても楽しめる、理想的な映画版作品です。スカッとしました。
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