本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

国家の罠

2010-03-08 05:55:51 | Weblog
■本
18 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて/佐藤 優
19 Webコミュニティでいちばん大切なこと

18 久しぶりに読み応えのある本を読んだと思えるいい本です。「鈴木宗男事件」の外務省側のキーマンの本です。この事件当時はあまり関心がなく、復帰後の鈴木宗男さんが、ずいぶん穏やかなキャラクターになっていたのを興味を持って見ていた程度なのですが、この事件がマスコミの報道のような、鈴木宗男さんが有罪か否かといった二元論の問題ではないことがよくわかりました。佐藤さんの視点から詳細にこの事件の背景と取調べの内容などが書かれているのですが、解説で川上弘美さんが書かれているように、この記述は佐藤さんから見たもので、別の見方が当然あるという予感のようなものが感じられます。この独善的に陥っていないところも、この本の魅力だと思います。佐藤さんと検事とのやり取りも、お二人の職人的気質がマッチしたのか、不思議な心の通い合いによる爽快感さえ感じられ、職業人としてのあり方についてもいろいろと考えさせられました。国益も人によって考え方が異なり、また、国益の名を借りて自分の利益や自尊心を満たそうという人もいて、外交が一筋縄ではいかないこともよくわかりました。ただ、現状の国際社会での日本の存在感の低下は、佐藤さんのようにしたたかに国益を追求する外交官が少なくなっている現状を反映しているような気もします。「鈴木宗男事件」の一側面を理解するというだけでなく、人間と言うものを理解するためのケーススタディとしても読める深みのある本です。

19 「自社製品の顧客をいかにWeb上でコミュニティ化したらよいのか?」ということを知りたくて購入したのですが、どちらかと言えば、多くのトラフィックを集めて、広告やECで収益を集める、メディア型のコミュニティサイトのノウハウが書かれた本でした。個人的な目的にマッチしなかったという点を割り引いても、イマイチな本でした。共著の限界かもしれませんが、それぞれの筆者の成功事例はそれなりに参考になるものの、それぞれの例はかなりニッチな領域のように個人的には思えますし、それぞれの知見がどの程度の普遍性があるのかの俯瞰的な視点がないので、各筆者のノウハウをどのように活用していいのかが明確になりません。自分で一からメディア型コミュニティサイトを立ち上げようという人のみにお勧めできる、読者を選ぶ本だと思います。
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