本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

昨夜のカレー、明日のパン

2013-10-14 09:31:17 | Weblog
■本
89 昨夜のカレー、明日のパン/木皿泉
90 フェイスブック 若き天才の野望/デビッド カークパトリック

89 名作ドラマ「すいか」の脚本家、木皿泉さんの連作短編集。各短編の登場人物が重なり合っていて、読み進むにつれてそれぞれのキャラクターの関係が明らかになっていますが、そこにドラマティックなどんでん返しや秘密が明らかにされるわけではなく、淡々とじんわりと染み入る話が連なっています。「すいか」のお盆の回のようがファンタジー的要素の作品もあり、既成概念の枠組みにこだわらないこの筆者の特徴がよくでています。各登場人物がそれぞれの喪失感を持っていますが、それも含めた人生全体に対する肯定感から元気がもらえます。

90 ソーシャルネットワークサービス「フェイスブック」をその創業者でありCEOでもあるマーク・ザッカーバーグを中心に描いたノンフィクションです。マーク・ザッカーバーグ自身に加え、ナップスター創業者でありフェイスブック立ち上げ時の協力者でもあるション・パーカーを筆頭にどの登場人物も個性的で、単純に読み物としても抜群に面白いです。インターネットが進化していく中での「フェイスブック」の位置づけや、現COOで元グーグルの副社長であったシェリル・サンドバーグ入社後のマネタイズの検討過程なども詳細に語られていて、単にフェイスブックの理解が深まるだけでなく、ネットビジネス全体に対する示唆もたくさん得られるよい本です。アマゾン、グーグルの創業者の本を読んだときにも感じたのですが、「とりあえずやってみる」情熱に支えられた行動力と、長期的に視野にたった戦略眼が非常に重要であることが学べます。


■CD
82 Crimson / Red/Prefab Sprout
83 Transmissions from the Satelli/Flaming Lips

82 1曲目からテンション高めのキラキラしたサウンドで引き込まれます。ヴォーカルのパディ・マクアルーンの声がとにかく若々しくて56歳とはとても思えません。過去の作品の仲では「ヨルダン:ザ・カムバック」に近い雰囲気で、ジャケットとタイトルはredですが、青臭いドポップな作品です。前作はピップホップ的要素、前々作はカントリー的要素を入れた変化球的な曲もありましたが、本作は「これぞプリファブ・スプラウト!」というドラマティックでドリーミーなポップソング満載の傑作です。

83 大傑作「Soft Bulletin」の2つ前の作品です。「Soft Bulletin」での楽曲のクオリティの高さを予感させつつ、本作ではロウ・ファイなチープな脱力感が魅力的です。この時期の方が、センスの高さとゆるーい脱力感がほどよいブレンドでFlaming Lipsが独特の存在感を発していた時期とも言えるかもしえません。緊張感なく気楽に音楽の楽しさを味わえる作品です。


■映画
66 少年H/監督 降旗康男

 メリハリの効いた手堅い演出のよくできた平均点以上の作品だと思います。過度に悲観的になることなく、戦争の悲惨さ残酷さ理不尽さも巧みに描かれていて、少年Hの未来と日本の復興を予言させるようなポジティブなエンディングも素敵です。お父さん役の水谷豊さんも強さと弱さを合わせ持った誠実なキャラクターを見事に演じられています。にもかかわらず、主人公の少年があまりにも強くて正しすぎる点に、ストーリーとしての物足りなさを感じました。一言多いために先生から不当な暴力を受けたり、友人との軋轢が生じたりしますが、葛藤なく「正しいこと」を言い続ける人間特有の嫌味と不自然さが感じられます。葛藤しながら清濁併せ呑みつつ生きていく、大人の代表である父親との対比としてとらえることもできると思いますが、それにしても主人公の少年があまりにも素直で清く正しく描かれ過ぎている点に不自然さを感じました。原作が自伝的小説なので仕方のないのかもしれませんが。
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