本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

俺のイタリアン、俺のフレンチ

2019-12-21 09:51:53 | Weblog
■本
120 俺のイタリアン、俺のフレンチ/坂本 孝
121 CHANGE 僕たちは変われる 日本フェンシング協会が実行した変革のための25のアイデア/太田 雄貴

120 以前に「俺のイタリアン」に連れて行ってもらったことがあり、結構美味しかったという印象が残っていたので手に取りましたが、抜群に面白い本でした。坂本孝さんがブックオフの創業者でもあったということも知りませんでしたが、業界の慣例を打ち破る、圧倒的な競争優位を築くストーリー作りの巧みさに感動しました。ブックオフでは、古本に付きまとう複雑な値付けの問題のシンプル化を、俺の~では、優秀な料理人にふんだんに豪華な食材を使わせて原価率を上げる一方で、立ち飲みという形態で回転率を上げ、顧客満足度と収益性を両立させるというビックアイデアを思いつかれる発想力に圧倒されます。業種の異なる事業の立ち上げを二度も成功されていて、ただただ尊敬するのみです。新規事業はこのように構想して、実践し成長させていくのだ、というお手本のような本です。お勧めです。

121 副題通り、オリンピックで二度銀メダルを獲得された太田雄貴さんが、引退後に日本フェンシング協会長に就任し、いかに組織を変革したか、ということが書かれた本です。メダリストという立場を最大限に活かして、様々な業界の人々との人脈作りに励まれた点と、太田さんご自身やフェンシングという競技が置かれた環境を俯瞰的に見て、効果的なアイデアを圧倒的なスピード感を持って取り組まれている点が印象的です。ベンチャー企業(フェンシングを「マイナースポーツ」と位置づけされています)が成長するプロセスを描いた、ビジネス書としても読める優れた内容です。事業の本質を的確にとらえ、内外に適切に発信しつつ、地道な改善や組織整備を進め、外部人材を含め適材適所で前例にとらわれず、最善と思われる打ち手を躊躇なく繰り出していくことが大切だということに改めて気づかされます。太田さんだからこそ成し遂げることができたんだ、というバイアスを自分から取り除くことができれば、参考になる点がたくさんあると思います。

 
■映画 
120 ぼくを葬る/監督 フランソワ・オゾン
121 ペンギン・ハイウェイ/監督 石田 祐康

120 ずいぶん前に予告編を観て気になっていたのですが、重々しい邦題のために後回しになっていました。思い切って観てみると、フランス映画らしく死を真っ向から取り上げていますが、過度に重くなく、当然葛藤はあるものの、それを次第に受け入れて徐々に身軽になっていく主人公を、羨ましくさえ感じました。ある種、理想的な最期でもあり、なかなかこういう穏やかな死を迎えることは通常あり得ないと思いますが、周囲の人に自分なりに別れを告げつつ、ささやかながらも生きた証を残そうとする姿勢には共感できました。生きているうちにどういう業績を残したかも大切だと思いますが、それよりも人とどういう関係を築けたかの方が重要だということに気づかされます。

121 同じく森見登美彦さん原作小説をアニメ映画化した、「夜は短し歩けよ乙女」が結構好きだったので、観ました。個人的には、正直あまりピンときませんでした。左脳優先の思考を徹底する主人公の少年のキャラクターは秀逸だと思いますが、彼が憧れる謎のお姉さんの存在が最後まで掴みどころがなく(まあ、彼女のその不安定な存在感がこの作品のキモでもあるのですが)、私自身の中でうまく消化できませんでした。主人公の妹が、夜中に突然「お母さんが死んでしまう」と泣き出すシーンなど、人間の存在や死に対する繊細でハッとさせられるような描写が随所に盛り込まれていて、そのセンスには感嘆するものの、それが、作品全体の世界観と整合が取れているかというと、必ずしも成功していないという印象が残りました。逆に言うと、「夜は短し歩けよ乙女」での湯浅政明監督の振り切った演出が、私の好みに合っていたのだと思います。
コメント
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