本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

アフターデジタル

2019-07-14 10:42:57 | Weblog
■本
62 アフターデジタル/藤井 保文、尾原 和啓
63 資本主義と民主主義の終焉/水野和夫、 山口二郎

62 デジタルをリアルの付加価値的な存在として捉える「ビフォアデジタル」の考え方から、リアル世界がデジタル世界に包含される「アフターデジタル」という現象の捉え方への転換が、デジタルトランスフォーメーションを推進する上では重要、という趣旨の本です。主に中国企業の事例を元に、リアル、デジタルを問わず顧客と高頻度の接点を持ち、そこから取得した膨大なデータを使って顧客体験を改善していくというループを、高速で回すことがこれからのビジネスで成功する上で必要だということが繰り返し説かれています。私が漠然と感じていた、なぜ最近のIT企業が「エクスペリエンス」という言葉を多用しているのかという疑問を、明確にわかりやすく説明してくれていて非常に参考になりました。最近読んだ本で一番です。デジタルとの付き合い方に悩んでいるビジネスパーソンに、お勧めの本です。

63 タイトルはかなり挑発的ですが、内容は、「資本主義の終焉」をテーマにされている経済学者の水野さん、と行政学を専門にされている山口さんが、平成時代を振り返って、日本の経済と政治がどのように変化してきたかについて対談された本です。経済面では、バブルの熱狂と崩壊、その後の新自由主義の高まりと格差の拡大が、政治面では政権交代への期待と失望、その後の安倍長期政権と右傾化が主なテーマとして語られています。経済、政治とも期待の高まりとその反動の失望、そして、そこから脱しきれずに低落傾向に陥ったのが平成時代の日本の状況だと思います。これからの10年の展望とその対策にも触れられており、粗っぽくまとめると「資本主義は終焉しても、民主主義は終わらせてはいけない」というのがその結論なのだと思いますが、資本主義終焉後の具体的な姿が見えてこないので、どうしても不安が高まります。平成時代を振り返り、課題だらけのこれからをどのように生きていくかを個々人が考える上ではいろいろな材料を与えてくれる本です。


■CD
10 aurora arc/BUMP OF CHICKEN

 どこかで耳にしたヒット曲満載の楽しい作品です。前作「Butterflies」が、どちらかと言えば、緊迫感のある重厚な作品だったのに対して、今作は明るく解放感のある楽曲が多い印象です。先輩が後輩に自分の人生経験を伝えるかのような優しさに満ちています。通勤列車で聴いていると励まされた気分になり、一日頑張れます。


■映画 
63 スパイダーマン:ホームカミング/監督 ジョン・ワッツ
64 空気人形/監督 是枝 裕和

63 個人的には、サム・ライミ監督版の内省的なスパイダーマンが大好きだったので、マーベル・シネマティック・ユニバースに参加してからの、幼くて陽気なスパイダーマンは、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で乱戦に参加していたときから、今一つ共感できませんでした。スパイダーマンがメインの本作でも、その無軌道な未熟さが中盤までは鼻についていましたが、終盤に主人公のピーター・パーカーがある選択をしてからは、一気に面白くなりました。少年が成長する瞬間を描くための、それまでの破天荒さだったのかと思えるほどの展開の巧みさで、一気に好感度が上昇しました。アイアンマンことトニー・スタークが父性に目覚める過程も描かれていて、後のアベンジャーズシリーズの伏線としてもうまく機能しています。壮大な世界観の背景を持つ、シリーズの一部としてのメリットをフルに活用した作品だと思います。舐めてましたけど、人種の多様性にも配慮が行き届いたキャラクター設定も巧みで、よくできています。

64 コミカルさと切なさを併せ持つ、シュールかつ哲学的な業田良家さん原作の漫画が大好きだったので、それを是枝監督がどう料理したのかがずっと楽しみでした。予告編を観た感じでは、ミニシアターっぽい実験的な作品という印象を持っていましたがその通りで、わかりやすさを配した挑戦的な映画です。ドキュメンタリー制作で培った市井の人々を描くリアルさが、是枝監督の魅力の一つだと思いますが、本作は空気人形のファンタジー的存在とそれぞれの孤独を抱える他の登場人物のリアルさが、奇妙な融合を見せて不思議な世界観を醸し出しています。少し登場人物が多すぎてそれぞれの孤独でお腹いっぱいになったので、もう少し空気人形と数人のキャラクターとのやり取りに絞った方がよかったのではと、個人的には思いました。主演のペ・ドゥナさんは文字通り身体を張った熱演です。あと、出演時間は短いですがオダギリジョーさんは抜群の存在感で、改めていい役者さんだと惚れ惚れとしました。
コメント
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