本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Very Best of Cat Stevens

2015-10-24 09:42:14 | Weblog
■本
92 反応しない練習/草薙 龍瞬
93 カウンセリングを語る(上)/河合 隼雄
94 充たされざる者/カズオ・イシグロ

92 最近はいくぶんましになりましたが、仕事で受け取る配慮の足りないメールにすぐにネガティブな反応をしてしまうので、読みました。「反応する前に『まず、理解する』」、「良し悪しを「判断」しない」など原始仏教の教えをわかりやすい言葉で解説してくれているので参考になります。「『勝つ』という動機以外で競争社会を生きていくこと」など、単なる理想論を語るだけでなく、現代社会で生きていくうえで、現実的な提案をしてくれているところも好感が持てます。基本は不快な外界からの刺激に対して、反射的に反応せず、そのときの自分の心の動きを客観的に把握できるよう自分を訓練することが大切なのだと思いました。

93 カウンセラーの国家資格化という話もあり、「産業カウンセラー」の資格を取ってから、最近あまり勉強をしてないので読みました。講演の書き起こしなので、とても読みやすいですが、書かれている内容はとても高度で実践するのが難しい内容ばかりです。白か黒かをはっきり分ける二元論を嫌う河合先生らしく、理論重視も体験重視も否定する味わい深い講演内容です。結局は矛盾そのものの人間を相手にする仕事である以上、明確なよりどころがない中、常に葛藤し続ける覚悟が必要なのだと私は理解しました。

94 最近、最新作「忘れられた巨人」を読み終えたので、カズオ・イシグロさん作品の中で唯一読んでいなかったこの本を読みました。なぜ、読んでいなかったかというと、異色でシュールでかなり長い作品という評判を聞いて腰が引けていたためです。評判通りとにかく長い作品でした。ストーリーらしいストーリーもなく、空間や記憶が不思議に捻じれて絡み合う不思議な世界観も、慣れるのに時間を要します。しかし、このような長大で難解な素材にもかかわらず、不思議に読みやすく、世界観に慣れると先の読めない展開が気になり一気に読み終えました。確かに、カズオ・イシグロさんの他の作品と比べると洗練度合いは低いですが、この作品のあとに「わたしたちが孤児だったころ」や「わたしを離さないで」という、よりスケールアップした傑作を生みだしたという事実を鑑みると、この作品が筆者のキャリア上必要なものであったことがよくわかります。これまではセンスとテクニックで勝負していた作家が、この作品でパワープレーでも勝負できることを示したのだと思います。頭の中のこれだけの情報量を文章化できる力技に感嘆しました。


■CD
46 Hitnrun Phase One/Prince
47 Very Best of/Cat Stevens

46 21世紀に入ってからのオーガニックなサウンドから、最近は全盛期のポップでなんでもありな作風に回帰した印象です。深みはないですが、ポップで踊れる楽しい楽曲が満載です。さすがに、目が覚めるような革新的なサウンドは生み出せなくなってますが、安定感のある作品です。まあ、全盛期の作品を聴いておけばいいという意見もあると思いますが、ファンとしては定期的に一定のクオリティの作品を出してくれるだけでうれしいです。

47 60年代後半から70年代前半にヒット曲を連発したキャット・スティーブンスのベスト盤です。今では、イスラム教に改宗して改名もされているなど、少し変わった人というイメージになっていますが、楽曲は間違いなく素晴らしいものばかりです。シンプルな演奏のメロディアスな楽曲に乗る、エモーショナルで緩急自在の優しい歌声に魅了されます。いろんなアーチストにカバーされた「Wild World」など、このアーチストのことを知らなくても聴いたことのある曲も多いと思います。個人的には「Where Do The Children Play?」という曲が大好きです。「いい歌」を聴きたい人にお勧めの作品です。


■映画
71 図書館戦争/監督 佐藤信介

 とらえどころのない作品ですね。表現の自由を守るために図書館を舞台に戦闘が行われる、という突っ込みどころ満載のSF的設定に、ありがちな先輩後輩の恋愛がからんでいるだけの作品なのですが、妙な引っかかりが残ります。岡田准一さん、石坂浩二さんといった実力のある俳優さんが、チープな脚本上で熱演されている点が、安易に駄作と切り捨てられない原因かもしれません。榮倉奈々さんの演技か地なのかわからない、不思議な演技も私を混乱させます。シュールな世界観に、恋愛、正義、友情、萌え要素など、観客が望む要素を、わかりやすく盛り込んでいる点が人気の秘密なのだと思います。
コメント
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