本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

忘れられた巨人

2015-10-04 10:24:36 | Weblog
■本
86 ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実/慎 武宏、 河 鐘基
87 忘れられた巨人/カズオ イシグロ

86 中盤以降のLINEとその親会社である韓国NAVER社との関わりをセンセーショナルに描いているあたりで若干胡散臭くなりますが(それはそれで読み物としてとても面白いのですが)、序盤のLINEのビジネスモデルやその社会的な影響について触れられている部分は非常によくまとまっていて、私のようなLINEのヘビーユーザーでない人間が、このアプリや会社について理解する上では非常に有益でした。特に子を持つ親として、その子どもに与える影響をさまざまな事例をもとに解説してくれた部分は参考になりました。LINEに対して、過度に好意的でも批判的でもない本ですので(若干韓国との関わりは協調され過ぎている傾向にありますが)、冷静にこのツールと付き合う上での示唆を与えてくれる本だと思います。

87 大傑作「わたしを離さないで」から10年ぶりのカズオ・イシグロさんの新作ということで、発売日に購入していましたが、あまりなじみのない中世イングランドを舞台にしたファンタジータッチの小説ということと、そのボリュームに圧倒されて、少し読み始めるまでに時間がかかってしまいました。しかし、いざ読み始めると抜群に面白く、先の展開が気になって数日で一気に読み終わりました。カズオ・イシグロさんの作品は全て、基本的には「記憶」、「罪」、「赦し」というテーマを、歴史小説、探偵小説、SF、そして今回のようなファンタジーと舞台設定を変えつつ繰り返し語っていると個人的には思うのですが、それでも新作を読むたびに新たな気づきと感動が得られます。今回の作品は主要登場人物5人中3人が老人という地味な設定なのに、冒険小説としても恋愛小説としても高いクオリティーで成立させているところに感心しました。カズオ・イシグロさんの作品にしてはエンディングが必ずしも救いの要素のあるものではないですが、それでも後味はよく、現在の民族紛争や難民問題などの世界情勢を自分の肌感覚に落として考えるきっかけを与えてくれます。


■映画
66 劇場版 SPEC〜結〜漸ノ篇
67 劇場版 SPEC〜結〜爻ノ篇

 オカルト・コメディ刑事サスペンスとでもいった感じのテレビドラマの映画版完結編です。2部構成にして長々と引っ張る必要があったのか、とかそもそもの企画自体にいろいろ疑問に思うところもありますが、それ以上に内容的に突っ込みどころが満載で、いろんな意味で問題作です。加瀬亮さんは好きな役者さんなのですが、その彼にどなるだけのひどい演技をさせているところが何よりすごいです(北村一輝さん、栗山千明さん、大島優子さんあたりもかなりチャレンジングな演技をさせられてます)。エヴァンゲリオンに影響を受けたであろう、オカルトタッチの展開に随時挟まれる微妙なギャグもかなり失敗しています。ただ、安易にわかりやすさに流れることなく、「新しいものを作りたい」という心意気のようなものは伝わってきて、その点については評価できると思います。
コメント
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