本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

呪いの時代

2013-06-24 06:00:13 | Weblog
■本
52 コミュニケイションのレッスン/鴻上 尚史
53 呪いの時代/内田 樹

52 コミュニケーションについての鴻上さんの考えをまとめた集大成的な本です。これまでの著書で論じられてきた、「世間」と「社会」の関係、「聞く」ときや「話す」ときの身体の使い方を含めた様々な技術などがあらためて取り上げられています。本書で新たに取り上げられている視点としては「交渉する」上で必要な技術について触れられている点で、「サブ・テキスト」(相手の声にならない本音)を探る、など、演出家らしい、欧米の交渉術とは異なる繊細な日本的な交渉術を解説してくれていて参考になります。「交渉する」ための4つのステップが具体的に書かれているなど、とても実用的な内容が平易な言葉で書かれているので、自分のコミュニケーション上の課題を点検し欠点を修正していくという意味でも有益な本だと思います。

53 内田樹のエッセイ集。相変わらずのトリッキーでかつロジカルな文章の展開が、知的刺激を与えてくれて、読んでいて心地よいです。書かれている内容は、メディアの論調やネット上の個々人の主張がネガティブなものに偏っていて、まるで「呪い」のように感じられることを危惧するものと、それらも含む人口減少社会の閉塞感を打破するためのソリューションとしての、「贈与経済」の提案といった、これまでの内田さんの主張のバージョンアップ版という感じです。圧巻なのは、3.11後の原発問題について論じた部分で、「原発」=「荒ぶる神」と位置づけ、その「祀り方」の技術として今後の原発との関わり方について「原発供養」を提案されている点が、内田さんならではの視点でその発想力に感心しました。


■CD
55 Taking Tiger Mountain(By Strategy)/Brian Eno

 ロキシー・ミュージックの元メンバーやU2などのプロデューサーとして知られ、アンビエントという音楽ジャンルの第一人者でもあるブライアン・イーノの初期のソロ代表作。さまざまなロックの解説本で取り上げられていて、いつかは聴いてみたいと思っていた作品でした。ブライアン・イーノの実験的とか難解というイメージをいい意味で裏切られた、知的ではあるもののとても親しみやすいポップな作品です。トーキング・ヘッズの作品への影響が大きそうと思って調べたら、代表作の「リメイン・イン・ライト」に、ブライアン・イーノが関わっているんですね。豊富な知識と音楽への愛情が見事に融和した作品だと思います。


■映画
43 アンストッパブル/監督 トニー・スコット

 ストーリーとしては、運転手の信じられないような凡ミスで危険物を積んだ無人の列車が暴走し、急カーブのある大都市に突っ込む壊滅的危機に瀕しているのを、ベテラン機関車と新米車掌が対立しながら、かつ、無能な上司などに阻まれながら、機転や仲間の助けにより苦難を乗り越え、結局は無人列車に飛び乗って止めるという、かなり自作自演的な話なのですが、トニー・スコット監督の力技的演出で、一級のエンターテインメント作に仕上がっています。突っ込みどころは満載なのですが、あまり頭を使わずに、監督の意図にあえて乗っかってハラハラドキドキしながら観るとかなり楽しめます。
コメント
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