本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか

2012-12-15 07:00:09 | Weblog
■本
123 しくみづくりイノベーション/電通コンサルティング
124 僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか/荻上 チキ

123 事業を成功に導くには、顧客を理解し、顧客が求める価値を提供する仕組みを作り、その仕組みを市場からのフィードバックにより常にバージョンアップさせていく、ことが重要という趣旨の本です。その方法論をまとめた、「マーケティング・ドリブン・ビジネス・デザイン」(MDBD)という手法が解説されています。書かれている内容や事例はどれも説得力があり、参考になります。ただ、若干抽象的過ぎて、MDBDとは具体的には何で、どのように実務に活かせるかまでは、腹落ちしませんでした。結局は「エスノグラフィー」、「ビックデータ」、「プラットフォーム」、「ソーシャル・ビジネス」など流行の言葉や考え方を羅列しているにすぎない読後感も残ります。

124 現在の日本社会の閉塞感やさまざまな問題の背景を時系列で整理し、それぞれの立場からの論点やその思考の癖をまとめ、さらにその構造を分析し、その上でささやかながらも具体的に個々人がとるべき改善案を提示されているとてもよい本です。日本の社会問題の深刻さ、解決の困難さをクールに分析しつつ、それでも、丹念にそれらの問題(この本の筆者は「バグ」と読んでいます)をつぶしていくしか方法はないし、個々人が少しずつ行動していけばそれはできるはずというポジティブなメッセージもこめられています。投票前に自分の考えをまとめるのにとても役立ちました。筆者の主張がわかりやすく腹落ちし、行動に繋がる本だと思います。お勧めです。


■CD
103 March 16/Uncle Tupelo
104 Some Nights/Fun.

103 Wilcoのフロントマン、ジェフ・トゥイーディが以前に所属していたバンドの3作目です。「オルタナ・カントリー」と形容されることが多いですが、日本人の私には普通の「カントリー」作品のような気がしました。特に派手なキャッチーさはないですが、地味にしみ込んでくるような楽曲が多い作品です。

104 今年バカ売れしたFun.のアルバム。輸入版だと安く、前から気になっていましたが、グラミー賞にもたくさんの部門にノミネートされていたので聴いてみました。クイーンを髣髴とさせる変幻自在のメロディ展開とメリハリの巧みさで、全曲ドラマティックに聴かせます。古いような新しいような絶妙のところを突いてきます。通して聴くとゴテゴテし過ぎて、ちょっと胃がもたれる感じがしますが、ヒットしたのも納得のハイクオリティです。ヒット曲「WE ARE YOUNG」を聴くと、構成が似ているのかいつもドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」を連想してしまいます。


■映画
73 砂漠でサーモン・フィッシング/監督 ラッセ・ハルストレム 

 「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」以来、大ファンのラッセ・ハルストレム監督の新作。「HACHI 約束の犬」あたりから、その甘すぎて、予定調和な世界観についていけなくなりつつありましたが、やはり好きな監督の新作ということで観て来ました。クリスティン・スコット・トーマス演じる、豪腕首相広報官を筆頭に、ユアン・マクレガー演じる水産学者とエミリー・ブラント演じる投資コンサルタントの主人公二人を含め、登場人物のキャラ設定は抜群でとても魅力的でした。ストーリーの方も、中だるみすることなく、テンポよくグイグイと観客を引きこみ展開させていく手腕もさすがです。ただ、この監督の以前の作品は、主人公サイドに、もう少し人生の苦味や葛藤を負わせていたのですが、本作でも特に恋愛的側面で主人公二人にそれなりの決断を迫る場面はあるものの、どちらかといえば主人公にとって「出来すぎた」話で少し興ざめしました。それでも、脇役のセリフに人生の苦味や葛藤に対する深みが感じられて、一見お手軽なラブ・ストーリーのフォーマットの中に、巧みに考えさせられる要素を盛り込んでいるところは好ましく思いました。ラッセ・ハルストレム監督の低迷脱出を感じられる良作です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする