数億におよぶ人間の世代が、せめぎあい、和解しあい、苛酷な経験を刻みながら、
おのれとおのれの血族の可能性と限界に立ち会ってきた。
深く分け入り、迷い込んだ土地には闘争や殺戮や裏切りがあり、
同時に、他者を思いやり慈しむ感情が芽吹いていった。
悪なるものが練磨されると同時に、善なるものが練磨される。
無数の世代が連なり、無限の試行があり、歴史が積み重なり、
その繰り返しの数だけ、歴史は陰影を深くしていく。
しかしそのことの果てしない展開の意味を問うまえに、
すでにすべては決着していた。
「絶対秩序」は「絶対自由」に優先して「絶対平等」を構成する。
絶対秩序と絶対平等という「至高の価値」に近い者、遠い者、中間にある者、
それぞれを位置づける価値の審級にもとづき、絶対的階梯が作られていく。
すべての存在はおのれにふさわしい場所を与えられ、
あらゆる無意味な殺戮のいとなみはそこで止む。
それが絶対的階梯が絶対秩序であることの絶対的な意味である。
絶対秩序を構成する地平に崇高なる神殿があつらえられ、
神殿を守護する祭司たちと臣民の群れが陸続し、
神殿に向かって拝跪する儀礼とコードがつくられていく。
神殿がいつ誂えられたのかはわからないが、
それが絶対秩序という絶対的真理の具現であり、
すべての存在が認めざるをえないこの世の真理の現実体である。
守護する祭司たちは神殿にふさわしいコードを洗練させていく。
コードに従う者たちを讃え、歌と酒盃を用意し、報奨と位階を与え、
その繰り返しに堪えざる者たちを罰した。
「ソレデ良シ」ということ以外に述べることがあれば、述べみよ。
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