ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「こどもの声」 202300603

2023-06-03 | Weblog

 

 

   子どもは、ペットの次に大人の慰みものにされやすい存在である。
      (中井久夫『「思春期を考える」ことについて』84)

      *

見た目で人を判断してはいけません
そっくりお返ししたいことばです

こどもだからという理由だけでね
わかったふりはやめてください

こどもの味方っていうのもちょっと暑苦しい

受け止めとか、寄り添うとか
かんたんにおっしゃいますが、そのまえに
おとなの世界、おとな同士はできているのかな

ひとりでは生きられない
世界のことはよくわからない
不安、つまり無力の感情があふれます

わからないから求めるのです
わかること、わかる存在、頼れるものをね
こどもであることの逃げられない条件です

でもほんとうに頼ってよいものを見分けることは難しいのです
ほんとはね、なにがそうなのかもわからない
見分ける方法もわからない、迷いや不安がいつもついて回る

だから籠絡されやすい存在でもあるのです
だからそれに付け込むのは反則です

こどもっていい、とかカンタンに言わないでください
そこで行き止まりになってしまいます

それ云うなら、人間っていいとか
もう少し広がりのあるものをお願いします

おとなもカンタンにわかられたら嫌でしょ

永遠にこどものままでいつづけることはできません
こどものまま、生徒のまま生きるわけにはいきません

おとなとして生きるために準備がてんこ盛りです
こども扱いにもほどというものがあります

そこんところよくわきまえてくださいね
あっけらかんに見えてもこっちは必死なのです

あかるくほがらか屈託がない
かんちがいにもほどがあります

無邪気ではありません、黒い雲も湧き上がります

こども世界、こども世間
ぼくたちが生きる一番の場所です

友情も憎悪も渦巻くこども世界です
おとなの世界と同じようにね

楽しい顔がほんとうに楽しいとはかぎりません
なかよしが本当になかよしとはかぎりません

たかをくくり決めつけるのは愚かです
こどものためとか、勝手な思い込みだけでね
じぶんのやさしさとか善人のネタにしないでね

純粋でもまっすぐでもありません
もうちょっとましなものです

おとなも同じでしょ、よく考えてください

うれしいふり、かなしいふり
わかったふり、わからないふり
生き延びるためならどんなふりもする

にっこりされればにっこりする
しかめつらされたらしかめつらになる

浮いたり沈んだりしながら
本当に大切なもの、心から楽しいもの
日々それを探索しながら生きているのです

でもわかんない、わからないことだらけ

こどもをネタやダシや刺身のツマにして一杯やるまえに
おとなとしておとなが生きる姿をみせてください

おとな同士がどんな関係を結んで生きているのか
教科書のどこにも書かれていないけれど
そのことがぼくたちの一番の学びになるのです

 

 

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