真理は醜い。私たちが芸術をもっているのは、
私たちが真理で台なしにならないためである。
──ニーチェ『権力への意志』原佑訳
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最終解、究極解、理想解、絶対解、超越解
真理という名を冠された虚数項の群れ
ここから逆算されて記述される存在規定、世界記述
真理へまっすぐに向かう知のルート
その意味本質は以下のとおり──
「行き止まり」
真理と名付けられたガラスの天井
すなわち、思考の消失点としての真理
われわれは明らかにしておく必要がある
世界記述の〝真理=結審〟を手にしたい心の傾向について
あらゆる思考に先行するように立てられる記述命題群
知の頂きに立って、したり顔で真理を語ることの意味
すなわち、そこに隠されたほんとうの目的
あらゆる思考の制圧・支配・制御という動機について
けっして知の先行を許さないすぐれた芸術の体験
この全人的世界経験の原理が真理(知)の閉域性、抑圧性を教える
生の全域でありえないものが全域にわたるものとして真理を自称する
知におけるこの倒錯と暴力性をよく教える芸術という経験がある
それゆえ真理は芸術に照らして適切な場所を与えられなければならない
さらに同時に、真理を僭称する芸術は芸術の本質から脱落するともいえる