ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「そよ風は甘く」 20220507

2022-05-07 | Weblog

                                                                                                    The Honey Wind Blows - The Brothers Four - YouTube

 

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 けれども人間は、運命のなかに、おのれ自身の生を認める。
 そしてそれへの切望は、主人への哀願ではなく、
 おのれ自身へと立ち帰り近づいていくことなのである。
 人間は運命のなかにみずから失ったものを感得するので、
 運命は失われた生への憧憬を呼び起こす。
 この憧憬は、もしどうしても改善とか向上とか言いたいならば、
 すでに向上と呼ぶことができる。
 この憧憬は生の喪失の感情であって、失われたものを生として、
 かつて生に親しみ深かったものとして認知するからである。
 この認知はそれだけですでに生の享受である。

    ──ヘーゲル『キリスト教の精神とその運命』細谷・岡崎訳


     *


 when the honey wind blows


なぜかわからない
あらゆる記述の外から訪れる

あふれ、こぼれ出し、決壊する

しかめ面した心のまま
泣き出しそうな心のまま

まるごとさらわれて行く

イヤということではない
幸いということではない

遠い面影を先取りするように
すでに、幼い心には喪失が溶けていた

二度と出会うことのない
いまここの出来事すべてに

あふれ、こぼれていく

汲みつくすことができない
追いつけない、手に負えない

はかり知れない闇に消えていくものたちを
かなしく満たすように

いちばん柔らかい心の場所に
そよ風は甘く、情動の嵐が現象する

 

 

 

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