心は記述することばを探している
これが世界、これがほんとう、この意味
そうして差し出せるものを探している
だれかに、そしてみずからに
言葉に手をかけ、つづり、言葉を運ばせる
そうするように促され、告げたい心がある
世界はかなわない願いに染まっている
*
消えていく時間、重なり、溶けあう時間
かつて-いま-これから
そして最後に訪れるものへのおそれ
はじまりとおわりを区切られた
ひとりの生の時間の向こう側へ
心を走らせるものがいる
時間をカウントし、世界をマップする
明治41年
はてしない時間の海に浮かぶ
たしかに生きられていたなごり
いまを照らすように、時間の海に消えたもの
これから消えてゆくもの
なつかしさ、おそろしさ、せつなさ、もの苦しさ
どれもこれもほんとうは触れることができない
手に負えない、名づけようのないものに
しかたなく情動が告げる
なんてかなしいのだろう
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