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みどりの一期一会

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オバマ米大統領再選:新聞各紙の社説

2012-11-08 21:53:06 | ほん/新聞/ニュース
アメリカの大統領選挙で、民主党のオバマ氏が再選された。
昨日の午後にテレビで開票の様子をやっていて、つい見てしまった。

共和党政権にならなくて、まずはよかった、というところかな。

とはいえ、一大イベントの大統領選挙の結果はでたけれど、
アメリカの景気は低迷しているままだし、
日本との関係も大きく変わりそうにもない。

今朝の新聞各紙の社説はそろって、「オバマ米大統領再選」の記事。

とりあえず、わが家で購読している5紙を読み比べてみよう。

  【社説】融和を歴史に刻めるか オバマ米大統領再選 
中日新聞 2012年11月8日

 米国有権者はオバマ大統領に二期目の本格政権を託した。一期目の公約だった国民融和をどう果たすのか。米国再生もその成否にかかってこよう。
 「オバマ支持者であれ、ロムニー支持者であれ、皆さんの声は届いた。熾烈(しれつ)な戦いだった。でも、それも私たちがこの国を愛し、将来を思うからこそだ」
 勝利宣言でオバマ大統領はロムニー陣営の健闘を称(たた)え、今後の協調へ手を差し伸べた。それは取りも直さず、共和党との融和、分断国家の克服がいかに難しいかを物語ってもいよう。

厳しい1期目の評価
 四年に一度の米大統領選挙は、超大国たる米国がその素顔を世界に晒(さら)すことを余儀なくされる年でもある。
 二つの戦争と金融危機の前に破綻寸前だった四年前、有権者は長いためらいの末に当選一期の上院議員だったオバマ氏に国の舵(かじ)取りを託した。
 「オバマ大統領は、失業率を半減させると約束し、財政赤字も半分にすると約束した。結果はどうか。財政赤字は二倍になり、二千三百万人の失業者、六人に一人の貧困層、四千七百万人の食料切符受給者、さらに、大卒者の半数が職を得られていないではないか」
 ロムニー氏が執拗(しつよう)に突きつけたオバマ政権一期目の「バランスシート」は、四年前、史上初の黒人大統領誕生に涙した支持者自身にも痛切な批判となって響いたことだろう。
 「大きな政府」か「小さな政府」か。「支え合い社会」か「自己責任」か。「協調外交」か「力による外交」か。選挙戦を通じて提示された対立点は際立っていた。最後まで大接戦を演じたとはいえ、獲得選挙人の数で見る限り国民の審判は明快だった。

有権者の消極的承認
 大型景気対策を通した雇用対策、財政出動を伴う自動車産業などの企業救済、中国、中東情勢を中心とした協調外交政策の継続-。成果は十分とはいえないことを織り込みつつ、有権者は第一期の基本路線を承認した。
 一方で、共和党に投じられたほぼ同数の一般投票数はそのままオバマ政権への批判票として残る。上下両院のねじれ現象も残った。来年早々には、ブッシュ政権時の減税措置の失効と、財政赤字の一律削減措置が同時に始まる「財政の崖」に陥る危機的状況には変わりはない。融和の成否は、敗れた共和党の対応にかかっている。
 二〇一〇年の中間選挙で下院を奪回して以来、共和党の戦術は「オバマ再選阻止」で一貫していた。オバマケア(医療保険改革法)の成立をめぐる大統領の強引な議会工作が発端だったとはいえ、予算審議を中心に議事妨害を繰り返し、事実上政府を機能不全に追い込んだのもその一環だ。
 ロムニー氏の諸政策が、結果的に有権者の多数を説得するに至らなかったのは、常にブッシュ前政権時代の米国を想起させたからだ。「ブッシュ大統領と私は別人だし、当時と時代も違う」。ロムニー氏はテレビ討論でブッシュ政権との違いを強調したがどこまで有権者に伝わっただろうか。
 冷戦終結から中枢同時テロを経て、国際秩序の中で新たな指導的役割を探しあぐねる米国。今回の選挙は米国が置かれたこの時代状況下、民主党、共和党とも有効な国家像を示し得ないもどかしさに対する国民の不満が噴出した選挙でもあった。
 共和党の草の根活動を担った茶会運動は多くの候補者を支持し、全国的な影響力を誇示したが、推された候補者の大衆迎合的な資質には甚だ疑問が残った。上院選挙でも予備選を通して穏健派の有力議員を追いやる例が相次ぎ、共和党の足を引っ張る皮肉な結果に繋(つな)がった。
 民主党に近いウォール街占拠運動も、格差拡大への批判の声はあげつつも、具体的な市民運動には広がらなかった。
 オバマ政権続投は、揺れ続ける米国有権者による消極的承認でもあろう。

「国のかたち」の選択
 オバマケアは、政権継続により予定通り一四年に本格始動する。政権を奪回し、最高裁人事をも影響下に収め、長期的にオバマケア撤廃を目論(もくろ)む共和党のシナリオも遠のいた。今回の選択が米国の「国のかたち」に与える影響は長期に及ぶだろう。
 目に余る党派対立に嫌気がさして今回出馬を辞退した共和党穏健派のスノー上院議員がその理由を米紙上で語っている。「全ての声が聞き入れられ、考慮されたことを保障する制度として上院は創設されたはずではなかったか」。オバマ大統領、ロムニー氏とも、建国理念に沿って協力する姿勢を示唆してはいる。今こそ耳を傾けるべき言葉ではないか。


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 社説:オバマ大統領再選 チェンジの約束実現を 
毎日新聞 2012年11月08日 02時30分

 「史上まれな激戦」が予想された米大統領選は民主党のオバマ大統領の圧勝に終わった。州別に割り当てられた選挙人(計538人)を取りあう独特の選挙制度で、オバマ大統領の獲得選挙人は300人を超えた。しかし、全米の総得票数では共和党のロムニー候補(前マサチューセッツ州知事)とほぼ互角で、オバマ陣営には手放しで喜べない結果ともいえよう。

 ◇国際的な課題は山積
 勝因の一つには選挙直前に米国を襲ったハリケーン「サンディ」への迅速な対応が挙げられる。選挙戦を中断して現地入りしたオバマ大統領が被災者を抱擁する写真は米国民の胸を打った。軍最高司令官の革ジャンを着た大統領が、持論の「一つの米国」論を踏まえ「災害には民主党も共和党もない。ただ、あるのは米国人だけだ」と演説する姿も好感を広げた。心憎いほどの演出だった。
 オバマ大統領の再選を祝福したい。ブッシュ前政権(共和)からアフガニスタンとイラクの軍事作戦、リーマン・ショックに始まる経済危機を「負の遺産」として引き継いだ苦労は並大抵ではなかったはずだ。
 米国では「経済優先」のクリントン政権(民主)が巨額の財政黒字を実現したが、次の「強い米国」を掲げるブッシュ政権は「政府の剰余金は国民のお金だ」と減税に動き、さらに01年の米同時多発テロ後に二つの戦争を始めて財政が悪化した経緯がある。今回、クリントン元大統領が選挙応援に引っ張りだこだったのに対し、ブッシュ前大統領がほとんど表に出なかったのは、米国内の空気を反映していよう。
 経済再建は道半ばとはいえ、オバマ政権が世界を恐慌から救ったという見方もある。第二次大戦後、失業率が7%を超える中、再選された大統領はレーガン氏だけだ。8%近い失業率にもかかわらずオバマ氏が再選されたのは、その努力を国民がある程度認めているからだろう。
 だが、米国は来年早々、減税打ち切りと歳出の強制的削減による「財政の崖」に直面して景気が悪化しかねない。オバマ政権が国民皆保険をめざして導入した医療保険制度改革も、共和党は廃止に追い込むことを狙っている。年間1兆ドルに上る財政赤字の削減や債務圧縮を迫られるオバマ政権にとって、共和党との融和は必須の課題である。貧富の差や人種、性別を超えた国民和解が必要だ。
 こうした状況下、オバマ大統領の目が内政に向きがちなのはやむを得ないが、2期目はもっと世界に目を向けてほしい。大統領は09年4月のプラハ演説で「核兵器のない世界」をうたい、同年6月のカイロ演説で中東和平への強い意欲を表明し、同年11月の東京演説でアジア太平洋の時代の到来を強調した。
 だが、これらの演説は具体的にどんな果実を結んだだろうか。大統領とともに「チェンジ(変革)」「イエス・ウィ・キャン(私たちにはできる)」と唱和した人々は全世界にいるはずだ。私たちは内外での「チェンジ」の達成を求めたい。
 世界は変動している。中東では民衆運動「アラブの春」が広がり、独裁政権の崩壊も相次いだ。騒乱波及を警戒するロシアと中国は、シリアの独裁政権の崩壊を恐れてか、国連安保理決議案に拒否権発動を繰り返す。シリアでの犠牲者は既に3万人を超えた。こうした人道危機に米国は真剣に取り組むべきだ。世界の問題は米国だけで解決できないとしても、米国抜きで解決できる問題はまだ少ない。

 ◇日米の緊密化が必要
 アフガンの安定化や中東和平への関与も必要だ。米国の親イスラエル団体は選挙に強い影響力を持ち、再選を目指す1期目の米大統領は中東和平への関与を控えるのが常だった。クリントン政権も、積極的に和平仲介をしたのは2期目の後半になってからだ。これまで仲介らしい仲介をしていないオバマ大統領も、2期目は積極的に対応してほしい。
 オバマ政権が暗殺したウサマ・ビンラディン容疑者は同時テロの動機として、パレスチナ人の悲惨な状況に言及している。テロの温床を除く意味からも米国は同盟国のイスラエルを説得して和平交渉を動かす必要がある。また、イランの不透明な核開発は深刻な問題だが、イスラエルによるイラン空爆は世界の不安定化を招く。この点でもオバマ政権のイスラエル説得が不可欠だ。
 激動は、アジア太平洋にも及んでいることを強調したい。尖閣諸島をめぐる日中摩擦や中国の軍拡、海洋進出は重大な問題であり、中国は米国主導の戦後秩序に挑戦するような発言を繰り返している。穏やかならぬ状況である。核開発を続ける北朝鮮の脅威も含めて、米国は東アジアへの関与を強める必要がある。
 日本としても、米国の大統領に合わせた身の振り方を考えるのではなく、主体的に考え、行動することが必要なのは言うまでもない。日本を取り巻く安全保障の環境は変化している。日本の懸念や日米安保が直面する諸問題について、政府首脳は率直にオバマ大統領と話し合う必要があるはずだ。理念を重んじるオバマ大統領と日本の関係が緊密化することを期待したい。


  社説:オバマ米大統領再選―理念を開花させる4年に 
2012年11月8日(木)付 朝日新聞

 米大統領選で民主党のバラク・オバマ氏が再選された。
 グローバル経済の荒波のなか、退場を迫られる現職の指導者は少なくない。オバマ氏に与えられた、さらに4年の任期は貴重だ。大胆に指導力を発揮してほしい。
 現職有利とされる2期目の選挙だが、共和党のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事に激しく追い上げられた。
 社会保障を手厚くし、政府主導で景気回復を図る「大きな政府」のオバマ氏か、自由な経済競争を重視する「小さな政府」のロムニー氏か、という理念のぶつかり合いだった。
 米国の閉塞状況を打破するのはどちらか。米国民は迷いつつも、社会の連帯に重きを置くオバマ氏の路線の継続を支持したということだろう。
 この接戦が象徴する「分断」された米国社会を修復することこそが、オバマ氏にとって急務である。

■「分断」修復急げ
 選挙には両陣営がこれまでにない巨額の資金をつぎ込み、大量のテレビ広告で中傷合戦を繰り広げた。社会に残した傷痕は深いが、歩み寄るときだ。
 米国では来年初め、政府の支出が大きく減らされ、ほぼ同時に増税される「財政の崖」が待ち受ける。
 こうした事態に至れば、国内総生産(GDP)を5%近く押し下げるとされる。世界経済に与える影響も大きい。
 まずは共和党との間で回避策を探り、協調の足がかりを得る必要がある。
 オバマ氏は1期目、大型の景気対策や、国民皆保険に近い医療保険改革を導入して、財政負担の増加を嫌う保守層の猛反発を招いた。
 厳しい財政削減を求める保守運動「ティーパーティー(茶会)」が勢いづき、2年前の中間選挙では共和党が下院で大勝した。同党は徹底して政権に非妥協的な姿勢を貫き、政治が動かなくなっていた。
 大統領選と同時に行われた連邦議会選では、上院では民主党が過半数を確実にしたが、下院は共和党が多数を占めた。「ねじれ」は続くことになり、超党派での協力が不可欠だ。
 共和党も大統領選で示された民意を受けとめるべきだ。「茶会」のような急進的な主張は、国民的な支持を得ていないことがはっきりした。協調すべきは協調しなければならない。
 ロムニー氏は、オバマ氏の医療保険改革の撤廃を訴えた。だが、しっかりしたセーフティーネットの存在は、経済にも好影響をもたらす。共和党も改革を受け入れるべきだ。

■カギ握る中間層
 選挙戦終盤、オバマ、ロムニー両氏がともに強調したのは中間層への配慮だった。中間層が活気を取り戻してこそ、米国の再生につながる。
 また、それが分断修復のカギとなるのではないか。
 オバマ氏が苦戦した最大の原因は、経済の低迷だった。
 失業率は8%を超える高い水準で推移し、就任時に約10兆ドル(800兆円)だった財政赤字の累積は、約16兆ドルに増えた。
 希望の兆しもある。
 選挙の直前になって、失業率は2カ月続けて7%台に下がり、9月の住宅着工件数も4年2カ月ぶりの高い水準だった。回復の軌道に乗りつつある、との見方が強い。
 この流れが続けば、政権基盤が安定し、社会のぎすぎすした空気も和らぐだろう。

■対中関係どう築く
 財政的な制約もあり、世界に軍事力を振り向ける余力が少なくなるなか、米国が外交・安全保障でどういう役割を果たすのかも問われている。
 4年前、アフガニスタンとイラクの二つの戦争で、米国の威信は大きく傷ついていた。
 そこに、オバマ氏は全く違う米国の姿を示した。
 「核なき世界」を唱え、米国とイスラム世界の新たな関係を求める力強い言葉に、世界は喝采を送った。
 だが、いずれも道半ばだ。
 中東は「アラブの春」後の秩序作りで揺れている。内戦状態のシリアでは多数の死者が出て、暴力がやむ気配はない。イラン核問題も緊迫している。
 紛争の拡大を防ぎつつ、どう解決に導くのか。国際社会をまとめる指導力も試されている。
 アジア太平洋重視を打ち出しているオバマ政権にとって、習近平(シーチンピン)・新体制の中国とどう向き合うかは最大の2国間問題だ。
 経済面の相互依存が増すなか、実利的な関係を進めると見られるが、大国化した中国が周辺国と摩擦を起こす場面が増え、米国は警戒を強めている。
 尖閣諸島をめぐって中国との緊張が続く日本としても、オバマ政権の対中政策を見極め、連携を深める必要がある。
 外交、内政両面で、理念を開花させることができるか。オバマ政権の真価が問われる4年間になる。


 米大統領選 続投オバマ氏を待つ財政の崖(11月8日付・読売社説) 

 米大統領選で、民主党の現職バラク・オバマ氏が、共和党候補ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事を退けて、再選を決めた。
 オバマ氏が2期目で直面する課題の重さは、4年前にひけをとらない。金融危機はひとまず克服したが、経済再生は、なお途上にある。米国が世界で担う役割と責任の大きさを踏まえ、強い指導力を発揮してもらいたい。
 オバマ氏は、「1期目の任期中に財政赤字を半減する」との公約を実現できなかった。雇用創出も思うようには進まず、失業率は8%近くに高止まりしている。
それでも再選できたのは、経済再建や安全保障分野での実績がおおむね評価されたからだろう。
 就任早々に巨額の景気対策を実施し、金融システムを安定させた。破綻した米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)も救済して、大恐慌に転落する瀬戸際にあった米国を救ったと言える。
 「負の遺産」だったイラク戦争を終わらせ、アフガニスタンからの米軍撤収にも道筋をつけた。
 ロムニー氏の敗因は、大統領の経済失政を指弾しながら、説得力のある経済政策を示せなかったことに尽きる。
 オバマ氏の最優先課題は、景気対策と財政再建の両立である。
 年末から年明けにかけ、大型減税が失効し、歳出の強制削減が始まる「財政の崖」が控えている。何の手も打たなければ、大規模な財政緊縮をもたらし、米国は深刻な景気後退に陥りかねない。日本など世界への影響は甚大だ。
 この試練を乗り切るには、連邦議会の協力が欠かせない。
 議会選の結果、下院で共和党、上院で民主党がそれぞれ過半数を占める“ねじれ”の構図に変化はなかった。経済の混乱を防ぐため必要な法案を成立させるべく、オバマ氏は全力を挙げるべきだ。
外交・安全保障政策でも、北朝鮮、イランの核開発やシリア情勢など懸案が山積している。
 特に注目したいのは、経済・軍事で膨張する中国への政策だ。
 米国が「太平洋国家」としてアジア重視の戦略を打ち出していることは、地域の安定と繁栄に大きな意味を持つ。米国は同盟国の日本をどう位置づけ、中国とどのような関係を築くつもりなのか。
 日本も、米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)への早期参加を目指し、米国と政策協議を重ねる必要がある。自らの役割を果たす中で、日米関係をより強固にしていかなければならない。
(2012年11月8日 読売新聞)


  社説:オバマ大統領再選
4年前の高揚感はない
 
2012年11月 8日(木)岐阜新聞

 大接戦の選挙戦の末、米国民はオバマ大統領にあと4年、国政を預ける道を選んだ。悩み抜いた揚げ句、未知より既知を選択した。だが、米国民はその既知の大統領に決して満足しているわけではない。4年前のあの高揚感はない。
 米国史上初めての黒人大統領として、政党対立、人種差別、貧富の差など、米社会が抱えるさまざまな亀裂を修復し、米国を再統一することを誓って当選し就任したオバマ氏は、その課題を克服したとはいえない。
 オバマ政権1期目の4年間、まず「大きな政府」に反発する保守派市民の激しい突き上げが起きた。いわゆるティーパーティー(茶会)運動だ。政府による巨額の景気対策・破綻企業救済に反発しただけでない。
 4千万を超える人々が医療保険に加入できない状態は、米国の恥部だ。彼らを救うための国民皆保険制度に道筋をつけたオバマ政権の医療保険改革にまで茶会運動は反対し、米社会の亀裂の深さをのぞかせた。
 茶会運動に反撃するように起きたニューヨーク・ウォール街占拠の「オキュパイ」運動は、上位1%の金持ちが国民全体の所得の4分の1を占めるという米社会の激しい貧富の差を見せつけた。
 茶会とオキュパイに象徴される対立を抱え込んだまま突入した大統領選挙戦は、政府の役割をめぐって激しく衝突した。
 その選挙戦自体ほめられたものでなかった。オバマ、ロムニー両陣営とも10億ドル(約800億円)を超える資金を集め、大半を使った。史上もっともカネのかかった大統領選といわれる。使途の半分以上は、相手候補を激しく攻撃するテレビ広告だった。
 再選されたオバマ大統領は、米政治・社会の激しい左右対立や格差問題の解消に、あらためて挑んでほしい。超党派で課題に取り組むことができて、社会が安定している米国が、この困難な時代の世界には不可欠だ。
 国内対立を乗り越えられなかったオバマ政権の外交も、この4年間、期待されたような成果を生み出してはいない。2期目に残す課題は多い。
 イラクからの米軍撤退を果たしたことは評価できるが、「アラブの春」では対応は後手に回った。長引くシリアの内戦には、大統領選による米国の政治停滞もあって、有効な手だてを打てていない。再選されたオバマ大統領には、すぐにも指導力を発揮してほしい。
 イスラエルによる攻撃の可能性が懸念されるイランの核開発問題も、平和裏に解決するよう望みたい。イスラム社会との融和を打ち出した2009年6月のカイロ演説の精神に沿って、中東和平への取り組みを活性化することも必要だ。
 軍事力の比重をアジア太平洋に移し始めたが、中国とのいたずらな対決は避けつつ、特に海洋でその軍事的な拡張を抑え込むことが重要な課題となっている。尖閣問題を抱える日本は、米国と協調しつつ、慎重な対応が必要になろう。
 経済面では、年明けから大型減税の停止と大幅な歳出強制削減が始まる「財政の崖」問題を抱える。世界経済に深刻な影響を与えかねないこの問題の解決のため、税制改革と支出カットで共和党との合意が必要だ。
 さっそく党派対立克服の力が試される。超党派での取り組みに期待したい。



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11月7日(水)のつぶやき

2012-11-08 01:23:45 | 花/美しいもの
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