みどりの一期一会

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福島第1原発事故:2・3号機もメルトダウン!/「安全神話」の徹底検証を/1号機、冷却装置を手動停止

2011-05-17 21:44:01 | 地震・原発・災害
朝から,仕事をしながら、時々ニュースを見ていました。

ことここにいたって、テレビでも「福島第1原発事故:2・3号機もメルトダウン」
と報道するようになりました。

いちはやく、原発事故にたいして厳しい報道をしてきた中日新聞は、
「メルトダウン 事態の把握が甘すぎる」と厳しい社説を掲載。
他の新聞も検証記事をのせている。

罪もない生きものたちのいのちを奪い、多くの人の健康と生活と未来を奪った
この事故の責任、いったいだれがどうとるのだろう。

  【社説】メルトダウン 事態の把握が甘すぎる 
2011年5月17日 中日新聞

 福島第一原発1号機の核燃料は、やはり炉心溶融(メルトダウン)していた。大震災から二カ月後の発表で、東京電力の事態把握は甘かった。最悪の場合を想定した対応策も考えねばならない。
 「燃料の一部損傷」と、東電はこれまで説明してきた。だが、現実には燃料棒のすべてが溶け、圧力容器の底にたまった状態であることが判明した。しかも、地震による津波到達から、十五時間二十分後に完全にメルトダウンしていたという。
 解析に時間が必要としても、どうして大震災から二カ月もかかったのか。発表があまりに遅い。後から後から、より深刻な情報が出てくる。そもそも、地震当日には炉心の水位低下が確認され、翌日には燃料棒が「一時、冷却水から全部露出した」と説明していた。
 ならば、メルトダウンの可能性は十分、予測できたはずだ。それを「一部損傷」と、事故の程度を過小評価した姿勢は、猛省に値する。全炉心溶融について、細野豪志首相補佐官は「想定していなかった」「認識が甘かった」などと述べたが、重大事故の場合は、最悪のケースを想定しておくのが通常の対応ではなかろうか。
 甘い見通しに基づいて、事故収束の計画を立てれば、当然、狂いも生じてくる。「水棺」がそうだ。原子炉を冷やすために、圧力容器も、それを覆う格納容器も満水にする作業である。手順どおりに進んでいると誰もが思っていたが、事態は全く異なった。
 これまで一万トンもの水を注入したのに、高さ約十九メートルの圧力容器の水位は、底から最大で四メートルしかなかった。格納容器にも水は十分にたまっておらず、ほぼ半分の水が“行方不明”という。高濃度の放射性物質で汚染された水は、原子炉建屋の地下に漏れだしている可能性が高い。
 「水棺計画」は使えず、新たな対策を練るしかない。悩ましいのは、今後も水の注入を続けねばならないことだ。
 その結果、海に汚染水が流出しては、さらに重大な環境問題となる。封じ込めには全力を尽くしてほしい。
 2号機や3号機の原子炉の状態はどうなっているのか。再臨界や水蒸気爆発の恐れは本当にないのか。すべての原子炉の現状をもっと正確に公表すべきだ。
 原子炉安定化に向けた工程表は見直されるが、またも「想定外」の事態が発生すれば、「工程」など誰も信用しなくなる。 


メルトダウン「安全神話」の徹底検証を
2011年5月17日 琉球新報

原子力専門家の説明の綻(ほころ)びが、また一つ明らかになった。
 福島第1原発1号機の事故について、東京電力と経産省原子力安全・保安院の従来の説明は、原子炉は地震には耐えたが、想定外の大津波に襲われて電源を失い爆発事故に至ったというものだ。
 その根拠が揺らいでいる。東電関係者が「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波の前に重要設備が被害を受けた可能性を認めたからだ。
 1号機については、冷却系の配管などが破損したり弁が開いたままになって原子炉冷却材が流出する「原子炉冷却材喪失事故」が起きたと推測する専門家もいる。福島第1原発の原子炉圧力容器の設計にも関わったサイエンスライターの田中三彦氏は耐震強度上起こり得ないとされてきた冷却材喪失事故が起これば「福島原発大事故は大津波という『想定外』自然現象によってもたらされた例外的事故とすることはできなくなり、問題が日本中の原発の耐震安全性の問題へ波及する」と指摘する。
 全国の原発で津波対策だけでなく、耐震指針の抜本的見直しも必要だ。耐震安全性を保証できない原発は直ちに停止すべきだ。
 原発の耐震性では、2007年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が損傷した後、国内の原発を総点検し設計基準の地震動が引き上げられた。東電は福島第1原発を検証した結果、制御棒など原子炉の重要設備への影響は全て許容範囲内で耐震安全性が確保されていると報告。しかし、今回の事故で炉心に近い主要な容器、配管に損傷が見つかり、当時の耐震再検討の甘さが浮き彫りとなった。
 1号機ではメルトダウン(全炉心溶融)が判明。東電は15日、1号機で地震の約5時間後に燃料の損傷が始まり、16時間後に大部分の燃料が原子炉圧力容器の底に溶け落ちたとの暫定評価を発表した。震災2カ月後の発表は怠慢だ。東電は情報開示の閉鎖的体質が原子炉冷却作業の致命的遅れや事故拡大を招いたことを猛省すべきだ。
 政府は近く原発事故の特別調査委員会を設ける。委員には科学を過信せず原子力問題と真(しん)摯(し)に向き合える人を起用すべきだ。原子力の「安全神話」を礼賛してきた専門家は不適格だ。菅直人首相は「安全神話」を徹底検証できる人材の登用で指導力を示してほしい。



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2・3号機もメルトダウン 東電データで裏付け 
2011年5月17日 朝日新聞

 東京電力福島第一原子力発電所の2、3号機でも炉心溶融が起こり、原子炉圧力容器の底に燃料が崩れ落ちるメルトダウンが起きていたとみられることが、16日に東電が公表したデータで裏付けられた。3号機では溶けた核燃料がさらに下の格納容器内に落ちた恐れもある。専門家は事故直後から指摘しており、細野豪志首相補佐官も16日の会見で2、3号機でのメルトダウンの可能性を示唆した。
 東電が4月17日に示した工程表は、6~9カ月で原子炉を安定した状態で停止させるとした。1号機に続き2、3号機でもメルトダウンの可能性が出てきたことにより、工程表の大幅な見直しは必至だ。炉心を冷やすシステムづくりに時間がかかり、高濃度の放射能汚染水の処理も膨大になるからだ。
 今回公表された地震直後のデータは原発内の中央制御室にあり、電源復旧に時間がかかったことや、記録紙に放射性物質が付着しているため整理に時間がかかっていた。公表されたのは、記録紙に打ち出されたグラフや当直長がつける運転日誌などで、大型ファイル4冊分にあたる。
 データによると、圧力容器内の圧力が、2号機は3月15日午後6時43分に、3号機は3月16日午後11時50分に、それぞれ下がった。圧力容器の密閉性が損なわれ、圧力が抜けたとみられている。
 圧力容器の底には制御棒や計測機器を外から通すための数多くの貫通部がある。メルトダウンした核燃料が圧力容器の底にたまり、その熱の影響で機器が溶けるなどした結果とみられる。3号機内の汚染水からは、原子炉内の核燃料が損傷して出るテクネチウムなどの放射性物質も確認されていることから、溶けた燃料がさらに圧力容器から格納容器内に落ちた可能性もある。
 東電は会見で「プラント全体の事象を追いかけられておらず、評価できていない」と明確な判断を示さなかった。
 一方、細野氏は会見で炉心に水が入らなかった時間について「1号機は14時間9分、2号機は6時間29分、3号機は6時間43分と短くない」とし「炉心の完全な溶融(メルトダウン)の可能性をみておかないといけない」と話した。
 また原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は16日の定例会後の会見で「3月下旬に2号機で高濃度汚染水が発見された時点で、メルトダウンしていたという認識があり、助言した。1号機と3号機も、事故の経緯を考えると同じことが起こっているとの認識を持っていた」と語った。
 東電によると、機器の記録から、運転中だった1~3号機は地震によっていずれも自動停止。配管の破断などの兆候はみられないとしている。非常用ディーゼル発電機も正常に起動していたという。東電はこれらの記録や地震計のデータをもとに、地震直後は機器が正常に作動し、津波到達までは大きな損傷はなかったとみている。(中村浩彦、佐々木英輔)


質問なるほドリ:核燃料のメルトダウンって?=回答・西川拓 

<NEWS NAVIGATOR>
 ◆核燃料のメルトダウンって?
 ◇「溶けて下に落ちる状態」 正式用語でなく定義あいまい

 なるほドリ 東京電力福島第1原発1号機で核燃料の大半が溶けていたって聞いたけど?
 記者 作業員が原子炉本体である圧力容器内の水位を測り直したら、燃料のある位置よりかなり低いことが分かりました。燃料が本来の状態なら冷やされないため温度が上がるはずです。しかし、実際の温度はあまり高くないことから、燃料の大部分は既に溶け落ちて、圧力容器の底で水につかって冷やされていると判断したのです。いわゆる「炉心溶融」です。

 Q よく聞く「メルトダウン」とは違うの?
 A 東電は「燃料が原形を保っていないというのが定義なら、メルトダウンに当たる」と認めました。実はメルトダウンは正式な用語ではありません。経済産業省原子力安全・保安院は「燃料が溶けて下に落ちる状態」と定義しています。工藤和彦・九州大特任教授(原子炉制御工学)は「溶けた燃料が圧力容器を突き破って漏れる状態を思い描く人もいる。あいまいな言葉で、専門家はあまり使わない」と言います。

 Q 1号機ではどのくらいの燃料が溶けたのかな。
 A 東電は4月末、炉内の放射線量などから「1号機の燃料損傷率は55%」と発表しましたが実際はよく分かりません。同様な炉心溶融事故として知られる米国のスリーマイル島原発事故(79年)では約10年後に炉内の状況が詳細に確認され、核燃料の約半分が溶融していたことが分かりました。第1原発では燃料が露出していた時間が長いので、もっと溶融が進んでいる可能性があります。

 Q 溶けた燃料はどうなるの?
 A 圧力容器の底で塊になっていると、水に接した表面は冷えますが、内部は熱がたまります。圧力容器は厚さ約15センチの鋼鉄製ですが、底には核分裂反応を止めるための制御棒が差し込まれていて、強度の弱い部分がたくさんあります。こうした部分が燃料の熱で損傷し、燃料が少しずつ漏れ出している可能性を指摘する専門家もいます。
 79年に公開された米映画「チャイナ・シンドローム」では、米国の原発で炉心溶融が起きたら高温の燃料が地球内部を突き抜けて中国に達するという冗談が語られます。今回は圧力容器の底の温度が100~120度で安定しており、工藤教授は「圧力容器の底が抜けて大量の燃料が漏れ出す可能性は低い」とみています。(科学環境部)

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 ご質問は〒100-8051毎日新聞「なるほドリ」係
毎日新聞 2011年5月14日 東京朝刊


東日本大震災:福島第1原発事故 1号機、冷却装置を手動停止 津波前、炉圧急低下し 

 東京電力福島第1原発1号機で地震直後、非常用冷却装置が津波の到達前に停止していたことが、東電が16日公表した初期データから分かった。従来、同装置は津波到達までは動いていたと考えられ、東電も15日公表の解析結果の前提を「津波で機能喪失」としていた。東電は「冷却装置によって炉内の圧力が急激に低下したため、手動でいったん停止したとみられる」と説明。津波が到達する中、こうした操作を繰り返すうちに冷却機能喪失に至った。近く始まる政府の事故原因究明につながる重要な内容だ。

 東電が公開したのは▽福島第1原発の各種データの記録紙▽警報発生などの記録▽中央制御室の運転員による引き継ぎ日誌▽電源復旧作業など操作実績--など。A4判で約2900ページに及ぶ。
 データによると、3月11日午後2時46分の地震発生直後、原子炉圧力容器に制御棒がすべて挿入され、原子炉が緊急停止。非常用ディーゼル発電機も正常に稼働した。1号機の原子炉を冷却する非常用復水器も自動で起動したが、約10分後、炉内の圧力が急激に低下したため、地震から約15分後の午後3時ごろ手動で停止されたとみられる。圧力容器のデータの変化をみると、その後、津波到達(同3時半ごろ)までの間に、何度か起動、停止を繰り返していた可能性があるという。東電は「運転手順書に基づき、炉内が冷えすぎないよう調整したのではないか」と説明している。津波の後、手動による起動の記録がある同6時10分までの間に復水器が機能していたかどうかは不明だ。
 一方、格納容器を破損から守るため、弁を開いて炉内の放射性物質を含む気体を排気するベントについては、1号機では12日午前9時15分から、手動で弁を開ける作業に入っていた。2号機は13~15日にかけて2回のベントを試みたが、格納容器の圧力低下は確認できなかった。3号機は13日以降、ベントを複数回繰り返していた。【河内敏康、平野光芳、久野華代、関東晋慈】

 ◇炉心溶融早めた可能性
 非常用復水器は、全電源喪失の際に唯一、原子炉を冷却できる装置だ。東電は「地震の16時間後に炉心の大部分が溶融した」とする解析結果を15日に公表したが、これほど速く炉心溶融が進むという結果は「非常用復水器が停止した」という想定に基づいていたからだ。非常用復水器が働いていれば、それだけ炉心溶融を遅らせられ、ベントや外部からの注水などの対策がより効果を発揮できたはずだ。
 地震発生後には大津波警報が発令され、原発内の作業員も認識していた。だが運転員は非常用復水器を動かす弁を開閉し続ける作業に追われた。東電は「非常用電源やポンプがすべてだめになることまでは想定しておらず、通常の手順に基づいた操作」と説明する。
 非常用復水器は古いタイプの原発特有で、同原発では1号機にしかない。2~6号機と違い、駆動用のポンプを必要とせずに冷却できるが、弁の開閉でしか制御できない難点もある。非常用復水器を作動すると原子炉の温度や圧力が急激に下がり、炉を傷める危険性がある。炉を健全に冷やすには難しい操作が避けられず、こうした特有の作業が深刻な事態を招いた可能性も否めない。【酒造唯】

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 ◆1号機の非常用復水器の作動状況◆(東電発表に基づく)

 ◇11日
午後2時52分 非常用復水器が自動起動
午後3時ごろ  復水器が停止。原子炉圧力の低下に伴い、手動で弁を閉鎖?
        ※その後、弁の開閉を繰り返した可能性
午後3時35分 津波到達、全電源喪失
午後6時10分 作業員が手動で弁を開き、復水器起動
午後6時25分 手動で弁閉じ、復水器停止
午後9時半   手動で弁開け、復水器起動
 ◇12日
午前1時48分 復水器に給水するポンプの故障を確認。復水器停止
毎日新聞 2011年5月17日 東京朝刊 



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