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みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

【堺市への申入れ】「図書館からの特定図書の排除は違法です。」の呼びかけ

2008-11-09 11:18:26 | 「ジェンダー図書排除」事件
一昨日、市民派議員で堺市に「申し入れ書」を提出しましたが、
さらに広範なひとたちによびかけて、第二次の申入れをすることにしました。

前は、行政との話し合いをすることも念頭においていたのと、
急だったので、議会関係者だけにしたのですが、
今度は市民を主にしたいと思います。
よびかけ人には、堺市民の方たちも加わって上野さんほか12名。
申入れの筆頭は上野さんで、市民としての申入れになります。

図書の排除はおかしいと思っている方は、だれでもできます。
ぜひ、あなたもわたしたちの仲間に加わってください。


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(以下、転送・転載歓迎) 

今年8月に、一匿名市民の撤去要求により、堺市立図書館から5499冊
(9/11現在5706冊)もの特定図書(BL本)が排除された事件について、
11月7日に、市民派議員(現職、元、前)の連名で
「堺市立図書館の特定図書排除に関する申し入れ」を提出し、
教育次長、図書館長他と、約1時間半にわたり面談しました。

この問題では、11月4日にも、堺市民28人と代理人12人で、
住民監査請求書を提出しています。

第一次申し入れは、緊急に市民派議員で提出しましたが、
申し入れ書の回答期限を11月14日としたので、
広い範囲のひとたちに、「第二次申し入れ」を呼びかけることにしました。
申し入れ人は、「市民、議員、市民団体」で、それぞれ集約します。
第二次の申し入れは、「趣旨に賛同される方はどなたでも」できます。
あなたから、ぜひ一人でも多くの人に知らせてください。

●申し入れに参加いただける方は、以下のフォームにご記入ください。
・市民の方は、「お名前と職業、所属等・市町村名」
・議員の方は、「お名前と議会名」
・市民団体は、「団体名と代表者名、連絡先」
 
----------------------------------------------------------
申し入れに加わりたい方は、以下の★必須事項を記入して返信してください     

【市民】(必須) 
★お名前(ふりがな)

★職業・所属等

★自治体名(市町村名まで) 

【議員】(必須) 
★お名前(ふりがな)

★議会名(○○県○○ 議会)  

 【市民団体】(必須) 
★団体名

★代表者名

★連絡先

-----------------------------------------------------
■返信先mailアドレス■  midori@ccy.ne.jp 

■第二次申入れの期限■ 11月12日(水)24時(必着) 
※なお、個人情報は、申し入れ書提出に使用し、目的外使用はしません。

【呼びかけ人】 
上野千鶴子(東京大学大学院教授、「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表)、加藤伊都子(フェミニストカウンセリング堺)、呉羽真弓(京都府木津川市議)、今大地晴美(福井県敦賀市議)、ごとう尚子(前愛知県日進市議)、菅井純子(高等学校教員)、寺町知正(くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク・事務局、岐阜県山県市議)、藤本由香里(明治大学国際日本学部准教授)、星野智恵子(冬芽工房代表)、皆川満寿美(大学非常勤講師)、山中紀代子(元大阪府議、堺市民)、山野善子(堺市民)、寺町みどり(原告団・事務局)

【取りまとめ、連絡先】 
「ジェンダー図書排除」究明原告団
 事務局・寺町みどり T/F 0581-22-4989
     呉羽真弓  T/F 0774-72-9172

以下、第一次の申し入れ書です。
(申し入れ書、ワード版141K)
(申し入れ書、PDF版 42K)



申し入れ書提出の報告、および、特定図書排除事件の経過については、
以下の記事をご覧ください。

「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」
(41名2団体)提出しました。(11/8)
 

「ボーイズラブ」はだれにとって有害で不適切なのか?
/新聞各紙の報道(11/5) 


堺市に住民監査請求書を提出(代理人代表・上野千鶴子)
/特定図書排除問題で。(11/5)


堺市図書館での特定図書排除事件の続き。(11/4)

堺市立図書館の書架から5499冊の図書が消えた!?
/知る権利、表現の自由を守ろう!(11/3)


◆現代版・焚書する人たち(てらまち・ねっと 9/21) 


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「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」(41名2団体)提出しました。

2008-11-08 15:14:45 | 「ジェンダー図書排除」事件
昨日、堺市役所本庁高層10階の教育委員室で、堺市長および教育長充ての、
「堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書」を提出しました。

前回の監査請求の時、帰りが遅くなっておなかが空いたので、
堺東駅で待ち合わせて、遅めの昼食を食べながら打ち合わせの手はず。

大阪へ来たらやっぱりお好み焼き、という希望を聞き入れてもらって、
やってきたのは、おいしくて有名なお店という「じゅらく」 

申し入れ人の呉羽さんと山中さんと堺のKさんと、わたしの4人で、
焼きそば二人分(野菜多め)とお好み焼きを2まい注文。
まずは、熱々の焼きそばが鉄板の上に乗せられて、
  
つづいて、ふわふわの絶品お好み焼き。豚玉とタコ玉。


芦屋市議の中島さんも合流されて、かんたんな打ち合わせのあと、
申し入れ書を提出すべく、堺市役所に移動しました。

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堺市役所は、建物が立派なだけでなく、
ロビーも大理石をふんだんに使った贅沢な造り。
合併して人口約80万人になった政令市です。
  

記者クラブによって、申し入れ書を届けてから、
時間があったので、市長公室のフロアを見学して最上階の展望台へ。
  
下りはあっという間に、10階の堺市教育委員会に到着。

10分ほど早めについたのですが、すでに教育委員会の皆さんはそろっていて、
教育次長が出ていらして、すぐに教育委員室に案内されました。

市側は、佃芳治教育次長、河野俊英中央図書館長、川坂中央図書館副館長、
事務方は松井参事と職員2名の計6名が応対。

申し入れ側は、申し入れ人4人と堺市民のKさんの、計5人です。

さいしょにとりまとめをしたわたしから、申し入れの趣旨を説明し、
呉羽さんが申し入れ書を読み上げて、教育次長に手渡ししました。

今回の申し入れは、関西はもちろん、北海道から、関東、中部、四国、
鹿児島までの市民派議員41名と、「ジェンダー図書排除」究明原告団、
「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」の連名での申し入れ。

呉羽さんが「福井の問題から関わっていて、堺市の対応を注目していました。
堺市は全国でも有数な図書館を持つと聞いており
このような特定図書排除で混乱している状況を心配しています。
議員の介入があったとされるあたりから、同じ議員という立場で
放置してはいけないという思いで今回の申し入れをすることとした。」と述べ、
他の人たちもそれぞれ思いを述べられました。

一回りしてから、再度わたしから、申し入れに至る経緯など、
申し入れについて、詳しい説明・解説をしました。

その後、教育次長が堺市立図書館と今回のことについてまとまって話され、
ざっくばらんな意見交換に入りました。

 《教育委員会との面談で確認できたこと(堺市側の説明)》 
・「市民」から指摘を受けたが何で検索すればよいか分からないので、
 とりあえず、BLと思われる本をカウントするために書架に集めた。
・5499冊は「有害図書」ではない(一部書庫対応のものはある)。
・図書館は収集基準にかなった本を入れており、
過激なものは、もともと購入しないという方針。
・ひどいものばかりのように書かれているが、問題ないものも多い(見本を持参)。
・開架のBL本はまとめて目に付くところに置いてあったわけではなく、
一般の本にまぎれて、背表紙が見える状態だった。
・現時点で除籍基準に該当するものはない。

・図書館の姿勢としては従来から変わっていない。
・議員からの圧力があったとは思っていない。
・議員の介入があろうとも、基準に従って粛々と仕事を
進めるという図書館の姿勢は変わらない。
 
・基本的には、市民から電話があり、それに答えられる範囲で答えようと
 思って誠実に対応してきたが、途中からようすが変わった。
・ネットに書かれていることは、当初は気づかなかった。
・ビラをまいたとの事実は確認できていない、
 調べたが、そういう事実はなかった。
・匿名なので、いまだに(相手は)どういう人か分からない。


最後に、申し入れ書の質問の2項目について「市民の声Q&A」に出して以来の、
現在の市の考え方の説明など、文書で回答していただくとの了解を得ました。

わたしは「今後は毅然とした対応を・・」「毅然として拒否したらよかった・・」
という言葉を、合計で3回くらい言ってたとか(笑)。

面談は予定をオーバーして1時間半ほどになり、
事実関係や疑問に思っていたことのいくつかも明確になって、
まあまあ有意義なものでした(図書館側もそう思ってもらえたらといいんだけど)。

マスコミの記者さんも4名が、やり取りを聞いてみえました。

以下は、市長と教育長に提出した申し入れ書です。

申し入れ書(ワード版141K)  

申し入れ書(PDF版 42K) 

 
                          2008年11月7日 
堺市長   木原敬介 様
堺市教育長 芝村巧 様

      堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書
                      
 本年7月から8月頃、堺市立図書館において、一匿名市民から電話やメールで特定図書に対し執拗な撤去要求がなされ、依頼を受けた市議会議員も介入したことにより、所蔵図書5,499冊が「BL(ボーイズラブ)本」として、市立図書館から一律に利用者の目に触れない閉架に移されています。
 堺市公式ホームページ「市民の声Q&A」では、(市民の声)「中央図書館とお話し、書庫のBLも処分するとのことです」「すみやかにBLを換金し、他の有益な図書の購入費に当てるよう、強く強く要望いたします」に対し、(市の考え方)として「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」と回答しています。

 堺市立図書館は、堺市の「公の施設」(図書館法2条2項、地方自治法244条)であり、「堺市立図書館条例」によって設置され、図書は「堺市立図書館 資料収集方針」に基づいて市民の税金で収集・管理され、「資料除籍基準」「資料保存基準」にしたがって除籍・保存されています。
 「資料収集方針」にしたがって購入した図書を、一匿名市民、議員の不当な圧力に起因する思いつきの閉架扱いにしたことは、著しく恣意的で、管理者に許された裁量を著しく逸脱した違法な行為です。「堺市立図書館 資料収集方針」は、「図書館の自由に関する宣言」「図書館員の倫理綱領」に則って基本方針を定めており、今回の一連の行為は、「図書館法」および「図書館の自由に関する宣言」「図書館員の倫理綱領」にも違反します。図書の違法な排除および除籍は、知る権利、知る自由の侵害で、けっして許されることではありません。

 特定図書を排除する行為は、思想の自由、表現の自由、憲法に定められた基本的人権を侵害し、かつ、禁止された検閲であって「日本国憲法」に明らかに違反しています。
 公立図書館は、地方自治法第244条「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という)を設ける。」によって設置されており、「2 普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」「3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」と規定しています。特定意図による図書の排除や処分は、住民の権利を侵害しもしくは住民を差別するものであり、「地方自治法第244条」第2項及び3項に違反します。

 これらの図書は「大阪府条例の有害図書にあたるものは一切ない」(11/5朝日新聞)にもかかわらず、「青少年への提供を行わない」とされています。この決定は、「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約) の、「意見を表明する権利(第12条) 」「表現の自由についての権利 (第13条)」「思想、良心及び宗教の自由についての権利 (第14条)」「干渉又は攻撃に対する保護(第16条)」に反しています。同時に、BL図書の排除は、直接的であると間接的であるとを問わず、性別による権利侵害および差別的取り扱いを禁止した、「堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例」にも違反しています。

 以上のように、わたしたちは、公立図書館からの特定図書の排除をとうてい容認することはできません。すみやかに当該排除、廃棄行為を中止しもしくは現状復帰されるように求めます。
 また、今回の特定図書排除に関して、公文書やウエブサイトから、市議会議員の関与が明らかになっています。このような、「公の施設」に対する市議会議員の介入を看過することはできず強く抗議するものです。
 以上、申し入れるとともに下記の2点について、11月14日(金)までに、文書で誠意ある回答を求めます。

                 記
1.「中央図書館とお話し、書庫のBLも処分するとのことです」に対する、「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」との市の回答は、特定図書の処分(廃棄)を前提にしたものなのか。説明を求める。

2.今回、一部の市議会議員の個人的主張に市の基本姿勢が揺らいだことは間違った市政運営ではないか。
                               以  上
                        京都府木津川市議会議員
                        呉羽真弓 ら(別紙) 41名2団体

堺市立図書館における特定図書排除に関する申し入れ書(別紙)
 申し入れ人 41 名 2 団体

呉羽真弓・京都府木津川市議会議員/青木利子・長野県下諏訪町議会議員/池田いつ子・兵庫県稲美町議会議員/植田真紀・香川県高松市議会議員/臼井淳・愛知県瀬戸市議会議員/小川みさ子・鹿児島県鹿児島市議会議員/大橋涼子・大阪府和泉市議会議員/ 大畑京子・前京都府長岡京市議会議員/奥山たえこ・東京都杉並区議会議員/尾崎百合子・京都府長岡京市議会議員/神原宏一郎・大阪府豊中市議会議員/久保あつこ・北海道旭川市議会議員/小池みつ子・愛知県長久手町議会議員/小枝すみ子・東京都千代田区議会議員/小寺岸子・愛知県武豊町議会議員/小西佑佳子・兵庫県川西市議会議員/小林純子・長野県安曇野市議会議員/今大地晴美・福井県敦賀市議会議員/後藤尚子・前愛知県日進市議会議員/澤嶋真紀子・前大阪府島本町議会議員/塩見牧子・奈良県生駒市議会議員/しのはら咲子・京都府亀岡市議会議員/島村紀代美・愛知県日進市議会議員/白井えり子・前愛知県日進市議会議員/鈴木勢子 ・新潟県糸魚川市議会議員/月雅子・前神奈川県茅ケ崎市議会議員/次田のり子・京都府京田辺市議会議員/寺町知正・岐阜県山県市議会議員/中島かおり・兵庫県芦屋市議会議員/中本みちこ・大阪府吹田市議会議員/能登恵子・福井県小浜市議会議員/平野かおる・大阪府島本町議会議員/前田かおる・東京都江東区議会議員/松井真理子・奈良県天理市議会議員/山下律子・愛知県東郷町議会議員/山中紀代子・元大阪府議会議員/山根みちよ・愛知県日進市議会議員/山盛さちえ・愛知県豊明市議会議員/四津谷薫・兵庫県西宮市議会議員/渡辺則子・愛知県豊橋市議会議員/寺町みどり・元岐阜県高富町議会議員
 (団体) 
「ジェンダー図書排除」究明原告団
代表・上野千鶴子
「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」
事務局・寺町みどり


申し入れは、とりあえず緊急に、市民派議員の連名で出しましたが、
次に第二次として、市民、議員、市民団体で取りまとめてだそうと思っています。

是非あなたも、わたしたちの申し入れの仲間に加わってください。


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「ボーイズラブ」はだれにとって有害で不適切なのか?/新聞各紙の報道

2008-11-05 18:12:39 | 「ジェンダー図書排除」事件
堺市立図書館の特定図書排除問題の続きです。

けさの朝日、毎日、産経の各紙を堺市の請求人に送っていただきました。

届いた新聞を読んで、えっと思いました。

朝日の記事に一行だけ監査請求について触れていますが、
住民監査請求は公金の使い道の違法の観点から提起するものですから、
「廃棄を求める声に対し」、だしたものではありませんし、
「性的指向による差別につながる」などという請求の理由は、
監査請求書のどこにも書いてありません。

また、
「今年7月以降、電話や複数の図書館窓口で、市内在住の子どもの保護者らから
廃棄を求める声が相次いで寄せられた」と書いてありますが、
「子どもの保護者らから」「相次いで寄せられた」というのは、
明らかにまちがい。
「子どもに悪影響を与える」と廃棄を求める声が相次いだのに対し、
というのも間違いです。

情報公開の公文書を会見資料としても配って説明していますし、
「匿名市民ひとり(同一人物)から」が、しつような電話やメールがあった、と
図書館側にもきちんと確認しています。
廃棄を求める「『保護者』がたくさんいる」ような書き方はミスリードです。

いずれにしても、記者さんたちは、監査請求のことより、
BL本のほうに関心があるようです。

ボーイズラブ小説は不適切?図書館貸し出しで議論白熱
朝日新聞 2008年11月5日12時35分

 「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛を題材にした小説を図書館に置くべきかどうか。BL小説を20年近く買い続け、計5500冊を所蔵する堺市立図書館が対応に苦慮している。「子どもに悪影響を与える」と廃棄を求める声が相次いだのに対し、「性的指向による差別につながる」と廃棄の差し止めを求める住民監査請求が4日、市に出された。
 BL小説は作者も読者も主に女性で、文章の合間に、1冊で計数ページの挿絵があるのが一般的。堺市立図書館では全裸の男性が抱き合ったり、下半身に顔をうずめたりしている挿絵がある作品も扱っているが「1冊あたり1、2ページに過ぎず、大阪府条例の有害図書にあたるものは一切ない」としている。
 計7館の堺市立図書館を統括する中央図書館によると、堺市立図書館では利用者の要望を受けて90年からBL小説を買い始めた。03年には最多の825冊を購入したが「内容が過激化し、一定の配慮が必要」と05年から抑制している。総数は蔵書の1%未満、購入総額は約370万円という。
 「ほかに買いそろえるべき有益な本はたくさんある」。今年7月以降、電話や複数の図書館窓口で、市内在住の子どもの保護者らから廃棄を求める声が相次いで寄せられた。一方、4日に監査請求した市民は「基準に基づいて整備した図書を、特定の意図で排除することは許されない」と訴えている。
 堺市立図書館は8月、露骨な性描写があるイラストや文章があるBL小説について(1)今後、収集しない(2)18歳未満に貸さない、などとする方針を決めた。中央図書館の松井孝参事は「『露骨』の線引きは難しい。利用者の反応を見ながら、検討を続けたい」と話している。(岡本玄)



BL:男性同性愛扱った小説本、書庫のはずが開架図書--堺市立の4図書館 /大阪
毎日新聞 2008年11月5日

 ◇戻して18歳未満貸し出し禁止
 堺市立の4図書館で、書庫入れ扱いしている「BL(ボーイズラブ)」と呼ばれる男性同性愛を扱った一部の小説が開架され、誰でも読むことができる状態になっていたことが分かった。本来は書庫に保管し、請求があった場合にのみ貸し出していたが、ずさんな管理が原因で開架されていたという。図書館側は7月、市民らの指摘を受けて書庫に入れ、8月からは18歳未満への貸し出しを原則禁止している。
 同市立中央図書館によると、BL本は市民からの多くのリクエストを受け、90年ごろから購入。これまで計約5500冊(約370万円)を購入したが、一部の本の内容が過激になっていることなどから、ここ数年は1冊も購入していないという。
 図書館側は、BL本の中には挿絵や描写など内容が過激なものや、紛失も多いことなどから閲覧室には置かずに「書庫入れ」とし、カバーには書庫入れの本と分かる目印も付けている。ところが、北、南、西、中の4図書館では7月まで、一部のBL本が書庫に入れられずに閲覧室に置かれ、誰でも読むことができたという。
 中央図書館総務課は「人気で貸し出しも多く、書庫に入れると倉庫まで取りに行く手間がかかるなどし、つい開架していたようだ」と説明している。

 ◇市民「特定の図書排除許されない」
 一方、市民ら約30人が4日、「特定の図書を排除するのは許されない」として、図書の廃棄や貸し出し不可能な状態での保管をしないことなどを求め、市に住民監査請求を起こした。【久保聡】
(毎日新聞 2008年11月5日)

-------------------------------------------------------------------
BL本貸し出し 18歳未満は禁止 堺市立図書館
(産経新聞 2008.11.5)

 堺市立の図書館が男性の同性愛などをテーマにした「ボーイズラブ」(BL)と呼ばれる小説の18歳未満への貸し出しを事実上禁止していたことが4日、わかった。
 市立図書館では、市民からの要望などを基にBL本を購入。7図書館中、4施設が本棚に展示していたが、一部から「子供が見るのにふさわしくない」との声を受け、図書館長会議を通じて、今夏からBLを書架で保管することを決定。希望者から申請があった場合のみ貸し出し、中高生ら18歳未満には貸し出しをしていないという。


「ボーイズラブ小説は18歳未満禁止」とひとくくりにされていますが、
わたしは憶測でものを言うのが好きでないので、状況を理解するために
5706冊の図書リストを情報公開請求で入手し、さらに現地調査して、
先月、堺市の図書館の書庫で、特定された図書を見せてもらっており、
挿絵も小説もあえて「露骨」なのを探したのですが、
他愛のないラブストーリーしか見つけられませんでした。

一部のものを全部のように言うことを「針小棒大」と言います。

「露骨な性描写があるイラストや文章」と「BL小説」が
ただちにイコールでつながるとは思えません。
逆に言えば、
カウントされた「BL小説」は、
すべて「露骨な性描写があるイラストや文章の本」なのか?

答えは、ノーです。

情報公開条例にも、条文に「A」であって「B」、という場合、
「A+B」の解釈・運用をしなければいけないのに、
「A」or「B」、と考えて運用しまうトラブルがよくあります。

図書館も「府条例の有害図書にあたるものは一切ない」と明言していますし・・・
(個人的には青少年「健全育成」条例を支持するわけではありません)

だったら、ボーイズラブはなぜいけないの?
「ボーイズラブ」がいけないのか、ボーイズラブ「小説」がいけないのか? 

そもそも、ボーイズラブ小説っていったいなんなの?
恋愛小説といわれるものと、どこがどう違うの?
5700冊をどのような基準で選んだの?

ボーイズラブはだれにとって有害で不適切なの?

ボーイズラブを、女こどもに読ませたくないのはだれなの?

松井参事が記事中で言われているように、「露骨」の線引きをどこでするのか、
つぎつぎに疑問が沸いてきました。

すべての図書は、資料収集方針によって購入・配架されており、
除籍基準・保存基準により廃棄・保存されます。
わたしは、図書の個人的志向は別にして、このルールを支持します。

「(府条例のいう)有害図書」は、ちゃんと入り口でチェックしてて、
これらの規定が図書館の唯一のルールなのですから、
「露骨な性表現」の基準ではなく、
あえて「ボーイズラブ」と「区別」しての制限は、なぜ必要なのでしょうか。

わたしは堺市民ではありませんが、子どものころから図書館に親しみ、
今でも図書館を日常的に利用し、図書館をこよなく愛しています。

わたしが本を好きなのは、身近に図書館があったおかげです。
図書館は、子どもが本を好きになるステップボードとしての役割も果たします。

図書館の自由が侵されるとき、
われわれは団結して、あくまでも自由を守る


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特定図書排除に関する住民監査請求書 2008年11月4日提出
 ● データ用 ワード版 14ページ 140KB    
● 印刷用 PDF版 14ページ 406KB


特定図書排除に関する住民監査請求書 見出し
第1 請求の要旨
1. はじめに
2、状況や背景について
(1) 図書館の位置づけ
(2) 本件図書館
(3) 特定図書
(4) 排除に関する要望の一部
(5) 市に強く要望したと推測される関係者らの情報
(6) 堺市の検討状況
(7) まとめ
3. 地方自治法第242条第1項で定義する支出もしくは怠る事実
4、 違法性について
 (1) 憲法違反
(2) 図書館の自由の原則からの逸脱は著しく不当である
  (3) 公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(図書館法第18条)違反
(4) 除籍、廃棄行為の違法
(5) 図書館職員としての基本的な職務上の義務違反
(6) 公の施設に関する利用制限や差別的扱いとしての違法
(7) 児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)違反
(8) 堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例違反
(9) 本件に関与した「公務員」の 国家賠償法上の違法
(10) 当然に許されないこと
(11) その他
5. 自治体の損害
6. 関係する職員、職務上の責任がある者
7. 監査委員に求める措置
(1) 地方自治法第242条の2第1項の考え方
 (2) 廃棄処分または貸し出し不可能な閉鎖状態で保管しないように当該行為の差止め
 (3) 当該行為が財産の管理を怠る違法なことであるとの確認
(4) 本来の管理状態に復帰させる、もしくは当該怠る事実に係る職員らに損害賠償の命令
8. 議会選出監査委員の除斥の申し立て

第2 請求者 請求者 合計28名  請求者代理人 合計12名
   2008年11月4日



上記の住民監査請求書 見出し
データ用 ワード版 1ページ 49KB
印刷用 PDF版 1ページ 120KB

《堺市住民監査請求代理人》 上野千鶴子 ほか11名
寺町みどり   「ジェンダー図書排除」究明原告団・事務局
寺町知正    くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク・事務局
        岐阜県山県市議会議員

《以上、本件住民監査請求関係の問い合わせや連絡先》
   寺町知正 Tel/fax 0581-22-4989  

   
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堺市に住民監査請求書を提出(代理人代表・上野千鶴子)/特定図書排除問題で。

2008-11-05 08:32:02 | 「ジェンダー図書排除」事件
帰ったら続きを書くと書いたのですが、遅くなって疲れていたので
夕飯を食べて、メールのチェックだけして寝ました。

昨日は、堺へ住民監査請求書を提出しに行ってきました。

9時前に岐阜を出て、岐阜地裁に住民訴訟の準備書面を届け、
そのあしで、JR岐阜駅から快速電車に飛び乗り、
名古屋から新幹線「のぞみ」で
伊吹山を眺めながら、新大阪へ。

新大阪からは地下鉄御堂筋線で「なんば」に行き、
「南海電鉄」に乗り換えてお昼過ぎに市役所のある堺東へ。

ここで、堺市の監査請求人の皆さんと待ち合わせて、
昼食を食べながら監査請求提出の打ち合わせをして、いざ市役所へ。

監査請求は、当該自治体の「住民」しかできませんが、代理人を立てられます。
で、請求人の堺市民28人と、委任された代理人12人で提出しました。
代理人代表は、上野千鶴子さんです。
もちろん、わたしも代理人に名を連ねています。


建物は仁徳陵を込みおろさないように配慮されてるとか(・・・)。

しもじもは、みあげるばかりの堺市役所。

2時から本館5階の市政記者室で記者会見。
堺市中央図書館の職員や広報担当もきていて、
「後ろで聞いてもらってもいいですかか」と幹事社に聞かれたので
「ぜひどうぞ」ということで、会見用の資料もお渡ししました。

記者会見は、まずわたしが簡単に今回の事件の経緯をお話し、
ともまささんが監査請求書について説明しました。
つづいて請求人のみなさんが一言ずつ市民としての思いを話され、
最後に、代理人代表の上野さんのコメントを読み上げました。

             堺市住民監査請求・代理人代表のコメント

どんな理由があれ、公共の図書館における図書の排除や検閲はゆるされない。
情報公開と表現の自由は民主主義の基本だ。
たとえ反対意見であってもそれを発表する自由を守るというのが、「表現の自由」だ。
わたしたちは福井県の図書排除事件以来、情報公開と表現の自由のために闘ってきた。
日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう。
図書排除の要求をした関係者の図書館行政への不当な介入と、その要求を受けいれた堺市の不見識とに猛省を促したい。

                        2008年11月4日

                  上野千鶴子  東京大学大学院教授
                「ジェンダー図書排除」究明原告団・代表


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後半は、記者さんたちからの質疑をうけて、約一時間の記者会見を終了。

高層19階の監査室へ、監査請求書を提出に行きました。
見晴らしがよいところです。


提出した監査請求は、
「特定図書排除に関する住民監査請求書 (堺市職員措置請求書)」で
「請求の要旨」は
  1. はじめに
堺市立図書館において、本年2008年7月頃、市民や市議らの強い要求を受けて、特定の図書が開架から排除され、廃棄処分されようとしている。しかし、それは許されない違法な行為であるから、速やかに当該排除、廃棄行為を中止しもしくは現状復帰すべきである。
 請求人は、すべての市民の知る権利、学ぶ権利を保障するために資料収集・提供を行い、市として全国屈指の図書の充実をはかってきた堺市の図書館を誇りに思いつつ、どんな種類の図書についても、著者が誰であろうと、出版社がどこであろうと、基本的に排除は許されないとの観点で住民監査請求を提起する。


住民監査請求では、地方自治法第242条の2第1項に規定された
措置を監査委員に求める、公的な手法です。
今回の監査請求では、
 「 一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
三  当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四  当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償  」
 

つまり、
★本件請求人は、住民監査請求及び住民訴訟の制度の趣旨に鑑み、「本件図書の廃棄処分または貸し出し不可能な閉鎖状態で保管すること(当該行為)」をしないように当該行為の差止めの勧告を求める。
★もし、一部にしろ、すでに当該行為がなされたのなら、当該行為が財産の管理を怠る違法なことであると確認し、勧告をすることを求める。
★一部にしろ、すでに当該行為がなされたのなら同図書を直ちに本来の管理状態に復帰させるよう勧告をすること、具体的には、「前記職員らは連帯して(最高で)金額366万8883円を返還する」(8月以降、対象が増えたとのデータもあり、本件監査によって対象書籍の増加が確認され、金額が増えたのならその金額である)よう勧告すること。
もしくは当該怠る事実に係る職員らに損害賠償の命令をするよう勧告することを求める。
 
という内容です。

新聞各紙の記事、監査請求書などの詳細は、追ってお知らせします。


追伸・「てらまち・ねっと」に請求書をアップしたようなので、リンクします。
◆堺市図書排除問題で住民監査請求/
上野千鶴子「日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう」


つ ・ づ ・ く 。

(上記の続き) 2008-11-05 18:12:39
「ボーイズラブ」はだれにとって有害で不適切なのか?/新聞各紙の報道 


(監査請求、その後の経過)2008-12-12 17:10:47
堺市へ「情報公開」文書の受けとりと監査請求の「陳述」に行ってきました。


堺市立図書館で「特定図書排除」事件はなぜ起きたのか?
(寺町みどり) 2008-12-10


堺市立図書館の5706冊の「特定(BL)図書排除リスト」一挙公開!
/著者別、出版社別でも分類・整理(2008.11.30)



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堺市図書館での特定図書排除事件の続き。

2008-11-04 08:27:50 | 「ジェンダー図書排除」事件
堺市立図書館から、匿名市民の要求により
BL(ボーイズラブ)本が撤去され、
さらに処分を求められている問題の続きです。

情報公開請求で、会議記録などをとったので、全貌が見えてきました。

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以下に、公文書による経過をたどります。

堺市立図書館・図書排除事件の経過

◇事実経過(公文書・職員からの聴き取り)
○市の対応                 
-------------------------------------         
◇7.24
北図書館へ利用者からの電話(男性)

◇7.25
南図書館への電話(40代・男性)

◇7.25
市議会議員(文教委員、自民党)から
「有害図書?をどういう観点から購入しているのか」゜
と問い合わせ。
(市議が中央図書館に直接出向く)

◇○7.25
平成20年度第2回 図書館事業調整会議
案件(6)その他
・ボーイズラブ(やおい本)の扱いについて
 購入、開架していることについての図書館としての
公式見解を示す必要がある。

◇7.30 市民の声メール
(受信日7月30日)
中央図書館・図書館に開架している本について
 テーマ・大量に開架されているBL

◇7.31 市民の声メール
(受信日7月31日)
平成20年8月1日質問(中央図書館・BL図書を購入した
趣旨や目的、購入した冊数および購入費を教えてください)
テーマ・中央図書館の約束実行

◇○8.8
平成20度年8月 定例館長会議
7.BL資料の取扱いについて/選書について/冊数、金額/
書庫入れについて/今後どうするのか

◇8.12 市民の声メール
(受信日8月12日)
平成20年8月13日要望(中央図書館・図書館に大量開架
されてあったBLを書架に収納することになった経緯を速や
かにホームページに掲載してください)
テーマ・書架のBL本の処分

◇○8.15
BL資料の取扱いについて

◇○8.20
平成20年度第3回 図書館事業調整会議
 案件:BL本の取り扱いについて

◇○8.29
平成20度年9月 定例館長会議
◇○9.3 BL資料の取扱いについて
(各図書館長宛通知)「BL資料の取扱いについて(案)」

◇○8月末、堺市HP「市民の声Q&A」掲載


公開された文書によると、市民から何回もメールが届いていますが、
職員への聴き取りによると、図書館側が圧力に感じたのは、
特定の人への電話によるしつこい要求のようです。

アンデルセン(=バーク)をなのる男性は、
この間、毎日のように「フェミナチを監視する掲示板」に投稿していて、
バックラッシュ派から、議員に頼むように、とか、
学校も調べるように、とアドバイスを受けていて、
投稿によるとそれを実行して、職員のやり取りなど
掲示板に成果を?報告しています。

アンデルセン(=バーク)は「腐女子掲示板」にも投稿していて、
こちらでは、図書を排除したことや政治家の介入を批判されています。

図書館側の対応は、政治家(議員)が介入してから、明らかに変わっていて、
これは本人も効果を認めていることです。

福井・ジェンダー図書排除事件で、図書撤去をせまった近藤氏が
「政治家の力で図書が撤去できた」といっているのと同じです。

図書館側でも、議員の介入は認めていて、
「議会でなにかあるかと思ったが、何もなかった。」とのこと。
このころは9月議会を控えている時期だったので、
「この問題はどうなっているのか」と聞かれただけで、
議会で追及されるのではないかと震え上がって、
過剰反応した、ということはじゅうぶん考えられます。

会議記録にも、議員の関与は触れられていて、
そういう意味では、権力を持つ議員の介入により特定の図書が排除された、
というのは、許しがたいことです。

今日はこれからでかけますので、
続きは帰ってから。

ではまた。

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堺市立図書館の書架から5499冊の図書が消えた!?/知る権利、表現の自由を守ろう!

2008-11-03 12:13:33 | 「ジェンダー図書排除」事件

今年8月、堺市の全市の図書館の書架から5499冊の図書が、
いっせいに書庫(閉架)に移されました。
ここにいたる経過のなかで、ウラでは市議会議員の関与などがありました。
この経緯は福井のジェンダー図書排除事件と酷似しています。

今までも女性センターでは類似のことがあったのですが、今回はじめて、
公立図書館で同様のことが起きていることにショックを受けて、
この問題について調べ始めました。

ことの発端は、7月に「市民」となのる男性が「BL本が大量に図書館にある」と
市内の図書館に苦情の電話をかけたことです。
わたしは、7月下旬に匿名市民の投稿を「フェミナチを監視する掲示板」で知り
全国のどこかの図書館で図書排除の動きがおきたことを心配していたのですが、
具体的にどこの自治体で起きているのかが分かりませんでした。

9月上旬になって、掲示板に堺市HP「市民の声Q&A」がアップされたので、
堺市立図書館で起きた事件と分かり、事実関係を特定するために、
堺市に対し、図書リストと会議記録等、関連の公文書を情報公開請求しました。

わたしは、図書の種類・内容いかんに関わらず、
「表現の自由を守るため、図書の処分・廃棄をさせてはいけない」
という立場に立つものです。

事実経過を踏まえて、図書の処分は何としても食い止めたいと考えています。

図書は現在、全市の図書館で、「保2」というところに移動され、
引き続き「調査中」で、「保2」に移された図書は、
9/11付けの公開された図書リストでは、5706冊に増えています。

市民の声には
「中央図書館とお話し、書庫のBLも処分するとのことです。」とされ、
市の回答も、「すみやかに書庫入れにいたしました。
今後は、収集および保存、青少年への提供を行わないことといたします。」

と答えていて、関係者は、さらに処分を要求していくとしています。


○堺市HP「市民の声Q&A」 
「BL図書を購入した趣旨や目的、またこれまでに購入した冊数及び購入費を教えてください」
(市民の声)  現在、北図書館・南図書館・西図書館・中図書館という堺市の4つの大きな図書館において、一般に「BL(ボーイズラブ)」と称される少女向け男性同性愛の本が大量に開架されています。 ・・・本日、中央図書館とお話し、書庫のBLも処分するとのことです・・すみやかにBLを換金し、他の有益な図書の購入費に当てるよう、強く強く要望いたします。

(市の考え方) ご指摘いただいた図書につきましては、出版されました初期には小説の一部として利用者からのリクエストを尊重し購入していた経緯がありました。図書館といたしましては、市民のご要望に応じて資料を提供することと、図書館として備えるべき資料を選択することの双方に、公立図書館の役割があると考えております。しかし、リクエスト数の増大や出版点数の増加とともに内容の過激化などの状況に対し一定の配慮が必要であると認識し、購入数は年をおって縮減しております。
 これらの図書は、青少年の健全な育成を図る観点から、中央図書館では閲覧室に展示せず書庫入れとし、特に請求があった場合に閲覧可能としておりました。しかしながら館によっては、ご指摘のとおり閲覧室に展示していた状況がありましたので、すみやかに書庫入れにいたしました。 今後は、収集および保存、青少年への提供を行わないことといたします。
 なお、お尋ねの購入冊数と購入金額の現時点での調査結果は、所蔵冊数5,499冊、金額3,668,883円です。
 図書館は、青少年の健全育成にかかる読書環境の醸成について、その成長段階に応じた感性に十分な配慮を払い、情報社会において自律性や自主性をもって図書や情報を選択できるように、読書の環境づくりを推し進める責任を負うものと認識しております。
 この度のご意見を真摯に受け止め、公立図書館として、市民の皆様とともに考えながら、期待と要求にそった適切な資料収集と情報提供に努めてまいります。
(分類) 公共(市)施設>図書館>図書館管理・運営
(受付日) 平成20年7月30日
(担当局部課)  教育委員会事務局 中央図書館 総務課


この情報は、web上ではすでにかなり話題になっていて、
まえにも連れ合いが関連の記事をブログにアップしました。

◆現代版・焚書する人たち(てらまち・ねっと 9/21) 


匿名市民側の図書排除の言い分や経過について知りたい方は、
長くなりますが、順番に以下の板の「過去ログ」をさかのぼって読んでください。
(投稿者「アンデルセン(途中からバーク)」)が匿名市民と推察)

●「フェミナチを監視する掲示板」 
「公権力を濫用し、『男女共同参画』の名を借りて文化破壊、
家族否定の『ジェンダーフリー』政策を推し進めるフェミ・ファシズムを告発し、
国民の注意を喚起するBBSです。」



堺市図書排除事件に関する公文書はひととおり入手できたのですが、
思い立ったらすぐ実行する尻軽なわたしたち。
「百聞は一見にしかず」。
現場を見てみたくて、関西に行った翌日、堺市中央図書館に行きました。

  
現場に行くといろんな発見があり、おもしろかったです。

今回の堺市の問題は、10月28日になって『世界日報』にも載りました。

『世界日報』の記事がきっかけで、事件が表に出るのは、
福井事件と同じパターンだ、と思っていたら、
この報道を受けて、また「フェミナチを監視する掲示板」に、
「堺市図書館BL(ボーイズラブ)本のその後」のスレッドが立ち、
バークが「図書館から処分させることの回答を得た」ことや、
「政治家の介入の効果」を明言しています。

 「堺市図書館に大量の同性愛小説」(世界日報 2008.10.28)

このような匿名市民からのメールや電話のクレームで、
大量の図書を右から左へ動かし、処分まで考えているなんて、
信じられません。

堺市立図書館には、すべての市民の知る権利、学ぶ権利を保障した、
全国に誇れるすばらしい「資料収集方針」があり、
しっかりした「資料除籍基準」もあります。

今回の特定図書を排除しようとする行為は、
思想の自由、表現の自由は憲法に定められた基本的人権を侵害し、
かつ、禁止された検閲であって、日本国憲法に違反していると同時に、
これらの規定にも違反しています。

「図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会 1979年5月改定)

図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、
資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。
この任務を果たすために、図書館は次のことを確認し実践する。
 第1 図書館は資料収集の自由を有する。
 第2 図書館は資料提供の自由を有する。
 第3 図書館は利用者の秘密を守る。
 第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまでも自由を守る


堺市立図書館および行政関係者は、
図書館に対するこのような不当な圧力に屈することなく、
資料収集の自由を放棄したり、紛糾を恐れて自己規制したりしないで、
市民の知る権利、表現の自由・言論の自由を守るために、
毅然としてたたかってほしい。

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以下は、「堺市立図書館 資料収集方針」の基本方針です。

堺市立図書館 資料収集方針(1990年3月1日)

基本方針1
 すべての市民の知る権利、学ぶ権利を保障するために、図書館サービス網の総力をあげて、市民への資料提供を無料で行う。
「市民への資料提供は、市民の図書館に対する期待と要求にそった資料収集を前提としている。
したがって、リクエストのあった資料は最大限提供するよう努める。」
「図書館サービス網は、構成する館各々の活動の独白性を尊重しつつ、総体としての資料の豊かな蓄積と、その流通によって発展するものである。

基本方針2
「2.すべての市民を奉仕対象とする公立図書館として、当面する次の課題にそって収集を行う。
(1)市民が資料の利用を通して学び、楽しみ、豊かな生活を創造するのに役立つ。
(2)市民が仕事のためや社会生活を送る上で、必要な知識や惜鞄を得るのに役立つ。
(3)子どもたちが読書の喜びを発見し、情緒豊かに成長していくのに役立つ。
(4)若者たち(ヤングアダルト)が多様なメディアによる資料を介して、自己の可能性を発見し、健やかに成長するのに役立つ。
(5)高齢者が、地域社会のなかで生きがいを持ち、社会参加するのに役立つ。
(6)図書館利用に障害のあるすべての人々が、市民として平等に図書館サービスを受けるのに役立つ。
(7)人権を守り、差別のない社会を創るために役立つ。
(8)地域社会の一員として、地域の文化や行政に関する理解を深めることに役立つ。
(9)主権者としての市民が、国政や地方自治など時事に関する理解を深め、行動することに役立つ。
  これらの事項を達成するために、図書に限らずあらゆるメディアによる資料を収集の対象として考える。

基本方針3
資料収集にあたっては、『図書館の自由に関する宣言』を基本精神とし、思想・信条の自由は最大限に生かすことを確認する。すなわち
(1)多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する。
(2)著者の思想的・宗教的・党派的立場にとらわれて、その著作を排除することはしない。
(3)図書館員の個人的な関心や、好みによって選択しない。
(4)個人・組織・団体からの圧力や干渉によって、資料収集の自由を放棄したり、紛糾を恐れて自己規制したりしない。
(5)市民の知る権利は、表現の自由・言論の自由とともに出版の自由のもとに、はじめて達成できるものである。書籍や情報の流通に深くかかわっている図書館は、書店では入手困難な出版物も、十分注意して収集し、市民に提供する役割をもつ。
     資料の収集・提供に携わる図書館員は、自律的規範としての『図書館員の倫理綱領』を尊重して、その職務を遂行する。」

基本方針4
「図書館の収集した資料が、どのような思想や主張をもっていようとも、それを図書館および図書館員が支持することを意味するものではない。
 民主主義の基本は、個々の多様性を認め合うことであり、各々の資料が表現する思想や主張は、一人ひとりの読者が判断するものである。そのためにも、図書館は出版流通にのりにくい資料も含めて、さまざまな考え方をもつ資料をそろえ、利用に供さなければならない。」
(以下略)



追伸:続きの記事。
「ボーイズラブ」はだれにとって有害で不適切なのか?/新聞各紙の報道 (11/5)


参考までに、今回の事件に先行して2006年におきた
福井「ジェンダー図書排除」事件の一連の経過を書いたものを紹介します。

『学会ニュース』日本女性学会 第108号 2006年11月
■特集 バックラッシュ関連の動き

福井・ジェンダー図書排除事件から
                             寺町 みどり

  事件は、2005年11月、男女共同参画推進員からの「生活学習館の図書の内容を確認し不適切なものは排除するように」との申し出に始まる。福井県は「情報の提供は学習する上で必要である」と公式に回答し却下したが、その後153冊の排除本リストを持ち込んだ推進員の排除要求に屈し、2006年3月下旬、図書を書架から撤去した。
 5月に事件の一報が届いた翌日、わたしは福井県敦賀市議の今大地はるみさんと関連の「公文書のすべて」を情報公開請求。同時に、福井県に対し「住民監査請求」と「抗議文」提出というダブルアクションを起こした。
 県は153冊の図書のすべてを「誹謗中傷や人権侵害、暴力的表現などの公益を著しく阻害するものがないか」を確認し、問題がないとして書架に戻した。
 本を戻せば一件落着ではない。図書の排除は「思想・表現の自由および知る権利の侵害」であり、図書の内容の精査は「検閲」である。 上野千鶴子さん、江原由美子さんなど排除本リストの著者・編集者等で請求した情報公開では、5枚の「図書リスト」は「公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがある」としてすべて「黒塗り」。わたしたちは処分を不服として、情報非公開処分取消訴訟(原告20人/代表・上野千鶴子さん)の準備をはじめた。この動きを知った福井県は153冊の図書リストを公開した。勝てると確信していた提訴は「幻の訴訟」となり、わたしたちは8月26日に予定していた提訴集会を抗議集会に変更して開催した。集会では「福井県男女共同参画推進条例」に基づく「苦情申出書」を呼びかけ、80名(42人は福井県民)で提出した。(事件の詳細は「みどりの一期一会」)。
 図書排除の抗議運動は、今大地さん、上野さん、行政訴訟の準備をすすめた寺町知正さん、事務局のわたしの4人を中心にすすめてきた。
 自治体の政策は「条例」が根拠であり、図書の選定に国の権限は及ばない。いかなる理由であれ、権力による図書の選別・排除は許されない。図書の排除とその後の混乱は、行政のことなかれ主義と隠蔽体質が引き起こした。わたしたちは迷走する福井県に対し、法や制度を熟知し、公的な手法でたたかってきた。
 恣意的な図書排除(選別)はどこでも起こりうることだ。このような動きには、まず「図書の選別・排除は違法と認識すること」が不可欠だが、さらに、(1)女性センターなどの公正な運営ルールと図書選定の透明性の確保、(2)法・制度を熟知して市民が日常的に行政や議会の動きを監視、(3)公的手段を使って対抗するノウハウの共有、(4)指定管理者委託の「公の施設」を情報公開制度のブラックボックスにさせないこと、などが必要だと思う。情報公開制度を使って事実関係を精査し、問題を明らかにすることによって、有効な解決手段を選択することが可能になる。
 わたしは学問とは無縁の市民だけれど、現場の市民運動でノウハウを培ってきた。法や直接民主主義の制度をつかった現場の実践と研究者も含めたネットワークを広げ、知恵と手法を出しあえば、各地で起きる組織的なジェンダー・バッシングに対抗できると思っている。今回の事件の成果は、その一例である。


字数が上限の一万字を超えそうなので、ここらで一区切り。

堺市・図書排除事件については、あすもまた続きを書く予定です。

ではまた。


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東大で「福井・情報公開非公開取消訴訟」の報告集会をしました/東大ジェンダーコロキアム

2008-10-08 08:31:22 | 「ジェンダー図書排除」事件
一夜明けて、いつもの?東京某所。
今朝も雨で、肌寒い朝です。

昨日は、東大ジェンダーコロキアム。

福井の生活学習館からジェンダー図書撤去事件が起きてから2年半、
ずっと事務局をやってきたのですが、
情報公開で得た公文書や、申し入れ書、新聞記事などなど
集めた資料はコンテナ2杯に膨大な量で、
前日までに選んだ資料を朝から、A3の裏表に約2000枚印刷しました。

「訴訟に至る経緯」を再確認するために
時系列で資料の整理もできたので、それはそれでよかったのですが、
提訴のときの写真入りの新聞の束がどうしても見つかりません。
あきらめて、『む・しの音通信』にのせた新聞記事を使いました。
いつものことですが、出かける時間ぎりぎりまで印刷して、
資料組みをともちゃんに手伝ってもらって、
キャリーに押し込んで出発。

岐阜で食事をする予定はパス、新幹線の中でサンドイッチを食べて、
東京には4時ころ到着。雨が降りだしそうだったので、
とりあえず会場の東大の正門前の喫茶店にたどり着きました。

2時間ほど時間があったので、ともちゃんと
10月の「市民派議員のためのスキルアップ講座」の内容など打ち合わせ。

30分ほど前についた会場の法文1号館113室はまだ使っていたので、
外で待つうちに、なつかしい皆さんに次々にお会いしました。

時間になってやっと会場があき、ばたばたと資料など準備し、10分遅れで、
「バックラッシュとジェンダー~福井「焚書坑儒」事件と情報公開訴訟」
の始まりです。

まずは主催者の上野さんから、ジェンダーコロキアムや最新の本の紹介、
続いて、裁判の報告に入ります。

最初に、原告代理人の清水勉弁護から準備してみえたレジメに沿って、
「福井「情報非公開処分取消訴訟」控訴審判決の解説」。
初めて聞く人には、本体の図書排除事件の説明が必要だろうということで、
わたしが次に「訴訟にたいる経緯」を話すことに。

ともまささんが「直接民主主義の手法」を話してから、
わたしがその手法を使って福井の問題を解決した話をするということで、
二人では打ち合わせてあったのですが、、
「ジェンダー図書」排除事件の経緯を話してから、
手法の部分ははしょって、事件の背景だけ話しました。

つぎに知正さんが、「市民として直接民主主義の公的制度を使う」
をレジメに沿って話しました。
豊富な経験と具体的事例を交えた、情報公開や住民監査請求などの手法は
初めて聞いた人も多くて、アンケートを読むと、この話がとても好評でした。

直接民主主義の手法は使えると思ってくださった人が多かったようで、
やったかいがありました。
最後に、上野さんが福井事件だけでなく、他の事件にも言及して、
「ジェンダーとバックラッシュ」でフィニッシュ。

反省点としては、
わたしが最初に本体の図書排除事件と訴訟までの説明をすればよかったこと、
テーマやスケジュールの頭書きを作っていかなかったことなど。

とはいえ、原告のみなさんのスピーチもとてもよかったので、
東京で集会をやりたいと言って準備した言いだしっぺとしては、
ほっと一息、肩の荷が下りました。

参加者は約50人、いつものジェンダーコロキアムより、
広い範囲の方が見えていたようです。

終わってからは、会場を移動して、原告団の打ち上げ。
清水さんが「必勝宣言」をして最高裁の前祝いです(笑)。

終わってから、写真を一枚も撮ってないことに気が付きました。

新幹線を降りてから、熱があって体がだるかったのですが、
やっぱり緊張していたのですね。

ジェンダーコロキアムの参加は無料が基本だそうですが、
会場で急きょ呼びかけたカンパは、約5万円もありました。
カンパは訴訟の費用にあてさせていただきます。
カンパをお寄せいただいたみなさま、ありがとうございます。

ということで、久しぶりに字ばかりのそっけない報告です(笑)。


帰りに写した東大赤門。

ではまた。


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「バックラッシュとジェンダー~福井「焚書坑儒」事件と情報公開訴訟」【東大ジェンダーコロキアム】

2008-10-07 07:39:43 | 「ジェンダー図書排除」事件
きょうは東大ジェンコロ「福井情報公開訴訟」の報告集会の当日です。
雨も上がって、気分もさわやか。

わたしは事務局なので、資料の準備に追われています。

上野さんの研究室には何度も行ってるのですが、
東大で話すなんて(といっても会場だけですけど)、ちょっと緊張します(笑)。

ということで、以下、最終のお知らせです。
前回から、会場が変更になっているので
参加される方はご注意ください。

  【東大ジェンダーコロキアム】
バックラッシュとジェンダー~福井「焚書坑儒」事件と情報公開訴訟


お待たせしました。秋のジェンコロ第1弾。
9月22日の判決(敗訴)を受けて、舞台はいよいよ最高裁へ。
あまりにふざけた判決の内容に、原告団も弁護士もますます萌えて、
いや、燃えています。
関係者の多くが都内にいるので、東京で以下の研究集会を開きます。
類似の言論統制が強まる今日、清水弁護士と寺町知正さんという
日本でいちばん行政訴訟につよいおふたりを迎えて、闘い方を学びましょう。

 テーマ:
バックラッシュとジェンダー~福井「焚書坑儒」事件と情報公開訴訟
日時:10月7日(火)18:40~20:30
会場:東京大学 法文1号館113室(※会場が変更になっています)
 

18:40 開会
 18:40~19:10 裁判の報告
清水勉(弁護士・原告代理人)
「福井「情報非公開処分取消訴訟」控訴審判決の解説」
寺町知正(選定当事者)
「市民として直接民主主義の公的制度を使う」
19:10~40  原告団から 
上野千鶴子(原告団代表)
「訴訟の意義と効果」
寺町みどり(事務局)
「福井「ジェンダー図書」排除事件と背景」
原告から一言メッセージ   
19:40~20:30 
ディスカッション(コーディネーター:上野)


上告には費用もかかりますので、応援してやろうという方は、
ぜひカンパもお願いします。

「原告団」へのカンパは、以下の郵便振替口座へ。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ●加入者名:市民派議員アクションフォーラム
   ●口座番号:00880-5-35806

    ※通信欄に「福井・情報公開訴訟カンパ」と明記のこと。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
訴訟へのご支援、ご協力、よろしくお願いします


ということで、東京に行ってきます。
ブログに時間をかけてる余裕がないので、きょうはこれだけ。
集会の報告もちゃんとしますので、おゆるしを。

うーっ、またランキングがガタ落ちかなぁ。
クリックしてもらえるとうれしいな 


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コムラサキとシロシキブ/続・ジェンダー図書関連・控訴審判決の記事

2008-09-28 09:29:59 | 「ジェンダー図書排除」事件
先日彼岸花を紹介した椿洞の岐阜市民公園(畜産センター)には、
他にも四季折々に咲くさまざまな花木や草花があります。

彼岸花に覆いかぶさるようにコムラサキ(小紫)の大きな株。
 

美しいムラサキ色の実をつけています。


通常、(紫式部)と呼ばれているのは、このコムラサキが多いとか。
ムラサキシキブは実がまばらだそうです。
  



白い実をつけているのはシロシキブ(白式部)
  

こちらは、わが家のシロシキブ

  

    

ぎっしり実をつけた銀杏の大木。

実りの秋です。
  

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話は変わりますが、昨日、福井の原告メンバーから、
9月23日付けのジェンダー図書関連情報公開訴訟の控訴審判決の記事が届きました。

福井新聞と朝日新聞は、すでに紹介したので、
以下、日刊県民福井と読売新聞控訴審判決の記事をタイプしました。

 ジェンダー図書判決 二審も控訴棄却
名高裁支部 原告団 上告の方針

日刊県民福井 9月23日

 ユー・アイふくい(県生活学習館)で2006年3月、上野千鶴子・東大大学院教授らのジェンダーに関する本など約150冊が一時撤去された問題で、同年11月の県男女共同参画審議会の音声記録を県が非公開にしたのは不当として上野教授らが非公開決定の取り消しを求めた控訴審の判決で、名古屋高裁金沢支部は22日、訴えを退けた1審地裁判決を支持し控訴を棄却した。原告団は上告する方針。
 渡辺修明裁判長は、音声記録は「担当職員が会議録作成のための備忘として録音所持していたもので、保管事務手続きなどの定めはなく、公文書には該当しない」と地裁判決を追認した。
 会見した原告団は「情報公開の流れと、記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤の判決と上野教授のコメントを発表。清水勉弁護士は「個人の判断で録音や録画した情報は非公開という判決が確定すれば、公開情報が操作され、制度が成り立たなくなる」と指摘した。県の大沢博総務部長は「県の主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進していく」とのコメントを出した。
(2008.9.23 日刊県民福井) 
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名古屋高裁金沢支部 ジェンダー本問題 控訴棄却
「音声記録 公文書に該当せず」

2008.9.23 読売新聞

 2006年に県生活学習館(福井市下六条町)がフェミニズム関係図書を一時撤去した問題で、著書が含まれていた上野千鶴子・東京大教授らが県を相手取り、問題の経緯を議論した審議会の音声記録の非公開決定を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決が22日、名古屋高裁金沢支部であった。渡辺修明裁判長は「審議会の会議録は要約が作成され、公開されている。音声記録は担当職員が会議録作成用に録音していたもので、県情報公開条例でいう公文書には該当しない」として一審判決を支持し原告側の控訴を棄却した。
 判決後、上野教授は「記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤の判決」として上告する意向を明らかにした。県は「主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進する」とコメントした。
(読売新聞 2008.9.23)  



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「音声記録公開認めず」の控訴審判決のおかしさ。

2008-09-25 15:40:26 | 「ジェンダー図書排除」事件
一昨日、控訴審の判決の記事を書いたら、
「ジェンダー本を撤去すべし」とした近藤氏本人からコメントが入っていました。

「本件控訴を棄却する。」音声記録非公開処分取消訴訟の
納得できない控訴審判決。(2008.9.23)

Unknown (近藤實)
2008-09-23 18:21:17

上野さんは、金沢へ行かれてな(か)ったんですね。
でも、コメントを準備されていたのは流石です。

私も本当のところテープ(音声記録)は聞きたいと思っています。
文書は、意図的に編集されていて、不正確というより間違っているというべきです。

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エールを送られて喜んでよいのか、悲しんでよいのか(笑)。

とはいえ、考えの違いはあるものの、どちらから見ても、
県の審議会記録を要約した議事録はおかしい、ということです。
真実の記録を聴いて、本題で議論をたたかわせたいものです。

判決は、法解釈を避け、県の言い分だけを取り入れた認定をしていますが、
わたしは情報公開訴訟は、基本的に条例の解釈・運用をあらそうもので、
今回の裁判は、公文書の定義という、条例解釈の問題だけだと思っていました。

しかし判決は、実情、事実のほうに着目しています。

それほど事実、実情が重要と言うのなら、
いままでの審議会の会議で、どのように記録がとられ、議場録が作成され、
問題のテープに何が記録されていたのか、を論じないのは、どうしてもおかしい。

判決文をあらためて読み、判決のおかしさを考えてみました。、

判決は音声記録を私物、一職員の備忘というけれど、
この審議会で記録されたテープの内容は、個人に帰するものではないはずです。

判決はメモを補完する単なる備忘、としていますが、
担当職員の石原氏は、電話で音声記録の存在を尋ねたわたしに対し、
「紙のメモは取っておらず、テープがすべて。
それを起こして審議会委員に確認してもらいホームページにアップして消去する。
今までもそうしていたので今回もそうする。いまは紙の時代ではない。」
とまで言い切っています。
それでわたしたちは急いで、情報公開審査会に不服申立てをしたのです。

テープを組織的に管理しておらず、音声記録が一個人の備忘・メモであり、
一職員が好き勝手に要約でき、それが消されてしまうというのなら、
それこそ、審議会委員にとっても、市民にとっても、不利益であって、
福井県情報公開条例の趣旨、目的に反します。

福井県男女共同参画審議会は、福井県男女共同参画推進条例 に定められた公的な審議会で、
条例に定められた委員の権限として県の施策の重要案件を審議しています。

(福井県男女共同参画審議会)
第二十四条 男女共同参画の推進に関する重要事項について調査審議等を行うため、福井県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)
第二十五条 審議会は、次に掲げる事務を所掌する。
一 この条例の規定により審議会の権限に属させられた事項の処理に関すること。
二 男女共同参画の推進に関する重要事項についての調査審議および建議に関すること。

(相談および苦情の処理)
第二十一条 知事は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する行為について、県民等から相談があったときは、関係機関と連携して適切な処理に努めるものとする。
2 知事は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策または男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、県民等から苦情、意見その他の申出があったときは、当該申出に対し適切な処理をするよう努めるものとする。
3 知事は、前項に規定する申出の処理に当たり特に必要があると認めるときは、福井県男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。


福井県男女共同参画審議会は、14年度の第一回から第4回までは、
年一回(19年度も一回)の割合で開催されていましたが、
平成18年度は「男女共同参画基本計画」の改定の年でもあり5回も開催されています。
問題の11月2日開催の「平成18年度第5回」男女共同参画審議会は、
メーンの議題の一つは、基本計画策定の最後のまとめの会議で、
「福井県男女共同参画基本計画の改定について」であり、
パブリックコメントや、18年度に4回開かれた会議のまとめとなる審議会でした。

その議題のあとの、もうひとつの議題が、県条例第21条に規定された
「(2)男女共同参画にかかる県施策への申出について」の審議。
原告団と近藤氏のグループの両者から、「苦情申し出」が出されていました。

福井県男女共同参画審議会
●審議会議事録
◆第1回(平成15年3月11日開催)
◆第2回(平成15年9月12日開催)
◆第3回(平成16年9月15日開催)
◆第4回(平成17年9月30日開催)(PDF)
◆平成18年度第1回(平成18年5月22日開催)(PDF)
◆平成18年度第2回(平成18年7月3日開催)(PDF) 
◆平成18年度第3回(平成18年8月2日開催)(PDF) 
◆平成18年度第4回(平成18年9月4日開催)(PDF) 
◆平成18年度第5回(平成18年11月2日開催)(PDF) 
◆平成19年度第1回(平成19年11月21日開催)


それまでの4回と、18年年度の5回の審議会とも、詳細な議事録が作成されており、
審議会に権限があり、県の基本計画策定の重大な影響を及ぼすこのような重要な会議で、
たまたま備忘のためにテープをとった、なとどいうことがあるはずがない。
また、会議が条例に位置づけられた公的会議で、
審議会の議事録が公的なものなのに、それを記録したテープだけが
「一職員の備忘、メモ」というのは、連続性がなく、とてもおかしなことです。

男女共同参画審議会は毎回、職員により職務としてテープに記録され、
テープを元に記録が起こされ、それを審議会委員が確認して議事録となるものでした。
その一連の作業や経過のなかで、テープ部分のみ「私物」というのは、
論理的に考えてもありえません。
音声記録(録音テープ)と審議会記録は切り離せない、一体性、連続性のあるもの。
途中の音声記録(テープ)部分のみ、公文書ではなく「私物」だというのなら、
重要案件を審議した審議会記録だけでなく、審議会そのものの結論まで、
一個人の職員の手(恣意)にゆだねられていることになります。

この問題に当初から関わり、音声記録の情報公開の請求代表者でもあるわたしは、
県の基本計画や「苦情申し出」を議論した唯一の「真実の記録」であるテープを、
司法が「公文書でない」と認定したことは納得できません。


以下は、福井から送られてきた、控訴審判決のニュースです。

 二審も音声記録公開認めず 上野教授著作の撤去問題
福井新聞 9月23日

 上野千鶴子東大教授らのジェンダー関連の著作が2006年、福井県の施設から一時撤去された問題を話し合った県の審議会の音声記録について、上野教授や市民団体が公開を求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁金沢支部は22日、公開を認めなかった一審判決を支持し、上野教授らの控訴を棄却した。上野教授らは上告する方針。
 渡辺修明裁判長は判決理由で「担当職員が会議録作成のため備忘として録音、所持していたもので県の公文書ではない」とした。
 判決などによると、県は06年3月、県生活学習館のジェンダー関連の著作約150冊について「内容が過激」などと指摘を受け、約2カ月間書棚から撤去。上野教授らから苦情があり、県は同年11月に男女共同参画審議会を開いた。
 審議会の会議録は公開されたが、原告側は「県が公開した会議録は原告が傍聴した記録と照らし合わせても違いがあり、検証の必要がある」と音声記録について情報公開を請求、県は非公開とした。
 福井地裁は今年1月「音声記録は会議録作成のための録音で公文書には当たらない」などと請求を棄却。上野教授らが控訴していた。

「時代の流れ逆行」原告側が上告方針 
 判決言い渡し後、原告側は会見し、上告する方針を示した。原告の一人で岐阜県山県市議の寺町知正さんは「一審判決と何ら変わらない判断で、新しい理由付けもなく驚いている。情報公開の時代の流れに逆行した判決だ」と批判した。
 大沢博・県総務部長は「県の主張が認められた妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進していきたい」とのコメントを発表した。

(福井新聞 2008.9.23) 
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録音記録訴訟 二審も原告敗訴
名古屋高裁金沢支部 公開請求を棄却

朝日新聞 9月23日

 県生活学習館(福井市)の書架から、ジェンダーに関する上野千鶴子・東大大学院教授らの著書約150冊が一時撤去され、この問題を議論した県の審議会で職員が議事録作成用にMD(ミニディスク)に録音した音声記録を県が非公開としたのは不当として上野教授ら13人が県を相手取り、非公開処分の取り消しを求めた控訴審の判決公判が22日、名古屋高裁金沢支部であり、渡辺修明裁判長は「職員の備忘用で公文書とは言えない」と原告側の請求を棄却した。
 一審に続き、職員が議事録=一般に公開=作成のために録音したMDが県情報公開条例の公文書にあたるかが争われた。県条例では職員が職務で作成し県が管理する電磁的記録は公開対象としている。判決では、今回の音声記録は担当職員が備忘のために所持していたもので、県の保管事務手続きの対象ではなく、県の管理下にないので公文書には当たらない、と一審と同じ判断がなされた。
 判決後、原告代表の上野さんは「情報公開の流れと記録媒体のハイテク化に逆行する時代錯誤な判決で残念」とコメントを出した。県の大沢博総務部長は「本県の主張が受け入れられ、妥当な判決。今後とも適切に情報公開を推進していきたい」と話した。
(朝日新聞 2008.9.23) 



今朝は、真っ白なスイフヨウが一輪、咲きました。


色があかく変わるのを見たいと思ったら、午後から雨が降ってきました。

  


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