わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 「ぐい呑み」を造る

2010-06-28 22:33:03 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
ぐい呑みは、湯呑み茶碗より、小さい物で、作り方は、さほど難しくは、有りません。

 但し、抹茶々碗と、同じ様に、気に入った形や、色に仕上げるのには、何個も作る必要があり、

 それなりの、苦労が付きまといます。

作り方は、手捻りと、(電動)轆轤作りが有ります。

1) 手捻りで作る

 ・ 小さな物ですので、玉作り(塊作り)が多いですが、タタラ(板)作りの場合も有ります。

   手作りの際には、手で作った感を、残す様にます。

   即ち、表面を、削りなどで、余り綺麗に仕上げない事です。

 ・ 手捻りでは、形は歪み易く成りますが、この歪みを、上手に、使いたい物です。

   指痕なども、温かみがあって、好まれる場合も、有ります。

 ・ 勿論、轆轤で作った様に、綺麗に仕上げる事は、可能です。

   表面を、カンナなどで、削って仕上げます。

 ・ 手捻りの特徴と言うか、欠点と言うか、同じ形の物は、二度と出来ません。

   作る度に、形が違います。寸法を測ったり、型に押し当てても、乾燥と共に、違いが出てきます。

   特に、数物を作りたい場合には、電動轆轤で作る事を、勧めます。

2) (電動)轆轤で作る

 ・ ぐい呑みは、形は色々有りますが、湯呑みの小型版と言う事で、轆轤作業は、さほど難しい事は、

   有りません。

   但し、口縁に高低差(山道)を付けたり、歪ませたり、胴の部分に、ヘラ目や轆轤目を付けて、

   更には、櫛目や印花紋を付けたり、化粧土を掛けたり、変化を持たせます。

 ・ その他、口縁のみを、極端に肉厚にし、(見た目の)重量感を出す場合も、有ります。

 ・ 即ち、色絵磁器の様な、ぐい呑みなら、色や模様で、変化を付けられますが、釉や無釉の場合では、

   器本体で、勝負する事になりますので、それ成りに、見所を持つ必要が、有ります。

 ・ 四方形や、六角形、分銅形などは、手捻りや、轆轤挽き後に、変形させる事に、成ります。

3) 馬上杯(ばじょうはい)を作る 

 ① 馬上杯は、高台部分を長くし、ここを握って、酒を飲みます。
 
   旅する時、馬上で酒を、飲み易い形にした、杯の事を言う説と、腰高な形状が、馬の上にいる

   形だから、と言う説があります。日本的な物ではなく、大陸から、伝わった形だと、思われます。

 ② 高台が非常に高く、この高台部分を握って、お酒を飲みます。 豪快で野性味のある器です。

 ③ 馬上杯は、器全体を、一度に作る事も可能ですが、一般には、器部分と、高台部分を、別々に作り

   両方を接着させる、方法を取ります。

  ・ 尚、轆轤で一度に作る場合に、胴を細くし、器の底を設けますが、内側の底の中央が、凹みがちに

    成ります。それ故、その中央部に団子状の土を入れ、底を平らにします。

    接着部分が、濡れていると、土が付きませんから、必ず、水やドベを、拭き取っておきます。

 ④ 器部分と、高台部分の径と高さの比が、ポイントと成ります。

   見た目の綺麗さと、持った時の持ち易さ、更に酒が呑み易い、形が必要です。

   又、器部分と、高台部分が、必ずしも同じ形である、必要も有りません。

   上部が丸で、下部が六角形でも、かまいません。

 ⑤ 柔らかい内に、付けると、重みで微妙に歪みが出て、意図せぬ面白みが、出易いです。

 「ぐい呑み」の形状は、人により、好き嫌いが出易いです。

  ご自分で作った、作品を人に差し上げる場合には、十分注意する、必要が有ります。

以上にて「ぐい呑み」の話を、終わります。

以下次回(菓子器)に続きます。
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