わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話48 自分で釉を作る17 灰釉2(調合1)

2013-09-28 21:58:28 | 新釉(薬)の話

釉の調合に於いて、天然灰を使うのを灰釉(かいゆ、はいゆ)、又は灰立と言い、合成灰や石灰石を

使う釉を石灰立と言って区別する事もあります。

同じ自然灰であっても、その成分にバラツキが多く、ゼーゲル式には馴染めません。

石灰石を釉に用いる以前には、灰釉が使われていました。多くの場合その灰は廃物利用として利用

されていた物です。即ち、有機質であるならば、その灰は釉として使う事が出来るのですが、当然

ある一定量の灰が取れる事が必要です。有機物を燃やすと、その体積は数万分の一になってしまい

一定量集める事は意外と難しいです。

各窯場には当地の粘土や磁土に、当地で調達した灰を混ぜ合わせた、その窯場独自の釉が存在

していました。その調合は割合簡単な組み合わせでなされているのが普通です。

1) 灰の種類と特徴: 灰の種類は多いですので、代表的な灰に付いて述べます。

  ) 松灰: 一番多く使われる灰です。多くは、薪窯で使われる赤松の灰を利用します。

    a) 鉄分などの無機質の不純物を含み、福島長石と半々(50%)に混ぜると、綺麗な釉に

      成ります。還元焼成では、流れ難い深緑色になります。

    b) 松灰が70%程度になると艶消し釉となり、落ち着いた淡い色調になります。

  ) 樫(かし)灰: 比較的多く使われる灰色の灰です。

    a) 福島長石 70、樫灰 30%: 艶のある綺麗に澄んだ色調になります。酸化焼成でやや

       明るい黄色味を帯、還元焼成で淡い青色になります。

    b) 福島長石 50、樫灰 50%: 綺麗に澄んだ釉に成りますが、熔けて少し流れます。

    c) 福島長石 30、樫灰 70%: 一段と熔け易くなり、完全に流れ落ちてしまいます。

  ) 栗皮釉: 建築材として不要な栗の樹皮を燃やした灰です。

     やや黄色味を帯びた綺麗な灰で、鉄分などの雑味も少ない灰です。

    a) 福島長石 70、栗皮灰 30%: 酸化で薄い黄色、還元で淡い綺麗な青紫色になります。

       厚めに施釉すると、わずかに白濁します。

    b) 福島長石 50、栗皮灰 50%: 綺麗な釉肌ですが、流れ易く成ります。

    c) 栗皮灰が多くなるに従い、釉は流れ落ちてしまいます。

  ) 橡(くぬぎ)釉: 黒い粒子の粗めの灰で、雑味成分も多く、釉調も複雑に変化します。

      一般的な灰では無いので、陶芸材料店でも入手困難な場合があります。

    a) 福島長石 70、橡灰 30%: 乳濁成分を含む為、厚く施釉した部分は少し艶消し状で

      乳濁します。

    b) 福島長石 50、橡灰 50%: 熔融温度も高くなり、厚掛けした部分は、熔けきらず

      かさついた状態になります。

    c)  福島長石 30、橡灰 70%:灰に含まれる雑味で、艶も無く黒っぽい濁った釉になります。

      一応熔けます。

   ) 藁灰: 真っ黒い灰ですが、釉に使うと、真っ白に成ります。乳濁剤として広い範囲で、

      多く使われています。

   ) 土灰(どばい): 雑木の灰で、その成分は一定していません。その為合成土灰を使う事も

       多いです。

2) 灰系透明釉について。

以下次回に続きます。

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新釉の話47 自分で釉を作る16 灰釉1(種類と成分)

2013-09-27 21:21:05 | 新釉(薬)の話

草木灰は、昔より釉として使われています。むしろ釉の始まりは草木灰から始まったと

言われています。

 草木灰には種類が多く、ほとんどの草木類の灰が釉として使う事が出来ますが、

灰の成分はどの灰であっても、ほとんど同じ様な物です。

しかしその含有量には大きな差があります。

1) 草木灰に含まれる成分。

   草木灰の成分には大きく分けて2種類があります。

  ① 珪酸質を多く含む灰。

   禾本科の稲の藁(わら)、籾殻(もみがら)、糠(ぬか)等は、70~80%の

   珪酸を含みます。(尚、一般の灰は30%前後です。)

   又、竹や羊歯(しだ)類などにも多く含まれています。

   それ故、珪石(SiO2)の代わりに使われます。

  ② 樹木灰には、松、柏、杉、樫(かし)、楢(なら)、欅(けやき)、橡(くぬぎ)

   等があります。

   又栗皮、椿、橙(だいだい)、 蜜柑など多くの種類があります。

   樹木の灰には、カルシウム(CaO)、ナトリウム(NaO)、カリウム(K2O)、

   マグネシウム(MgO)等のアルカリ成分(媒熔剤)が多く含まれています。

   釉の色に関係する鉄分やマンガン等や、乳濁作用のあるリン酸も含まいます。 

   更に、ガラス成分になる珪酸や、釉を安定化させるアルミナ成分も含まれて

   いますので、数種の灰の混合物のみでも、釉を作る事ができます。

   但しこの場合素地に含まれるアルミナ成分や、シリカ成分も寄与しています。

2) 天然灰と合成灰。

  ① 天然灰は、同じ樹木であっても産地、生育の土壌、木の老若、木の部位の違い

   によって大きく異なります。それ故、天然物には同じ成分の灰は無いとも言われ

   ています。 一般に石灰分(CaO)が、20~50%と、珪酸分が30%前後

   含まれています。その他は、アルミナ成分(Al2O3)、酸化鉄、他のアルカリ

   成分などです。

   ⅰ) 樹木の部位と含まれる成分。

    樹皮、枝、葉などは、石灰分(CaO)が多く、幹には珪酸分(SiO2)が、

    根にはリン酸成分が多いです。尚、リン酸成分の多い物に、芋(いも)、卵殻、

    獣骨(骨灰)があります。

  ⅱ) 天然灰には、微量な金属などの無機物が含まれていますので、微妙な釉や

    色に成ります。

    陶芸家の中には、好んで使う人も多いです。特に民芸調の陶器に利用されます。

   ⅲ) 土灰(どばい)とは、単一種類の草木灰ではなく、色々混じりあった雑木の

    灰の事です。土灰はマグネシア(4~10%)や鉄分など不純物を多く含み、

    透明釉の他、飴釉や黒い釉を作るのに向いています。

   ⅳ) 鉄分の少ない灰に、柞(いす)灰があります。磁器の様に白い肌に焼き

    上げる為には、鉄分が少ない灰が必要で、九州の宮崎県産の、柞の木から

    採ります。

   ⅴ) 松灰や樫灰にには、金属のマンガンを多く含み、黒い釉を作るのに使われます。

 ② 合成灰は、天然灰の不安定な状態を解消する為、安定した釉が作れる様に化学的

  に合成した灰です。それ故、常に同じ条件で使う事ができます。

  但し、釉として変化が乏しく、面白味や味わいが無いとも言われています。

  種類としては、合成土灰、合成藁灰、合成籾殻灰、合成栗皮灰、合成柞(いす)灰

  など、種類も豊富です。

  尚、陶芸材料店では、各種灰を販売しています。但し、ご自分で草木を燃やして

  天然灰を作る事も可能です。その為の注意点に付いて述べます。

 a) 草木灰は、燃やして出来た灰を良く磨り潰し、水簸(すいひ)した後、何度も

  水に浸し上澄み液を捨てて、水溶性のアルカリ成分(灰汁、あく)を取り除きます。

 b) 篩(ふるい)を通して、砂や燃えカス等を取り除きます。

 c) 草木灰には完全に燃えずに、炭素成分が残ります。なるべく白くなる様に焼いた

  としても、20~30%程度の灼熱減量(ロス)が存在するのが普通です。

  (市販されている自然灰も同様との事です。) ロス部分は焼成の際CO2として

  発散してしまいます。それ故、調合の際分量に注意が必要です。

 d) 燃やした草木灰には、少量の硫黄分を含む物もあります。水簸(すいひ)では

  取り除けません。完成した乾燥灰を再度燃やす事で取り除きます。

以下次回に続きます。

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新釉の話46 自分で釉を作る15 ゼーゲル式6(計算3)

2013-09-25 21:52:02 | 新釉(薬)の話

6) 既存の釉の配合例(重量比)から、その配合例のゼーゲル式を求める。

   多くの陶芸関係の本や、ネット上でも色々な釉の配合例(レシピ)が掲載されています。

   大いに参考に成るのですが、レシピ通りに調合したとしても、必ずしも望む色や艶が出る訳では

   有りません。その原因として、レシピに載せていない、何か隠された物が有るのではないかと

   感じるかも知れません。当然の事ですが、実際釉を研究している人は、その技術は秘密

   (公にしていない事)にしているのも事実です。

   しかし、実際には、窯詰めや窯の状態、更には窯の焚き方などの諸条件によって、変化する

   事の方が多いと思われます。但し、この条件を持ち出すと、話が進みませんので、ここでは

   棚上げする事にします。

 ① 公表されているレシピは、ほとんどが一般的な釉です。それ故、釉に大きな狂いは無い事が

   多いはずです。但し、この釉を自分好みの釉に改良する為には、何処をどの様に変えれば

   良いか、試行錯誤的に実行するよりも、理論的裏付けに基づく実施の方が確実かも知れません

   その為には、与えられたレシピをゼーゲル式に当て嵌め、式から向かう方向を決めるのも

   良い方法ではないかと思います。

 ② 一般的な調合例は、各釉の材料をグラム(g)単位で表示しています。

   次の様な調合例を元に、ゼーレル式に直す計算をしたいと思います。

    正長石 50g、珪石 20g、石灰石 30g、タルク 20g  合計100g

  ) 釉の三要素に分ける。

    a) 正(かり)長石には、カリ(KO2)、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)が含まれています。

    b) 珪石にはシリカ(SIO2)のみが含まれます。

    c) 石灰石には、CaOと CO2(炭酸ガス、熱分解して発散します。)が含まれます。

    d) タルク(3MgO ・ 4SiO2 ・ H2O)には、MgOとSiO2が含まれています。

    以上の事から、媒熔剤は、長石、石灰石、タルクの一部から採る事になります。

    アルミナは長石から、シリカ成分は、長石、珪石、タルクの一部から採ります。

  ) 各材料の量を三要素の重量gに分けまする。

    a) 前回述べた様に、正長石の1モルは556.8gで、カリ成分の1モル94.2gとアルミナ成分の

      1モルの102.0g、シリカ成分1モル360.6gで構成されています。50gの長石は以下の

      様な重量になります。

     イ) K2O(カリ成分)=(94.2x50)/556.8=8.5g

     ロ) Al2O3(アルミナ成分)=(102.0x50)/556.8=9.2g

     ハ) SiO2(シリカ成分)=(360.6x50)/556.8=32.4g

   b) 珪石はほぼ100%SiO2ですので、20gはそのままです。

   c) 石灰石の1モルは100.1gで、CaOが56.1g、残りがCO2となります。

      石灰石10g中には、CaOが(56.1x10)/100.1=5.6g入っている事になります。

   d) タルク(3MgO ・ 4SiO2 ・ H2O)の1モルは379.3gです。

      MgOの1モルは40.3gで、3MgOでは120.9gとなります。

      タルクの20g中には、MgOが(120.9X20)/379.3=6.4g入っています。

      同様にしてSiO2の1モルは60.1gで、4SiO2では240.4gですので、タルク20gでは

      (240x20)/379.3=12.7gとなります。

     以上まとめると、RO(媒熔剤)=K2Oが8.5g、CaOが5.6g、MgOが6.4gとなります。

     Al2O3=9.2g。SiO2=32.4g+12.7g=45.1gです。

  ) 重量g数をモルに換算します。

    a) K2Oの8.5g=(1X8.5)/ 94.2=0.090 モル

       CaOの5.6g=(1X5.6)/56.1=0.100 モル

       MgOの6.4g=(1X6.4)/403= 0.016 モル

    b) Al2O3の9.2g。=(1X9.2)/.120=0.077 モル

    c) SiO2の45.1g=(1X45.1)/60.1=0.750 モル

  ) ゼーゲル式に変換する。

     式ではRO(媒熔剤、アルカリ成分)は1モルとしています。それ故上記 a)の合計が1になる

     様に書き換えます。即ち 0.090+0.100+0.016=0.206 モル 

     1/0.206=4.854倍します。

    ・ K2O=0.090X4.854= 0.437 モル  ・ CaO=0.100X4.854=0.485モル

    ・ MgO=0.016X4.854= 0.078 モル

    ・ Al2O3=0.077X4.854=0.374 モル

    ・ SiO2=0750X4.854=3.640 モル

    結論  以上の事から、配合例の釉のゼーゲル式は以下の様になります。

          RO ・ 0.374 Al2O3 ・ 3.640 SiO2 となります。

       MgOを若干含んでいますが、透明系の釉になると思われます。

尚、ゼーゲル式は面倒な計算に成りますが、ゼーゲル式の計算ソフトが存在しています(有料、無料)

ので、興味のある方は、ネットで検索して下さい。

以上でゼーゲル式の話を終わります。

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新釉の話45 自分で釉を作る14 ゼーゲル式5(計算2)

2013-09-24 21:30:41 | 新釉(薬)の話

5) 2軸座標のある一点のゼーゲル式を求める方法。

   ゼーゲル式は RO・ n Al2O3 ・ m SiO2 で表わされます。

   即ち、ROが1モルに対し、 Al2O3 が nモル、 SiO2が mモルです。

   2軸座標の一点を指定すれば、n、mの数値が自動的に決まります。

   但し良い釉を作るとすれば、 0.1 < n < 0.6 、 1 < m < 6 の範囲内にある事です。

    尚、Al2O3 の1モルは102gで(2x27+3x16)、SiO2の1モルは 60.1gです。

  ① 釉の材料を選ぶ。 

    一般的に使用される材料は、正長石(カリ長石、福島長石)、珪石、それに、媒熔剤として、

    石灰、酸化亜鉛(亜鉛華)、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バリウム等です。

    尚、媒熔剤として、3種類以上を選ぶとより効果的です。

  ② 計算は長石の割合から取り掛かると、都合が良いです。

    基本的には、どの材料から取り掛かって良いのですが、長石はアルミナ成分、シリカ成分の他

    媒熔剤のカリを含む為、調合時に他に影響を与えます。そこで他に影響を与える物質を先に

    決る事は、二重手間を省く事になります。

   ) 正(カリ)長石は次の様な化合物(化学式)です。  K2O・Al2O3・6SiO2。 

       長石の1モルは556.8gで、内訳はK2O=94.2g、Al2O3=102g、6SiO2=

       360.6gです。即ち長石556.8g中に、Al2O3が1モル(102g)ある事になります。

     ・ nモルの、Al2O3を取る為には、長石がnX556.8g必要に成ります。

     ・ 尚、ソ-ダ長石の化学式は、Na20・Al2O3・6SiO2 1モルの重量524.5gです。

   ) SiO2の計算。 二酸化珪素は珪石からとります。珪石はアルミナやアルカリ類(媒熔剤)

       を含まず。100%のシリカ(SiO2)と見て良いでしょう。

       それ故、必要量はmx60.1gです。但し、上記計算より、長石からnX360.8gを得て

       いますので、追加する量はその差 mx60.1ーnx360.8gとなります。

   ) 媒熔剤1モルの計算。長石よりカリ成分を得ています。その量は、nx94.2gで、他から足す

      必要はありません。媒熔剤は3種は必要なので、便宜上CaCO3(炭酸カルシウム)とZnO

      (亜鉛華)を使う事にします。カリ成分はnモルですので、他の成分は1-nモルとなります。      

     a) 石灰石の計算。石灰石はCaCO3ですが、CaOとCO2の化合物と見る事もできます。

       即ち石灰石の1モルは、100.1gで、CaOの1モルが56gと CO2の1モルが44.1gの

       合計になります。 CaOの必要量をeモルとすれば重量は、ex56gとなりますが、

       石灰石ではex100.1g加える事になります。 但し e<1-nで無ければ成りません。

     b) ZnOの計算。 必要なモル数は (1-n)-e と成ります。

       ZnOの1モルは81.4gですので、必要量は(1-n-e)x81.4gとなります。

     c) 以上まとめると、次の値となります。

       正長石: nx556.8g、 珪石: mx60.1ーnx360.8g、

       媒熔剤: KaO= nモル: 長石に含まれている為追加不要。

             CaO=eモル; 石灰石でex100.1g 

             ZnO=(1-n-e)モル: 亜鉛華で(1-n-e)x81.4g

6) 既存の釉の配合例(重量比)から、その配合例のゼーゲル式を求める。

以下次回に続きます。        

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新釉の話44 自分で釉を作る13 ゼーゲル式4(計算1)

2013-09-21 21:31:47 | 新釉(薬)の話

4) ゼーゲル式の計算。

 ① 式の計算に当たり、その目的は二通りあります。

  ) 一つは、2軸座標(Al2O3-SiO2図)の任意の一点のゼーゲル式を求める物です。

     2軸座標より、予め釉の状態(透明。乳濁、マット等)が予想可能ですので、その釉を作る時に

     役立ちます。

  )  他の目的は、既存の釉の配合例(重量比)から、その配合例のゼーゲル式を求める事です

     釉の配合例は多くの書籍や、インターネット等で一般に流布している物が多いです。

     しかしそのまま真似をしても必ずしも、希望する釉に成る訳ではありません。

     むしろ色々の条件(焼成環境など)によって、思わぬ結果に成る 事の方が多いです。

     そこでこの釉を改良して、自分の窯に合う釉に改良したい場合には、ゼーゲル式から予測を

     立てて改良する事が望ましいかも知れません。 その様な場合に役立つ方法です。  

 ② ゼーゲル式の計算は、初心者にとってかなり面倒な事です。

    ゼーゲル式は、割合スッキリした数式で示されますが、実際この数式に釉の材料の量(モル)

    を当てはめる為には、計算が必要になります。

    この計算方法は、初心者にとってかなり手強いです。なぜなら、必要な原料が純粋の形で存在

    せず、必ず何かの複合材又は化合物であったり、水分(結晶水など)や炭酸成分(炭酸ガス

    として排出)を含んでいる為、それらを除外して計算する必要がある為です。

 ③ 成分の確認。

   ゼーゲル式は成分の解かった素材を使いますので、成分が不安定な物や不明な物は使えません

   それ故、木灰類を使う釉には、この式は向いていません。

  ) 釉を構成する三要素は必ず取り入れる必要があります。

     即ち、媒熔剤(Ka、Na、Ca、Mg、Ba等)とアルミナ(Al2O3)、シリカ(SIO2)です。

     但し、これらの成分を純粋な形で入手する事は困難です。多くの場合他の元素との複合や

     化合物として存在します。

  ) 同じ成分を含む原料は複数あります。

     どの原料を使うかは自由ですが、手に入り易い物やその成分が判明している物を使う必要が

     あります。ほとんどの原料は陶芸材料店等で手に入りますし、書籍などでその成分比

     (構成比)を知る事が可能です。

  ) 一般に使われる釉の材料は、各種のアルカリ類(媒熔剤)と長石類(正長石、カリ長石、

    福島長石)とそれに珪石が多いです。アルカリ類と二酸化珪酸(珪石)は、比較的純粋な原料を

    入手可能ですが、長石には、アルミナ成分以外にアルカリ類とシリカ(SiO2)成分を含んで

    いますので、この成分も勘定に入れて計算しなければ成りません。

 前置きが長くなりましたが、先ず2軸座標のある一点のゼーゲル式を求める方法についてお話

 します。尚、この件に付いては、以前にもお話していますので、重複しますがご了承下さい。

 又、以前に掲載した話も参照して下さい。

   参照: 釉薬の調合(Sk-8の釉薬を作る1) 2008ー12-20 釉薬の調合と釉を掛ける

以下次回に続きます。

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新釉の話43 自分で釉を作る12 ゼーゲル式3

2013-09-20 21:39:00 | 新釉(薬)の話

2) ゼーゲル式の活用。

   ② この座標から釉の現象を見て行きます。(前回の続きです)

   ) 流れ易い釉と流れ難い釉。

    a) 流れ易い釉。

      2軸座標で原点に近い部分では、媒熔剤が相対的に多い為、熔け易い釉に成りますが、

      同時に粘度が低く流れ易い釉にも成ります。非常に流れ易い釉では透明釉の範囲の

      Al2O3:SiO2(比)であっても、透明に成らず、マット状になる場合もあります。

      更に、徐冷など焼成方法によっては、結晶が生じます。

     ・ アルカリ成分が多過ぎる場合には、熔かす力が強く、どの様な失透材を加えても、失透し

       なくなります。

    b) 流れ難い釉。

      原点から遠い部分では、透明、乳濁、マット釉のどの領域でも、媒熔剤が相対的に少ない為

      熔け難い釉に成り、同時に粘度が高く、流れ難い釉に成ります。場合によっては釉肌が

      平滑に成らない事もあります。

   ③ 石灰系以外の2軸座標。

     今まで媒溶剤(アルカリ類)が石灰系の場合を取り上げましたが、当然それ以外のアルカリ

     類も使われる事も多くあります。その際、2軸座標にも変化が出ます。

    ) 酸化亜鉛釉は、透明又は乳濁釉に適します。

      ROを 0.2 K2O、 0.2 CaO、 0.4 ZnO ・ 0.1~0.6 Al2O3 ・ 1.0~6 SiO2

      にした場合。

      a) 酸化亜鉛は0.6モル以上に成ると、釉は熔け難く成りますが、マット釉や乳濁釉を作る

        際には、あえて多めに使う事もあります。

      b) この場合に2軸座標では、二本の直線がやや倒れた位置に移動します。即ち、マット釉

        になる範囲が広がり、乳濁釉の範囲がやや狭くなります。

       イ) 二本の直線に挟まれた部分では、光沢のある透明釉になります。

          但し、原点に近い部分では、徐冷する事により、結晶釉を作る事が出来ます。    

          この結晶をウイレマイト結晶(2ZnO・SiO2)といいます。

          急冷では透明又は、微細な結晶によるマット釉に成ります。

       ロ) 右下の乳濁領域では、分相(異なるガラス質が混在)による光沢乳濁釉になります。

          骨灰や酸化チタンなどの失透剤を添加すると、更に良い乳濁釉を作る事が出来ます。

       ハ) 左上のアルミナ成分の多い範囲では、マット又は半マット状の結晶釉が出来ます。

          この結晶をガーナイト結晶(ZnO・Al2O3)といいます。

     ) マグネシウム釉はマット釉に最適です。       

        0.15 K2O、0.30 CaO、0.45 MgO、 0.10 ZnO ・ 0.1~0.6 Al2O3 ・

        1.0~6 SiO2の場合。

       イ) 酸化マグネシウムは通常0.5モル以下で使用します。

          但し、石灰(CaO)を超えない値にします。マグネシウムを多量に使うと、表面張力が

          増え釉に縮れが起こります。それ故、あえて多量に入れ微細な結晶のマット釉を

          作る場合があります。

       ロ) マグネシウム釉は透明範囲が極端に狭く、熔け不足のマット部が多くなり、乳濁

          範囲でもマット状に成るのが特徴です。

     ) バリウム釉は透明とマット釉に適します。

       イ) 石灰系や亜鉛系、マグネシウム系の釉に対して、より広い範囲で透明釉を作る事が

          できます。逆に乳濁釉は作り難いです。

       ロ) 座標の原点近い範囲では、相対的に媒熔剤(バリウム)が多い為、熱膨張が大きく、

          貫入が発生し易いです。更に、炭酸バリウムは1200℃付近で熱分解を起こし、

          炭酸ガスを発生させます。このガスが十分抜け切らないで、釉の中に小さな気泡が

          残ったり、ピンホールを発生する事も多いです。

       ハ) 座標の左側のマット領域では、非常に細かい結晶を生じ、絹の様な質感を持った

          マット釉に成ります。

以下次回に続きます。

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新釉の話42 自分で釉を作る11 ゼーゲル式2

2013-09-19 21:33:41 | 新釉(薬)の話

2) ゼーゲル式の活用。

   ゼーゲル式を活用する際、グラフ化すると理解し易いです。その方法がAl2O3-SiO2図と

   呼ばれる座標(アルミナーシリカ図)です。この座標は2軸座標とも呼ばれています。

  ① Al2O3-SiO2図(2軸座標)とは。

    ) 縦軸にAl2O3のモル数を目盛り、横軸にSiO2のモル数を目盛る座標です。

       即ち、Al2O3とSiO2の配合割合(比)と量(モル)を表しています。

    ) 縦軸には0.1~0.6モルを、横軸には1~6モルの目盛りを等間隔で振ります。

       尚、縦軸で0.6モル以上、横軸で6モル以上の範囲では、釉が十分と熔けません。

    ) ゼーゲル式で表される釉の全ての現象は、この座標の中に入る事に成ります。

  ② この座標から釉の現象を見て行きます。

   ) 透明、乳濁、マットなどの釉の状態を見る。

      ここでは、Al2O3とSiO2の配合割合(比)を見て判断できます。(Al2O3:SiO2の比)

     a) 透明釉の場合。

       石灰系の釉(CaOを多く含む釉)では、Al2O3:SiO2=1:6~1:10の時、光沢のある

       良く熔けた透明釉に成ります。Al2O3とSiO2の比率がバランス良い状態です。

     b) 石灰系の乳濁釉では、Al2O3:SiO2=1:10以上です。

     c) 石化系のマット釉では、Al2O3:SiO2=1:6以下です。

       尚、石灰系以外の釉については、後日お話します。

     d) 極端にAl2O3又はSiO2の一方が多くなると、釉は熔け不足に成ります。

   ) Al2O3-SiO2図を描く。

     a) 2軸座標の原点より、Al2O3:SiO2=1:6になる直線を引き、Al2O3:SiO2=1:10

       になる直線を引くと、座標は三分割されます。

     b) その中央部が透明釉で、左側(Al2O3側)がマット釉に右側(SiO2側)が乳濁釉の

       領域です。但し、SiO2が多過ぎる場合には、乳濁ではなくマット釉に成りますが、SiO2が

       熔けずに残った為のマットですので、不安定な状態です、この領域でのマットは使わ

       ない方が安全です。

  ) 釉の熔け具合を見る。これはAl2O3とSiO2の量から解かります。

     上記)では、Al2O3:SiO2=1:6~1:10の時、光沢のある透明釉に成る事が解かり

     ます。比率ですから1:6=0.1:0.6と同じです。この事は2軸座標の原点側に近づく事に

     なります。この座標はRO(アルカリ成分)を1モルとしていますので、0.1:0.6に成る事は、

     RO成分が10倍に成った事を意味します。ROは媒熔剤ですので、相対的に量が増える事で

     熔け易い釉に成る事を示しています。

   ◎ 座標の原点に近い程、熔け易い釉と言えます。例では透明釉としましたが、乳濁釉、マット

      釉でも、同じ事です。逆に原点より遠くなるに従い、RO成分が相対的に少なくなる為、

      釉が熔け難くなり、釉としては不完全な熔け不足となります。

 ) 流れ易い釉と流れ難い釉。

以下次回に続きます。

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新釉の話41 自分で釉を作る10 ゼーゲル式1

2013-09-18 22:06:45 | 新釉(薬)の話

1) ゼーゲル式とは、釉の三要素である媒熔剤のアルカリ類、ガラス質を作る二酸化珪素、それに

   釉を安定化させるアルミナ類の調合を、重量%による比率ではなく、「モル」と呼ぶ化学単位で

   表記した数式(方程式)です。ゼーゲル式に付いては、当ブログの中で、すでに「釉薬の話」の

   中で述べていますので、興味のある方は参照して下さい。

     ・ 釉薬の話2(ゼーゲル式1): 2010-03-01 釉薬の調合と釉を掛ける。他

    今回の話も上記の記事に重複しますが、ご了承下さい。

  ① 具体的には、次の式で表します。 RO ・ n Ai2O3 ・ m SiO2 

    尚、ROはアルカリ類を表し複数の物質が含まれますが、トウタル1モルに成る様します。

    n又はmは、アルミナと二酸化珪酸の「モル」数を表します。

     注: 「モル」とは分子量に重さの単位gを付けた数字です。

        分子は各元素の集合体で、元素は各々固有の原子量を持っています。

        例えば、酸素 O=16 アルミニウム Al=27 シリカ Si=28ですので

        Al2O3= 27X2+16X3=54+48=102 即ち102gが1モルと成ります。

        同様に、SiO2=28+16X2=28+32=60  60gが1モルに成ります。

        参考までに:1モルとはその原子の数が602X10の21乗個の重さを言います。

      尚、各々の原子量は化学の周期律表や、陶芸の本の他、インターネットなどで知る事が

      できます。

  ② ゼーゲル式から何が解かるのか?

    ) 釉の熔ける温度が類推できます。

       ゼーゲルはドイツの化学者で、ゼーゲル式を発明し、それを元にぜーゲル錐(コーン)を

       発明します。 窯の温度を知る大切な物として、現在でも多く使われています。

       600℃(SK-022)~2000℃(SK-42)までありますが、一般的には

       SK-5a(1180℃)、SK-6a(1200)、SK-7(1230)、SK-8(1250)、SK-9

       (1280)、SK-10(1300℃)が使われます。 コーンの使い方は後日お話する予定です       

    ) 釉の性質即ち、透明、乳濁、マット、結晶釉であるかが推測できます。

       即ち、n : m の比で決まります。詳細に付いては後日お話します。

    ) 式の一部を変化させる事により、熔け易い釉や熔け難い釉を作る事が出来ます。

    ) 釉の原料を他の材料と置き換える際、どの位の量にすれば良いかが解かり易いです。

   但し、灰を原料とする灰釉の場合には、灰の含有成分がいまいちはっきりしませんので、

   ゼーゲル式で表す事が出来ません。

以下次回に続きます。   

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新釉の話40 自分で釉を作る9 材料の混合2(添加剤)

2013-09-17 21:39:50 | 新釉(薬)の話

4) 釉の添加物。

  ① 沈殿防止: 一定時間放置された釉は、重力により水と釉が分離し、容器の底に沈殿

     します。場合によっては、手で攪拌出来ない程、硬く固まる場合も多いです。

     釉によっては、使用した傍から沈殿が起こります。良く攪拌しないと容器の上下では濃度が

     違う事もあり、施釉も斑(まだら)に成る場合もあります。

    ・ 釉が硬く固まって沈殿する理由: 粘土粒子は微細な板状の面を持ち、お互いの間に水分を

      保持している為、沈殿しても硬く固まりません。釉の材料である長石や珪石は、嵩(かさ)

      張る事も無く密着し易く、水分を排除して硬く固まります。

     沈殿を防止には、幾つかの方法があります。

   ) 沈殿防止剤を添加する。

      沈殿防止剤で沈殿を防止する事は出来ません。但し、沈殿した材料を硬く固まり難く

       する事で、手で攪拌して容易に溶かす事が出来ます。

      沈殿防止剤には以下の物があります。

     a) 塩化アンモンニウム、塩化マグネシウム。

       両方とも水に溶かしてから、釉に添加します。添加量は1~3%程度です。

      ・ 塩化アンモニウムは、少しずつ分解して溶け6~12ヶ月で効力が無くなります。

        焼成初期に熱分解を起こし、釉中に残りませんので釉を変える事は有りません。

      ・ 塩化マグネシウムは、熱分解後に、マグネシウム成分が残りますが、少量の為気に

        する必要はありません。

      b) その他の沈殿防止剤。 塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、ニガリ等があります。

        これらも少量添加して使います。

    ) 少量の可塑性粘土を添加して沈殿を防止する。

        可塑性粘土としてベンナイトを用います。添加量は1~3%程度で、多過ぎると釉に

        色が付き、熔ける温度に変化を与えますので注意。

        ベンナイトは他の材料に対して、極端に粒子が細かく、長い間釉に浮遊し沈殿を遅く

        すると同時に、ベンナイトの構造により釉の固まるのを防ぐと言われています。

  ② 素地に付着し易くする為の添加剤として、CMC糊、アラビアゴム、デキストリン等があります。

    いずれも有機物ですが、CMCが一般的に使われています。他の添加剤は微生物による分解が

    CMCより起こり易く、効果も限定的です。

    釉の調合で可塑性が少ないと、素地に密着せず施釉後に、「釉はげ」を起こす事があります。

    その際、付着力を持たせる為、上記添加剤(粘着剤と言います)を用います。

    ) CMC糊(カルボキシ・メチル・セルロース・ナトリウムの略)。

       一番良く使われる粘着剤です。

      木材のパルプから作られる粉末状の化学糊で、水に溶かしてから0.1~1%添加します。

      添加量を増やすと、施釉後水分を含み過ぎて乾燥が遅くなります。

      ・ CMCは水に溶け難い: 1000ccの水に25gのCMCを溶かしますが、完全に溶ける

        までには2日程掛ます。その間度々攪拌する必要があります。但し、熱湯を使うと時間を

        短縮する事が出来ます。

      ・ 焼成時に熱分解を起こし、釉に溶け込む事はありません。

      ・ 尚、CMCは素地に1%程度添加する事で、乾燥時の機械的強度を増しますので、ひびや

        割れ、歪みなどに対して有効です。

     ) その他の粘着剤にアエアビアゴムがあります。又以前ですと「ふのり」も使われて

        いましたが、腐敗しやすい為、現在ではほとんど見かけません。  

以下次回に続きます。    

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新釉の話39 自分で釉を作る8 材料の混合1

2013-09-16 21:23:54 | 新釉(薬)の話

希望する釉の材料の調合比率が導き出されたら、いよいよ材料を混ぜ合わせて、釉を作る事に

なります。釉の材料で注意する事は、水に溶けるアルカリ類(可溶性塩類)は取り除く事です。

市販されている物では、除去されていますが、ご自分で作った灰等は、何度も水洗いする必要が

あります。 水に溶けるアルカリ類は、釉に悪い影響を与えます。

1) 釉の調整には以下の用具が必要です。

  ① 秤(はかり): 量る重量によって秤の種類と精度が違います。

   ) Kg単位で量る場合。 1~2Kgの範囲内の秤では、最小で50g単位で計る事が出来ます

      勿論、3~4Kg程度の秤では、100g単位と成るでしょう。

      一般家庭で料理で使うバネ秤で十分です。

   ) 100gまで量る秤。上皿天秤が一般的です。

      左右に皿があり一方の皿に必要な重さの分銅を載せ、他方に材料を載せ左右の重みが

      一定に成る様に(左右の皿の高さが一定に成るまで)材料を乗せてゆきます。

      陶芸で良く使われる秤で最小でも0.01g程度は測れます。

    ) 化学天秤で量る。 薬剤の調合などで使われる精度良い秤で少量を量るのに適します。

       天秤秤と電子秤があります。但し、高価な秤ですので、ここまでの精度は不要と思われます

       電子秤で0.1g程度まで量れれば十分です。

  ② 容器: 

   ) 複数の釉の原料を混ぜ合わせる為の器で、プラスチックや金製のボール等を使います。

   ) もう一つは、上記器で混ぜ合わせて作った釉を保存する容器(バケツ等)です。

  ③ メッシュ(篩、ふるい)100~80番: 番号の大きい物ほど、網目が細かくなります。

     メッシュに通す事により、釉の「ダマ」(かたまり)を擂り潰します。

  ④ 水とコップ、攪拌棒(又はゴムヘラ)。

  ⑤ 乳鉢、ポットミル。

  ⑥ 沈殿防止剤、化学糊(CMC)など。

2) 材料を混ぜ合わせる。

  ① 各々の材料を秤で計量する。

  ② 全ての材料を器(ボール等)に入れ水を注ぎます。

     水の量は、材料の合計が1Kg程度であれば、800cc程度です。

     水の量はやや少なめですが、施釉する際濃い目であれば、水を追加します。

  ③ 原料を手(又は攪拌棒)で良く掻き混ぜます。その際、塊があれば手で潰します。

    ・ ポットミルが有る場合には、ポットミルに材料と水を入れ、擦り潰しなす。

  ④ バケツの上にメッシュ(篩)を載せ、攪拌した材料を流し込み、手やゴムヘラでこすりながら

     篩を通します。(場合によっては二度通します。)

    ・ メッシュは高価な物で、無い場合には、乳鉢を用い「ダマ」を潰したり、粒子を細かくする事も

      出来ます。尚、粉末状態で篩(ふるい)に掛ける事もありますが、水を入れた状態の方が

      良い結果が出ます。

3) 原料を擦り潰す際の注意点。

   ① 擦る事の利点。

     粒子の細かさを揃え、各材料を均一に混合する事で、釉の熔融温度範囲を広げ、表面張力を

     調整し、釉肌を安定させ、更に色釉の発色も安定化させる働きがありますので、一般的には

     良く擂る事が重要で、以下の利点があります。

     ) 微細な粒子の為、釉が浮遊し易く沈殿し難いです。

     ) 各材料と完全に化学反応を起こし、均一に熔融します。

     ) 釉が安定し、釉肌も美しくなります。

   ② 擦が不十分な場合の問題点。

     ) 粒子が荒い為、直ぐに沈殿し易くなります。

     ) 粗い粒子では、十分に均等に熔融せず、釉肌に「ザラツキ」が残り易いです。

     ) ピンホ-ルや、貫入が入り易くなります。

   ③ 擦り過ぎた場合の問題点。

     ) 表面張力が強くなり、釉の縮れ(ちぢれ)現象を起こし易いです。

     ) 細かい粒子は水分を多く含み易く(水和と言う)、施釉時の乾きを遅くします。

4) 釉の添加物。

以下次回に続きます。

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