わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

茶道具 (建水1)

2010-06-02 22:24:49 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
茶道具の建水(けんすい)に付いて、お話致します。

建水は、茶碗を清めたり、温めたりした時に使った、湯や水を、捨てる為に使います。

通称「こぼし」と言い、水下(みずこぼし)とも書きます。

・ 建水は、最も格の低い、脇の道具として、点前の際は、勝手付に置かれ、客からは、見えにくい

  所で使われます。会記でも、最後尾の、一段下げた所に、記されます。

1) 建水の材質

   材質からの分類すると、金属、陶磁、木竹の3種類に、区別できます。

 ① 金属は、唐銅の他に、砂張(さはり)、毛織(モール)、七宝(しっぽう)、鍍金(ときん)、

   南鐐(なんりょう)、真鍮(しんちゅう)などが使われます。

 ② 陶磁には、南蛮焼、ハンネラ、染付、朝鮮系、備前焼のほか、瀬戸焼、信楽焼、伊賀焼、丹波焼、

   唐津、織部、京焼などがあり、その産地、形状とも多種多様で、一定の形は有りません。

  ・ 日本に渡来した南蛮陶の産地としては、ベトナムや、タイ、又は、中国南部の物や、朝鮮半島の

    焼き物が、南蛮物とされている例もあります。南蛮陶には、施釉物と無釉の物とが有ります。

 ③ 木竹は、「曲(まげ)」と言われる物で、最も素朴で、清浄感のある木地(きじ)曲のほか、

   塗曲、蒔絵、箔押しを施したもの、また竹や、桜皮を周囲に、張り巡らせた物もあります。

2) 建水の形

  形状は筒型や桶型、壺型など、湯を捨て易い様に、口は大きく、開いている物が、ほとんどです。

  建水の形 ‥形としては、昔より「七種建水」と、呼ばれる物があります。

 ① 大脇差(おおわきざし)… 利休愛用の形と言い、黄瀬戸が好まれました。

   いつも、腰の傍らに、置いたので、腰につける脇差に、連想して名付けられたと、思われます。
 
   胴が捻貫の様に、成っている円筒形で、やや背の高いものです。

 ② 差替(さしかえ)、… 大脇差の小形の物です。

 ③ 棒の先(ぼうのさき)… 駕篭等の、担ぎ棒の先端につける、金具の形からの命名です。

 ④ 槍の鞘(やりのさや)… 槍の穂先に、かぶせる鞘の形に、似ています。

 ⑤ 箪瓢(たんぴょう)… 瓢箪(ひょうたん)を逆さまにした形です。

 ⑥ 餌 畚(えふご)… 鷹匠(たかしょう)が持つ、鷹の餌入れの形。

 ⑦ 鉄 盥(てっぱつ)… 浅くて、低い平建水。

 その他の形として、

 ⑧ 合 子(ごうす)… 本来は、蓋物の容器のことですが、建水の場合は、蓋物の身の方を、指します。

 ⑨ 毛 織(もうる)… 袋形で、口縁の下に、「くびれ」があり、胴には、連弁の彫文、口に唐花、

   唐草の打出し文様が、施されています。

  (チベットでは、この形の容器のことをモールと呼んでおり、 建水の場合には、材質と形と

   両方の意味で、モール建水と呼んでいます。)

以下次回に続来ます。
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