わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 159 粘土と粘土の接着法4?

2015-06-30 22:08:20 | 素朴な疑問
2) 異なる性質の土を接着する場合。

  性質の異なる土同士を接着するのは、「剥がれや割れ、ひび」等の問題が発生する事が多いです。

 ① 土にはその土特有の性質があります。

  例えば、腰の強い土や弱い土、成形し易い土とし難い土、轆轤挽きに適する土と適さない土、

  赤土など色の付いた土と、白い土(顔料を添加して色土が作り易いです)、粒子の粗い物と

  細かい物、水分を吸収し易い土、乾燥の早い土と遅い土、軽い土と重たい土、乾燥時の収縮率の

  大小、焼成(耐火)温度が高い土と低い土、焼き締まり易い土と、焼き締り難い土、などなど、

  数え上げればキリがありません。多くの場合その性質を最良の形で引き出す方法で、作品を制作

  します。

 ② 土同士を接着して模様を着ける方法には、鳴海(なるみ)織部や市松模様に代表される練り込

  みがあります。これらは、土の色の違いによる装飾方法です。

  ) 無難な方法は、同じ粘土を使い、一方に鉄や銅、コバルトなどの金属の顔料を混ぜて

    色土を作ります。二色以上の色土を使う方法もあります。同じ土であれば、収縮率などの

    差が無い為、「ひびや割れ」が起き難い為です。

  ) 又、同じ産地の色違いの土を使う場合があります。

    顔料を入れた色土は、人工的でやや不自然な感じがします。そこで自然の色土を使うと、

    違和感の無い調和の取れた色使いになります。その際、同じ産地の土を使えば類似した

    性質になりますので、「ひびや割れ」の危険も少なくなります。例えば信楽の白土と赤土

    などです。他にも、同じ産地だありながら、色の違いのある土も意外と多いです。

  ) 鳴海織部は板状にした白土と赤土を、平面で繋ぎ合わせてから作品に形造ります。

    形造る際には、型などを使う事がありますので、さほど難しくはありませんが、土同士を

    繋ぎ合わせる際、注意が必要です。

   a) 接着面の広さが広い程、機械的強度が強くなります。広さとは長さと厚みです。

     即ち細かい模様の程、接着面は小さくなります。例えば「矢羽文」や「鶉(うずら)文」

     などの練り込み模様では、細かい文様になります。

     又、接着面が直線より曲線の方が、より多くの糊代(のりしろ)が取れますので、しっか

     り接着できます。

   b) 接着面には「ドベ又は水」を使って接着します。

     一般に「ドベ」を使う時には、接着面に細かい刻みを着けますが、練り込み等では刻みを

     付ける事が出来ません。即ち刻みを付けると、異なる色の境に小さな傷が出来、表面まで

     浮かび上がる為、シャープな境目がでません。尚「ドベ」は素地の色又は色土の色のどち

     らかに統一して使います。見た目以上に「ドベ」が幅広に見える場合もあります。

   c) 接合面の強さは、両側からからの押し圧の強さに掛ります。

     市松模様の際、色土のブロックを交互に積み上げてから、板状にスライスします。

     接合面に刷毛で水を引いってから、ブロックを重ね合わせます。

     接合面をより強固に密着させる為には、ブロックの状態で板などで叩き締めたり、万力

     等でしっかり締めます。

   d) 接着した状態で、数日寝かせると、より強固に接着できます。

     その際、全体が乾燥しない様に、ビニール等で包む事です。

  ) 接合面が剥がれる方向に土を伸ばさない様にして、形造りします。

    板状の土を型に押し当てて作品を作る場合でも、型の外側を使うより、内側を使った方が、

    より安全です。即ち、型の外側を使う事は土が伸び易くなります。逆に内側を使う事は、

    土を圧縮しながら形を造る事になりますので、剥がれる危険は少ないです。

4) 化粧土を素地に塗るのも、土と土との接着と見なす事も出来ます。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 158 粘土と粘土の接着法3?

2015-06-28 20:31:50 | 素朴な疑問
1) 接着する物同士の乾燥具合によって、接着方法も異なります。(前回の続きです。)

 ① 土同士が十分軟らかい場合。

 ② 削れる程度に乾燥している場合。

 ③ 白くなる程度に乾燥している場合。

  ) 陶器の場合、乾燥して白くなった土に、後から土を付け加える事はしません。(磁器では

   行う様です)理由は、後から接着が効かない為です。例えば、「ドベ」を使ったとしても、

   一見成功した様に見えても、素焼き後であっても、少しの衝撃で離れてしまいます。

   又接着面の強度が弱く、例え無事に本焼きまで辿りついても、剥がれる事が多いです。

  ) 素焼き前に「割れやひび」が入った場合、「ドベ」等で補修しても、上手く行かない

   事が多いです。完全に「割れ」て、別体(バラバラ)になった場合の方が処置し易いです。

   単なる「ひび」であった場合、その隙間に「ドベ」を入れる事は難しく、隙間に入った様に

   見えても実はその表面の割れ目に入り、中まで浸透していません。一般には、「割れやひび」

   の入った作品は、焼成せず元の粘土に戻すのが正解です。

  ) どうしても諦め切れない人には、陶芸用の接着材があります。しかし、必ずしも上手く

   とは限りません。特に、本体からぶら下がる様な形状のものは、本焼きで剥がれ落ちる危険性

   が大です。接着する前に、取れた部品を元に組み立てた時に、安定して自立していれば、

   接着も有望です。この段階で不安定の場合は、失敗する確率が大きいです。

 ④ 背の高い作品を作る場合、上部になる物を、途中から継ぎ足す方法があります。

   紐作りの場合は、普通に行われている方法ですが、轆轤作業でも行う事が可能です。

   轆轤作業では、以下の方法があります。

  ) 円筒形に挽いた二つを上下に積み上げる方法。

    一方の円筒には底があり、他は底のない筒にします。当然接合面の径は同じにしておきます

    下になる円筒は、上に載せる円筒の重みに耐える程度に、乾燥していなければ成りません。

    接合面は生乾きの状態で、乾燥度合いによって、そのまま載せる(上部が軽い場合)、

    水を引いてから載せる、更には「ドベ」を付けてから載せるの、三通りの方法があります。

   a) 高さが20cm程度の筒を轆轤で二個挽く事が出来れば、これを縦方向に繋げば、40cm

    の筒になります。但し、土の内径は片手が入る程の大きさが必要です。上に筒を載せてから

    繋ぎ目の内外から濡れた布切れ等を使い、周囲の土を上下させて滑らかに繋ぎ合わせます。

    筒の内径が細い場合には、「柄コテ」を使います。「柄コテ」に布切れを巻き付け、

    水切れが無い様にします。

   b) 背が高くなると、振れ易くなりますので、完全に振れが無くしてから、形作りに入り

    ます。一般には、胴体部分を広げる事が多いです。

  ) 作品の下部と上部を別々に形作り、下部が生乾きの段階で上部を繋ぐ方法。

    大よそですが予め、上下の形が確認できますので、全体のイメージが解かり易いです。

    但し、接合面が肉薄で、径が大きくなり易くなりますので、上記)の方法より慎重に

    作業する必要があります。下部を乾燥させる際、接合面が乾かない様に、濡れた布切れで

    覆い乾燥を防ぎます。

  上記の様に上下の作品を繋ぎ合わせれば、轆轤作業に精通していなくても、軽くて大きな

  作品を作る事ができます。  

2) 異なる性質の土を接着する場合。

以下次回に続きます。

 
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素朴な疑問 157 粘土と粘土の接着法2?

2015-06-27 21:52:01 | 素朴な疑問
1) 接着する物同士の乾燥具合によって、接着方法も異なります。(前回の続きです。)

 ① 土同士が十分軟らかい場合。(前回はここまで述べました)

 ② 削れる程度に乾燥している場合。

  タタラ(板状の土)で箱型などの作品を作る際、そのタタラが自立できる程度に乾燥していな

  ければ、組み立てる事が出来ません。又コヒーカップに取っ手を付ける際にも、本体の底削りを

  終えてから行います。即ち、土に別の何かを接着する際、生乾きの状態で行う事が前提になる

  場合が多いです。

  ) 接着する物は、本体と同じ程度に乾燥していなければ成りません。

    乾燥とは、土が収縮する事です。それ故、後から付けた物が本体より乾燥不十分の場合、

    本体より大きく収縮する事に成ります。その為、後から付けた物が本体側に引っ張られ

    亀裂や剥がれを引き起こします。但し、後から付けたものが、寸法的に余裕があり、引っ張

    られても十分対応が出来れば、「亀裂や割れ」は発生しません。

    更に、後から付けた物が、ある程度乾燥していないと、その形の保持が出来ません。

  ) 接着の方法は両方の接着面に、剣先や櫛で細かい刻み(細い凹み線、アヤメ文様が良い)

    を付け、同じ土で作った泥。即ち「ドベ(ヌタとも言います)」を筆などで塗り、接着面を

    擦り合わせる様にし、前記凹み線内に入り込ませてから圧着します。

    その際、接合面より「ドベ」がはみ出す程度に多量に付けます。量が少ないと、しっかり

    接着でず、強度的にも弱くなります。はみ出した「ドベ」は「竹へら」や指で、綺麗に

    拭き取ります。そのままにすると、接合部分が凸凹になる場合もあります。

  ) 一般に接着は余り広い面積を一度に行う事は少ないです。

    広い面同士を接着する方法は、上記と同じですが、接合時に空気が入り易くなりますので、

    注意が必要です。中央から外側に圧を掛けて行くか、一端から接着し徐々に広げる事で、

    空気を押し出して、閉じ込めるのを防ぎます。空気を閉じ込めると、素焼きの際爆発する

    恐れがあります。

  ) カップ類や急須などの取っ手などを接合する場合、取り付け面の土を伸ばしながら一方に

    なすり付け、接合面を滑らかにする事で、見た目を良くし、機械的強度を増す様にする

    場合があります。更に楔(くさび)状態になった部分に細い紐状の土を入れ、楔を解消した

    りします。 即ち楔状の場所は、汚れなどが付き易く、更に狭い為洗い難い形状に成って

    いるのを解消しようとするものです。但し、隙間に入れる粘土の量が多いと、その土が乾燥

    と共に「ひび」が入り易くなりますので、出来るだけ土の量は少量にすつか、余分の土は

    剥ぎ取ります。

  ) 土には記憶性があります。

   a) 取っ手など板や紐状態から変形(曲げる)して形造ると、乾燥と共に元の状態に戻ろうと

     します。即ち変形前に近づきます。それ故、変形後ある程度乾燥させて変形が大きく

     ならない様にしてから、接着します。

   b) 圧縮した部分は、元の状態に戻ろうとして膨らみます。

     接着するとは、土同士を圧縮させて押し付ける行為です。押された土は縮みますが、

     乾燥と共に、元の状態に戻りますので、接合部分が若干膨らみます。

   c) 良く挙られる例は、急須の注ぎ口を接着する際の注意です。

     轆轤の回転方向に捻られて作った(挽いた)注ぎ口は、乾燥と共に捻れが戻る様な働き

     をしますので、その戻りを見越して注ぎ口を取り付けます。

 ③ 白くなる程度に乾燥している場合。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 156 粘土と粘土の接着法1?

2015-06-26 20:12:28 | 素朴な疑問
主に手捻りに多い作業ですが、手捻りに限らず、電動轆轤作業の際でも、土と土を接着する必要に

迫られる場合があります。その他、広い意味で異なる粘土同士を混ぜ合わせる行為や、化粧土を

塗る(刷毛目など)作業、象嵌(ぞうがん)も、土同士の接着と見る事ができます。これらの行為が

成功する場合と失敗する場合がありますが、今回のテーマは、その原因と対策方法を考えたいと

思います。

1) 接着する物同士の乾燥具合によって、接着方法も異なります。

 ① 土同士が十分軟らかい場合。

   軟らかいとは、手や指で容易に変形可能と言う事です。但し「泥々」の状態では有りません。

  ) 代表的なのが、手捻りの紐作りの方法です。

    多くの場合、同じ土を使う事が多いですが、上下で異なる土を使う場合もあります。

    a) 土で紐が作れると言う事は、土は十分軟らかく成っているはずです。

    b) 紐作りには色々な方法がありますが、基本的には、下段の土に同じ太さの新たな土を

     上に載せ背を高くし、より大きな作品を作る時に際に行われます。

    c) 下段の土の上に、土をやや捻り(ねじり)ながら、別の土を押し付けて積み上げます。

     その際、「水やドベ」などは使わず、直接押し当てます。水を使うとむしろ接着し難く

     なる場合があります。注意点は、押し当てた部分に隙間が出ない事や、空気の塊を閉じ

     込めない事です。

    d) 圧着部分に隙間が出来ると、その部分から割れ目や剥がれが起こり易いです。

    e) 繋ぎ目を消します。一般に手の指を使う事が多く、水で濡らした「竹へら」を使う事も

      あります。更に、面積の広い場合は、「コテ」を使う事もあります。

      繋ぎ目を消すには、上下の土を交互に上下と擦り付け、繋ぎ目の横線を消します。

    f) 肉厚が厚く、大きな作品の場合、内側に「コテ」を当て、外から叩き棒で叩き土を

      締める事で、「割れやひび」の発生を抑える事ことも出来ます。

    g) 接着の成功とは、「ひびや割れ」がない事と、水漏れを起こさない事、更に強度的にも

      一体感がある事です。紐作りの場合、紐の跡を消すのが一般的ですが、文様やデザイン

      として、片面のみ紐の跡を残す場合もあります。

  ) マーブル(大理石)模様を作る場合。

    二色以上の粘土を適度に菊練などで練り、糸などで切りその断面を見ると、マーブル模様

    に成っています。練る回数によって、粗い模様から細かい模様まで変化します。

    この板状の土で板皿などを作ります。 又、その模様も一度限りのもので、再度同じ模様を

    作る事は出来ません。

   a) 二色の土は同じ土で、一方には練り込み用の顔料(多くの色が市販されています)を

     添加した色土を使うと上手くいきます。土が異なると、土の収縮率などが微妙に変化

     しますので、境目に「ふびや割れ」が入り易いです。

   b) 二色を練り込む前に、各々の土は十分練っておく必要があり、軟らかさも同じ様にして

    おきます。

  ) (電動)轆轤作業中に土を足す事が可能か?

   a) 一般に轆轤作業中に取れた(ネジ切れた)土は、元の土に接着する事は出来ません。

    多い事例として、轆轤作業に馴れていない方が、土殺し中の「伸べ上げ」の際土をネジ切って

    しまう事があげられます。この場合、同じ軟らかさの土であっても、原則元の土に着ける

    事は出来ません。理由は、元の土も取れた土も表面が水で濡れている為です。この状態で

    力任せに圧着しても、接着面が滑るだけで一体には成りません。

   b) 接着するには、接着面の水分を布等で拭き取る必要があります。

    水分を取り除けば元の土に圧着し、接着させる事ができます。圧着後は普通に土殺しが

    可能です。又、底に残すべき土が少な過ぎ、穴が空きそうな場合、底の水分を布やスポンジ

    で取り除き、団子状の土を底の中央に置き、真上から指で団子を伸ばす様に接着すれば、

    底の肉厚を厚くする事ができます。

   c) 轆轤作業中に胴体など側面に穴が空いた場合、水分を拭取れば、別の土を接着可能ですが

    上手く行きません。なぜなら、圧着した場所は他の場所より肉厚が厚くなり、轆轤が上手く

    挽けない為です。この場合は諦めて最初からやり直すか、轆轤作業を一度中止し、作品を

    若干乾燥させてから、他の土を圧着し補充します。その後轆轤作業を続行します。

   d) 次々に土を足して轆轤を挽く。

    轆轤上の土が残り少なくなった場合、土を更に追加する事があります。その場合、最後の

    作品の底を糸で切って取り上げた状態のままで、その上に土を足します。

    糸の切り跡は濡れていないはずです。即ち接着面に水分が残っていなければ、追加の土を

    くっ付ける事が可能です。

 ② 削れる程度に乾燥している場合。

 ③ 白くなる程度に乾燥している場合。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 155 素焼きの焼成時間は2?

2015-06-25 21:51:45 | 素朴な疑問
3) 近年は焼成時間が短くなっています。

 ② 素焼きの時間も短くなっています。(前回の続きです。)

  ) 素焼きでの爆発事故の原因。

  ) 素地に含まれる有機物が燃える温度。

  ) 素焼きで「ひび」が入り易い温度。(素地の熱的変化と、結晶水の放出)

   a) 素地に含まれる水の量は、成形水量と結晶水に分かれます。成形水量は可塑性を増す

    働きがあり、成形方法によって増減する事ができます。大気中に放置すれば、徐々に蒸発し

    乾燥が進みます。

   b) 結晶水は素地内で化学的に結合した水で、大気中では絶対に蒸発する物ではありません。

    一般に素地の中に14%程度含まれており、粘土物質では450~500℃の加熱で粘土の結晶が

    破壊されて、結晶水が失われると言われています。尚、粘土の成分によって、結晶水が抜け

    出る温度も変化します。結晶水が抜けるこの状態の粘土質を、メタ・カオリンと呼びます。

    吸熱反応ですので、この温度範囲内では、温度上昇が鈍くなり勝ちです。

    市販の粘土を使う場合、この間に温度を急上昇させても、ほとんど問題に成りません。

    但し、素地によっては、急上昇させると、分解温度で収縮が起こり、素地の内部と外部の

    温度差によって歪(ひずみ)が発生します。この歪を解消する為に、亀裂が入る場合もあり

    ます。

   c) 上記温度範囲は、素地の粒子の細かさ、密度、温度の上昇速度によって変化します。

     即ち、粒子が細かい程、更に温度上昇が遅い程、低温で分解が進みます。

   d) 石英を多く含む素地(蛙目粘土など)では、550~650℃の間で大きく膨張します。

     石英は珪酸(SiO2)の原料として、砂状や塊状として存在します。

     石英は573.3℃で長さ方向で、0.45%、体積で1.35%膨張します。但しこの現象は可逆性で、

     冷える際には、同じ量減少します(冷め割れの原因)。それ故、石英を多く含む土は、

     この温度範囲では、慎重に温度上昇させる必要がります。

    e) 尚、素地がガラス質に変化し始めるのは、約980℃程度からです。それ故、素焼き後に

     施釉するのであれば、この温度以下で終わらなければ成りません。

   ) 冷め割れ現象。

    窯焚きは温度を上昇させるだけでなく、窯を冷ますのも窯焚きの重要な要素になります。

    素焼きのみならず、本焼きに付いても言える事ですが、ここでは素焼き時に付いてのべます。

    600~500℃の間で、肉厚が厚く、石英を多く含む粘土などでは、急冷すると「冷め割れ」を

    起こします。これは上で述べた様に、石英の結晶の形態が変わり、容積が急減するからです。

    他の成分との間に歪(ひずみ)が発生する為で、この歪を解消する為に、「割れ」が発生

    する物です。その為、急激な冷えは悪い影響を与えます。

 何度も述べますが、市販の粘土類は、様々なトラブルを回避する様に、調合されていますので、

 上で述べる事柄は、ほとんどありません。それ故、素焼きの時間も3~4時間で終わらす事も

 可能に成ってきています。但し、素焼きでは素地の生乾きによる水蒸気爆発に気を付ければ、

 従来の半分程の短時間焼成も可能です。

    
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素朴な疑問 154 素焼きの焼成時間は1?

2015-06-23 21:32:37 | 素朴な疑問
3) 近年は焼成時間が短くなっています。

 ② 素焼きの時間も短くなっています。(前回の続きです。)

   素焼きは本焼きに比べ、同じ温度になるまで、1.5~2倍程焼時間が長くするのが一般的で、

   陶芸の技術書にはその様に書かれています。現在でも同じでしょうか?

   それは、急な温度上昇では、窯の中で作品が爆発したり、「ひび」が入り易くなる為です。

   爆発は文字通り、作品が粉々になり、周囲に散乱する状態です。飛び散った破片は周囲の

   作品に当たり、その周辺の作品を壊す事になります。場合によっては、電熱線を痛めたり、

   窯の壁を破損させる事もあります。実際、小生も数回爆発事故を経験しており、窯を焚いた

   事のある人なら一度は経験している事でしょうす。

  ) 素焼きでの爆発事故の原因。

   a) 爆発は水蒸気爆発です。 素地に含まれる水分が温度上昇と共に、水蒸気と成って作品の

    表面から抜け出します。温度上昇が緩やかな場合には、内部からの蒸気の発生量が少なく、

    水蒸気が素地に留まる量も少なくなり、爆発の危険性は少ないです。

   b) 逆に放出量より、発生量が多いと、素地の内部に水蒸気が滞積し、内部の圧力が高まり

    ます。その結果素地の弱い所から亀裂が入り、最終的には爆発を起こします。

    爆発音は、窯の外にまで聞こえますので、直ぐに判ります。

    それ故、ゆっくり温度上昇をさせる必要があります。

   c) 素地から水蒸気が発生するのは、ある温度範囲の場合のみです。それ故、その温度範囲は

    ゆっくり温度上昇させれば良く、それ以外では、躊躇無く温度上昇させても安心です。

    a) その温度範囲は約230~約300℃です。この温度範囲では、10分間に10℃程度の温度上昇

     ならば安全です。一番危険な温度範囲は、約240~約270程度です。

     但し、窯が低い温度の場合には、窯の中の温度に「バラツキ」があります。その為、

     窯の隅々まで約240~270℃にするには、窯の容量にもよりますが、約300℃程度まで注意

     する必要があります。

    b) 窯に点火(通電)直後から約200℃程度までは、温度を急上昇させても、ほとんど問題

     有りません。この段階でゆっくり温度上昇させる事は水分を蒸発させる事になりますので

     必ずしも無駄では有りませんが、水分は別の方法で少なくする事で代用できます。

     即ち、作品制作後に十分乾燥させ、窯詰め直前に晴天の下で天日干し、水分を少なくする

     事です。但し天日干ししても、若干の水分(2~5%)が残っています。特に肉厚の作品は

     内部まで乾燥しているか注意が必要です。

   c) 300℃程度までは、窯の扉などを少し開け、水蒸気が逃げる様にします。

    水蒸気が外に逃げる様にしないと、水蒸気が何らかの理由で、水滴に戻り、作品の上に

    落ちると、釉の表面に染みが出来、汚れます。

    天火干しし水分が少なくなっている場合、水蒸気の発生量は少なく、危険温度地帯も短時間

    で終わります。尚、水蒸気の発生は、冬場であれば目で確認できます。夏場でも大量の場合

    には目で確認出来ますが、カラス(ガラス瓶)などを蒸気の出口穴にかざせば、曇り具合

    から発生量が判断できます。

  ) 素地に含まれる有機物が燃える温度。

    市販されている土には、不純物である有機物はほとんど除去されていますので、問題あり

    ませんが、ご自分で採取した土に有機物(木の葉や腐った木片)が含まれている場合には、

    300℃程度から燃焼が始まります。若し有機物が含まれていると、300℃以上で温度を急上昇

    させると、「ぶく」と呼ばれる現象が起こります。

     注: 「ぶく」とは、煎餅(せんべい)の様に素地の一部が膨らむ現象で、素地の表面が

     凸凹になります。

   )素焼きで「ひび」が入り易い温度。(素地の熱的変化と、結晶水の放出)

    一般に300℃を超えた段階より、約550程度までは、温度を急上昇させても問題ありません。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 153 本焼きの焼成時間は3?

2015-06-22 17:50:04 | 素朴な疑問
3) 近年は焼成時間が短くなっています。

 ①  焼成時間が短くなった理由(前回の続きです。)

  ) 温度上昇速度にメリハリを付けて短時間で焼成を終わらせる。

    極端ですが、大分以前に、素焼きが2時間、本焼きが4時間で終わる事が可能と宣伝する

    「ガス窯」がありました。果たしてどの位まで時間を短くする事が可能でしょうか?

    焼成には、最高温度と窯焚きの時間の長さが必要です。最高温度は釉を熔かすのに必要な

    温度であり、時間は素地を焼き締めるに必要な時間と、釉を平滑にする遺憾の長さです。

    最高温度は判り易いですが、時間はいまいち理解が出来ないかもしれません。

    メリハリを付ける事とは、以下の事と思われます。

   a) 低い温度で時間を掛けても余り役立ちません。必要な時(温度)に十分時間をかけます。

    素焼きした作品を本焼きする場合、素地はすでに750~800℃程度の温度に晒されています

    ので、この範囲内で時間を掛けても、素地にほとんど何の変化も起こりません。それ故、

    時間を掛ける事は、多くの場合無意味になります。

   b) 必要なのは、高い温度で長時間持続させる事です。

    950℃近辺より、酸化又は還元焼成に入ります。一般にこの過程では温度の上昇が鈍くなり

    ます。 燃料や空気の量との関係もありますが、主な理由は釉が熔ける為に、熱量が取ら

    れる事です。この段階(950~1200℃)でどんどん熱量を増やし温度急速に上げると、何らか

    の問題が発生するでしょうか?。熱量が増えると、素地は徐々に収縮します。収縮が早まる

    からと言って、釉薬も溶け始め軟化しますので、素地の収縮で、釉が素地から離れる事は

    考え難いです。但し、粘土には、急速な温度上昇に耐えられない物もあります。多くの場合、

    有機物を含んだ土です。この場合には急上昇は厳禁です。但し、市販の土では余り見る事は

    ありません。即ち、調合、精製された土が主だからです。但し、ご自分で採取した土は

    試し焼きをして確認が必要です。

    更に、釉に含まれる不純物(有機物など)が燃えガスが発生し、釉の表面より抜け出る為、

    釉の表面が痘痕(あばた)に成るかもしれません。但し、痘痕になっても、1200℃以上に

    なれば、釉も本格的に熔け、痘痕も消えますので、この段階での痘痕はほとんど問題に

    成りません。

   c) 施釉した作品を本焼きする場合には、施釉した作品が水を吸っている場合、この水分を

    蒸発させる為に、時間を掛ける必要があります。その為ゆっくり温度上昇が必要になります

    但し、水分がほとんど無い程度に乾燥していれば、比較的短時間で高温にする事が可能に

    なります。釉の水分が素地に浸み込みますので、水分が十分に抜けていないと内部の水が

    急激な蒸気となり、素地から抜け出る際、釉を下から浮き上がらせる事になります。

    それ故、施釉したら直ぐに焼成せず、数日置いてから詰めるか、施釉した作品を風通しの

    良い場所や、日陰などで天日干しし、水分を無す又は少なすると、急減な温度上昇も問題なく

    行う事が出来ます。

   d) 以上の事から、施釉時の水分が無くなっていれば、750~800℃までは、急激な温度上昇が

    可能になります。窯の容量や燃料によっては、ここまで3時間程度(従来の半分程度)で

    済ます事も出来ます。但し、窯の大きさや構造の違いによって、窯内の温度がバラツク場合が

    あります。特に急上昇の場合に起こり易いです。その為、本格的な焼成に入る前に、窯の

    温度を均一化する時間が欲しいです。

   e) 還元や酸化に必要なのは、温度と窯の雰囲気です。温度は約950~1200℃と言われ、

    それ1200℃以上は酸化焼成するのが一般的です。この範囲内で温度を急上昇させても、

    酸化還元に影響を与える事は少ないです。重要なのは、窯の雰囲気です。但し極端な酸化や

    還元では、早く温度を上げたくとも、温度上昇は鈍ります。

   f) 本当に必要な温度は、1200℃以上になります。この期間に長時間晒されて焼き物は、

    焼き締まり、釉も滑らかに熔けます。所定の温度(陶器の場合1230~1250℃)になったら

   「寝らし」作業に入り、一定時間温度を持続させます。技術書を読むと1時間程度の物が多い

   ですが、30分でも十分ですし、窯の容量にもよりますが、短い場合には10分で済む場合も

   あります。短い時間であれば、燃料費(電気代)も安くできます。流れ易い釉の場合は、

   「寝らし」時間は短めにする方が安全です。

   尚、焼成時間を短くした場合、最高温度をやや高めに設定した方が、良い結果が出ます。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 152 本焼きの焼成時間は2?

2015-06-20 21:38:49 | 素朴な疑問
3) 近年は焼成時間が短くなっています。

   本焼きの時間は勿論、素焼きの時間も短くなっています。最初に本焼きに付いて述べます。

   量産を主体とした商業的ではなく、個人やグループ、小規模な陶芸教室などでは、必ずしも

   一度に多量の焼き物を作る(焼く)訳ではありません。陶芸で一番手間隙が掛かり、難しいと

   言われているのが、窯を焚く事です(特に本焼き)。その為、より簡便に窯が焚ける事が

   要望され、それに応じて、窯のみでなく、粘土や釉の改良がなさ、それらが市販されいます。

   以前と比べて、それ程苦労せずに窯焚きが行われる様になりました。但し、「窯焚き一生」と

   言われる程で、窯は簡単に焚ける様に成りましたが、希望する焼き物を焼くには、現在でも

   大変な苦労があるのは、変わりまません。

 ①  焼成時間が短くなった理由

  ) 比較的小型な窯が多くなった。

    特に近年、燃料を使わない小型の電気窯が普及しています。小さな窯では、家庭用の単相

    100Vの電力でも焼成が可能に成っています。小型ですので、短時間で所定の温度に達し易い

    です。尚、燃料(ガス、灯油)を使う窯では、電気窯程容量の小さな窯は見当たりません。

  ) 窯の構造や材質、燃料の影響で、熱効率が良くなった。

    一般に窯の壁材は耐火レンガ(軽量が主役に成っています)を用いて作られていますが、

    その他に、耐火ボードやセラミック・ファイバー(ウール)と呼ばれる素材が出現し重量が

    軽い窯も登場しています。即ち、耐火レンガを使わなくても、1250~1300℃まで耐える事が

    可能の窯であり、フアイバー(ウール)を用いれば、密封度も上がり、温度のロスも少なく

    なっています。又、耐火レンガと併用して使えば、窯の壁の厚みが増し、表面より逃げる

    熱が少なくなりますので、温度上昇も早くなります。

  ) 粘土や釉の改良がなされ、比較的短時間焼成が可能になった。

   a) 粘土は産地毎に特徴があり、温度の急上昇に耐えない土もあります。例えば本来の備前土

    は短時間で昇温すると、素地が煎餅の様に膨らむ為、じっくり温度をげる必要があります。

    その為、焼成時間は長時間になります。その他にも、長時間焼かないと焼き締まらない土も

    あります。

   b) 現在陶芸材料店で市販されている多くの土は、約8時間で焼き締まる様に調合されている

    と言われています。備前の土として市販されている土も、実際にはこの様に調整された合成

    備前が主流に成っています。それ故、8時間程度の窯焚きで土も焼き締まり、作品として

    立派に通用します。但し、素焼きをした作品である事が前提条件です。

    備前土は素焼きを行いませんので、ゆっくり温度上昇させる素焼き分も含めると、実際には

    もっと長くなります。

   c) 市販されている多くの釉も土と同様に、約8時間で十分熔ける様に調合されています。

    勿論、温度範囲は明記されていますので、この範囲内での事です。

    土と釉がこの様に約8時間で焼成できる用になった結果焼成時間も、以前より短くする事も

    可能になりました。

  ) 温度上昇速度にメリハリを付けて短時間で焼成を終わる。

    極端ですが、大分以前に、素焼きが2時間、本焼きが4時間で終わる事が可能と宣伝する

    窯がありました。

以下次回に続きます。
    
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素朴な疑問 151 本焼きの焼成時間は1?

2015-06-19 16:33:14 | 素朴な疑問
本焼きの焼成時間は、窯の種類や大きさによって、数時間~数週間と幅があります。

数週間も焚き続ける窯は、共同窯の大窯や大型の登り窯などの場合で、昔ながらの薪で焼成する

窯です。今では特殊な窯に成っていて、多く使われている訳ではありません。

一般に使う個人の窯でも、焼成時間は、数時間~十数時間とバラバラです。

今まで主に使われている時間の目安は、1時間で100℃上昇させると良いと言う事です。

即ち1250℃までに12時間半で焼成する事になります。窯の温度を測定するゼールコーンは、この

温度上昇に対応しています。勿論、窯の構造や大きさ(容量)、燃料(電気)の違い、窯に入れる

作品の大きさと形、土や釉の種類によっても異なります。

陶芸の技術書や作品写真では、16~18時間程度で焼成時間した物が多い様に見受けられます。

それには、何らかの事情があると思われます。

当然ですが、焼成時間が短い程、燃料費も安く済みますし、労力も少なくなります。

陶芸で一番ランニングコスト(経費)が掛かるのは、燃料(電気)代と言われています。

それ故、なるべく短い焼成時間にしたいのが人情です。どの程度まで時間を短く出来るかが関心の

的になります。

1) 長時間焼成する事のメリット。

 ①  土を焼き締める。

   素地(粘土、磁土)は、高温に曝される(さらされる)と収縮し始め、密度が大きくなり、

   機械的強度も強くなります。即ち、高温で時間が長い程、壊れ難くなります。

   更に、密度が増す事で水を透し難くなり、水漏れも少なくします。作品を指で弾くと高く

   金属音に近い音がし、焼きの締まり具合が判断できます。

 ②  熔け難い釉を完全に熔かす。釉の種類によっては、その組成する材料によって温度だけで

   無く、長時間高温に曝す事で熔ける物もあります。代表的な釉は「志野釉」などがあります。

   又、釉はさほどの高温にせずとも低い温度(SK-1程度低い)で、時間を掛ければ熔ける

   性質があります。その為、一定温度に保ったままの「寝らし」時間を長くしたりもします。

 ③  世の中に名品と呼ばれる作品群は、良く焼き締まった作品が多いです。

   逆に、良く締まった焼き物が、良い焼き物とも言えます。

   それ故、高価な作品では、良く焼き締めるのが普通です。

2) 温度上昇は必ずしも、直線的ではありません。

 ①  本焼きの場合、窯に火(又は通電)を入れた直後の場合には、窯の容積によっては、1時間で

   300~400℃上昇する事も稀ではありませんし、この様に急上昇させても、ほとんど問題が無い

   場合が多いです。この段階ではほぼ直線的に温度が上昇します。

 ②  温度上昇が徐々に鈍る。

   窯の温度が上昇するに従い、温度上昇は徐々に鈍ります。これは主に熱が壁などを通して

   外部へ漏れ出る結果と思われます。1200℃程度までは、どうにか温度上昇しますが、1200℃

   を超える頃から、極端に温度上昇が鈍くなります。

 ③  酸化、還元焼成によっても、温度の上昇は異なります。

   極端な酸化、還元焼成では温度の上昇は見られず、逆に温度低下をもたらす場合もあります。

   但し、酸化、還元焼成だからと言って、土の焼き締まりや釉の熔け具合に影響を与えるもの

   では有りません。単に、釉の色具合に変化を与えるだけです。

3) 近年は焼成時間が短くなっています。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 150 手や指の使い方とは8

2015-06-17 17:41:14 | 素朴な疑問
2) コテ類を有効に使う。

  コテは手や指の代わりをする陶芸用具です。袋物と呼ばれる口が狭い作品や、大皿や大鉢の様に

  広い平面(曲面)を持つ作品に用いる事が多いです。即ち手や指では成形し難い時に使用します

  但し、他の方法を取る事も出来ますので、必ずしも必要と言う訳では有りません。

  陶芸では手や指先の感覚を大事にしますから、出来るだけ、ご自分の手や指で直接粘土に触る

  事を勧めます。「コテ」の材料は主に木製です。その他、ゴム製やプラスチック等でも作る

  事が出来ます。形としては、「柄コテ」と「木コテ」があり、形状は作品に応じて色々あり、

  市販もされていますが、出来るだけご自分で制作する事をお勧めします。

  適当な板材や木の棒があれば、比較的容易に作る事ができます。

 ① コテは、面状で押さえる物、線状で押さえる物、点で押さえる物とに分かれます。

   「コテ」は水に漬けて濡らし、滑る様にして使います。「柄コテ」の場合、先端の突起部に

   濡れた布切れを巻き付け、水切れを防ぐ方法もあります。(但し巻き付ける方向に注意、

   使用時に解けない方向に巻きます。轆轤が右回転の場合、布も右回転方向に巻きます。)

  ) 面で押さえる物の代表的なコテが「牛ベラ」です。主に作品の内側のカーブを作る時に

    使います。同じ形の作品を作る時に便利です。「牛ベラ」は比較的長細い形状(長刀型)で

    先端部分を使いますが、他には、小判型の物もあります。掌(手のひら)でしっかり握り、

    ややカーブした面を当てて使います。使用する際、片手だけでなく、他の手の指で支えて

    使用します。又皿などの場合、「コテ」の裏側に手を添えて、両方から挟む様にすると

    使う時位置が安定します。

  ) 線状に使う「コテ」に「木コテ」があります。主に、鉢や皿、茶碗などの内側に使い、

    特に仕上げに用いる事が多いです。使い方は、「コテ」をやや手前に倒し、縁(エッジ)を

    土に当てます。その際他の手の指で補佐する必要があります。

    コテの役目は、指では狭い範囲にしか力を伝える事しか出来ませんが、「木コテ」では広い

    範囲を、一定の形状で押さえる事が出来ます。

    市販の「コテ」には、中央に丸い穴が開いた物が多く、手の指が握り易くなっている物が

    多いです。形状も「まちまち」ですが、一般的にはユニバーサル型の「おむすび」形の物で

    雲形定規の様に、周辺のカーブが徐々に変化しています。必要に応じて、どのカーブを使う

    かを考える必要があります。

  ) 「柄コテ」は長い柄をもち、先端部(先端近く)に突起(凸状)の「こぶ」を持った物で

    手や指が入らない袋物と呼ばれる、徳利や壷などの内部に「こぶ」の部分を押し当てて

    胴体部分を膨らませたり、形を整えるのに使います。

    柄を鷲掴み(わしつかみ)にし、持ち手の肘は太ももに密着させ手を安定させます。

    細くなった口部分を支点として、掬い上げる様にして使います。基本的には下から上に

    向かって移動させます。「柄コテ」の「こぶ」の部分と対応する外側に、他の手の指を当て

    て使います。使用中に口縁の形が変形する場合も有りますが、余り気にしない事です。

    後から直す事が出来ます。

  ② その他の使い方。

   「柄コテ」は形を整える以外に、細い筒状の作品を作る際にも利用できます。

   細長い作品では手や指が内側に入りません。又、手の入る程度の太さの筒状の作品を外側から

   締めて、細長くする事も出来ますが、肉厚に成ってしまいます。この様な場合、「柄コテ」の

   柄の部分を真っ直ぐ筒状の内側に押し当てながら、外側より、柄に向かって押し付けると土は

   薄い状態で背が高くなります。 その他、利用方法を工夫して下さい。

以上にて手や指の使い方の話を終わります。
    
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