わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 電動轤上達法(削り作業4)

2011-03-08 22:36:16 | 轆轤の上達方法
4) 削り作業の注意点。

  今まで述べて来ました様に、轆轤の中心に置く事や、轆轤や「シッタ」に、しっかり止める事の

  他に、注意すべき事は、以外に多いです。

 一般には、電動轆轤で、削りますが、抹茶茶碗の様な作品は、手回し轆轤の上で、削る事も、

  多いです。電動轆轤では、綺麗に削り過ぎ、茶陶としての、趣が出せない為です。
 
  それ故、「かんな」等の、金属製ではなく、赤松を刀状に、薄く割って使用する場合もあります。

 ① 「かんな」類は、刃物ですので、常に切れる状態に、して置きます。

    砥石や、(鉄鋼、ダイヤモンド)ヤスリで、研ぐ様にします。

 ② 「かんな」類の形は、色々あります。それ故、一つの作品を削る際にも、数種類の「かんな」を

   用意する必要が有ります。

   即ち、直線的な刃の物、丸い曲線的な刃の物、刃の部分が長い物や短い物、三角状の物など、

   削りたい形状に拠って、使い分ける必要が有ります。垂直な面は、直線的な「かんな」を

   使いますが、曲線部分は、丸い「かんな」の方が良いでしょう。

   特に、内側に出っ張っている、曲面は丸い「かんな」が、必要です。

 ③ 一般的に削る所は、器の外側です。しかし、練り込みや、マーブル模様にした場合、器の

   内側を削り、泥(どべ)で隠れている、模様を露出させます。

   この場合、削る事により、模様もどんどん、変化します。何処で止めるかも、決断がいります。

 ④ 削り作業に慣れていない方は、削る事によって、作品の表面に線条の傷を、付けて仕舞う事が

   有ります。これは、「かんな」の刃の部分の角が当たり、深く削ってしまった結果です。

   角が当たらない様に、刃は作品の曲面に沿って、やや回転気味に、移動させます。

 ⑤ 刃物である「かんな」は、上手に刃を立てる事によって、削る事が出来ます。

   それ故、「削りカス」が一番多く出る様に、作品に対して、刃の角度を微調整します。

 ⑥ 削り作業は、前出のマーブル模様以外は、器の外側の高台脇から、胴に掛けて削ります。

   狂いの無い作品ですと、問題が無いのですが、狂いが有ると、削った境目が、はっきり出て

   段違いに成り易いです。そこで、この段差を無くす為に、「ボカシ」を入れます。

   即ち段差近辺で、片手で持った「かんな」を上下させます。片手の為、「かんな」の位置が、

   不安定に成り、作品の凸凹に、「かんな」が追従し、段差が無くなります。

 ⑦ 高台を削る際には、まず、底全体を水平に、削ります。これを怠ると、高台の高さが、場所に

   よって、高低差が出ます。

   高台の、外側の円を描き、円を消さない様に、その外側を削ります。

   高台内を削る際には、刃の短い物を使います。内側に円を描きますが、外側の円との隙間は、

   やや広めに取ります。仕上げ作業で、適正な寸法に仕上げます。

 ⑧ 高台内は、水平かやや中央が盛り上がった、兜巾(ときん)にします。

   中央が、下に落ち込まない様にします。

 ⑨ 最後に、削った面を、掌(てのひら)で撫ぜて、表面の凸凹の有無を、感知します。

   良ければ、高台の畳付(たたみつき)の内外の角を、面取りして、描いた線を消して、

   終わりに成ります。

 ⑩ 削り終えた作品は、轆轤や「シッタ」から、取り離しますが、止めている土を針で、上下で、

   二分し、その上の部分を、取り除きます。この際、作品を傷つけ無い様にします。

   又、大皿の様に、伏せて有る物を、上に取上げる事は、困難です。それ故、轆轤面に沿って、

   滑らせて移動し、轆轤面からやや外に出した所を、下から支え傾けてから、内側に手を入れて

   起します。その際、手板を高台に載せておくと、作業がし易いです。

以上にて、「続 電動轤上達法」の話を、終わります。
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(削り作業3)

2011-03-07 22:15:54 | 轆轤の上達方法
前回の続きを、お話いたします。

 ③ 削りたい底付近を、中心に置く

  ) シッタを使うと、口縁の凸凹の影響は受けません。

   シッタは、作品を浮かせて、保持する為、口径の大きさや、凸凹などに関係なく、作品が、

   安定して、セット出来ます。

   a) シッタは、一般に素焼した、筒状(又は中空の台形)の物を使います。

     (勿論、この代用品や、その都度、土で作る事も有ります。) 

     この筒の上に、ドーナツ状の土を載せ、綺麗な円になる様に、ドーナツの内側、又は、

     外側を削っておきます。

   b) 素焼したシッタは、予め水に漬けて、十分水を、吸収しておく必要が有ります。

     これは、シッタに、土が良く馴染み、くっつき易くする為です。

   c) シッタは、轆轤上に据えて、大まかに、中心を出して置きます。

      シッタが動かない様に、裾野を土で止めます。(三点、又は全周)

    d) シッタの内側は、口径の小さな作品の場合で、口径のやや大きな作品は、シッタの外に

      作品を被せる様に、置きます。

      まず底が水平に成る様に、セットできれば、かなり中心が取れています。

      更に微調整して、中心に移動させます。

     ・ 慣れた方なら、轆轤を回転させながら、作品を横方向に、軽く叩くと、中心が出ると、

       言われていますが、初心者には、まず無理です。

3) 削り作業

 ① 「 かんな」や「掻きべら」で、削りますが、削り作業で失敗し易いのは、刃が作品に

    食い込み、作品が、轆轤上や、シッタ上から、転げ落ちる事です。

   その結果、作品に大きな傷が出来たり、最悪、作品が壊れます。

 ②  その予防法は、作品をしっかり轆轤や、シッタに、やや柔ら来土で、固定する事と、削り

    始めでは、回転速度を落とし、少しづつ削る事です。

    (硬い土を使うと、作品を変形する、恐れが有ります。)

    ある程度削れば、綺麗な円に成りますので、食い込む事は、少なく成ります、ここから

    スピードを早くします。

 ③  又、作品が、浮き上がらない様に、底の中心をやや凹ませ、そこに、中指を当て、やや下に、

    押します。中心に指を置く事は、「かんな」の位置を固定するのにも、役立ちます。

 ④  底には、輪高台、碁笥底高台、べた高台などの種類が有りますが、一般的には、輪高台に

    します。

  a)  釉を掛ける際、高台部分が持てると、指痕が付かずに、綺麗に釉を掛ける事が、

    出来ます。その場合、高台が掴める形にする事と、高台の高さも5mm以上必要に成ります。

    掴み難い形とは、先が細く、根元が太くなった、台形で、摘むと、指が滑って仕舞う形

     です。 それ故、垂直か撥(ばち)高台風にする事です。

  b) デザイン上、碁笥底高台にする事が、有りますが、作品の形によっては施釉が、

    難しくなる事も、有ります。なるべくなら、避けたい形です。

  c) ベタ底は、作業が簡単で、時間に余裕の無い時に、行う事が多いですが、作品が安っぽく

    見られたり、手を抜いている様に見えますので、なるべく、高台を付ける事を、勧めます。

    又、釉は、内側にしか塗れません、それ故、水漏れなどに対して、やや弱い面もあります。

    (但し、目を立てる等の、処置をすれば、内外両面に、塗る事ができます。)

4) 削り作業の注意点。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(削り作業2)

2011-03-06 23:02:08 | 轆轤の上達方法
削り作業は、慣れない人に取っては、轆轤挽きと同程度に、苦労する作業で、時間も、轆轤挽き

以上に、かかる事も、珍しくありません。

2) 作品を電動轆轤の中央に据える。

 ① 轆轤上に据えるやり方は、幾つかの方法が有ります。

   直に、轆轤上に据える。ドーナツ状の土を轆轤上に敷き、その上に、作品を据える。

   更には、シッタ(湿台)を轆轤上に置き、その上に作品を据える方法です。

 ② どの方法を採用するかは、作品の歪みの有無、背の高さ、口径の大小によって、変わります。

  狂いが有ると、轆轤に描いた円に置いても、削りたい部分は、大きく偏芯し、首を振って仕舞い

  ます。 この場合どうすれば、良いかと言う事に成ります。

  ) 轆轤上に直に作品を伏せて据える。

     皿の様に、高さが低く、口径の大きな場合には、この方法が多いです。
   
     轆轤上に鉛筆で、口径よりやや大き目の、円を描くきます。

     この円の中心にくる様に、作品を据えます。

   ・ 具体的には、鉛筆で描いた円と、口径の円の隙間が、一定になれば、O K だす。

     これで、ほとんど、真ん中に置けています。凸凹も、ほとんど影響ありません。

  ) 軟らかい土を、薄く伸ばして、ドーナツ状にし、轆轤の上に敷く。

     更に、ドーナツの上部が、平らに成る様に、「かんな」などで、削り取ります。

     このドーナツの上に、口径よりやや大きな円を、針で描きます。

     それから、逆さにした作品を置きます。

   ・ ドーナツ状の土を置く理由は、作品の口縁が、凸凹していたり、作品が全体に傾いで

     いる場合に、軟らかい土に、作品の一部を、押し込み、調整する物です。

   ・ 目安として、伏せた底が、水平になる様にします。そうする事により、倒れや、凸凹の

     影響を、取り除く事が出来ます。

  ) シッタ(湿台)を轆轤上に置き、その上に作品を据える

      口径の狭い物や、鶴首の様に、逆さにすると、不安定になる作品の場合に、多く

      使用します。

    ・ シッタには、内シッタと、外シッタの二通りの方法が有ります。

      作品の内側に、シッタを置く場合で、器の内側を、支えます。外側に置く方法では、

      鶴首の様な作品は、肩の部分で支えます。

       (当然、肩の部分も、しっかり乾燥する必要があります。)

    ・ 又、全ての作品を、シッタを使って、削り作業を、行う場合も有ります。

      数多くの作品を、削る時にには、便利な方法です。

 ③ 削りたい底付近を、中心に置く

   上記②では、轆轤に据える方法を、述べましたが、これだけでは、不十分です。

   倒れや、口縁の凹凸等の、狂いが無い、作品の場合には、割合簡単ですが、狂いがあると、

   轆轤の中心に置く事が、困難に成ります。

  ・ 削り作業は、底(高台、高台内)と、腰にかけての、肉厚の部分です。

    必要な部分は、底から1cm下位の位置で、中心合わせをします。中心が「ズレ」ると、

    片削りになり、最悪、穴が空きます。 このやり方も、初心者には、困難な作業です。

  ) 轆轤を手でスローで、回転させ、基準となる、左手の人差し指を、作品に軽く触れます。

   a) 作品が、中心にあれば、作品の円周上、全ての所で、指が触れます。

     もし、中心に無ければ、回転と共に、指が付いたり、離れたりします。

     指が離れた、瞬間に、轆轤を止め、指の方向に、作品を移動します。

     この繰り返しで、全てが触れる様に、調節します。

   b) 轆轤を直ぐに止める事は、意外と難しいですので、右手は直ぐに止められる、状態に

     して置きます。

  ) 基準が指の場合、指が動いて仕舞うのでは、意味を成しません。それ故、基準になる

     棒を轆轤の近辺に、置く方法も有ります。

  ) 底に針で、円を描く方法

     作品の底の外径と、描いた円が、同心円に有れば、中心に有る事に成ります。
    
     但し、作品の底の外形が、綺麗な円に成っている事が、前提ですので、轆轤挽きの最後

     では、竹べらなどで、綺麗な円を出しておく、必要が有ります。

  ) シッタを使うと、口縁の凸凹の影響は受けません。

以下次回に続きます。

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(削り作業1)

2011-03-05 22:38:11 | 轆轤の上達方法
作品を仕上げる最終段階に、削り作業があります。

作品が削れるには、ある程度、乾燥(生乾きと言う)させる、必要が有ります。

 (乾燥不十分では、削れませんし、作品の形が、崩れます。)

1) 乾燥について

  作品を乾燥させる方法に、自然乾燥と、強制乾燥があります。

 ① 自然乾燥は、室温中に放置して、乾燥させる方法で、室内の環境によって、半日~2週間程度

   の期間で、乾燥させます。

  ) 作品を、何の処置もせず、放置して置けば、およそ半日程で、削り易い乾燥に成ります。

     この方法は、土の中まで、均等に乾き、一番、理想的方法と、思われます。


  ) 乾燥時間を長くする理由は、陶芸教室や、サークル活動などで、次回の出席が、その程度

     の期間がある為です。それ故、次回までに、調度良く、乾燥している事です。

     乾燥を、遅らせるには、濡れたタオルで包み、大き目のビニール袋等に入れて置きます。

     1回の講習時間が、2時間程度ですと、轆轤を挽いた後、直ぐに、削り作業をする時間は、

     有りません。

 ② 強制乾燥は、直ぐに削り作業に取り掛かる為です。

  ) 書籍等では、直射日光や、ドライヤーは、厳禁と書かれていますが、実際には、ほとんど

     問題なく使えます。

     但し、一方向からの光や、熱風では、部分的に乾燥し、作品が歪みます。

     それ故、電動轆轤を、超スローに回転させながら、均等に、乾燥させる様にします。

     又、直射日光に当てる時も、3~5分程度の間隔で、90度づつ回転させると、良いです。

  ) 天候や季節にも拠りますが、直射日光で、1時間位乾燥後、底が日光に向く様のして、

     底を乾かします。

  ) ドライヤーの場合は、弱(弱い熱風)にして、30分程度、轆轤を回転させれば、乾燥

     しますが、やはり底にも、風を送り乾燥させます。スイッチを、強(強い風)にすると、

     乾燥が、急激過ぎて、作品に「ひび」が入る恐れがあります。

     尚、長い時間手で持っている訳には、行きませんので、ドライヤーを固定する方法が、

     必要と成ります。(ご自分で、簡単に作れます。)

  ) 底を乾燥させたら、直ぐに板などに載せ、水分を板に吸収させると、より早く乾燥が

    進みます。

  ) 強制乾燥させた場合、表面は削り易い程度に、乾燥しますが、削って行くに従い、土が

     乾燥不足で、軟らかく成って行きます。

     その際には、削りを中断して、底を再度乾かします。

 2) 作品を電動轆轤の中央に据える。

    轆轤挽きした作品は、回転している轆轤上で、削る事が多いです。勿論、手回し轆轤上で、

    削る事もありますが、綺麗な円になる削りは、出来ません。

  ① 轆轤上に据えるやり方は、幾つかの方法が有ります。

    直に、轆轤上に据える。ドーナツ状の土を轆轤上に敷き、その上に、作品を据える。

    更には、シッタ(湿台)を轆轤上に置き、その上に作品を据える方法です。

  ② どの方法を採用するかは、作品の歪みの有無、背の高さ、口径の大小によって、変わります。

以下次回に続きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(色々な作品を作る)

2011-03-04 22:08:09 | 轆轤の上達方法
今まで、色々述べて着ましたが、正直言って、轆轤の上達法には、「これ」と言う物は有りません。

基本的には、数多くの作品を、作ると言う事に、なるのですが、時間的制約で、轆轤に触れる事も、

多くないかも知れません。その短い時間内でも、なるべく多くの、形の作品を作る事で、轆轤の

技法を、学ぶ事が出来ます。

10) 形の違った作品を、多く作る。

 ① 良く聞く話ですが、湯呑みの様な、小ぶりな物を、同じ形、同じ大きさの作品に仕上げ、

  短時間で、1,000 個、轆轤挽すると、轆轤技術が上達出きると言う話は、真実かも知れません。

  しかし、この方法で習得できるのは、土殺し、土取りの量、土の伸ばし方、形の作り方、

  寸法感覚、轆轤作業のスピード化など、ある限定された技術とも言えます。

  又、小規模の量産向きの、技術だとも言えます。

  大きな窯元ならば、必要な技術かも知れませんが、陶芸を趣味に持つ多くの方では、必ずしも、

  必要な技(わざ)とは限りません。

 ② 趣味で陶芸を、楽しむのでしたら、なるべく多くの技法(やり方)を、身に着けた方が、

   より陶芸を、楽しむ事ができます。

 ③ その為には、色々な形や大きさの作品を、作る事です。

  ) 轆轤は基本的には、丸い物しか作れませんが、急須の様に、格パーツを作り、組み合わ

     せて、新たな形を作る事も出来ます。

  ) 丸い鉢から、楕円鉢を作る事も出来ます。(このやり方にも、幾つかの方法があります。)

     その他、四角や六角などの形に、変形する事も可能です。

  ) 面取りの器などは、あえて、肉厚に作ら無ければ、なりません。

  ) 俵壷の様に、完全に空気を閉じ込めて、形を作る物もあります。

 以上は、ほんの一例ですが、作る形によっては、従来の技法では、上手くいかない場合があり、

 新たな作り方(技法)を、見付けなければなりません。

 この事が、新たな課題となり、轆轤技術が上達する、「きっかけ」に成ります。

 ④ 轆轤作業でも、色々な装飾を施す事が出来ます。

  ) 練り込みによる、マーブル模様の袋物などでは、失敗しても、その上に土を載せる事は、

    出来ません。模様の連続性が、途切れて仕舞う為です。又、失敗して全てを壊しても、

    その土を、練り直して、もう一度マーブル模様の作品は、作れません。

    即ち、その土では、やり直しが出来ない、一発勝負と成ります。

  ) 轆轤目も人気のある、装飾の一つです。皿状の中央部分に付ける方法や、中心より縁に

     掛けて、全面に施す場合も有ります。

     この際には、皿が「お猪口」にならない様に、作業する必要があります。

     この作業も、慣れないと、かなり難しいです。

   ・ 縦長の容器や、袋物などの、轆轤目も、力強く入れる事は、かなり難しいです。

     轆轤目の粗さ(ピッチ)や、強弱(溝の深さ)など、轆轤の回転と、引き上げる手の、

     タイミングで、変化します。

   その他、別の何かを、新しく始めると、必ず何らかの、問題に「ぶつかる」はずです。

   この問題を解決する事が、轆轤技術を上達させる、原動力になります。

  それ故、どんどん、新しい形や、大きさに挑戦して下さい。

  それが、轆轤技術の、「真の上達方法」かも知れません。

以下次回に続きます。 

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(歩留まり3)

2011-03-03 21:52:41 | 轆轤の上達方法
前回に続き、歩留まり(ぶどまり)に付いて、お話します。

9) 歩留まりに付いて

 ③ 轆轤作業に於ける、土の目減り量

  ) 目減りが、4割、5割となる人もいます。この数字をどの様に、解釈するかが、大切です。

     初心者は、意外と目減り量が、少ない場合があります。それは、全体に厚く作り、更に、

     削り量が少ない場合です。又、底も「べた底」にすれば、目減量は少なくなります。

   ・ ある程度、轆轤に慣れた方が、4割、5割と目減りする事は、問題です。

     土を有効利用していない事よりも、もう一段、技術の上達が望めながら、その努力を

     していない様に、見えるからです。即ち、現状に満足しているように、見えます。

   ・ 目減り量が、多い理由は、以下の事が、考えられます。

   a) 上部に狂いが出て、切り取る量が多い。

   b) 土の肉厚を、薄く出来ない為、削り量が増えた。

   c) 最初の土の量が多かった。(これが最も重要です。)

   d) その他。

 ④ 「歩留まり」を良くする(目減り量を減らす)方法

  ) 所定の寸法の作品が、出来る様になったら、土の量を徐々に、減らす事です。

    例えば、500gで出来る作品なら、470g、450g、430g、400gと徐々に

    土を減らしていきます。

  ) 450g程度(1割減)でも、500gの土と、同じ寸法の作品を作る事は、さほど困難

    では、無いでしょう。

  ) 430g、400g(2割減)になると、色々問題が、発生してくるかも知れません。

    まず、所定の寸法に出来ない。口縁の土が薄すぎて、言う事を聞いてくれない。

    拠れが発生した。 思うように形にならない等です。

  ) この様な現象は、土の量が少なくなった為と言うよりも、轆轤技術が、未熟であるのが、

    原因の場合が多いです。

  ) 即ち、水を多く使い過ぎた。轆轤作業に、時間を掛け過ぎた。腰の部分の肉を、薄く

    出来なかった。土を伸ばす際口縁に、凹凸が出来た。口縁の肉が薄すぎて、径を細く出来

    ない等です。この事は、自分の欠点を、焙(あぶ)り出してくれいます。

  ) より厳しい条件で、作陶する事によって、轆轤技術は上達するはずです。

     (保険を掛けて、安全な道ばかり、通らない事です。)

  但し、最初は、失敗を繰り返すかも知れませんが、練習を重ねる事により、確実に目的を

  達成する事が、出来る様になります。

  ご自分の限界は、どの位なのかを、知る事も大事です。その技術に、安住する事なく、自分を、

  追い込む事も、時には大切になります。(380gでも、可能かもしれません。)

  尚、例題では、グラム数で表示しましたが、土取りの量を、徐々に減少させていく方法も

  あります。

以下次回に続きます。
  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(歩留まり2)

2011-03-02 23:01:04 | 轆轤の上達方法
前回に続き、歩留まり(ぶどまり)に付いて、お話します。

9) 歩留まりに付いて

 ③ 轆轤作業に於ける、土の目減り量

  ) 底の外周の土を取り除く際の目減り

   a) 轆轤作業が、最終段階に成り、土を轆轤上から、糸で切り取る前に、糸を入れる場所を

     しっかり固定する為に、切り口周辺の土を、削り取ります。

   b) この作業は又、切り口周辺の土が、薄くならない様にする、働きがあります。
   
     切り口周辺の土が薄いと、この薄い所から、乾燥が進み、「ひび」が入ります。

     この「ひび」は、底の中心方向に、伸びて行きます。放って置くと、底割れを起こします。

     この「ひび」は、塞ぐ事は出来ません。塞いだ傍から、又「ひび」が入ります。

     出来る事は、全て削り取る事です。

     この様な事が起きない様に、45度位の角度で、底の周辺の土を、削り取ります。

   c) 切り離す前に、全体の形を補正する為に、「竹へら」等で、作品を押さえ込んだり、

     余分な下部の土を、剥ぎ取る場合も有ります。ここでも、土は無駄になります。

     ここで、轆轤上より、作品を糸で、切離します。

   ・ ここまでの、目減りは10%以内でしょう。重量の減少が、意外に少ないのは、土が水を

     吸い込んでいる為です。

  ) 土が一番目減りするのは、底削りの時です。 

     削り易い程度に乾燥させますが、重量的には、7~8%程度、減少し、寸法的にも、

     縦横高さ共5%位、小さくなります。(轆轤製作終了直後が、一番寸法が縮みます。)

   a) 底削りは、作品を逆さに伏せて、「かんな」等で、削りますが、肉厚が厚い場合には、

     底のみでなく、腰の周辺まで、土を大量に、削り取ります。

     腰周辺は、上部に対して、必ず肉厚に成っています。それ故、腰周辺は、大なり小なり
   
     必ず削る事になります。

   b) 「べた高台」の場合は、底の周辺と、底から腰にかけて、削りますが、「輪高台」や、

     「碁笥底高台」の場合は、高台内も削り取ります。その分、土は目減りします。

   c) 初心者は、思い切って削るのに、躊躇(ちゅうちょ)して仕舞勝ちで、肉厚が厚めで、

     作品も、重くなります。尚、初心者が、削り過ぎて、穴が開く場合は、ほとんど見られ

     ません。ほとんどは、削り不足になります。

   d) 底削りの終わった段階で、最初に用意した土に対して、どの位の重さで、出来上がって

     いるかを、測定し「歩留まり」を、測ります。

   e) 一般には、輪高台の場合は、3割程度目減りしているのが、普通です。(歩留まり7割)

     この数字は、土の目減り量だけでなく、底削りまでに、乾燥し蒸発した水の重さも入った

     数字です。

以下次回に続きます。

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(歩留まり1)

2011-03-01 21:34:09 | 轆轤の上達方法
9) 歩留まりに付いて

  「歩留まり」とは、最初に有った、エネルギーや、物質がその完成時に、どの位残っているかと
  
  言う事です。その間に、何らかの事情により、失われたエネルギーや物は、「ロス」となります。

  この「ロス」が少ない程、「歩留まり」が良いと、言う事になります。

  轆轤技術が上達するとは、この「歩留まり」が、良くなる事とも言えます。

  (尚、エネルギーでは、一般に、「歩留まり」は、効率と言う言葉を、使います。)

 ① 陶芸の場合で言いますと、最初に用意した、土の量が、轆轤挽きや、底削りが終った段階で、

   正味どの位、残っているかと言う事に、なります。

   例えば、500gの土を用意して、轆轤作業を始めたとして、底削りが終わった段階で、

   300gの作品に、出来上がっていれば、歩留まりは6割(60%)と、言う事になります。

   4割(40%)が、「ロス」となります。

 ② 轆轤作業では、歩留まりが、100%と言う事は、有り得ません。

   逆に言うと、轆轤作業では、無駄な土が必要と、言う事です。

   色々な作業過程で、土は目減りして行きます。

 ③ 轆轤作業に於ける、土の目減り量

  ) 土殺しの際の目減り

    土殺しをする前に、土の表面を水で濡らし、必ず泥(どべ)を出す必要があります。

    この泥は、作品にくっつく事は出来ません。それ故、必ず「ロス」になる物です。

   a) 土殺しの最中にも、どんどん泥が発生します。手を滑らせる為には、必要な物とも言え

     ます。しかし、泥を次々に発生させる事は、「ロス」をどんどん、増やす事になります。

   b) 出来るだけ、泥を出さない様にするには、出た泥を、本体に塗りつける事です。

     出た泥を、水桶などで剥ぎ取り、泥を落してから、新たに水を付けて、更に、轆轤作業を

     する人を、見掛けますが、これでは、泥を量産する事になります。

   c) 水を使うよりも、泥を使う利点は、水よりも、手が滑る事と、土本体の水の吸収量が、

     少なくなる事です。轆轤作業では、時間が掛かるほど、土が水を吸収し、弱くなる事です

     それ故、積極的に泥を、使う事を薦めます。

   d) この段階での目減りは、人にもよりますが、5%以内でしょう。

 ) 上部を切る事による目減り

   轆轤作業をしていると、上部に凹凸が発生したり、所定の寸法より、大きくなった為、

   上部を切り取る事があります。これも、大きな目減りとなります。

   a) 前者は、なるべくなら、避けたい目減りですが、後者は、必要な目減りです。

     但し、後者の場合、最初の土の量が、多過ぎたのが問題で、少ない量ならば、切り取る

     必要のない土、とも言えます。

   b) 当然、初心者では、多くの量となり、上級者では、少ない量か、皆無の事も多いです。

 ) 底の外周の土を取り除く

以下次回に続きます。
    
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(力を有効に使う2)

2011-02-28 21:49:31 | 轆轤の上達方法
大きな作品などは、体力勝負の面がありますが、単に自分の力のみでなく、轆轤の遠心力を、有効に利用

出来れば、自分の力は、さほど必要としません。

実際、轆轤の上級者は、大きな力を入れずに、作品を作っています。

8) 電動轆轤の、回転エネルギーを、有効に使う

   轆轤上で、土が回転していると、必ず遠心力が働きます。

 ① 遠心力の大きさ(強さ)は、角速度(回転速度)の二乗に、比例します。

   即ち、速度が二倍になると、遠心力は四倍に、なる事になります。

 ② 轆轤は、ただ回転し、綺麗な形を作る為だけに、使用している訳では、ないのです。

   回転による遠心力を、上手に使う事によって、作り手のエネルギーを、少なくしてくれています。

 ③ 回転を速くすれば、遠心力はどんどん、大きくなりますが、この力を有効に、使えなければ、

   遠心力と回転スピードに負けて、作品が「振れ」る等の、弊害が起こります。

 ④ 遠心力を上方の力に、変換するのが、外側の手(右回転では、左手)です。

   それ故、この遠心力を、「がっちり」受け止め、径が大きくならない様にする、必要があります。

   (この事に付いては、何度も、お話していますので、「耳にタコ」かも知れませんが、悪しからず)

 ⑤ 初心者は、自分の力だけに、頼ろうとし勝ちです。又、回転が速くなる事に、恐怖感を持っています。

   それ故、かえって不用意な力が、入り易く、作業も「ぎこちなく」なります。

 ⑥ 遠心力を、上手にコントロールする方法は、手と土の速度を一定にする様に、回転速度を制御する事

   です。即ち、回転速度が、一定であれば、外径が大い程、土のスピードは、速くなり、逆に径が

   小さいほど、土のスピードは遅くなります。

   手と土のスピードを、一定にするとは、即ち、径が大きくなったら、回転を落しなさい、径が細く

   成ったら、回転を上げなさいと、言う事です。

   こうする事によって、手と土とが、安定的な関係になり、指の力も安定して、使える様になります。

 ⑦ 轆轤で使う土は、滑らかの物とは、限るません。「はぜ石」の入った、粗目の土を使う事もあります。

   その際、素手で作業をすると、指の皮を傷つける場合があります。(特に女性は敬遠しがちです。)

   その為、回転を落し気味に、して仕舞い勝ちになります。

   大きな作品は、目の細かい土よりも、やや粗目の土のほうが、軽く丈夫に作れる、利点があります。

   恐々(おそる、おそる)しながらの、轆轤作業では、上手く行くはずはありません。

   この場合、手や指に、布切れや、皮などを巻き付けて作業すると、手が傷つかないと伴に、水切れを

   防ぐ効果もあります。回転も速くできます。

・ 轆轤作業で、特に力が必要なのは、土を薄く上に伸ばす時です。

  この際には、回転スピードを、速くします。 形作りに入ると、少しの力で変形しますので、回転は若干

  遅くした方が、作業し易いです。

以上にて、「力の有効な使い方」の話を終わります。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 電動轤上達法(力を有効に使う1)

2011-02-27 21:33:28 | 轆轤の上達方法
電動轆轤は、通常椅子に腰掛けて、作業をしますが、背の高い作品では、立って作業する事があります。

即ち、背の高い作品の場合、内側の手(右回転では右手)を、垂直にして使う為には、立って作業するしか

有りません。その為、左右の手が固定しにくく成ります。

更に、背が高いほど、「ゆれ」が起こり易くもなり、一段と、作業が難しくなります。

前置きが長くなりましたが、本日のテーマを、お話します。

6) 轆轤作業に於ける、力の入れ方

  轆轤作業は、体力勝負的な面もありますと、お話しましたが、力を有効利用できれば、小さな力でも、

  大きな作品を作る事が出来ます。 これが、「技」と言えるものかも、知れません。

  前回、力の入れ方について、簡単に述べましたが、もう少し詳しくお話いたします。

 ① 同じ力であれば、面より線、線より点に、力を集中できれば、より強い力になります。

   それ故、手(指)や「こて」は、線状や点状に使うと効果的です。

  ・ 「こて」は、やや斜め手前に倒し、線状の場所を使います。「柄こて」は、凸上の部分を、壁に

    向けて、点状に使います。

 ② 指を使う場合でも、指の付け根より、指先までの距離を、短くした方が、指も安定し、力も入ります。

   即ち、指を「ぴん」と伸ばした状態ではなく、やや内側に丸め、半円形にして使います。

 ③ 更に力を有効に使うには、人差し指を完全に丸め込み、指の第一又は、第二関節を使います。

   こうする事により、力が点に集中し、強い力となります。(内外とも同じ形で使う)

 ④ 外側の手(左手)は、一般に、肘を太もも等に、固定して使いますが、この固定する位置を、手首の

   方に移動する事により、手の位置がしっかり固定され、更に力も入ります。

   即ち、肉厚の厚い部分は、強い力が必要ですが、土も強い力で押し返してきます。その為、手の

   位置が、外側に押し出され易いです。この土の力に、打ち勝つ為にも、腕の長さを短くし、更には

   指の長さを、短くして使う事で、力が有効に使えます。

7) 力を有効に使う為には、轆轤作業をする場所も、大きく関係します。

   即ち、円周上のどの位置で、作業すれば良いかと言う事です。

 ① 右回転の場合では、時計の針で、7~8時の位置で、作業する事です。

  ) 9~10時の位置になると、体が伸びてしまいます。手による、外側からの力は、常に中心方向

    に、向いています。 その為、この場合には、真横又は、手前側に力が、入る事になります。

    一般に、手前に引く力より、押す方が、強い力が伝わります。

    7~8時の位置は、中心への力は、押し出す力となりますので、力を有効に使う事になります。

  ) 6時の位置で作業する人を、書籍などで、見かける事があります。

     外側の手のひらを、裏返して、土に当てる方法です。

     何度も言う様に、轆轤技術には、標準はありません。6時の位置で、作業しても、作品が作れる

     ならば、問題有りませんが、私の見た所、力が入っていない様に、見受けられます。

 ② 内側の手の位置は、基本的には、外側の手と、向かい合わせで使いますが、若干上下差を、付けた

   方が良いでしょう。

 ③ 土を上に薄く延ばす際には、内側を上に、外側を下にします。そうする事により、径が太くなるのを

   防ぎ、土を上に押し上げる事が出来ます。

 以下次回に続きます。

力を有効に使う
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする