4) 同じ釉でも電気窯、ガス窯、薪窯では焼き上がりの色や光沢に違いがあります。
⑤ 電気窯とガス窯の作品の色合いの違い。(前回の続きです。)
釉の色合いの違いは、熱源の差と熱の伝わり方の差による物です。
特に熱の伝わり方の差が大きな影響を与える事になります。
熱の伝わり方は、伝導、対流、放射(輻射)があります。
ⅰ) 陶芸の窯での伝導による場合は、棚板から作品に熱が伝わる際に起こります。
但し、昇温中では作品の熱容量が小さく、棚板の方が熱容量が大きい為、棚板より作
品の方が早く温度上昇しますので、棚板より作品の方に熱が伝わる事はほ殆どない
状態です。
但し、窯の冷却中では、熱容量の少ない作品の方が早く冷えますので、棚板から作品
に熱は伝わる事になります。
ⅱ) 燃料を使用する窯では、主に炎(焔)の対流によって熱が伝わります。対流は作
品の間(隙間)を通り抜ける際、作品に熱を伝えます。その為、炎の通る適度の隙間
が必要です。隙間は指一本程度が良いと言われています。狭過ぎでは炎が流れず、
熱は作品に伝わりません。広過ぎると炎の熱は無駄に流れ去ってしまいます。
一般に燃料を使う窯では、倒炎式が多いです。即ち、壁の側面から天井まで上昇した
炎は、反転して底の方に流れ、底周辺に設けられた煙突の入り口に向かい排出します
尚、一部は天井まで登らず、作品間を通る流れも起こっています。
炎の熱も一様ではありません。即ち熱の高い所と低い所が混在してります。
更に、炎に含まれる酸素の量にも偏りがあります。一般に赤い炎は酸素が少なく、青
白い炎では、酸素分しが多くなります。前者が還元炎、後者が酸化炎と呼ばれる物で
す。還元炎は酸化金属(地球上の金属のほとんどは、空気中の酸素によって酸化物に
なっています)を元の金属の色に戻します。この複雑な炎の状態によって釉も複雑な
影響を受け、変化の富んだ色合いに成ります。炎の温度が高いのは、中性炎と言われ
ています。
ⅲ) 電気窯では特別に還元を掛けなければ、即ちガス等を注入しないければ、放射
(輻射)によって熱が伝わります。放射は空気中では熱を発生せず、物(作品)に当
たって初めて発熱します。更に、放射は直進性を有しますので、作品が他の作品の物
陰に入った場合、陰の部分には十分熱量が届かなくなります。特に熱源より遠いと
供給される熱量は不足ぎみに成ります。そこで容積の大きな窯では、他の窯とは違い
天井や後ろの壁、扉などにも発熱体を設ける事が多いです。
実際の焼成では熱量を受けた作品の部分から、伝導により熱が他の部分に供給され、
同じ温度になろうとします。
上記の様に、熱の高低差は存在しますが、変化のある炎がありませんので、燃料の窯
と違い、色も変化に乏しく一定(平板)になり易いです。
⑥ 窯操作の違い。
近年電気窯が多数使用されています。これは、煙突を必要とする窯よりも、環境や窯操
作が簡単な事に関係しています。煙突のある窯では排気にも気を使う(一酸化中毒に
注意)事もあり、電気窯では、屋内に設置でき特に排気に気を使う事は少なくなります
特にマイコンによる自動燃焼が可能になり、一度所定の作業内容をセットすると、プロ
グラムに従い焼成を終わらせる事が可能に成っています。
又、電気窯は容積の小さな場合に向いています。通常の100Vの電源で使用できる
物もあります。より電力を必要な場合には単相(100V)200Vで使用する場合もあり
ます。尚、電熱線(発熱体)は消耗品です。ある程度使用したら交換する必要がありま
す。使用条件や使う頻度によって寿命が異なりますので、詳しい事はメーカーにお問い
合わせ下さい。更に、電熱線や窯材料(耐火レンガやグラスウール等)は市販されてい
ますので、電気窯を自作する事も可能です。
以下次回に続きます。
⑤ 電気窯とガス窯の作品の色合いの違い。(前回の続きです。)
釉の色合いの違いは、熱源の差と熱の伝わり方の差による物です。
特に熱の伝わり方の差が大きな影響を与える事になります。
熱の伝わり方は、伝導、対流、放射(輻射)があります。
ⅰ) 陶芸の窯での伝導による場合は、棚板から作品に熱が伝わる際に起こります。
但し、昇温中では作品の熱容量が小さく、棚板の方が熱容量が大きい為、棚板より作
品の方が早く温度上昇しますので、棚板より作品の方に熱が伝わる事はほ殆どない
状態です。
但し、窯の冷却中では、熱容量の少ない作品の方が早く冷えますので、棚板から作品
に熱は伝わる事になります。
ⅱ) 燃料を使用する窯では、主に炎(焔)の対流によって熱が伝わります。対流は作
品の間(隙間)を通り抜ける際、作品に熱を伝えます。その為、炎の通る適度の隙間
が必要です。隙間は指一本程度が良いと言われています。狭過ぎでは炎が流れず、
熱は作品に伝わりません。広過ぎると炎の熱は無駄に流れ去ってしまいます。
一般に燃料を使う窯では、倒炎式が多いです。即ち、壁の側面から天井まで上昇した
炎は、反転して底の方に流れ、底周辺に設けられた煙突の入り口に向かい排出します
尚、一部は天井まで登らず、作品間を通る流れも起こっています。
炎の熱も一様ではありません。即ち熱の高い所と低い所が混在してります。
更に、炎に含まれる酸素の量にも偏りがあります。一般に赤い炎は酸素が少なく、青
白い炎では、酸素分しが多くなります。前者が還元炎、後者が酸化炎と呼ばれる物で
す。還元炎は酸化金属(地球上の金属のほとんどは、空気中の酸素によって酸化物に
なっています)を元の金属の色に戻します。この複雑な炎の状態によって釉も複雑な
影響を受け、変化の富んだ色合いに成ります。炎の温度が高いのは、中性炎と言われ
ています。
ⅲ) 電気窯では特別に還元を掛けなければ、即ちガス等を注入しないければ、放射
(輻射)によって熱が伝わります。放射は空気中では熱を発生せず、物(作品)に当
たって初めて発熱します。更に、放射は直進性を有しますので、作品が他の作品の物
陰に入った場合、陰の部分には十分熱量が届かなくなります。特に熱源より遠いと
供給される熱量は不足ぎみに成ります。そこで容積の大きな窯では、他の窯とは違い
天井や後ろの壁、扉などにも発熱体を設ける事が多いです。
実際の焼成では熱量を受けた作品の部分から、伝導により熱が他の部分に供給され、
同じ温度になろうとします。
上記の様に、熱の高低差は存在しますが、変化のある炎がありませんので、燃料の窯
と違い、色も変化に乏しく一定(平板)になり易いです。
⑥ 窯操作の違い。
近年電気窯が多数使用されています。これは、煙突を必要とする窯よりも、環境や窯操
作が簡単な事に関係しています。煙突のある窯では排気にも気を使う(一酸化中毒に
注意)事もあり、電気窯では、屋内に設置でき特に排気に気を使う事は少なくなります
特にマイコンによる自動燃焼が可能になり、一度所定の作業内容をセットすると、プロ
グラムに従い焼成を終わらせる事が可能に成っています。
又、電気窯は容積の小さな場合に向いています。通常の100Vの電源で使用できる
物もあります。より電力を必要な場合には単相(100V)200Vで使用する場合もあり
ます。尚、電熱線(発熱体)は消耗品です。ある程度使用したら交換する必要がありま
す。使用条件や使う頻度によって寿命が異なりますので、詳しい事はメーカーにお問い
合わせ下さい。更に、電熱線や窯材料(耐火レンガやグラスウール等)は市販されてい
ますので、電気窯を自作する事も可能です。
以下次回に続きます。