わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬を掛ける3(多色塗り1)

2009-05-30 23:24:05 | 釉薬の調合と釉を掛ける
釉薬を掛ける際、作品全体を1色で塗るのが、一番簡単な方法です。

しかし、1色では無く、2色3色と、釉薬の数を増やしたい場合、どの様に色分けしたいかによって、

その掛け方に、工夫が必要になります。

1) 2色を掛ける

 ① 別々の部分に、2色を掛ける

   容器の内、外の色を変える場合や、作品の片側と、反対側の色を変える、作品の上下で、

   色を変えるなどの場合です。

  注意する事は、

 ) 両釉薬とも、同じ性質の釉薬を使います。酸化なら酸化、還元なら還元釉を使います。

 ) 釉薬と釉薬の境は、残さない様にします。塗り残すと、その部分が、素地のままと成ります。

 ) 境を残さないと言う事は、その部分が、重ね塗りと成る事に成ります。

   (勿論、重ね塗りしないで、境が無く塗る事も可能ですが、かなり難しい作業と成ります。)

    釉薬は一般に混ぜては使いません。混ぜると、予想外の色に成り易いからです。

   それ故、重ね合わせた部分の色が、どう発色するか、予め確かめて置きます。

   又 どちらを後(上)に塗るかによっても、発色状態は変わります。

 ② 2色を重ね塗りする

   1色で全体を塗った後、他の釉薬をその上に、部分的に掛ける。

  注意する事は、

  ) 釉薬が部分的に、二重に掛かり、厚くなる事です。

    厚く掛かる事により、釉が流れ易くなったり、釉が縮(ちじれ)たりします。

    それ故、一方の釉薬の濃度を、調整(薄く)する必要が有る場合も、あります。

  )  同じ2色を塗る場合でも、どちらを下に塗るかによって、効果はかなり異なります。

  ) ①ー)で述べた様に、重ね合わさった部分の色は、予想外の発色を起し易いです。

    前もって、確かめて置く必要が有ります。

 ③ 2色を使う場合、何処で区切るか、どの様に区切るかも、重要な問題です。

  ) 何処で区切るか(境界は何処か)

   即ち、器の内外で色を変える場合、縁は内側の色なのか、外側の色なのかを、決めるます。

   外側の色とした場合、その外の色が、器の中に、少し入り込んで良いか、悪かによって、

   釉薬の掛け方が変わります。

  ・ 例 作品を器の内側を塗ってから、器を逆さに持って(又は上向きで)、他の釉薬に

     漬け(浸し)掛けする。

  ) どの様に区切るか

    境目の線が、幾何学的(直線、円弧、円など)にするか、適当(ラフ)で良いのかによって、

    工程(手間)に大きな差が出ます。


実際の方法に付いては、次回に述べたいと思います。

陶芸の釉薬の掛け方 

釉を掛ける 多色塗り


    

     
   
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釉薬を掛ける2(釉薬の量、容器)

2009-05-29 22:59:07 | 釉薬の調合と釉を掛ける
釉薬を掛ける際、苦労する事は、作品の大きさに合う、釉薬の量と、容器の事です。

釉薬は粉末で、保管出来ますので、この状態では、さほど問題には成りませんが、一度水に溶かすと、

釉薬の種類が少ない時には、多量の釉薬を、作り置き出来ますが、多種の釉薬を使用する場合には、

少量でないと、釉薬を置く場所に苦労します。

勿論、作業場所が、十分広い所でしたら、問題有りませんが、20種類以上に成ると、どうしても、

置き場所に苦労します。(釉薬の種類は、段々増える傾向に有ります。)

又、1ℓ入りの容器で、保管していても、いざ使用する段に成ると、釉薬が沈殿し、撹拌に手間取り、

中々濃度が、一定しません。

釉薬はなるべく、手が入る口の広い容器に、保管した方が、使い勝手が良いです。

又 釉薬が少なくて済む、掛け方(流し掛け、吹き掛けなど)を選択します。

尚、釉薬を掛ける方法は、当ブログ(施釉の仕方、2008-05-15,-16)を参照して下さい。


次に、釉薬を掛ける際の、容器の問題で苦労する事です。

釉薬を掛ける際、漬け掛けや、流し掛けのでは、作品に合った大きさの容器が必要です。

1) 流し掛けでは、十分大きい、直径40cm以上の、盥(タライ)などを、用意すれば、

 大体間にあいます。(特に大皿などには、大きな容器が、必要に成ります。)

 但し、流し掛けでは、どうしても、釉薬の濃淡が出易いです。これを避けたいのなら、

 漬け掛けと成ります。

漬け掛け(浸し掛け)の場合

2) 細長い(背の高い)作品では、細長い容器が必要です。

  なるべく、作品と同じ様な形で、一回り大きい物が適しますが、万能の容器は、中々用意できません。

  この様な場合には、横に寝かせて、漬け掛けにします。

  (但し、上下に色分けしたい場合には、縦長の容器が、必要に成ります。)

3) 意外に苦労するのは、不定形の作品や、取っ手の付いた作品です。

  本の一寸の所が、容器に引っかかったりして、上手に釉薬が掛けられない場合が、多いものです。

4) 更に、作品のどこを持って、釉薬を掛けるか、と言う問題が有ります。

  (指跡の問題も有りますが、ここでは、それ以外の事です)

  作品の縁を持って、漬ける掛けする場合には、十分指が入るスペースも、必要です。

結論

1) 釉薬を置く場所が狭い場合、釉薬の種類はなるべく増やさない事です。

 又、釉薬の種類が多いと、どの釉薬も良く焼き上げる為に、窯焚き(特に窯詰め)で苦労します。

2) 作品の形によっては、希望する方法で、施釉出来ない事も有ります。

  どうしても、希望の方法で、したいのなら、予め容器や、釉薬の量を用意して置かなければ、

  成りません。

  市販されている、プラスチックの容器で十分ですが、粘土で自作する事をお勧めします。

3) 施釉の仕方によって、作品の出来上がり方(色)も、大きく変化します。

  それ故、最初の予定通りに、施釉するためにも、行き当たり、ばったりでは無く、

  十分準備して置かなければ、成りません。

陶芸の釉薬の掛け方 

釉薬の量 釉薬の容器

  
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釉薬を掛ける1(施釉前の作業)

2009-05-16 22:21:51 | 釉薬の調合と釉を掛ける
素焼が終わった作品は、次に釉薬を掛けます。

以下の説明は、以前お話した事と、重複する場合が、多いですが、ご了承下さい。

釉薬を掛ける前に、する作業として、

1) 素焼の結果、「ひび」や、壊れが無いかを、確認する。

   即ち、施釉出来る作品と、施釉しない方が良い作品を、選別します。

 ① 基本的には、「ひび」の入った作品は、この段階で、破棄するのが、正解ですが、

   破棄できない事情の有る作品は、補修する事に成ります。

 ② 補修の仕方

  ) 陶芸用接着剤を使う。(市販されています。)

    但し、万能な接着剤は、有りません。特に「ひび」の入った作品には不向きです。

    逆に。完全に、二つに割れた作品の方が、接着面積(糊しろ)が広く、成功し易いです。

  ) 「ひび」の入った部分に、同じ土で作った、素焼の粉(シャモット)に糊を混ぜ、

    埋め込み補修します。
  
  ) 割れた作品でも、そのままで自立し、移動しない場合には、釉薬を塗る事で、補修できます。

  ) 補修で注意する事は、接着した部品が、本焼き中に、移動してしまう事です。

    移動した部品は、変な位置に、しっかり固着し、処置無しと成ります。

    特に、ぶら下がる部品や、横方向に付ける部品は、動き易いです。

  Ⅴ) 素焼時に見つけた、「ひび」は本焼きで、確実に広がります。

    上記補修しても、上手く行かない場合、本焼きで傷を広げた後、再度補修、施釉し、

    本焼きすれば、かなりの程度、目立たなく成ります。

2) 作品に付いた、「ホコリ」を落す。

   素焼後直ぐに、施釉する場合は、ほとんど問題有りませんが、長い間放置してあると、

   必ず「ホコリ」が付きます。

   この「ホコリ」が、釉薬を弾く事になり、「釉ハゲ」の原因に成ります。

 ① 「ホコリ」を取り除く方法

  ) 「はたき」などを掛けて、取り除く。

  ) 強く絞った「スポンジ」で、軽く拭き取る。

   (強く拭くと、反って「ホコリ」を、作品に、なすり付ける事に成ります。)

    この場合、直ぐに、施釉出来ます。

  ) やや強めの水流で、全体を洗う。洗った後、乾燥させてから施釉します。

    但し、短時間で終わらせます。時間が掛かると、作品が水を吸い、施釉までに時間が掛かります。

3) 異物の除去や、小さな傷を消します。

 ① 「削りカス」などが、作品に付着している場合も、多いです。

  作品表面を、手で撫ぜ、異物を感じなければ、問題有りません。

  特に、湯呑みや、ご飯茶碗のように、唇に当る部分は、丁寧に撫ぜて下さい。

  但し、作品の内側に、異物が有り、手が届かない場合、針(剣先)や、細い棒(ひご等)で、

  掻き出します。

 ② 作品表面の、浅い傷(小さい傷)は、「紙やすり」や「布やすり」で、削りとります。

   但し、」削りカス」は、上記「ホコリ」と、同じ作用が有りますので、2)と同じ作業が必要です。

以下次回に続きます。
陶芸の釉薬の掛け方 

施釉 施釉準備
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窯を焚く(素焼3)

2009-05-15 22:09:45 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
前回の続を述べます。

3) 窯詰め、窯出しの際、作品を壊さない事。

  作品が壊れる原因は、作品の乾燥による物、素焼中の「アクシデント」の他に、不注意による物が、

  意外に多いものです。素焼前の作品は弱く、少しの衝撃でも、壊れ易いです。

  ① 作品を、他の物にぶつけて壊す。

   ) 作品を他の場所に移動させる際に、ぶつける。

     特に、窯詰めの為、窯に移動する際に、狭い保管場所からの、出し入れで、

     他の作品や、保管場所の壁などに、ぶつける。

    ・ 特に取っ手の付いた物、縦長の作品、不定形な作品などが、当り易いです。

  ② 作品の持ち方、持つ場所が悪くて、壊す。

   ) 大きな作品や、重量の有る作品は、両手で持ってください。

     なるべく、一度に、複数個の作品を、持たない様にする。

   ) 作品の重心より離れた所を持つと、作品が欠ける場合が有ります。

     長皿のような作品は、片手で、角の部分を持つ事は、危険な行為です。

   ) 取っ手の有る作品も、取っ手を持って、持ち上げる事は、破損の原因に成ります。

   ) 数個の作品を、同時に移動させる場合や、長い距離を移動する場合などは、

      なるべく板や、籠などに入れて、持ち運びます。

  ③ 窯詰めの際に壊す。

   ) 一度窯に詰めた作品を、他の位置に移動したり、他の作品との関係で、窯から出し入れする

     場合が、意外と多い物です。出し入れの頻度が多いと、それだけ危険度が増えます。

   ) 窯に詰める順序を、予め考えておく事。

      上記、窯への出し入れの回数を、少なくする為にも、予定を立てて行動します。

   ) 不安定な作品は、スペーサー(詰め物、支え)などを使い、安定化させます。

      自立に不安定な作品は、窯詰めの際の、一寸した振動で、倒れて壊れる場合が有ります。

   ) 意外に多い事故に、棚板を積む際に、支柱が倒れ、作品に当ったり、作品の上に落ちる事が

      有ります。(特に棚板の、複数敷きの場合)

      又、落ちた支柱が、バーナー口を塞ぐ場合も起こり、その支柱を取り除く為に、

       窯詰めを、やり直す場合が有ります。

  ④ 窯出しの際に壊す。

    素焼した作品の強度は、十分乾燥した、素焼前の作品の強度と大差有りません。

    それ故、窯詰め同様、注意する必要が有ります。

   ) 皿など横に広い作品は、縦に窯詰めすると、以前に述べました。

     他の作品に、立て掛けたりします。

     この状態は、不安定で、慎重に取り出さないと、崩れ破損します。

   ) 素焼は、重ね焼き出来ますが、上(又は内側)から、順序良く取り出さないと、

     作品同士、ぶつけたり、倒したり、し易いです。

   ) 棚板を取り除く際に、注意する。

     棚板は、垂直方向に、取り除きます。水平方向に移動すると、支柱を倒す恐れが有ります。

     倒れた支柱が、作品に悪さをする事が多いので、支柱は倒さない様にします。

   ) 素焼が終わった作品は、数個重ねて、保管できます。

      その際、直に重ねても、大きな問題はおきませんが、なるべくなら、紙一枚でも、

      間に挟み、直接作品同士が、当らなけれ、より安全になります。

以上で、素焼の窯焚きの、説明を終わります。

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窯を焚く(素焼2)

2009-05-14 21:54:13 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
素焼の話を続けます。

素焼で注意する事は、

1) 必要な温度まで上昇させる事。

   素焼の温度は、一般的に700℃~800℃と言われています。

   (これ以上の温度で、焼成される方も当然おります。)

 ① 温度の上昇は、窯の大きさ、燃料の違い、窯詰めの仕方、窯の焚き方によって、大きく違います。

 ② 又温度上昇は、或る範囲は慎重に(ゆっくり)、或る温度は、スピードアップ可能と、

   窯の温度によって、焚き方を変化させます。

 ③ 又同じ様に、焚いていても、或る温度範囲は、中々温度上昇しない所も有ります。

   560℃近辺では、土の組成変化が起こり、温度上昇が、鈍ると言われています。

 ④ 燃料の供給を増やすと、温度上昇が、停滞したり、逆に、低下する(1~5℃程度)場合も、

   多いです。その際、慌てずに、対処してください。

   (温度を上げようと、色々いじくると、反って悪い結果に成る事も、多いです。

    じっとそのまま、我慢をしていると、3~7分程度で、上昇に変化します。)

 ⑤ 「ねらし焼き」の必要は有りません。必要な温度に成ったら、直ぐに、燃料の供給をとめます。

2) 焼成によって、作品を壊さない事。

 ① 水蒸気爆発

  ) 作品には、どんなに天日干ししても、若干の水分が含まれています。

   それ故、350℃~400度程度までは、発生した蒸気を逃がす為、窯の扉などを、

   若干開けて置きます。

  ) 乾燥が不十分な作品や、肉が厚い作品は、窯の中で、作品が爆発する事が多いです。

     この爆発は、土の内部に発生した蒸気が、表面より抜け出す以上に、内部で、どんどん発生し、

     その蒸気圧で、爆発します。

   a) この圧力は、強大で、作品が粉々に破壊し、その破片が、20~30cmに、飛散します。

   b) その為、近くの作品も壊されます。

     又飛散した破片が、バーナー口を塞いだり、電熱線を断線させる等、最悪の結果を、

     引き起こす危険もあります。

     窯の側に居ると、低い爆発音が、聞こえます。それ故、窯を開けなくても、爆発を確認できます。

   c) この爆発を起しやすい温度範囲は、大よそ230℃~330℃です。

    ・ 注意する事は、窯の中の温度は、場所によって大きく違う事です。

     特に低い温度の時は、この温度差が大きい事です。それ故一箇所の温度測定では、

     全体の温度分布が、解かりません。350℃に成ったから、安心していると、400℃で

     爆発する事さえ有ります。

    ・ この温度範囲では、特にゆっくり温度を上げて行きます。

   d) 爆発の危険性を認識しながら、どうしても、素焼をしたい場合が有ります。

     その場合、窯を200℃程度に暖め、一晩放置した後、本格的な、素焼に入ります。

     又、危険性を孕んだ作品は、たとえ破壊しても、周囲に影響しない位置に、窯詰めします。

     尚、当然ながら、爆発の危険制の有る作品は、次回に繰り延べする事が、最良の方法です。    

 ② 冷め割れ

   前にも述べましたが、作品の量が少ない場合や、窯が小さく且つ、壁の厚みが薄く、

   冷えやすい窯の場合に、髪の毛ほどの太さの「ひび」がはいる事が有ります。

  ・ 対策としては、作品の量を増やし、ゆっくり冷える様にします。

以下次回に続来ます。
陶芸の窯焚き(素焼) 
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窯を焚く(素焼1)

2009-05-13 22:44:42 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
作品を乾燥し、窯詰めしたら、いよいよ、素焼の窯焚きと成ります。

1) 窯焚き前の確認事項

 ① 燃料(灯油、ガス)を使う窯の場合、燃料が十分有る事を確認。

   都市ガスなど、使用量のメーターが有る場合は、その数値を読み取っておく。

 ② 電気を使う窯の場合、電熱線が断線していないかを、確認。

 ③ 熱電対温度計が、正常に作動しているかも、確認。

 ④ 素焼すべき作品の、入れ忘れが無いかを確認。

 ⑤ 点火用具(マッチ、チャッカマンなど)、筆記用具(焼成記録ノート、鉛筆など)の用意。

尚 窯の焚き方は、千差万別で、人によって色々方法が有りますので、ここでは詳しくは述べません。

2) 窯を焚く人は、以下の様に成ります。

 ① 常にある人に固定されている。

   自分の窯(又はカルチャーの窯)で、自分一人で、窯の管理から窯焚きまで、一人で行う。

 ② 陶芸グループの様に、窯焚きが当番制で、一定していない。

   窯焚きの記録を残して置くと、技術が蓄積され、次の人(次の回)の役に立ちます。

 ) 記録事項は、天候、日時、作品の量、作品の大きさ、温度上昇記録(10分~20分毎の温度)

   最高温度、焼成時のトラブル、焼成の仕方(バーナー操作、灯油やガスの供給量、ガス圧)

   焼成結果、燃料使用量、その他、気が付いた事をノートに記します。

3) 作品を作った人

 ① 自分一人で作った作品のみ。

   作品の状態が、完全に解かっていますので、素焼は、ほとんど問題ありません。

 ② 陶芸教室や、カルチャーセンターなどの、会員の作った作品。

   一応指導者(先生)が、作っている所を、見ていますので、トラブルは少ないです。

   但し、指導者=窯を焚く人とは、限りません。この場合には、指導者と、窯を焚く人の

   打ち合わせが必要です。

 ③ 公民館活動などの、陶芸サークルなどで、複数の人が作った作品。

   しっかりした指導者が、いるとは限りません。又作る過程も十分チェック出来ない事も

   有ります。この場合、色々トラブルが起こり易いのです。

 ④ 第三者の作品。(窯焚きは自分、又は窯焚きも第三者の場合)

   いわゆる、「窯を貸す」と言う状態です。

   一般には、窯焚きを含めて、「窯を貸す」事は少ないですが、薪窯などの本焼きの場合は多いです。

   窯の焚き方から、指導してくれる所も有ります。

  ) 窯のみを貸す。

   a)  知り合いの作品の場合、作った人の状態も解かり、トラブルも少ないので、

    引き受けてくれる事も、少なく有りません。(素焼のみ、又は本焼きまで)

   b) 知り合いでない場合、中々引き受けてくれる所は、有りません。

     引き受けてくれる所でも、かなり高価な金額を要求されます。

     それは、「窯が壊れる」事を恐れるためです。作品がどの様に作られたのか、不明の場合、

     作品自体、又は窯に何らかのトラブルが、起こる可能性が有ります。

    ・ 私事ですが、以前、小学校の図工の時間に作った作品を、素焼した事がありました。

     (楽焼をしたいので、素焼のみの、依頼でした。)

     話を聞いてみると、粘土の中に、「ビー玉」や「オハジキ」を入れたとの事、

     低い温度の素焼でも、「ビー玉」や「オハジキ」が熔けてしまう危険がある事を、

     承知の上で、引き受けました。案の定、幾つかのガラス製は、熔けてしまいました。

以下 次回に続きます。    

陶芸の窯焚き(素焼) 
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素焼と本焼きとの違い(2)

2009-05-11 22:45:35 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
前回の続を述べます。

4) 焼ける作品の量が違う。

 ① 素焼は、本焼きの1.5~2倍程度の作品を焼く事が出来ます。

   それは、5)で述べる、窯詰めの方法の違いによるものです。

  ・ 作品の量が少ない場合、注意点として、作品の「冷め割れ」の問題が有ります。

    窯の大きさが、小さい場合、又は窯の壁が薄い場合で、作品の量が少ないと、

    窯の冷める速度が早く、作品に髪の毛程の太さの、「ヒビ」が入ります。

    (この「ヒビ」は本焼きでは、確実に大きく成ります。)

  ・ 対策として、棚板の数を増やす(二枚重ねて使うなど)か、不要な作品や、

    使用して汚れた(茶渋や、汁物の汚れ)作品を同時に詰め、冷めを遅くします。

    (素焼をすると、汚れは取れ、新品同様に成ります。)

5) 窯詰めの方法が違う。

 ① 素焼は、作品を重ねて焼く事が出来ます。

  ) 大きな器の中に、小さな器を入れる。

    但し、重量の有る作品を内側に入れる(入れ子)場合、外側の底に衝撃が掛からない様にします。

    又、「入れ子」の数も、あまり多せず、底に負担が掛からない様に、考慮します。

  ) 皿などの、平たい(薄い)作品は、なるべく立てて窯詰めします。

    背の高い作品に、寄り掛けたり、作品同士で、持たれ合いして、立てて下さい。

    但し、作品が丸い場合、立てると、点で支える事に成りますので、その部分に、

     負荷が掛からない様に、注意する必要が有ります。

  ) 燃料で焼成する場合、素焼表面や、重ねた部分が、煤(すす)で黒く成る場合が有ります。

    下絵付けをする場合には、絵の具の色が、見え難く成りますので、重ねる面に注意してください。

    尚、単に釉薬だけで処理したい場合には、黒くなっても、問題は有りません。

  ) 棚板などは、なるべく少なくし、作品全体が、縦に並ぶ様にします。

    窯の中の熱が均一になり、燃料費の節約にもなります。

 ② 本焼きの窯詰めに関しては、後日説明したいと、思います。

6) その他の違い。

 ① 本焼きは、素焼に比べ、焼成時間が長くなり、温度上昇が、順調に推移しているかを、

   常に注意する必要が有ります。

  ) 温度上昇が、突然遅くなったり、逆に温度が下がる場合も有ります。

   その原因も、窯によって、色々癖の様なものが有ります。窯の性質を掴むまでには、

   数回~数十回、窯を焚かなければ、解からない場合も有ります。

   窯の癖を理解した上で、対策や対処方法をとる事に成ります。

   この事は、素焼の場合の癖、本焼き時の癖と有り、その対処方法も、違う事が多いです。

   尚、窯の癖は、その窯特有の場合や、特有の窯詰めの仕方に、原因がある場合が多いです。

   それ故、他の人の助言や、助けが得られない場合が、多いです。

  ) 同じ窯で炊いても、作品を置く場所によって、作品の出来が、大きく違う事が多いです。

   又、前回の窯焚きで、良い作品が出来たからと言って、今回も同じ様に焼き上がるとは、
 
   限りません。

  ・ 「窯焚き、一生」と言う言葉が有ります。

 私も、200回近い本焼きをしていますが、満足いく焼成とは、程遠い状態です。

 陶芸の窯焚き(素焼) 
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素焼と本焼きとの違い(1)

2009-05-10 23:18:02 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
作品が十分乾燥したら、次に素焼、施釉、本焼きと、続きます。

素焼と本焼きとの違いを列挙すると、以下の様に成ります。

1) 目的が違う。

2) 焼く温度が違う。

3) 焼き方が違う。

4) 焼ける作品の量が違う。

5) 窯詰めの方法が違う。

6) その他の違い。

以上 順次お話します。

1) 目的が違う。

 ① 素焼の目的は、釉薬を失敗無く、掛ける様にする為です。

   即ち、素焼をする事により、作品の強度(特に水に対する強度)が増します。

   又、吸水性が増し、水に溶いた釉薬を、素早く吸収し、均一に塗る事が出来ます。

   それ故、焼き締め等の様に、釉薬を塗らない場合には、素焼をする必要は、有りません。

 ② 本焼きの目的は、釉薬を熔かし、作品の素地を均一に被う事で、強度を増し、吸水性を無し

    水漏れを防ぎます。

2) 焼く温度が違う。

 ① 素焼は、700℃~800℃程度で焼くのが一般的きです。

   温度が高すぎると、吸水性が悪くなり、施釉が上手く行きません。

   温度の「バラツキ」も100℃程度あっても、ほとんど問題ありません。

 ② 本焼きは陶器で1200℃(SK-6a)~1250℃(SK-8)が一般的です。

   磁器では、1280℃(SK-9)~1300℃(SK-10)が一般的です。

   本焼きの温度の「バラツキ」(最高部分と最低部分の温度差)は10℃程度に抑えられれば、

   理想的です。

3) 焼き方が違う。

  温度上昇速度の違いと、温度差、及び酸化、還元焼成の有無です。

  ① 素焼では、なるべく「ゆっくり」と温度を上げていきます。

    特に、水蒸気爆発を起しやすい温度近辺では、特に「ゆっくり」(1時間で80℃~100℃程度)

    上昇させます。

   (水蒸気爆発については、後で述べます。)

    温度差については、さほど問題に成りません。かなり「ラフ」にして良いです。

    又、極端な還元で、作品が「すす」で黒くなる場合を除き、神経を使う必要は、有りません。

 ② 本焼きでは、一度素焼をしていますから、水蒸気爆発は、ほとんど起こりません。

   それ故、素焼より温度上昇が早く成ります。

   ほとんどの釉薬は、酸化焼成と、還元焼成とでは、発色の違いが出ます。

   酸化か、還元かを決め、950℃前後より、空気の量を調整し、焼成します。

   (本焼きの焼成方法については、後日詳細を述べます。)

以下 次回に続きます。
   
 陶芸の窯焚き(素焼)   
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