わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 281 轆轤挽きで使う小道具(用具)とは 4

2017-04-28 14:24:58 | 素朴な疑問
3) 皮、布、スポンジの使い方。

  皮は主に作品の口縁や表面を滑らかにする為に使います。布は轆轤作業で水切れを防ぐ為に、

  スポンジは作品内の水分を除去する為に使う道具(用具)です。勿論これらの使い方や使い道は

  個人によって様々です。これから述べる事柄はあくまで、私個人の方法です。

 ① 皮の使い方。

  ⅰ) 皮はなめし皮と呼ばれる薄手の鹿皮製のものです。

   陶芸材料店で購入すると、比較的高価ですので、一般にはセーム皮と呼ばれる安価な皮が

   大きな工具店(ホームセンター等)で売られています。主に自動車の洗車後の拭き取りや、

   貴金属、カメラのレンズ、各種家具や漆器、ガラス、ゴルフクラブ等の手入れ用として使われ

   ている物です。大きなサイズの物も市販されていますので、鋏(はさみ)等で好みの大きさに

   切て使います。使い勝手の良いのは、薄手の皮です。厚い物は柔軟性に欠ける為、使い勝手が

   悪い様です。

  ⅱ) 轆轤作業で使う場合は、水又はぬるま湯に浸して使います。

   轆轤作業では口縁を滑らかにする為に、仕上げ作業の時に使うのが、一般的な用法です。

   皮は、幅2cm、長さ10cm程度の短冊状にして使用します。

  ⅲ) 口縁を親指と人差し指で摘みますが、口縁と指との間に皮がくる事になります。

   皮の一端を右手の人差し指と中指で挿み(はさみ)、他端は左手の親指と中指でしっかり持ち

   ます。皮をピンと張り、両端の中央付近を上から右手の親指を当てます。左手の遊んでいる

   人差し指で、右手の親指と人差し指の中間に半円形の輪を作ります。輪の大きさは口縁から

   どの程度の深さまで拭くかによって、大きさが変わります。

  ⅳ) 轆轤を回転させながら、前記半円の輪を口縁に被せ、右手の親指と人差し指で摘み、

   轆轤が二回転程したら指を静かに離します。必ずしも長く行う必要はありません。

   一般に親指が作品の外側で、人差し指が内側になります。(轆轤が右回転の時)

   注意点は、左手で皮の一端をしっかり持たないと、皮が回転(摩擦)で持って行かれてしまい

   ます。皮に「ドベ」等が付いていると、「ぬめり」の為、指から皮が逃げる易くなります。

  ⅴ) 拭き方(摘み方)によって、口縁の形も変化します。

   a) 摘む力が強いと口縁の肉厚は薄くなります。

    その為、皮で拭く前に、出来るだけ口縁の肉厚を、内外上と三本指(親指、人差し指、中指)

    で押さえ、厚くしておく事です。

   b) 皮で拭くと、口縁の角が取れ丸味を帯びます。内外対称形や外又は内側の「R」を大きく

     する事も可能です。

     口縁を角張らせるには、口の上部と外側を摘み、次に上部と内側を摘む様にして拭きます

   c) 皮を捻る(ひねる)事により、口縁を外に広げたり、逆に狭める事が出来ます。

    摘んだ作品の外側の親指を下に下げ、人差し指をその親指に被せる様ににすると、縁縁は

    外側に開きます(端反る)。内側の人差し指を下げ、親指が上から被せる様にすると口縁は

    内側に反り返ります。皮の使い方は、慣れない方は難しい様です。

  ⅵ) その他の皮の使い方。

    作品の口縁以外の部分も、皮で拭く事で、表面を滑らかにする事ができます。

    例えば、作品の胴体の外側に付いた傷や、細かい轆轤目などを皮で撫ぜる事で滑らかにでき

    ます。皮の両端を両手の親指と人差し指で摘み、両手の親指の腹で皮の中央部分を押さえ、

    皮を胴部分に押し当てて、轆轤を回転させながら、傷や細かい轆轤目を消します。

    皮は下から上又は上から下へ移動させます。親指に力が入り過ぎると、作品が振れますので

    力の加減が必要です。その為、思った通りには完全には、傷も消せません。

 ③ 布の使い方。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 280 轆轤挽きで使う小道具(用具)とは 3

2017-04-23 16:26:09 | 素朴な疑問
4) 竹べら(箆)や木べらの使い方。

 ① 竹べらには、「撫ぜべら」と「切りべら」があります。

  先端がナイフ状に成った物を「切りべら」と言い、左右が円弧状になり中央が尖がった形の物を

  「撫ぜべら」と呼びます。前者は主に直線的に仕上げる場合で、後者は曲線的な仕上げの際に

   使う事が多いです。「へら」の他端は直角にし、角張せます。(即ち長手方向に直角)

   又は、一本の「へら」の両端を使い両方の形にする場合もあります。「へら」の持つ手に他の

   手を沿え、「へら」がブレナイ様ににして使います。

  ⅰ) 箆(へら)の持ち方と、へらの使う部分

   一般に箆は鉛筆持ちで使います。使う部分は箆の側面が多いです。

   円筒形の竹を縦方向にす数個に分けて分割します。当然、そのままでも、側面は本体の厚みが

   徐々に薄くなりかなり鋭利に成っています。先端部分は、鋸(のこぎり)やカッター等で形作

   ります。「ササクレ」部分を紙やすり等で取り除き滑らかにします。

   竹べらは横幅1.5~2.5cm程度、長さが20cm前後が多く使われています。

   市販品を使う事もありますが、自作する事も出来ます。

  ⅱ) 「切りべら」は主に粘土を切る時、又は切り取る時に使います。

   いずれも水で濡らして使うと、抵抗が少なくなり、作業がし易くなります。

   轆轤作業の場合、時計の針で言うと6時又は7時の位置で行います。真っ直ぐな刃の部分全体

   を作品の側面に当て、表面の「ドベ」を取る様にして、垂直に下に降ろすと丸味のある側面の

   形状は、直線状になります。又、轆轤上で作品の側面や口縁周辺を、角張らせる場合にも使い

   ます。即ち轆轤上の粘土を、上下又は左右から「切りべら」を、角にしたい部分に移動させ

   ます。その際、「竹べら」を当てる反対側は、掌で軽く押さえ、「竹べら」による力で作品が

   変形しない様に支える必要があります。

  ⅲ) 「撫ぜべら」の円弧状の側面を利用して、曲線的な作業に適しています。

   側面が曲線の作品は非常に多いです。この曲線を滑らかにする場合に、側面に沿って上から下

   へ「へら」を滑らせ形を整えます。下から上に移動させない方が無難です。

   即ち轆轤挽きされた作品は、下部に成る程肉厚になる事が多く、切り取る量も多くなります。

  ② 轆轤作業で「竹べら」が一番活躍する場面は、作品を切り離す際の位置決めとして印を付

   ける時です。即ち、数挽き(一塊の土から複数個を作る方法)の際、挽き上がった作品を下の

   粘土から糸等を使って切り離す際、「竹べら」を使い位置を確定する事です。又一個作りの際

   にも、高台脇など轆轤に接した部分の余分な土を取り除き、綺麗にします。

   ⅰ) 位置決めには「撫ぜべら」を用います。轆轤を回転させたまま、「撫ぜベラ」の先端で

    切り取る部分に水平な線を(くさび状)、やや深めに入れます。ここが糸を入れる場所です

    注意する事は、切口が周囲の土より高い位置に無ければなりません。周囲の土の方が高いと、

    その高い場所に糸が入ってしまい、底抜けや厚みの薄い底に成ってしまいます。

   ⅱ) 差し込んだ「竹べら」の尻(先端と反対側)を下げる事により、周囲の粘土を下に下

    げる事ができます。

   ⅲ) 楔(くさび)状態にする事で、作品の底は面取りされた状態になります。

    この面取りが不十分な場合、轆轤挽き後の乾燥で、底の周囲から「ひび」が入り易くなり、

    しかもその「ひび」は時間と共に、中心に向かい拡大します。    

  ③ 箆(へら)目を着ける際にも使用します。

   箆目は筒状の作品の側面に縦、横、斜め方向に傷を付ける行為です。箆先を作品に押し込む様

   にして、やや幅広の溝状の凹みの傷となります。

  ⅰ) 箆目を付ける事で、作品はやや歪む事になりますが、作品に荒々しい動きが出ます。

  ⅱ) 箆目は曲線的に入れるば場合もありますが、多くは直線的に入れる事が多いです。

   一本線もありますが、交差させる事もあります。即ちカタカナの「メ」の様に入れます。

  ⅲ) 箆hなるべく作品の面に沿う入れます。即ち箆の平たい面を下にして、上から人差し指で

   押さえながら、滑らす様に傷を着けます。作業は一発勝負ですので、慎重にそして勢い良く

   思い切って傷を付けると、見栄えのする作品になります。箆を入れるタイミングも重要です。

   なるべく作品の表面が濡れている状態で箆目を入れると、ササクレ(バリ)も発生せず綺麗な

   線に成ります。

  ④ 「木べら」は松(赤松)を縦方向に割って、薄い片状にした物です。「へら」の表面が凸凹

   に成っています。必ずしも紙やすりで磨く必要はありません。但し棘(とげ)が無い様に。

   先端は、鋸やカッターを用いてナイフ状に加工します。用途は主に抹茶々碗の高台及び高台内

   を削る際に利用します。轆轤を回転させずに、作品を手に持って消すります。この箆で削る事

   で、趣きある削り跡となります。

   赤松を使う理由は、土離れが良くなる為です。市販品もありますが、余り見掛けませんので、

   興味のある方は、自作すると良いでしょう。

3) 皮、布、スポンジの使い方。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 279 轆轤挽きで使う小道具(用具)とは 2

2017-04-21 16:44:26 | 素朴な疑問
2) 太い針は、空気(気泡)や異物の除去に使います。

  土練(菊練)が不十分の場合、轆轤挽きの際、粘土が薄くなるに従い、空気が石の様に感じられ

  作業が非常にし難くなります。更に、空気の部分は肉厚が薄くなりませんので、高さなどに狂い

  が生じます。その為、空気を抜く必要があります。

 ① 空気のある位置は見付け難い。

  粘土が回転している場合には、空気の存在は手で触れれば、直ぐに判るのですが、回転を止める

  と判り難くなります。大きな気泡であれば、土の径を細くすれば、内側に凸(出っ張り)が出来

  ますが、小さな気泡では難しくなります。但し、円周上のどこかは不明ですが、高さは判るはず

  です。それ故、空気の有りそうな場所近辺を針で刺す様になります。

 ② 針は向こう側まで突き刺す事。突き刺す数は一個とは限りません。その周辺数箇所刺します。

  刺した部分を指で撫ぜる様にして押しますと、空気が抜ければ、その部分が凹みます。

  凹み部分は轆轤作業中に自然に埋まります。

 ③ どうしても見付けられない場合には、轆轤を回転させ粘土の内側の空気の有りそうな高さに針

  を刺します。螺旋状の線が残りますが、その状態で下から上に轆轤挽きすると、空気が抜けて

  いる場合が多いです。試して下さい。いずれにしても、土練が慣れるに従い、空気が入らなく

  なります。

 ④ 粘土の中に小石や木片等、異物が入っている場合もあります。

  異物は空気と同じ感じになりますが、針で刺しても凹む事はありません。それ故、粘土の中から

  掘り出す必要があります。その際、太めの針を使います。異物の周囲に針を差込、ほじくり出し

  ます。異物の大きさによっては、大きな穴が開く事もあります。その場合、濡れていない固めの

  粘土で穴を塞いでから、轆轤挽きします。 本体や粘土片が濡れた 状態では接着できません。

  葉や木片等の異形な異物は、何処まで埋まっているか判ら無い場合が有りますが、根気良く

  ほじくり出してください。傷口が大きい場合には、固めの粘土で補修後轆轤挽きします。

3) 其の他の針の使い方。

 ① 底の肉厚を計る。数挽きでなく、一つの粘土の塊より一個の作品を作る際に使います。

  轆轤挽きでは、作品を作る際、土の塊の中央に穴を掘り込む作業が行われます。その際、底抜け

  に成らない様に、底に土を残します。当然、削り高台の場合と、ベタ高台では残す厚みに差を

  設ける必要があります。又高台を高くする場合には、厚く残す必要があります。轆轤に慣れた方

  では、底の残り粘土の厚みは判り易いですが、慣れない方は薄過ぎたり、厚過ぎたりし易いです

  薄過ぎる場合には、高台内を削る事は出来ませんし、厚過ぎる場合には、削り作業が出来ても、

  所定の厚みに削らないと、底割れを起こしますので、適量の厚みにする必要があります。

 ⅰ) 肉厚を測る針は、細長い木の軸に釘先を嵌め込み、軸より5、8、10、15mm等の長さ

  を突き出します。上記寸法は残すべき肉厚です。5mmは一般的なベタ高台の場合で、8mmは

  花瓶など下部に重みを付ける彩のベタ高台の場合です。10mmは、一般的な高台(輪高台、

  碁笥底高台)の場合です。15mmは高台を特別高くする際に利用します。

  各々の針は厚みが判る様に、違う色のビニールテープを巻き付けると便利です。

 ⅱ) 粘土の中央に穴を掘り込み、おおよその厚みの時、轆轤を止め穴の中心に針を刺します。

  針が中心に無い場合、轆轤を完全に止めないと、底が丸く切り取られますので、完全に止めます

  粘土の底に木軸の跡が、わずかに付けば所定の肉厚と成ります。その際、中心に残っている水は

  スポンジ等で、吸い取って下さい。又、木軸で針が下に差し込めない場合がありますので、

  強い力で押し込み、針が轆轤面まで届いた事を確認します。その為、やや太めの針となります。

  深く掘り過ぎると土を足す事に成りますので、なるべく堀足らない程度が理想で、一度で決めず

  に数回に分けて行う事です。針の穴は完全に塞ぐ必要があります。周囲の内側の壁の土を中心に

  移動させながら、完全に針の穴を閉じます。素焼きご作品の中心に針穴が残る事もありますが、

  施釉する事で完全に塞ぐ事が出来ます。

 ② 針は作品を細工する際にも利用します。

  ⅰ) 当り線を描く。線描きや浮き彫り、掘り込み模様、掻き落とし等の際、針先で作品に当り

   を付けます。最初は薄めの当りとし、確定したらしっかりとした線にします。浅い当りは指に

   水を付け、表面を撫ぜる等の方法で、容易に消す事ができます。

  ⅱ) 透かし彫りの際にも利用できます。針は細く丸や角、不定形など自由に動かす事が出来る

   為、便利な道具です。軟らかい粘土の場合には、壁の向こう側まで一気に差込、当り線上を

   トレースする事で、透かし彫りが出来ます。固めの粘土の場合には、針先を水で濡らし、

   少しづつ、溝を深くしていきます。口径の小さな作品の場合、抜いた土が内側に落ち込まない

   様にする必要があります。即ち、針の切り口がやや外向きになる様にします。  

4) 竹へら(箆)や木へらの使い方。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 278 轆轤挽きで使う小道具(用具)とは 1

2017-04-19 16:39:44 | 素朴な疑問
電動轆轤で作品を作る際、幾つかの小道具を使います。

水桶、コテ類、トンボやカンナ(鉋)類、切糸(シッピキ)、パス(コンパス)、湿台(シッタ)、止め土等

はご存知の道具(用具)類ですが、その他に、針、竹箆(へら)や金箆、弓、皮、布、スポンジ等が

あります。

各々個別の用途があり、その使い方にも独特な物もあります。尚、使い方にも、人によって違いが

ある事が多いですので、ここでは私なりの方法をお話します。

1) 弓(ゆみ)、細い針: 高さを調整する小道具です。

 轆轤挽きに不慣れな方では、轆轤挽きの途中で高さに狂いが出る場合があります。高さに狂いが

 あると、作品が歪む原因にもなりますし、例え歪んでいなくても、轆轤を回転させると、歪んだ様に

見えます。その際粘土の高さを切揃える用具として、弓や細い針があります。弓と細い針の違いは、

 弓が2mm以上切り取る必要があるのに対し、細い針は狂った部分のみを切り取りますので切り

 取る高さは、1mm以下で済む場合があります。弓が初心者向きなのに対し、細い針は、上級者向

 きとなります。

 ① 弓は10~15cmのバネ製の部材(竹ひご、鉄板など)を「U」の字型に曲げ、細い糸を

  両端に巻き付け、ピーンと張った状態にした物です。糸はなるべく細い糸を使います。

  ⅰ) 弓は片手又は両手で持ちます。

   片手の場合は五本の指でしっかり握ります。その際もう一方の手で手首などを支え、弓がブレ

   無いようにします。両手を使う場合は、弓の両端を両手の親指と、人指しと中指で支えます。

  ⅱ) 弓の一端を作品(轆轤)の中心に向け、他端は作品の外側になる様に構えます。

   糸は真下にし、切り口が水平になる様に糸も水平にします。その際、糸に水を付けると、

   滑らかに切断できます。バネの効力が無くなり、糸が弛む様でしたら、両端を引っ張り糸の

   張りを持たせます。

  ⅲ) 轆轤の回転は若干速めにします。弓を入れる場所は片手なら時計の針で6時の位置で、

   両手の場合は9時の位置です。(轆轤は右回転の場合)

   躊躇せず一気に所定の高さ(切りたい位置)まで、弓を差し入れます。二回転したら素早く、

   弓を真上に引き上げます。一回転目は糸の高さが安定しませんので、ここで引き上げると綺麗

   な高さには成りません。 又3回4回と回転数が多くなると、弓の糸がブ振れ切り口が二重

   三重になる恐れが出ますので、二回転がベストです。引き上げる高さは、切り取った粘土が

   本体から十分に離れる必要があります。又、糸の高さの保持に自信の無い方は、弓を持たない

   手の親指と人指指で本体を抱かかえ、その親指上に糸を落とし込む事で安定させる事も出来

   ます。

  ⅳ) 切り取った粘土は、輪に成っていなければ成りません。

  ⅴ) 切り取りは、肉厚の粘土の方が容易です。薄くて「ヨレヨレ」の状態では、上手に切れま

   せん。

 ② 細い針を用いて高さと、肉厚部分を切り取る。

  縫い針程度の細さの針を、細い木の軸に差込み接着します。針の長さは、軸より3~5cm程度

  出っ張る様にします。

  ⅰ) 狂った高さを切る。

   作品の径によって、内側又は外側から針をいれます。即ち、径の細い場合には、外側から、

   太い場合には内側(場合によっては、外側)から入れます。針は水で濡らす事により、より

   スムーズに切る事が出来ます。

  ⅱ) 切り取る量は最小限に抑える事が出来ます。

   轆轤に回転を掛けながら、針を本体の側面に当て、少しずつ押し込んで行きます。回転数の

   決まりはありません。完全に切れるまで行います。

   その際、針を持つての肘(ひじ)は、太腿に当て固定し、針を持たない手の親指は針又は針を

   持つ手と連結し、針の振れを押さえます。

  ⅲ) 針先と針を持たない手の人差し指は、向かい合わせます。人差し指に針先を感じたら、

   切断完了ですので、素早く真上に針を持ち上げます。

  ⅳ) 切った粘土が本体真上に残る場合があります。

   弓で切った場合はこの現象は見られませんが、針の場合起き易いです。その際には濡らした

   針を、本体切り口上を滑らせます。若干浮き上がる様にすると、粘土が針に付いてきます。

  ⅵ) 縁の肉厚の狂いを針で切り取り、同じ厚みにする。

   真上の高さの狂いは、上記の他肉厚の差として現す事が出来ます。即ち、本体の縁を親指(外)
   

   中指(内)、人差し指(縁の真上)の三本指で押さえ、高さを一定にすると、背の高い部分は

   肉厚に成ります。この肉厚の部分を針で、切り取ります。

   a) 針を親指、人差し指、中指で垂直に持ちます。(針先が真下を向く)

    薬指を本体の縁の内側に沿わせます。細い針は予め水で濡らせておきます。

   b) 針と薬指の間隔を一定に保ちながら、轆轤を回転させ針を、徐々に真下に降ろしていき

    ます。 間隔を一定に保つのも慣れないと、結構苦労します。

    本体の縁は肉厚の部分のみを切り取り、他は針が撫ぜる又は、空振りする程度とします。

    切り取った粘土は針に絡み付きます。場合によっては、粘土が本体側にくっ付く事もあり

    ますが、使った針や竹ヘラ等で容易に取り除く事が出来ます。

2) 太い針は、空気(気泡)や異物の除去に使います。

以下次回に続きます。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 277 陶印の作り方とは?

2017-04-17 17:13:41 | 素朴な疑問
自作の作品に銘(サイン)を入れる場合、陶印を捺す事があります。

陶印は粘土を使って自作する事も容易ですので、使われている方も多いです。

陶印の作り方をお話します。

例として、生の状態で、長さ約60mmで、印面が両端面にあり、20mmと15mmの大小二面の

正方形とします。素焼き後に使用しますので、7%程度縮みますから、出来上がりが若干小さく

なります。

1) 印の本体を作る。

 ① 細かい細工に成りますので、粒子の細かい粘土が適します。

 ② 直径2.5~3mm程度の丸い粘土棒を作ります。長さは100mm程度にします。

 ③ 丸棒を角棒に変形させる。

  ⅰ) 丸棒の長手方向を下にしてテーブルに落とします。手に持った状態で、人差し指を背に

   当て、テーブルに押し付ける様にしても良いです。一面が平らになるはずです。

  ⅱ) 棒を九十度回転させ、同じ様に平面を作ります。同様に九十度回転させ三面と四面を

   作ります。

  ⅲ) 四角棒の端面の一方を大きくし、反対面を小さくする。

   四角棒の一方をテーブルに強く叩き付け、細長くします。

  ⅳ) 両端面をカッター等の刃物で切り、長さを約60mmとします。

  ⅴ) 両端面をテーブルに軽く落とし、四角棒と直角になる様にします。

  ⅵ) 印面が正方向に成る様に、四角棒を軽くテーブルに叩き付けながら、整形します。

    同時に四角棒自体も叩き締め、強度を持たせます。

  ⅶ) 細工(彫り込む)し易い程度に乾燥させる。

2) 印字を決める。

 ① 印面は20mm四方と15mm四方ですので、多くの文字(又はマーク)数は望めません。

 ② トレーイングペパー(トレペ)を用意し、印面の大きさを写し取ります。

  即ち、トレペの上に印を垂直に立て、周囲を鉛筆で囲みます。大小の二個が必要です。

  印面を中心にして、一辺50mm程度のトレペが必要です。

 ③ 四角く囲んだ部分に文字(マーク)を書き込む。ギリギリの大きさではなく、若干小さくし

  ます。大小の文字や書式は必ずしも一致する必要はありません。

  印を凸にする場合(印の周囲が凹む)は、トレペを裏返し反対側から文字を「なぞり」ます。

  印が凹む場合にはそのまま使います。細い逆さ文字を彫るのは難儀しますので、出来た印を粘土

  に押し、それを印面に貼り付けて印を作る予定です。後で述べます。

 ④ トレペの文字を本体(四角棒)の端面に押し当て、周囲のトレペは折り畳む様にして本体に

  巻き付け、セロテープ等で固定します。

3) 文字を印面に写し取ります。

 ① 細い鉢を用いて、トレペの文字を順々に突き刺し、ミシン目の文字にします。

 ② ミシン目の文字を連続する線にします。

 この段階で気に食わない場合には、端面をカッターで切り取れば、再度挑戦する事が出来ます。

4) 印を彫る。試し捺し。

 ① 彫る道具は太めの針、彫刻刀、鉤型の針(用具)、その他手近な物で結構です。

  「バリ」(毛羽立ち)が出る場合は、素地が軟らかい場合で、削り難いのは乾燥し過ぎです。

 ② ある程度彫り終えたら、軟らかい粘土上に試し捺しをします。

  当然、印の方が乾燥していなければなりません。さもないと、印面が崩れます。

  印面に片栗粉を振り、型離れを良くし、軟らかい粘土に捺印します。

  文字の太さ、文字の出っ張り具合などを確認します。直す処があれば直します。その度に試し

  捺しをします。

 ③ 小さな面にも同様の作業を行います。

  但し、印には上下関係(天地)がありますので、大小の印の天地は揃えておく事です。

  大きい面の印は大物の作品に、小さな面の印は小物(一般的に手に持つ作品)に多く使います。

  それ故、小さな面の印を使う事が多くなります。

5) 全体を整える。

 ① 捺し易い形状である事。

  ⅰ) 印面の中央に文字が有る事(傾いていないか)。上下左右の隙間は、バランスが取れてい

   るか等です。

  ⅱ) 印面の面取りを行う。

   四角い角は欠け易いですので、1~2mmの面取り(45度で切り取る)し、予防します。

  ⅲ) 手に持つ印の本体の角は、若干丸味を持たせます。

 ② 印の天地が判る様に印を付ける。

  捺印の際、天地を印面を見て確認する必要はありません。

 ③ 印の保管。

  印をご自分で保管する場合と、陶芸教室の様に、共同で一つの場所に保管する場合があります。

  後者の場合、一目で自分の印であるのが判る、何らかの目印が有れば便利です。

6) 印字を凹ます場合。

  表文字で印面に彫り込みます。軟らかい粘土(厚さ2~3mm)に捺印します。

  印字は逆さ文字に成ります。この逆さ文字の粘土板を印面の大きさに切り取り、若干乾燥させて

  印字面に貼り付けます。但し、表文字の印は貼り付ける直前まで、削り取らない事です。

7) 素焼きして完成です。

  勿論、本焼きしても良いのですが、本焼きすると型離れが悪くなりますので、場合によっては、

  片栗粉を塗って使う事になります。

  素焼きで有れば、吸水性がありますので、型離れも良くなり、そのまま捺印できます。

  素焼き後でも若干補修する事も出来ます。

  陶印はある意味消耗品です。長く使っていると印面や角が摩滅します。その際には新しく作り

  換える事です。又、短時間で作れるので気に入るまで作り直す事です。


  

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 276 サイン(銘)の入れ方

2017-04-14 17:57:21 | 素朴な疑問
現在では、自作した作品にサイン(銘)を入れるのは、一般的な事です。

但し、民藝作家と呼ばれる人々の間では、サインを入れる事はほとんど無いか、少ない様です。

特に陶芸教室や陶芸体験など不特定多数、又は複数の人が同一窯で焼成する共同窯の場合には、

作品が誰の物かを特定する為に、サインは不可欠です。

サインを入れる場合、どの様なサイン(銘)を、作品のどの位置にどの様な方法(用具)で入れれば

良いのか迷う事があるかも知れません。勿論こうしなければ成らないと言う決まりはありませんが、

ある程度の予備知識があれば、迷いも少なくなるかも知れません。

1) サインの種類。

  個人を特定する印ですから、何でも良いのです。当然他の人と混同する印であってはなりません

  尚。贋作として他人の銘を入れる場合がありますが、ここでは取り上げません。

  例えば、フルネーム、イニシャル、マーク、窯印等多彩です。漢字、平仮名、カタカナ、英数字

  アルハベット、独自のマーク等です。崩し文字や筆記体など、書体にも「こだわり」を持つ人も

  います。サインは一人一個を基本にしますが、場合によっては、複数個使い分ける事もあります

  別人が同じサインを用いる場合、そのサインを丸や四角で囲み、区別する事も出来ます。

  作家さん達は、作品の種類別、制作時代別などで使い分ける場合があります。

2) サインを入れる場所

 ① 一般にサインは目立たない場所に入れる事が多いです。特に作品の正面は避けた方が良い様

  です。尚、あえてサインを強調し目立つ場所に入れる事もあります。

 ② 作品の底面(高台内)、高台脇(左右側面)が多いです。裏正面は少ないです。

  側面の場合、正面から見てしっかり見える必要はありません。作品をやや回転させれば確認出来

  る位置に入れれば十分です。底面の場合は、当然ひっくり返して見る事に成ります。その際

  サインの天地(上下)方向に注意し、読み易い方向や位置でサインを入れます。

 ③ 角の大皿の場合、作品の上面の隅に入れる事もあります。

  印影も一つの景色(見所)となるからです。その際、丸い印よりも角印の方が見栄えがします。

  但し、印を捺す事で、作品の上下が自然に決定されますので、良く考えてから捺印します。

3) サインの入れ方と用具。

 ① 彫り込む方法。

  素地が手に持てる程度のやや乾燥した後に、先の尖った針、釘、竹ひご等で表面を引掻いて彫り

  込みます。

 ② 印を捺す。

  半乾きの状態で捺印します。印は特別注文で作って貰う事もありますが、自作の陶印を使う事が

  多いです。尚、印影には、銘が出っ張る凸型と、凹型があります。後者の方がより鮮明に出る

  傾向があります。いずれの際にも、出来るだけ作品の裏側に手を添えて押さえ込むとより鮮明に

  なります。曲面の場合、印を曲面に応じてやや回転させる必要があります。即ち角角と四隅を

  捺してから、印の中央に力を入れます。

  乾燥の甘い素地には、印又は素地に片栗粉を着けると、型離れが良くなります。

  尚、次回「陶印の作り方」をお話します。

 ③ 下絵付け用の絵の具でサインを描く、又は捺印する。

  ⅰ)下絵の具として、呉須や鬼板などが昔から使われてきました。

  ⅱ)下絵付けは素焼き後に行うのが本筋ですが、生素地に入れる事も可能です。

  ⅲ)筆で描くか、印はゴム製の判子を使うと便利です。 

4) サインを入れるタイミング。

 ① 板皿の場合

  タタラ作りで板皿を作る場合、形作りの前にサインや捺印を入れると、平面状態ですので入れ

  易いです。但し、形作りの際、縁を持ち上げますので、銘(サイン)が縁に近いと、銘が変形し

  易いですので、ある程度縁から離して銘を入れます。印は素地が軟らかい方が、しっかり現れ

  ます。但し、力を入れ過ぎない様に、力加減に注意が必要です。力不足の場合印が不鮮明に成り

  ますので、再度捺す事も出来ますが、印影がズレ無い様に注意が必要です。

 ② 轆轤挽き後の作品の場合。

  高台などの削り作業後に行います。カップの取っ手や急須など組み立てる必要のある作品は

  組み立て後に銘(サイン)をいれます。捺印の場合、素地が乾燥し過ぎてハッキリ出ない場合

  には、素地の表面を水で濡らし、一分程放置すればその部分は柔らかくなりますので、捺印が

  容易に成ります。

5) サインは作品の使い勝手を考えて入れる。

  サインは縦書き、横書き、斜め書きであってもかまいません。

 ① 円形の作品であれば、正面を向けたまま向こう側に傾け底にサインをいれます。サインは中央

  又はやや下側にいれます。その際サインの上部は中心方向に向け、下部は縁(高台)側になる

  様に入れます。天地が判り難い入れ方は、サインを読み取るのに苦労します。

 ② 取っ手など作品に方向性がある場合、使う状態(取っ手を持った状態)で引っくり返し底に

  サインを入れます。側面に入れる場合には、取っ手の下部の付け根付近に入れます。その際、

  取っ手の手前側に入れる方法と、外側に入れる方法があります。手前側では自分に向ける事に

  なり、外側では相手に向ける事になります。いずれであってもかまいませんが、銘をアピール

  するのであれば、外側に成ります。

6) サインの上に施釉すると、釉の為に見えなくなる場合があります。その為、サインの上に撥水

  材を塗り、釉が掛からない様にする場合もあります。彫り込んだり、捺印した場合には、ブラシ

  で、釉を取り除く事もできます。

以上、サインを入れる際の参考にして頂ければ幸いです。

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素朴な疑問 275 作品を宙に浮かせて焼く方法とは?

2017-04-10 16:32:45 | 素朴な疑問
一般的には、焼成の際、作品を完全に宙(ちゅう)に浮かせて焼く事はできません。

尚、素焼きの場合には、他の作品に重ねて焼く事も出来ますが、施釉した作品を本焼きで重ねて

焼く事は出来ません。その為、畳付き(糸じり)と呼ばれる部分は、釉を取り除く必要があります。

即ち、その部分は素地が露出した状態になります。作品によっては、この部分を施釉したいと思って

いる方もいる事と存じます。更に、昔からより多量の作品を焼く為に、平坦な皿類を重ねる方法も

取られていました。その為の方法が古くから行われています。

1) 目立をする(目を立てる)。

 道具土を使い、三角(又は円)錐状の粘土粒を作り、高台よりやや長め(高め)にした物を目立て

と呼びます。これを底又は糸尻(畳付き)に数個取り付け、浮かせて焼く方法です。焼成後は取り

除きます、勿論目の跡が付きますが、目跡も見所の一つになった作品もあります。

 ① 元々は、平坦な皿などを重ねて焼き、窯の無駄な空間を出来るだけ少なくする為に、考えられ

  た方法です。その為、下の作品の内側と、上側の作品の底に数個の目跡が残ります。

  古い時代の皿などの内側には、目の跡が付いた物が多いです。

 ② 目立てをする部分に施釉する方法と、施釉しない方法があります。

  施釉しない場合には、目立ては比較的簡単に取り除く事が出来ます。目の跡は殆ど見えなくなり

  ます。又、焼締や施釉陶器の場合には、粘土球や貝殻を数個置く場合もあります。貝殻は炭酸

  カルシュウムなので、焼成後に粉末化して取り除けます。施釉した場合には、貝殻の模様がその

  まま残りますので、桜貝などが多く使われ、模様と見なされてもいきます。施釉した部分では、

  目立てが「くっつくいて」しまいますので、リューター(電動ヤスリ)等で強制的に取り除く

  必要があります。跡をザラスキ感が生じ、完全に無くす事は出来ません。

2) 施釉していない口又は底同士を、重ね合わせて焼く。

  上に載った作品は宙に浮いた形になります。施釉していない部分に酸化アルミナ等を塗り重ね

  合わせます。アルミナはくっ付き予防です。必ずしも同じ大きさの必要はありませんが、積み上

  げて、不安定になる場合は数を少なくします。

3) 3~4本の横棒で支える方法。

  匣鉢(さや)を使う場合、一つの匣鉢に複数個の作品を入れる事があります。

  匣鉢の壁から中心に向かって、耐火度のある道具土などで作った、細い棒又は作品を支える部分

  のみが細い棒を取り付けます。円い匣鉢では3本、四角い匣鉢では4本水平に出します。この上

  に作品を載せて焼きます。施釉した作品であれば、底又は外側の側面がくっ付きますので、

  ヤスリなどで取り除く必要があります。

  尚、軽い作品であれば、横棒の一部に爪状の突起を設け、底に載せる方法もあります。より

  爪跡が小さくなります。

4) アルミナ棒を使う。

  小さな軽い作品の心棒として使い、宙吊りする事も出来ます。その為、心棒をに触れる部分には

  施釉出来ませんが、その他の部分には施釉が可能です。当然アルミナ棒は耐火物を用いて、

  両端を支える必要があります。耐久性がありますので、複数回使う事が出来ます。

  市販品では径が3mmで長さ130mmと、径が5mmで長さ100mm等の物があります。

  やや重量のある作品では、数本のアルミナ棒を使うと、より安全に吊るす事が出来ます。

  勿論、耐火土を使ってご自分で棒を作る事も可能です。興味のある方は色々試して下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする