わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 預け鉢

2010-06-21 21:54:31 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
懐石道具の、預け鉢(あずけばち)とは、一汁三菜の料理が済んだ後に、

更に、亭主が客をもてなす為に、用意する、料理を盛る器で、深鉢や、平鉢が多いです。

 尚、預け鉢の名は、客が自由に、食せる様に、料理の入った、鉢を客に、預けた為に付いた、

 と言われています。

 ① 現代の茶事では、一汁三菜に加え「預け鉢」、或いは「進め鉢」と称して、もう一品、

   炊き合わせ等の、料理が出される事が普通です。

 ② 焼物と同様に、大きめの鉢に、盛り合わせた料理を、天節(止節、節が持ち手の端にあるもの)

   の取り箸で、各自が取り分けます。

 ③ 尚、流派によっては、「預け鉢」そのものを、「強肴(しいざかな)」と称する場合もあります。

   「強肴」とは、酒の肴(さかな)となる物です。うにや塩辛などの、珍味が用意される事が多い様です。

 ④ 預け鉢に盛る、料理には、 決まった物は、ありません。

   「炊き合わせ」や酢の物、浸し物、煮物、冷やし物、和え物、揚げ物などで、他と重ならない様に

   選びます。

   炊き合せ(たきあわせ):食材を、別々に煮て、それを一つの器に、盛り合わせた、煮た物の事を、

   言いますが、煮物とは、区別されます。

   煮物は、煮物碗に盛られますが、炊き合せは、預け鉢に盛られます。

    (関東で煮物といった場合には、大煮物と小煮物に分類されます。

     大煮物とは、一つの材料を、大きな鍋で、長い時間をかけて、煮た物を指し、

     小煮物は、色々な材料を、一緒にして、少量を即席に煮た物をいいます。)

   「鉢肴(はちざかな)」、「強肴(しいざかな)」といって、献立以外の料理を出す場合もあります。
 
 ⑤ 強肴は、本来懐石料理になかった物ですが、こんな珍味があるのだから、もっと酒を飲もうと、

  強いる事から、そう言われています。

1) 預け鉢

 ① 預け鉢には、菓子器にも使える、少し深めの鉢を、使う事もあります。

   大きさは、径が20~30cm位、高さが、10cm前後の物が、使い易いようです。

   平鉢の場合には、高さが、5cm前後が多いです。

   又、深い器の場合、料理が取り易い様に、端反(口縁が外に反り返っている)に成っています。

 ② 料理を取り回されている途中でも、美しい器形や、絵柄が見える様に、工夫されています。

2) 預け鉢の種類

  預け鉢で有名なのは、黄南京(きなんきん)、染付け(祥瑞、しょんずい)、呉須赤絵、青磁です。

  その他に、古九谷、絵唐津、備前焼や、京焼等が有ります。

  特に京焼には、尾形乾山、永楽保全、仁阿弥道八などの、色絵に名品が多いです。

以上で「預け鉢」の話を、終わります。

次回は、酒器である、徳利について、述べます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする