わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

教程13-3 (二重の器)

2008-11-25 23:09:57 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
ロクロでの、特殊な作り方の最終回になります。

 花器や、壷などで、外側が透かし彫りになり、内側にもう一つの壁が有る器を見たことが

 有ると思います。

 その作り方を述べたいと思います。

 イ) 先ずデザインを決めます。

  ① 形、及びどの範囲を二重にするかも決める。

  ② 寸法、高さ,直径 (内側と外側の器の寸法)を決める。

  ③ 透かし彫りの模様を決める。

 ロ) 内側の器を作る。

   これは何時もの様に、作品を作り、ロクロより切り離します。

   持って、変形しない程度に、乾燥させます。

  但し、底の周辺は、土が厚くなっていますので、なるべく竹へらなどで、削り取ります。

   (土が軟らかい内に、削りますから、やや、やり難いです)

 ハ) 外側の器を作る。

   ① 底を抜いた形にします。

     底の大きさは、内側の器の底の径より、やや小さめにします。

   ② 土を上に延ばし、形を作る。

     内側の器が十分入る、口の広さにします。

     二重にする部分より高くし、延ばします。

     外側と内側の壁の隙間も顧慮して形作ります。

  ニ) 外側の器の中に、内側の器を入れる。

   ① 内側の器が、外側の器の中心に載る様にセットします。

     即ち、隙間が一定になる様にします。

     ロクロをゆっくり回転させながら、隙間に指を入れて、調整します。

   ② 外側と内側は、底と外側の口の二箇所で繋がる事になります。

     底は、内側の器を中に置いた状態で、自重によって、接着します。

 ホ) 口(上部)を繋げる。

   ロクロを回転させながら、徐々に隙間を無くし、繋げます。

   内外の器の繋げる部分の乾燥度は、なるべく同程度にします。

   繋げる方法は三通り有ります。

   ① 外側の器の口の土を、内側に細めて(絞る)、繋げる。

     内側の器の形を変えたく無い場合や、内側の器の方が、背が高い場合などです。

     壷などもこの方法を取ります。

   ② 内側の器の口の土を、外側に開いて繋げる。

     花瓶の様に、口縁が開いた形の場合に使えます。

   ③ 内外両方の土を、均等に近付けて、繋げます。

 ヘ) 底、高台脇を削る。

    形が出来たら、乾燥後、底などを削ります。

 ト) 透かし彫りを施す。

   ① 予め決めておいた模様を、針などで器に輪郭を描きます。

   ② 模様を透かし彫りにします。 注意点は、

    a) 内側の器に傷を付けない事。針などの工具で掘る場合、奥まで深く差し込まない事。

    b ) 抜いた「かす」を内側に落さない事。

      若干外開きに切り取り、内側に落ちない様にし、大まかに抜き終わったら、仕上げをします。

      この程度の「かす」なら、内側に落ちても、外に出す事が出来ます。

    c) 穴と穴の間隔を、狭めない事。

      最低5mm以上あけて、穴が繋がら無いで下さい。

    e ) 複雑で繊細な模様にすると、作業する時、持つ場所に苦労する場合があります。


以上で素焼前の作業は、終わりになりますが、施釉の際、内外の器の色を変えたい時、

何らかの工夫が必要になります。
     
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教程13-2 (環作り)

2008-11-20 22:43:30 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今回は、ロクロによる、特殊な作り方の2回目、環作り(又は管作り)に付いて述べます。

太い環を作るのは、それなりの技術が必要ですので、最初は断面の直径が、5cm程度の

太さの環を作ります。

 完全な環はそのままでは、使えませんから、どこかに穴を開けて使う事に成ります。

 又、環を寝かせたり、立てたりして使い、更に環の一部を切り開き、「Uの字」型にして使う

 事も出来、更に環を幾つかに分割して、組み合わせて使う事も可能です。

 ・ 要は、どのように使うかは、ご自分で考えて、趣のある作品を作って下さい。


では本題に入ります。

 1) 菊練した土を、ドーナツ状に作ります。

  ① 径は、自由に決めてください。

  ② 紐状にした土の両端を合わせて、ドーナツを作る場合、注意する事は、合わせ目に空気が

    入らない様にする事です。

    出来れば、一塊の土の真ん中に穴を開け、ドーナツを作る事を勧めます。

  ③ 太さを揃えた方が、後の作業が楽に成ります。

 2) ロクロ上に、このドーナツを載せ、綺麗な円を出します。

  ① ドーナツを上から軽く叩き、ロクロに密着させます。

  ② 手又は濡れた布切れで、内外上の3方向を押さえ込み。太さを揃え、綺麗な円を出します。

 3) ドーナツの太さの中央を、指で溝を掘ります。

  ① 内外の土の割合は、内側をやや多目に取る様にします。

    (遠心力が働き、環に接合する時に、内側の土を高くした方が、作業し易いです。)

  ② 底の厚みは5mm程度にし、 底の形は、「Uの字」型にします。

  ③ 溝の径は、指1、2本が入る程度にし、余り拡げ無い様にします。

 4) 内側及び外側の土を、上に延ばします。

  ① 先に内側の土を延ばします。内側から作業した方が楽です。

  ② 次に外側の土を延ばします。

 5) 形を作る

  ① 内側の土を中央(内側)に拡げ、半丸の形にします。

  ② 次に外側の土を、内側の半丸に向かう合う様に、丸く拡げます。

 6) 円を閉じる

  ① 内側の土が若干多くなっていますので、合わせ目は、やや外側に成ります。

  ② 口の周辺の内、外から、合わせる様に、土を寄せます。

    ・ 土の量にある程度余裕がないと、上手くあわせることは出来ません。

    ・ 内、外の口の高さが、凸凹していると、一箇所は接合出来ますが、全てを均等に

      接合する事は、難しいですので、高さを綺麗に切り揃えます。

  ③ 接合は、一箇所から始まり、ロクロを回転させて行くに従い、少しずつその割合が、

    増えて行き、最後に完全に閉じる事が出来ます。

    (完全に閉じる前に、環の中の水は、拭き取って下さい)

  ④ 空気を完全に閉じ込めると、形を変える事が容易に出来ます。

    ・ 環の断面が、やや高めの楕円、扁平な楕円、場合によっては、おにぎり型、三角形や

      四角形など好みの形に出来ます。

  ⑤ やや乾燥後、糸でロクロより切り離します。

    ・ 径が大きいとき糸が浮き、底に穴が開く場合があります。

      そんな時は、木綿針で環の一部の底に、糸を通し円周に沿って、切り離せば、安全です。

    ・ 適当な時に、針で空気穴を開けます。

 7) 乾燥後、環を伏せて、底の脇を削ります。

    後は、好みの形に、細工して下さい。

  

      

    
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教程13-1 (風船作り)

2008-11-19 22:40:01 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今までは、ロクロの基本的な作り方を、作品を通して述べて参りました。

一通りの技法を取り上げましたので、大抵の作品は作る事が出来ます。

 但し、教程全部を一回終わっても、実際は、ロクロをマスターした事には成りません。

 「ロクロ6年」とか10年とか言う言葉があります。

 何回も練習する事によって初めて、技術が身に付きます。(練習あるのみです)

 是非、作品を最初から最後まで、自分で考え、一人で作れる様になって下さい。


では、本日の本題に入ります。

ロクロでは、特殊な作り方が、幾つか有ります。

 1) 風船作り (風船の様に、空気を閉じ込める方法)

 2) 環作り (ドーナツ状の環を作る方法)

 3) 器の壁を二重に作る方法 

   などが有ります。

 では1)から述べたいと思います。

 1) 風船作り

   完全に閉じた空間を作る技法です。

   直径が大きな物程、難しく成りますので、最初は径の小さい物から、挑戦して下さい。

   使い方としては、蓋物作り等に向いています。

   蓋と本体が一体に出来、別々に作るより、一体感が出ます。

   その他、この技法を駆使して、新しい、違った形の作品を作って下さい。

  ① 菊練をした土を、ロクロに据え、いつもの様に土殺し、中央に穴を掘り、底を作ります。

  ② 土を筒状に延ばします。

  ③ 胴を膨らませ、好みの形にします。膨らみより上の土は、多めに残して下さい。

  ④ 口に向かって、筒の径を徐々に狭めます。

   a) 筒の底の水は、「柄の付いたスッポンジ」で拭き取ります。

   b) 最初は、両手で抱え込む様に、次に左右の手の親、中、人差し指の6本

     で挟み込み、最後に両手の親、人差し指の4本で径を細くします。

     径を細くすると、肉厚に成りますので、締めたら土を薄く延ばす作業を、繰り返します。

  ⑤ 口を完全に閉じる。

   a) 口の最上部の土を残す様にし、首を絞めて完全に閉じ、上に残った土を、ねじ切る。

     口の最上部で閉じるのは、口が落ち込んだり、撚れ、捻りが発生し、かなり難しいです。

     口に若干の土を残すが、「コツ」です。

   b)  ねじ切ると、先端が細く「とんがり」ますので、掌で軽く撫ぜ、丸い山形にします。

  ⑥ 形を作る

   a)  空気が閉じ込められている限り、外からの力の加え方る事によって、

      形を自由に変える事が出来ます。

   b) 上から力を加えると、背が低くなり、径が大きく成ります。

     横から力を加えると、径は細くなり、背が高くなります。

     即ち、内部の空気の量は、変化しません。

     その為、押された空気は、弱い所に逃げ、形が変わります。

    ・ 注意点は、当然肉に薄い部分(上部が多い)は、簡単に変形しますが、

      肉の厚い下部は、変形しづらいです。

    ・ その為、下の方の土は、竹ベラなどで、剥ぎ取り、なるべく肉を薄くしてから、

      変形させると、やり易いです。(土が軟らかいですから注意)

  ⑦ 空気抜きの穴を開ける。

    ロクロより糸で切り離し、取り板に取ってから、針で穴を開けます。

    又は、若干乾燥させてから、穴を開けます。

   ・ 注意、穴を開けないと、弱い所に「ひび」が入ったり、最悪破裂します。

     針で穴を開ける位置は、後から細工で、大きな穴を開ける所や、

     二つに切り離す位置にし、針穴の痕が無くなる様に、します。

  ⑧ 後は、作品を自由に細工し、好みの作品に仕上げます。
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教程12-2 (壷)

2008-11-18 21:40:22 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回の続きを述べます。

 前回は、上下二個を別々に作りました。今回は、これを繋げて作品に仕上げます。

 c) 下の部分に、上の部分を載せ、繋ぎ合わせる。

  ① 亀板上に作った壷の下の部分を、亀板から離さずに、そのままロクロにセットします。

    この段階までに、繋ぎ合わせる以外の場所は、ある程度乾燥させ、上に土を載せても、

    形が崩れない硬さにします。

  ② 壷の上になる部分を、亀板から切り離します。

    上の部分は、繋ぎ合わせた後、もう一度形を整えますにで、あまり乾燥させないで下さい。

   ・ 上向きに作った場合には、作品を亀板から糸で切り離し、取上げる際、形が崩れ易いです。

    こんな時は、作品の上に他の板を載せ、亀板とサンドイッチにし、逆さにひっくり返します。

     更に作品の一部を片手で押さえ、他の手で亀板を剥がして下さい。

   ③ 下の部分に、上の部分を載せます。

    ・ 上に載せた時、上の形が少々崩れるかも知れませんが、心配要りません。

    ・ 張り合わせ部分は、普通はそのまま載せますが、やや乾燥している場合には、水やドベを

     塗ります。

    ・ 両方の径を合わせ、内外の合わせ目を指で、上から下へ、下から上へと撫ぜ、

      繋ぎ目が見えない様にします。

   ④ ロクロをゆっくり回転させ、濡らした布切れを両手に持ち、合わせ目の内外を上から下へ

     力を入れず撫ぜ降ろし、撫ぜ上げを行います。

   ⑤ 更に、両手を向かい合わせ力を入れ、合わせ目の凸凹をなくします。

   ⑥ 合わせ目が綺麗に成ったら、手を口まで移動させ、上の部分の狂いや、振れを直します。

   ⑦ 再度全体の形を作ります。

    1) 手が入らない場合、柄コテ(棒状のコテ)を使います。

      コテを片手で鷲掴みにし、口から入れ内側の壁に当てます。

      反対の手は、コテと同じ位置の外側に当て、径を拡げたり、狭めたりします。

    2) コテを持つ手の肘は、体に固定して、すくい上げ又は、押し出す様に力を入れます。

    3) 柄コテに濡れた布を巻きつけ、水切れを防ぐ方法も有ります。

   ⑧ 形が出来上がったら、亀板から切離し、乾燥後底削りを行います。

 d) 大きな壷を作る場合

   より大きな壷を作る時は、大量の土を、三分割、四分割に分け下、中、上の部分を作り、

   下が乾燥したら、上に積むと言う方法で、大きな作品を作る事が出来ます。

   当然、大きな作品は、それなりの肉厚が必要です。

   又、作品に色々細工したい場合にも、肉の厚い方が作業し易いです。

  ・ 壷に細工し、文様を付けたり、削ったり、変形させ(偏壷)させたり、色々出来ますが、

    それについては、後日述べる機会があると思います。


以上で壷の教程を終わります。
     
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教程12-1 (壷)

2008-11-17 22:51:12 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今回の教程では、壷を作ります。

 壷と花瓶の違いは、花瓶が花を生けると言う、目的が有ります。即ち花に対して脇役です。

 壷は昔は物を入れる、貯蔵する役目が有りましたが、現在では、置物や飾り(美術品)として、

 壷自身、独立した存在として、生活の場に置かれる事が多くなりました。

 又、壷の形は、胴の部分が膨らみ(張り)、一度径を手の入らない程細くします。

  口が狭い形の物と、首を作り、その上の口の径をやや大きくした物があります。

・ 今回は、初めてですので、1kgの土で、壷1個を作りますが、この程度の土では、

  小さな壷しか出来ません。

 小さな壷で、練習したら、ある程度見栄えのする壷にする為に、少なくとも1.5kg、

 出来れば2kg以上で作る事をお勧めします。

では本題に入ります。

 前回の教程で、限られた土の量で、大きな作品を作るには、上下二個に分る方法の一つを

 説明しましたが、今回は別の方法で作ります。

 イ) 壷を作る (土の量1kg使用)

  ① 菊練した土を、最初から2つに分けます。

    上に載せる土の量は、300g~350gにします。残りは下の部分を作ります。

  ② 先ず下の部分から作ります。

   a) 亀板を使う。下の部分に上の部分を載せる際、下の部分がロクロの中心に載っていると、

     上部を上手に繋げる事が出来ます。

     ロクロが2台あれば良いのですが、無い場合は、下部を亀板上で作り、作陶後亀板ごと、

     ロクロより取り外し、ロクロを空けます。

   b)  土を亀板上に据え、いつもの様に土殺し後、土を出来るだけ筒状に、高く挽き上げます。

   c)  更に、胴を膨らませ、その上をやや狭めた形に成型します。

     ・ 注意 胴の一番膨らむ(張った)位置で、上下を繋げる様にすると、繋げた部分の土が、

      上の土の重さを支えきれず、外に張り出し易く、形も崩れ易くなります。

   d) 口の肉厚をやや厚くし、糊しろ部分を多く取ります。

     口径を測り、亀板をロクロから取り除きます。

     口が乾かない様に、濡れた布切れを掛け、その他は乾燥させます。

     ・ 亀板から作品を、切り離さない事。

  ③ 上の部分を作る。作り方は二通り有ります。

     口を上向きに作る方法と、口を下向き(逆さま)に作る方法です。

   a) 口を上向きに作る。

     利点は、底の部分が肉厚になり、糊しろ部分が十分出来る事と、載せた時の形のイメージが、

     つかみ易い事です。

     欠点は、底の径を同じ寸法に、しずらい事です。

    ・ 繋ぎ合わせる寸法と同じ、又はやや大きめの底を作ります。
    
    ・ 底を完全に抜いてから、筒状に土を延ばし、形を作ります。

      形は上に行く程湾曲させ、径を徐々に細くしていきます。

      繋ぎ合わせた後に、再度形作りを行いますので、大よその形に留めます。

      口は手が入る様な大きさにします。(繋ぎ合わせる時、必要です)

    ・ ある程度(手がべた付か無い)乾燥したら、糸で亀板から切り離します。

  b) 口を下向きに作る。

    利点は、繋ぎ合わせの寸法に作り易い事です。

    ・ 土殺しをした土の中心を掘り込み、底を抜きます。

      底の大きさは、反対側から手が入る大きさにします。

    ・ 土を薄く延ばしてから、お椀型に形作ります。

    ・ 口の大きさは、下部の作品の径と合わせ、指で押さえて、肉厚にします。

    ・ 口(繋ぎ合わせ部)が乾燥させない様にし、他の部分を少し乾燥させ、切り離します。
      
   c) 下の部分に、上の部分を載せ、繋ぎ合わせる。

以下次回に続きます。
   
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教程11-2 (徳久利又は花瓶)

2008-11-15 22:37:24 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回の続きを述べます。  

ロ) 花瓶を作る。(1kgの土で、作ります。)

   ・ 同じ土の量で、より大きな作品を作る為には、上下2段に分けて作り、ロクロ上で、

     繋げて作ります。

   ・ ロクロでは、高くするのに使う土の量は、幾何級数的に増やさなければなりません。

     即ち土の量が2倍に成ったからと言って、同じ太さの筒の高さが2倍には成りません。

       例として、0.5kgで14cm前後  (ロクロの熟練度によって異なる、以下同じ)

       1kgでは、22cm前後、 2kgでは、30cm前後 となります。

      上の土を支える為に、肉厚な土が必要になるからです。

    ・ それ故 土を少量に分け、各々薄く延ばし、下部の土が乾燥した後、繋ぎ合わせて、

      同じ土の量で、より高い(大きい)作品を作る事が、出来ます。
     
  ではその方法を説明します。  やり方は、二通りあります。

① 1kgの土を、土取りする方法。

   a) 土殺しをした土の、上部約1/3を使い、内側に手が入る太さの筒を、底を抜き、

     出来るだけ、高く挽き上げます。出来た筒は、糸で切り離します。

    ・ 土が濡れているので、取上げ難いです、又円が変形して仕舞いますが、心配要りません。

   b) 残った土(約2/3)で、作品の下部を作ります。

    ・ 出来るだけ薄く、高く筒上に延ばし、形を作ります。

    ・ 口の大きさ(径)を、a)で作った筒の下部の径と、同じにします。

    ・ 下部の大きさは、形によって違いますが、全体の1/2~2/3程度ですので、

      どの高さまで作っているのかを、イメージして下さい。

   c) 下部の作品の口は、乾かない様に、濡れた布を掛けて置き、他の部分を乾燥させます。

    ・ 口が乾燥し過ぎると、上に載せた土と、上手く接着で来ません。

    ・ 又、全体を乾燥し過ぎると、上に載せた後、成型(変形)出来なく成ります。

      ある程度、形が直せる程度の乾燥にします。

   d) 下部の作品の上に、上部の筒状の土を載せます。

    ・ 繋ぎ目は、指で撫ぜ(上からした、下から上へ交互に行う)て消します。

    ・ 上に載る筒の下側の径は、下側の口の内径より、細くなっているはずです。

       この土を、下に滑り降ろし、なるべく内径を揃えます。

   e) 上下を繋げます。

    ・ 小さい布2枚を用意し、各々片手に持ちます。(水切れを防ぐ為)

    ・ ロクロを「ゆっくり」回転し、繋ぎ目の内外側の1cm上から、1cm下まで、

      濡らした布で撫ぜ、「ドベ」を出します。(3回程度)
     
    ・ 回転をやや速くし、更に内外側の手に布を持ったまま、やや力を入れ、撫ぜ降ろし、

      撫ぜ上げを行い、繋ぎ目を無くします。(数回行う)

   f) 最後に全体の形を作ります。

    ・ 上の筒が、変形していたり、傾いているか知れません。

      数度、手を下から上に移動して、綺麗な円にしてから、形を作ります。

    ・ 繋ぎ目の径を拡げても、問題有りません。

    ・ 特に上部の土は、軟らかいので、容易に形を作る事が出来ます。

   尚 花瓶の形を考える時、注意する事は、花の量の問題です。

    ・ 多くの花を生ける場合には、口(又は首)の径を大きくします。

     広い口や首に、少ない花では、花が引き立ちません。

    ・ 少ない花を生けるには、径を小さくします。

 ② 土を最初から分ける方法

   この方法は、次回の教程12(壷)で述べます。

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教程11-1 (徳久利又は花瓶)

2008-11-14 22:51:20 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
徳久利の、大きい物は、1~2升(1.8~3.6ℓ)入る物から、1合(180mmℓ)以下しか入らない、

お預け徳久利まで、色々有ります。

 大きい物は、昔から有る物で、酒の保管用又は、買出し用の徳久利です。

 (今では、置物用、飾り用、花瓶などに使っています。)

 現在は、お燗用の1~2合の物が一般的です。

 イ) 徳久利を作る。

   先ず、酒の入る量を決めてから、形、大きさをデザインします。

   ・ 一見「いっぱい」入りそうで、実は、大して入らない形も有ります。

     例 上げ底の物、胴が凹んでいる物等です。

   ・ 陶器は、本焼きまでに、作った寸法が、縦、横、高さが12~14%程度縮みます。

     体積にして70%以下になってしまいます。

     それ故、初心者が、正確に1合の徳久利を作る事は、難しい事です。

     大よその大きさで作り、本焼き後、実際に入る量を測り、次回の参考にします。

  ① 形は、縦長型、だるま型、樽型、下膨れ型、瓢箪型、鶴首型などが、有ります。

     自分の好みの形にします。

  ② 作り方は、一輪差と同じ様に作ります。

    1ヶ箇所に注ぎ口を設ける場合と、特に設けない場合があります。

    ・ 1ヶ箇所に付けると、それは完全な徳久利となり、他に転用出来なくなります。

      設けない場合には、一輪差として、使用しても違和感は有りません。

  ③ 注ぎ口の作り方

    徳久利の注ぎ口は、細くなった首の部分より上の径を、大きくします。
    
    ・ 注意する所は、1升壜やパック詰めの容器から、徳久利に酒を移し換える時

      首が細く、注ぎ口の容積(高さ、径、その他の形状)が少ないと、急に口から

      溢れて、外にこぼれる危険性があります。

      それ故、酒の水位がゆっくり上がる、又は、水位が確認出来る用に、作ります。

    ・ 最上部が、ロクロ挽き出来たら、土が軟らかい内に、縁を外に引っ張り出します。

    ・ やり方は、親指と人指し指で、「Vの字]を作り、掌が自分の方に向く様にし、

      縁よりやや低目の位置に当てます。

      更に反対側の手の、人指し指を、縁の内側に当て、上記「V」の中間から外に、

      引き出します。やや下に回転気味に、指を使います。
     
      その際、縁のやや下の方から、引き出す様にします。縁だけを急に引き出すと、

      縁に「ひび」や「割れ」が発生します。その時は、その部分を撫ぜて直します。

      前から見て、左右対称になる様に、微調整します。

   尚 指の替わりに、丸い棒状の物(太さは色々)を使う場合も有ります。

 ロ) 花瓶を作る。

    1kgの土で、花瓶一個を作ります。

    1kgの土を、手の入る程度の筒に引き上げた場合、熟練した人でも、22cm程度の

    高さにしかなりません。すつと、花瓶にする為に、膨らませたりすると、最大でも18cm程度

    の花瓶になります。これを本焼きすると、出来上がり寸法で、16cm程度になってしまいます。

   ・ 同じ土の量で、より大きな作品を作る為には、上下2段に分けて作り、ロクロ上で、繋げて作り

      ます。


次回その方法について述べたいと思います。




      


    

   


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教程10-5 (急須の組み立-2)

2008-11-13 23:17:59 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
教程10(急須)の最終回になります。

 前回までに、注ぎ口を付けました。 今回、取っ手及び、蓋に付いて説明します。

 イ) 取っ手を付ける。

   取っ手にも、その用途によって、幾つかの、種類(形)が有ります。

   ・ 一般的な急須の形で、注ぎ口と約90度の角度に付ける、筒状の物。

   ・ 水差しやティーポット等、注ぎ口と180度の角度に付ける物。

     この場合、取っ手はロクロでは作らず、手捻りで、板状又は丸状に作った物で、

     形状が「耳型」の物が多いです。

   ・ 土瓶など、蓋の真上を横切る様に、付ける物。

     この場合、本体の注ぎ口の方向と、その180度の位置に、取っ手を付ける(差し込む)べき、

     紐状の物を、半円形又は、おむすび型に作り、接着します。

     尚 取っ手(持ち手)は、籐(蔓)と金属を組み合わせた物が、市販されています。

  ここでは、一般的な急須の取っ手(筒状)を付ける事にします。

  ① 取っ手の長さを決める。

    ロクロでは、やや長めに作ってあります。好みの長さに切ります。

    但し、本体の大きさに比べ、長さが長すぎる場合、お湯を入れないと、取っ手側に傾いて

    しまいます。逆に短すぎると、お湯の入て重くなり、持ち難くなります。

  ② 本体に、取っ手の取り付け位置を決める。

    一般に急須は右手で持つ様に、作られています。(市販品の大多数の物)

    即ち、右手で持った場合、注ぎ口が、左側に来ます。

   ・ もし、左利き用に作りたければ、そのように作る事も可能です。

     注ぎ口が右側に来る様に、取り付けます。

   a) 取り付け高さを決める。 やや下目にします。

   b) 注ぎ口と取っ手の角度を、鋭角(80度程度)にし方が、使い勝手が良いと言われています。

  ③ 取っ手の接着部分を斜めにカットする。

    取っ手の先端を斜め上にして、取り付けます。それ故斜めにカットします。

    斜め具合は、取り付ける前に、取っ手を持ち、注ぎ易い角度を、イメージしてください。
   
  ④ 取っ手を接着する。

   ・ 上記の事が、満足する状態に成ったら、本体の取り付け位置に、印しをつけます。

   ・ 両取り付け部分に、針で刻みを付け、「ドベ」を付けて、仮止めします。

   ・ 色々な方向から見て、調整し、良ければ接着します。

    (斜めではないか、左右対称か、角度は良いか等を、正面、側面、上から見る)

   尚 良く出来た(バランスの取れた)作品は、取っ手の先端を下にして、縦に立てた時、

    安定して自立出来ると、言われています。

 ロ) 蓋の調整

   ・ 蓋の径と、蓋受けの径を合わせる様に、現物合わせで、調整します。

    やや大きく作りましたので、削る方向で調整します。

   ・ 本体側に、蓋受けに無い場合、蓋の底の高台状の、滑り止めの径を本体口の内側の径と、

     合わせます。

   尚 この場合、本体口にも、釉薬を掛ける為、本焼きで、本体と蓋を別焼きにします。

     それ故、本焼きで、本体口が変形しても、蓋が出来る様に、やや余裕を待たせます。

 ハ)最後の調整

   手回しロクロ上で、作品を回転させ、色々な方向から見て、微調整して下さい。

  尚 本焼きが終わるまで、取っ手を持つて、作品を持ち上げ無い様にした方が安全です。


 以上で「急須の作り方」を終わります。
   
     
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教程10-4 (急須の組み立-1)

2008-11-12 22:34:51 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回まで、急須の各部分(パーツ)、本体、注ぎ口、取っ手、蓋を作りましたが、

これから、組み立てに入ります。

 イ) 注ぎ口を加工する

    加工する前に、本体に取り付ける位置(高さ)を決めます。

   ① 注ぎ口の、どの面を上にするかを決める。

   ② 長さを決めて、取り付け面を斜めに切り取る。

    ・ 長さは、本体に取り付けた時、先端が、本体の口の高さ以下にします。

      低すぎると、お湯の入る量が少なくなります。

      高すぎると、注ぎ口より先に、本体の口から湯が出てしまいす。

    ・ 傾斜の角度は、立ち過ぎても、寝かせ過ぎても、使い難いです。

      立て過ぎると、本体を大きく傾けないと、湯が出難いです。

      寝かせ過ぎると、湯は出易いが、湯の入る量が少なくなります。

    ・ 本体が球面ですので、取り付け面も、それに合わせて、隙間が無い様に切ります。

   ③ 本体に合わせてみて、良ければ、本体に針で輪郭を描きます。

 ロ) 急須本体の加工

   ① 茶漉しを作らない。

     水差しや、ティーポット(ティーバックを使用)などは、単に水の通る穴を開けます。

   ② 茶漉しを作る。

     緑茶のように、お茶の葉を出さない様に設けます。

     作り方は、急須本体に直接穴を開ける方法と、別に作た茶漉しを取り付ける方法が有ります。

     後者は、量産品に多い方法です。一般的には本体に穴を開けます。

     ここでは、この方法を行います。 更に

     そのまま穴を開ける方法と、本体を内側に、湾曲させてから、穴を開ける方法が有ります。

     今回はより簡単な方法、即ちそのまま穴をあける方法で、作ります。

    a) 穴を開ける。

     イ)の③で、輪郭を付けた線の、更に内側5mm程度(糊しろ部分)に、針で穴を開ける範囲の

     輪郭をとります。

    1) 穴を開ける道具(ドリルの刃、傘の骨、その他)で、穴を数多く開けます。(10個以上)

    2) 穴の並びは、同心円、放射状、渦巻き状、千鳥格子状、その他色々有ります。

    3) 接近し過ぎで、隣同士の穴が、繋がら無い様にします。

    4) 穴は、外側から開けます。本体内側にバリ(押し出された断面の土)が出来ますが、

      綺麗にする必要は有りません。

      むしろ、「バリ」が有った方が、茶の葉が上手く取れます。

 ハ) 注ぎ口を本体に取りつける。

    a) 注ぎ口及び、本体の取り付け部分に、針で刻みをつけます。

    b) 両取り付け部に、「ドベ」をたっぷり塗ります。

    c) 軽く押し当て仮止めします。

    d) 色々の方向から見て、納得いくまで調整して下さい。

     1) 注ぎ口が、左右対称になっているか。「ねじれ」は無いか。

     2) 取り付け高さは、良いか。

     3) その他、気になった所を直します。

    e) 本体内側に手を添えて、力を加えて、接着します。

    f) 接着面に、隙間が出た場合には、細い紐を作り、埋めていきます。

    g) 最後に、はみ出た「ドベ」を、筆や竹へらで、取り除きます。

    h) 注ぎ口の先端を、斜めに切る場合があります。

      この段階で、切り取っても良いですが、全てが完成した後で、全体のバランスを見て、

      切り取った方が、望ましいです。

      (但し、乾燥し過ぎると、土はもろくなり、綺麗に切れません。乾燥し過ぎない様に注意)

 以下次回に続きます。
      
      

     
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教程10-3 (急須)

2008-11-11 22:43:39 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
[急須を作る] の続きを述べます。

 前回まで、1kgの土で、上から急須本体、注ぎ口、取っ手と作り、最後の残った土で、蓋を作ります。

 急須本体に、蓋受けを付ける、付けないの方法が有ります。それによって蓋の形は変わります。

 イ) 蓋受けが有る場合

  ① 急須本体の口縁に、「L字型」の蓋受が有る場合は、「L型」の内側の径と、

    蓋の直径を合わせます。

    「ぴったり」作る事は難しいですので、やや蓋を大きく作り、乾燥後、蓋を削り、現物合わせで、

    大きさ合わせます。

  ② 作り方は、摘みを上にした状態で作る方法と、摘みを下にして作る方法が有ります。

  ③ 摘みをロクロ挽きで作る。削り出しで作る。更に好みの形を作り、接着する方法が有ります。

  ④ 更に 蓋の形は次の様な物が有ります。

   a) 蓋が山形に中央が盛り上がった形

    ・ 逆さに作る。

      小皿を作る様に作ります。摘みは削り出し、又は後付けに成ります。

      削り出す場合には、底を厚くし摘み部分の土を残します。

      後付けの場合には、底の厚みは5mm程度で十分です。

      山の高さも好みの形にします。「なだらかな山」「こんもりした山」等です。

    ・ 上向きに作る。

      やや丸型の形にし、摘み部分も、好みの形にロクロ挽きします。

      又乾燥後、蓋の内側を削り、肉を薄くします。

   b) 蓋の中央が平ら、又は凹む形、その他表面に、ロクロで模様を付ける。

     この場合、上向きに作ります。摘みもロクロ挽きが出来ます。

     ・ 上を平らにしながら、中央に土を集め、摘みを作ります。

       (又は、中心に土を残し、周りを下に押し、薄く作ります。)

        摘みは、確実に摘める形や、大きさにします。

       素焼までは問題なく、摘めても、釉薬を掛け、本焼きすると、手が滑り、摘めない場合が、

       割合多い物です。それ故、摘みの根元はやや細くし、指が引掛かる様に作ります。

     ・ 中央が凹んだ形にするには、以下の方法が有ります。

      1) 中央の肉厚を薄くする方法

      2) 蓋の縁をロクロを回転させながら、竹へらで持ち上げる方法

         好みの範囲を、持ち上げます。
         
 ロ) 蓋受けが無い場合

    ① 蓋の直径は、急須本体の口の径と同じ、又はそれよりも、少し大きく作ります。

    ② 蓋の下部(底)に、凸又は高台風の、滑り止めが必要に成ります。

      その外径は、本体の口の内径に合わせます。

      (この場合も、やや大きく作り、現物合わせで調整した方が良いでしょう)


 これで各パーツが出来ましたので、次回は組み立てに入ります。

 
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