わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 粘土について9(素地の欠点と改良3)

2018-01-30 14:23:22 | 粘土について
作品を作る際、素地が原因で色々トラブルを起こす事は稀ではありません。

1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。

2) 乾燥時に切れが発生する場合。

3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。

4) 焼成時の変形。

5) 焼成中の割れ(亀裂)、剥がれの場合。

6) 機械的、熱的強度について。(以上までが前回の話です。)

7) 水漏れ現象の場合。

 施釉陶器では、本来水漏れを起こさないのですが、作品容器に水(汁)などを入れた時、

 水漏れを起こす事があります。勿論一見して穴が空いた物では水漏れは当然ですが、見

 た目には完全と思われる作品でも、実際に水を入れると漏る場合があります。その場合、

 素地に問題がある場合と、釉に問題がある場合があります。ここでは、前者に付いて述べ

 ます。後者に付いては後日述べる予定です。

 特に顕著なのは、水を長期間貯めておく花瓶(花器)などです。水が漏る部分は、主に

 底からですが器の表面から、汗の様に吹き出てくる事もあります。但し表面から吹き出る

 場合でも、大量でない時には、自然に蒸発してしまいますので、気が付かない場合もあり

 ます。しかし底の場合、底面と同じ形の水滴の水漏れになります。多くの場合、器を移動

 した時に発見します。

 ① 漏る原因は、素地の焼締まりが甘い為です。

  ⅰ) 焼成温度が低すぎる場合。

   低い温度ですと、素地は十分焼き締まらず、ガラス質も少なく凝固しません。

   それ故水漏れを起こし易くなるのは、当然と思われます。但し、焼固温度と軟化温度

   との差が少ない場合には、温度を上げる事は難しくなります。

  ⅱ) 素地の粒子の粗さに問題がある場合。

   焼成温度が所定の温度まで上昇したにもかかわらず、水漏れを起こす事もあります。

   この原因は、主に素地の粒子が粗い事が上げられます。荒めの粒子は素地同士間に隙間

   が生じ易く水を透す事になります。そこで、素地を微粉末にするか、微粉末化した素材

   を加える様にします。

  ⅲ) 素地成分の中にガラス質などの、焼き固める素材が少ない場合です。

   例えば、砂成分を多く含む素地では、十分焼き締める事は出来ません。必要な成分

   は媒溶材質(ばいようざいしつ)と言われる、陶石、長石、絹雲母(セリサイト)等

   です。

   尚、長石の一部を石灰石やドロマイト(白雲石)、骨灰などに置き換える事も可能です

8) 塩類による「ブク」の発生。

 「ブク」とは、表面にピンホール(細かい穴)が多数出た物で、素地に有害物資である水

 溶性のナトリウム、カリウム、石灰、マグネシウム、硫酸塩(鉄分、アルミ成分を含む)

 を多く含む場合に出易いです。これらを除くには、水に長時間浸し、洗い流します。

 その他にバナジウム塩は、焼成で黄色や緑色の斑点と成って現れます。

 有害な物質に硫酸石灰があります。石灰と硫酸鉄を含む粘土は、長い間風雨に晒され、

 石灰と硫酸石灰、水酸化鉄に分解します。硫酸石灰は乾燥すると、薄い層になり作品の

 端部に集まり易く、これが釉飛の原因になります。硫酸塩を除くには、素地に0.25~0.5%

 の炭酸バリウムを添加し、良く練れば良いと言われています。

9) 焼成後作品が粉々になる現象の場合。

 窯出し後ある期間経て、明確な原因が無いのに突然、壊れる場合があります。

 これは、作品内部の歪(ひずみ)が何らかの理由で、解放された際に起こる現象とされて

 います。微粉末の石英を多く含む素地では、素地内に非常に強い引力が働くと言われて

 います。

 一寸した衝撃や熱衝撃で起こる事もありますが、現在明確な原因は不明との事です。

以上で、粘土についての話を終わります。  
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続 粘土について8(素地の欠点と改良2)

2018-01-26 15:18:08 | 粘土について
作品を作る際、素地が原因で色々トラブルを起こす事は稀ではありません。

1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。

2) 乾燥時に切れが発生する場合。

3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。

4) 焼成時の変形。(以上までが前回の話です。)

5) 焼成中の割れ(亀裂)、剥がれの場合。

 ① 可塑性の大きな素地を使用した場合、急激な温度上昇で、素地中の水分や結晶水が、素

  地の表面から抜け出しきれずに、内部の圧力が高まったり、爆発を起こしたりして、素地

  の亀裂や剥がれを起こします。尚、剥がれは板状の部品を張り合わせ部分だけでなく、器

  の縁などにも「欠け」と成って起こります。これを予防するには、珪砂、シャモット

  (低温の焼粉)、セルベン(高温の焼粉)等を適宜加えます。

 ② 焼成中の割れ(亀裂)方には、その原因(要因)によって色々のタイプ(症状)があり

  ます。

  ⅰ) 温度上昇中に起こる割れは、幅広にナイフで切り開いた状態で、亀裂の縁がギザギザ

   しています。尚、焼成前からある傷の場合には、破断面に釉が残りますので、区別でき

   ます。

  ⅱ) 石灰が多い素地では、冷却中に亀裂(冷め割)が発生し易いです。

   冷却中の割れは、磁器を割った様な真っ直ぐで鋭い表情です。破断面に釉は掛かってい

   ません。

  ⅲ) 石灰の多い素地で、作品の片側のみに強く火が当たった場合、又は一方のみ急激に

   冷却した場合、枝状の亀裂(ひび)が入ります。場合によっては強い変形を伴います。

  ⅳ) 荒い珪砂が多い素地では、焼成中に細かく壊れる事があります。

   原因は気孔率が高過ぎ、気孔内の空気が十分外に逃げきらず、空気の膨張で破裂した事

   と、粒子間の粘着力が弱い為と思われます。その他何らかの理由で、気孔が塞がる場合

   です。

6) 機械的、熱的強度について。

 焼物は壊れ物とも言われ、ある一定以上の外力によって破壊される物質です。

 又、熱的衝撃(高温、急熱急冷)で壊れる事もあります。

 但し、使用時には注意が必要ですが、普通に使用にしていて壊れては、欠陥品とみなされ

  ます。

 ① 機械的衝撃に弱いのは、焼成した粘土には、鉄等とは違い、粘りが無くなっているから

  です。これは、素地の宿命的な事で、仕方の無い事です。

 ② 素地に非可塑性が多く含まれている為です。

  この状態の素地では、成形中、乾燥時、運搬時などの行為でも、亀裂が入る場合もあり

  ます。

  注:非可塑性については前回説明して有りますので、参照して下さい。

 ③ 低い温度で焼成された為、十分焼結していない場合です。

  素地同士の連結が緩いと、機械的強度が弱くなります。焼成温度を上げる事です。

 ④ 熱的衝撃に弱いのは、素地成分と気孔率に関係します。

  土鍋の様な直火用や煮沸用の陶器では、急激な温度変化に耐える必要があります。

  又、焼成中や冷却中の異常膨張や、異常収縮による破壊や変形を起こす恐れがある場合

  には、何らかの対策をとる必要があります。

  ⅰ) 素地に珪砂を混ぜ、気孔率を上げる事ができます。

   気孔率を上げる事は、粒子間に隙間を設ける事で、熱膨張や熱収縮に対し、余裕を

   持つ事になります。但し、珪砂を入れ過ぎる事は、粘土粒子間の結合を弱める働きが

   ありますので、機械的強度が落ち、珪砂による異常膨張や異常収縮を引き起こす事も

   あります。そこで粘土粒子と馴染む微粉のシャモットを入れると良いです。

  ⅱ) 多量のカオリンや耐火粘土を含む素地も、高温度で焼成しないと、結合度合いが

   弱くなり機械的強度は弱くなります。

7) 水漏れ現象の場合。

以下次回に続きます。

 
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続 粘土について7(素地の欠点と改良1)

2018-01-24 20:55:31 | 粘土について
作品を作る際、素地が原因で色々トラブルを起こす事は稀ではありません。

但し、市販されている粘土類は、なるべくトラブルが起きない様に、各種の原料を混入させて

調整されているのが一般的です。それ故大きなトラブルに成らない事が多いのですが、市販品

ではなく、ご自分で粘土類を調合し、自分なりの素地を作る人も稀では有りません。その様な

場合、どの様にすれば素地が改良されるかを心得ていれば、トラブルに対処する事が可能にな

ります。

1) 素地が捩(ねじれ)たり反る場合。

 成形完了後の乾燥時に起こり易いです。特に平たい皿などの板物が多いです。作品が小さい

 場合には、少ないですが、大型(表面積が増える)の作品では、起こり易いトラブルです。

 勿論、土練の不十分、土締めが弱い、乾燥の不均衡など、作り方等が原因の場合もあります

 が、素地そのものに原因がある場合が意外と多いです。

 ① 主な要因は乾燥収縮が大き過ぎる事です。

  その粘土の乾燥収縮率は一定の値を取りますが、当然大きな作品ほど収縮の量は大きく

  なります。それ故、大きな作品はトラブルが多くなります。

 ② 可塑性の大き過ぎる土を使うと、収縮率も更に大きくなり、歪(ひずみ)の原因に成り

  ます。可塑性の大きな土とは、肌理(粒子)の細かい土であり、水分を多く含む土です。

  可塑性は作り易さにも関係しますので、これを犠牲にするのももったいないですが、適度

  に調整し素地を改良し、作品の歪みを出来るだけ起こさない様にします。

 ③ 可塑性を少なくする方法は、非可塑性の原料(除粘剤と言う)を加える事です。

  除粘剤には以下の物があります。珪石、長石、シャモット(焼粉)などです。

  特にシャモットは成形の際、素地の水分を吸収し、粘土粒子と良く付着しますので、成形

  強度や乾燥強度を強くします。珪石よりも効果が大きいです。

  更に、焼成時に素地と比較的低温で結合し、衝撃に強い素地になります。粘着力が強過ぎ

  る鋳込みの場合には、同一組成の焼成素地の粉砕物を混入させると良いでしょう。

2) 乾燥時に切れが発生する場合。

  これも乾燥収縮が大き過ぎる事に由来します。素地土の可塑性が大き過ぎる場合も小さ

  過ぎる場合にも起こる現象です。素地中の水分が不均一の場合には、乾燥速度が部分的に

  異なる為、歪が発しします。素地に粘着力が少ない場合、成形時に部分的に大きな力が掛

  り易く、切れ勝になります。尚、底割れの原因の多くは、土締めが弱い、底の肉厚の不

  均衡、内底の水分を残している事が多いです。
  
  更に、土を「寝かす」と微生物の力により、粘土同士の結合力が増し、成形力が増し、

  亀裂の少ない作品にする事が出来ます。

3) 焼成収縮が大き過ぎ、焼成による変形を起こし易い素地。

  素地に熔剤となる原料が多過ぎる場合に起こり易いです。例えば石灰が多い素地は1040℃

  (SK-03)から急激に収縮し、長石質の素地は1120℃(sk-2)から収縮が急に起こりま

  す。磁器素地では、1250~1410℃(sk-8~sk-14)で急激に収縮します。この様な素地

  には石英、シャモット、カオリン等を粗(荒)目に粉砕して混入させます。こうする事で

  粒子をやや粗目にし熱収縮を抑えます。

4) 焼成時の変形。

 主な原因は、素地の焼き締まる温度(焼固)と軟化温度が接近している事です。この温度

 範囲が100℃以下の場合です。更に鉄酸化物を多く含む素地では、1050℃以上で還元焼成

 すると変形し易くなります。又、焼成時間を長くとり過ぎたり、温度上昇が極端に遅い場合

 にも、変形を起こし易いです。対策として、焼成温度を若干低くする事です。又素地を改良

 するには微細な珪砂、カオリン、耐火粘土を10~20%程度混入させます。但し1100℃以下

 で焼成する素地では、改良は困難です。

以下次回に続きます。
 
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続 粘土について6(水分、気孔、収縮)

2018-01-20 17:08:46 | 粘土について
4) 素地の水分量と収縮率について。

 陶芸で使用する粘土(主に練土)には、粘土成分の他に、水分と気孔(空気穴)が混在して

 います。但し、水分が多量に存在する場合には、気孔は水分で満たせれ、水分の蒸発に従い

 気孔と成って現れます。それらの混ざり具合により、可塑性が良くなったり、収縮率が大き

 くなったり、強度が増したりします。

 これから述べる事は、細かい事項を知らなくとも、経験側から何の不便も無く、作品を作る

 事は可能です。参考にして頂ければ有り難いです。

 ① 粘土に適量の水分が含まれていなければ、自由に変形(可塑性)し、形にする事は出来

  ません。

  可塑性の少ない粘土の水分量は、約16%以下と言われていますので、それ以上必要です。

  尚、底削りや、カップの取っ手付け(接着作業)などを行う半乾燥状態では、約14%

  程度です。

  中程度の可塑性を有する場合には、21%前後で、可塑性の大きな土は25%前後と言われ、

  30%以上になると、轆轤挽きも難しくなり、形の保持が困難になります。

 ② 生の粘土の水分含有量が増えると、可塑性が増し更に体積も増えます。

  可塑性が増すのは、水が粘土層間の潤滑剤として働き、滑り易く成る為です。

  体積が増えるのは粘土粒子間に水が入り込み、その隙間を広げる為で、体積が膨張します

  場合によっては作品の形を壊す事も起こり易いです。この影響で、釉の生掛けや、粉引

  などの作業が難しくなります。一般に素焼きした後に施釉するのはこの為です。

  又、生掛けの際には、粒子間に水の他、空気も取り込まれます。それ故、一層膨張が

  大きくなります。

 ③ 粘土質と水分、空気(気孔)の割合。

  粘土の重さが100gの時、水分含有量を25%とした場合、粘土質は75gとなり、水分は25g

  となります。但し、空気の重さはほとんど無視できますが、容積として約25%程度の隙間

  があると言われています。

  乾燥と共に水分量は減少し、室温では約5%以下まで減少します。これには結晶水も含まれ

  ます。これ以上の乾燥は室温では無理で、加熱する事で乾燥度を上げる事が出来ます。

  水分が抜ける事で、粒子間の隙間が減少し、粒子同士が接触する様になると、可塑性は無

  くなります。但し、粘土の粒子間の隙間は完全に無くなる訳ではありません。その隙間は

  粒子の粗さが荒いほど空気(気孔)が残る事になります。

 ④ 乾燥収縮と強度。

  ⅰ) 乾燥収縮は時間と共に進行します。但しある一定の程度収縮すれば、室温ではそれ

   以上収縮する事はありません。この間の収縮率は素地の種類によりますが、約8%程度

   です。尚、素焼き程度の加熱(800℃前後)でもこの収縮はほとんど変わりません。

   結晶水は450~500℃で消失しますが収縮率にはほとんど影響しません。

  ⅱ) 乾燥が進むに従い強度が増します。

   参考資料によつと、水分20%程度で4kg,10%程度で10kg/平方cmになります。

   注:参考資料:入門やきものの科学(田賀井秀夫著)

  ⅲ) 乾燥し易い土とし難い土。

   肉厚の厚い土、水分の多い土は当然乾燥は遅くなります。但し同じ状態でも乾燥の早い

   土も存在します。

   非可塑性の成分を多く含む土は、水分の含有量が少ない為、乾燥が速くなります。同時

   に収縮率も少なく、乾燥強度も弱くなります。

   非可塑性原料とは、長石、珪砂があり、その他に雲母、石灰、酸化鉄等があります。

   前者は乾燥収縮を減少させる割合が多く、後者少ないです。

   更に粒子の粗い土(荒目)は、粒子間の隙間が大きい為、乾燥も速くなる傾向になり

   ます。

以下次回に続きます。

  

  

 
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続 粘土について5 (粗さと色3)

2018-01-18 21:56:50 | 粘土について
3) 素地の粗さと色について。

 ① 粘土の色について。  

 ② 焼成すると色の付く土。

 ③ その他の粘土類。(以上が前回までの話です。)

 ④ 粘土の肌理の粗さ。

  粘土を選ぶ際、色も大事ですが粒子の粗さも重要です。粒子の粗さ加減によって焼き上

  がった作品の印象は大きく左右されます。更に、肌理の細かさは作品に穴を空けたり、

  表面を削る等の加工を加える際には、作業のし易さに関係します。更に、粒子の粗さは

  焼き締まりにも大きく関係しますので、問題 にしない訳には行きません。市販されている

  粘土には、並の他、荒目(粗目)、細目の表示された物も多いです。

 ⅰ) 粒子の粗さとは何か?

  粘土類は採掘場で掘り出せるのが一般的です。その際乾燥し固まり岩石の状態に成って

  います。これを砕き、作陶し易い様に水簸(すいひ)等の処理した物が使用可能になり

  ます。

  a) 原土とは、採掘場から産出した塊を、機械で砕き適度に細かくし、不純物を取り除

   いた後、水を入れて練り土にした物です。多くの場合粗(荒)目となっています。

  b) 粒子の細かさは、篩(ふるい)の目の細かさで決まります。

   注:篩の目は1インチ内に何個の隙間があるかと言う事で、1インチ内に何本の針金が

   通っているかと言う事です。1インチは25.4mmです。

   粘土の生成には、泥漿(でいしょう)による水簸が一般的です。即ち大量の水に砕いた

   原土を投入し、不純物を除去した後、篩に通して粒子の粗さを選別します。

  ・ 一般的な粘土(並土)は、60~100目が多いです。

   手触りがつるり、又はつるつるした感じです。

  ・ 特練と呼ばれる粘土は、約120目程度です。

   肌理が極端に細かく、細工に適しています。

  ・ 粗目の土は、約40目程度です。

    約20目程度になると「ざらざら感」が強くなります。

   尚、粗めを強調する方法に長石粒(はぜ石)を入れるやり方があります。

 ⑤ 粘土の焼成温度。

  a) 粘土の種類によって最適な焼成温度が存在します。陶器の場合、焼成温度は1200~

   1250℃が一般的です。多くの場合1230℃で焼成する事が多いです。但し鉄分の多い

   土ですと1180~1200℃が多く、焼き締まりの弱い粗めの土は1250℃以上で焼成する事

   が多いです。

  b) 粒子の細かい土は、焼き締まりが強い傾向にあります。強い事は収縮率が大きい事を

   意味し、花瓶など長期に水を蓄える器は、水漏れが少ない事に成ります。

  c) 鉄分の多い土を焼成温度を低く抑えるのは、高い温度にすると鉄分が熔媒として働き

   土が軟らかくなり、作品が歪んだり、最悪形を保持できず、崩れるのを防ぐ為です。

  d) 粗めの土を高めに焼成するのは、素地の焼き締まりが弱く、水漏れなどを起こし易い

   のを予防する為です。但し焼き締まり具合は焼成温度のみでなく、焼成時間の長さも

   影響しますので、長時間焼成すれば、より強く焼き締まる事になります。

   備前土の様に高温に弱い土は低い温度で長時間焼成し、水漏れを防ぎ、強度を増す様に

   します。

4) 素地の水分量と乾燥率について。

 以下次回に続きます。     
   
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続 粘土について4(粗さと色2)

2018-01-16 17:52:35 | 粘土について
3) 素地の粗さと色について。

 ① 粘土の色について。  

 ⅰ) 粘土に色が付く理由は、素地に不純物が混じっているからです。

 ⅱ) 各地に赤土と称される素地は多いです。

 ⅲ) 黒く焼き上がる粘土。

 ⅲ) カラー粘土について。(以上が前回までの話です。)

 ② 焼成すると色の付く土。

 ⅰ) 薪窯で緋色の出易い土。薪窯用粘土。

  勿論、粘土の種類違いのみで、緋色の出具合が決る訳ではありませんが、緋色が出易い土

  も存在します。緋色を出したい場合には、積極的に使う事です。

  無釉で緋色を出したい場合には、以下の土を使うと良い結果が出易いです。

  黄の瀬(きのせ)土(白、赤)、黄の瀬古信楽土、信楽炎色粘土、大物炎色粘土、茶碗炎

  色土。その他 薪窯用土(細目、粗目、白、赤土)、窖窯(あながま)用土などがあり

  ます。

  注: 黄の瀬土は、信楽の高級土です。古信楽土は長石粒(ハゼ石)が含まれる黄の瀬土

  です。

 ⅱ) 焼締に向いている土。焼成すると生素地と異なる色艶になります。

  備前土、備前火襷(たすき)土、備前荒土、白備前土、黒備前土、南蛮土、笠間土、野焼

  粘土などがあります。備前土は、1150℃程度で長時間焼成します。

  尚、本備前土は希少ですので、ほとんどは調合された、合成備前土です。

 ⅲ) 粉引(こひき)用粘土(赤土)。

  生素地に直接化粧土を掛け、白い肌を持たせる方法を粉引とよびます。化粧土を掛けると

  普通の生土は、素地が水分を吸い込み、土が膨張して作品が壊れる恐れが大きいです。

  その危険性を少なくするには、土の種類を考慮する必要があります。粉引に適する土には

  以下の土があります。 粉引赤土、粉引赤原土、粉引黄原土、石見特赤土などです。

 ⅳ) 御本が出易い土。

  器の表面に、ピンク色(掛かった色)した5~10mm程度の丸い点々が斑に現れる作品を

  御本手と呼び、珍重されます。多くの場合偶発的に現れる事が多く、再現性に乏しいです

  但し、土を選ぶ事により、出現率を上げる事が可能です。以下の様な土があります。

  萩土(大道土に金峯土を混ぜた土)、大道土(萩焼きの基本土)、御本手(A,B)粘土

 (篠原土)、粒子の細かい土で、還元焼成で御本が出易い土)、A粘土は1180℃から、

  B粘土は1230℃から還元から酸化に切り替えると、御本が出易いです。

  西条水簸(すいひ)粘土(白、赤、粗目)還元焼成で出易い土です。

 ③ その他の粘土類。

 ⅰ) 土鍋用粘土。

  土鍋土(白、赤): 白は1焼成温度は最高で1200℃程度です。赤は1180℃程度です。

  耐火耐熱鍋土(白、赤): ペタライトを50%含む土です。

  尚、鍋土は低い温度で焼成するのが基本ですが、1230℃で焼成可能の土もあります。

  メーカーのカタログを参考にして下さい。

 ⅱ) 窯道具用粘土。

  耐火性道具土: 粒子の粗い土で、窯の隙間に詰めたり、匣鉢(さや)や 窖窯

  (あながま)その他、幅広くに使用する一般的な土です。

  薪窯用道具土: 登り窯や窖窯(あながま)窯用の道具土です。

  匣鉢(さや)鉢用道具土: 匣鉢鉢その他色々の道具を作る際に使用します。

  尚、道具土で作品を作る事は、肌理が粗いため少ない様です。

 以下次回に続きます。     
   
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続 粘土について3(粗さと色1)

2018-01-11 21:30:48 | 粘土について
1) 粘土類の出来た訳。

2) 陶芸に適する土とは。(以上が前回の話です。)

3) 素地の粗さと色について。

 ① 粘土の色について。

  各地方には多くの種類の粘土が存在し、焼き物の原料として利用されています。

  粘土の色は生の場合と焼成後の色が一致するとは限りません。黒い土が焼成すると白く

  焼き上がる物もありますので、騙されない様にして下さい。例えば木節粘土があります

  主成分はカオリン鉱物ですが、生成過程で腐葉土や有機物を多く含み、亜炭層などに挟

  まれた層状に産出され、黒褐色が一般的です。(但し、灰白色の白木節もあります)

  焼成すれば、有機物質は燃焼し、白色になります。但し多くの場合は生と焼成後の色は、

  一致する事が多いです。尚、酸化、還元焼成の違いによって、同じ土でも色は変化します

  メーカーのカタログを見ると、生素地の色が分類されています。

   純白、白色、淡いグレー、グレー、濃いグレー、淡い黄色、黄色、薄茶、茶色、焦げ茶

   褐色赤、黒、薄緑、緑、青などです。 (参照文献:ヤマニファーストセラミック)  

 ⅰ) 粘土に色が付く理由は、素地に不純物が混じっているからです。

  多くの場合、鉄化合物の影響が一番強いです。例え磁土の様に真っ白に焼き上がる土でも

  多少なりとも、鉄分が含まれています。鉄分の含まれる割合で、白~淡黄~赤~褐色と土

  の色が決ります。酸化焼成の場合、それぞれ以下の色に焼き上がります。

   白い粘土: 鉄の含有量が1%以下。 象牙~黄色粘土: 1~4%。

   赤い粘土: 4~7%程度です。

  還元焼成の場合、鉄化合物が少量ならば、明るい灰色、4%以上では、暗灰色又は青色に

  なります。素地に石灰などの熔媒が多く含まれている場合には、更に色は顕著になります

  酸化第一鉄を含む素地では、灰色又は青色。酸化第二鉄(弁柄など)を含む場合には、

  酸化で黄色~赤(茶)色になります。

  尚、還元焼成では酸化鉄は熔媒剤として働く為、焼成温度を下げる結果になります。

 ⅱ) 各地に赤土と称される素地は多いですが、ここでは赤1,3,5,7,9号土の違い

  について記します。

  赤1号土: 酸化で薄茶色、還元で茶黒の斑(まだら)模様粒子が細い赤土、濃い赤又は

   黒く発色。(SK-7~8で焼成)

  赤3号土: 酸化で薄茶色、還元で赤黒に発色。(SK-7~8で焼成)

  赤5号土: 粒子が細い赤土、濃い赤又は黒く発色。(SK-7~8で焼成)

  赤7号土: 粒子が細い赤土、薄茶色に発色。(SK-6a~8で焼成)

  赤9号土: 水ヒ赤土で薄茶色に発色。(SK-6a~8で焼成)

 ⅲ) 黒く焼き上がる粘土。

  市販されている粘土の中には真っ黒(黒色)に焼き上がる物もあります。

  多くの場合、黒色になる顔料(又は黒くなる成分)を入れた粘土です。

  例えが以下の粘土が市販されえいます。

   黒陶土(細目、粗目):陶土にコバルトを含む土を混ぜた物で、真っ黒に焼き上が

    ります。

   南蛮土: 鉄分が大変多く黒又は黒褐色になります。但し窯変を起こし易く色の

    変化も大きいです。還元焼成すると良い。

   黒御影土:珪長石とマイカ(雲母)と黒色顔料を含む土です。

   黒備前土:備前土に黒色の土を混ぜた物です。

   炭化黒粘土:酸化でも還元焼成でも黒く焼き上がります。

 ⅲ) カラー粘土について。

  自然界に存在するカラー粘土の種類は限られています。陶芸材料店では、練込用の顔料

  が市販されています。この顔料を適宜混入させる事で、カラー粘土を作る事ができます

  例えば、ピンク系、青系、茶色系、グレー系、黒系、緑系、紫系、黄色系など豊富に

  存在します。メーカーによって色の呼び名も違い、色彩も微妙に異なります。

  これらの顔料はなるべく白い土に練込事で色彩も鮮明になります。更にカラーサンドと

  呼ばれる、緑、青、黄色、白などの着色剤もあります。これらを混入した粘土は斑点状

  の色と成って焼き上がります。

  その他、手持ちの弁柄や鬼板、呉須、酸化胴、酸化クロムなどを混入させて色土を作る

  事も可能です。

 ⅳ) 薪窯で緋色の出易い土。薪窯用粘土。

以下次回に続きます。     
   
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続 粘土について2(陶芸に適する土)

2018-01-09 10:51:22 | 粘土について
1) 粘土類の出来た訳。(以上が前回の話です。)

2) 陶芸に適する土とは。

 粘土質であればどんな物でも陶芸に適している訳ではありません。 

 但し、どんな土(畑の土など)でも焼き締まり、使う事が可能と言う人もいます。

 その場合単味では無理だが、他の素地を混入させる事で陶芸用にも利用できるそう

 です。

 ここではそのような観点からの土ではなく、一般的な使い方が可能の土のみを取り

 上げます。 

 以下、その条件を述べます。

 ① 成形のし易い土である事。

  土の伸び(延び)が良好な事と、腰がある物質です。一般にこの様な状態を可塑性

  があると呼びます。作品にする為には必要な事柄です。伸びる事は粘り気のある

  物質であり、粘土質と呼ばれています。粘土質に成る為には、10μ以下の細かさで

  ある事の様ですが、土が粘る為には、粒子が5μ(マイクロ)以下の細かさの物を

  多く含む、必要があるとも言われています。

   注: 1μ = 1/1,000 mm

  尚、粘りの少なく成形し難い土も、木節土を数10%を混ぜて改良できます。

  逆に強過ぎる場合にも成形がし難くなります。その場合には、シャモット(焼粉)を

  適宜まぜ改善させます。

 ② 成形後の乾燥で強く固まり、強度が増す事です。更に乾燥による「ヒビ割れや亀裂」

  が発生し難い事です。当然成形方法や乾燥の仕方によって、「ヒビや亀裂」が入る事

  もあります。

  水分が含まれている物質は、水分が取り除かれると必ず収縮しますが、その際強度が

  増す物質である事が大切です。

 ③ 焼き締まり耐火度がある事。

  ある温度範囲の高温で焼成した場合、素地の乾燥時よりも更に収縮し、強度が増す

  物質である事。楽焼などの低い温度で焼成する場合と、本焼きと呼ばれる約1,200℃

  以上で焼く焼き物があります。高い温度で焼成した場合、素地本体が熔け形が崩れる

  様な土(特に鉄分を多く含む土)は不向きです。即ち一定以上の温度で焼成可能な土

  です。更に、焼成温度範囲が広い事も大切な要素です。窯を焚く際窯全体の温度を

  ある温度で一定に保つ事は意外と難しいです。即ち窯の容積が大きい程、窯中の温度

  は「バラツキ」ます。或る場所では十分に焼けたが、他の場所では焼きの過不足が生

  じる事は、窯焚作業が難しくなります。焼ける温度範囲が広い程、苦労なく焼成で

  きる事に成ります。素地を焼成する事で、ガラス質を生成させます。

  そのガラス質の量によって、素地が強固になり腰(焼腰)の強い素地に成ります。

 ④ 焼成収縮率(素地から焼成までの収縮率)が12~18%程度の土である事。

  一般には上記の範囲内に収まりますが、備前土の様に20%以上の土もあります。

  焼成収縮は最高温度と、寝らし(一定温度に保つ)時間に左右されます。

  大きく収縮する事は素地の密度が増し、強度的に強くなり、水の浸透を少なくする事に

  成ります。磁土では、形が崩れずに熔化する物でなければ成りません。

  収縮率は他の粘土を混入させる事で、調整可能ですので、使用に耐える可能性があり

  ます。尚、焼き締まりの強さや、収縮率は粘土の粒子の細かさにも比例します。

 ⑤ 焼成後の素地の色艶が美しい土である事。更に釉との相性が良い事も重要です。

  色艶が美しい為には、素地に不純物を含まない(出来るだけ少なくする)事です。

  陶芸用の土の主な成分は、珪酸(シリカ)、アルミナの他、少量の石灰(CaO)、

  マグネシア(MgO)と酸化鉄(FeO,Fe2O3)と水分などを含む物質に限られます。

  尚、素地に有害な物質は、硫化鉄、石膏、多量の砂、その他有機物等がありますが、

  有機物は制作時には邪魔に成りますが、素焼きをすればなくなります。

3) 素地の粗さと色について。

以下次回に続きます。     
   
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続 粘土について1(成り立ち)

2018-01-06 11:37:17 | 粘土について
粘土に付いては今まで色々述べて着ましたが、再度取り上げたいと思います。

以前述べた事と重複する部分も多いと思いますが、ご了承下さい。

ここでは磁土についても少し述べる予定です。

尚、粘土類は陶芸材料店で、各地の物が容易に入手可能ですので、この記事は必ずしも読む

必要はありませんが、何らかの参考にして頂けたらと思っています。

1) 粘土類の出来た訳。

 ① 地球上で一番多い物質は岩石です。地表を覆う極一般的物で、主にシリカ(珪酸)と

  アルミナ成分の他多少の金属類などが含まれています。この岩石は地球内部のマグマが

  地表に噴出し、冷えて固まった物(火成岩)で、その出来方の違いにより、岩石の種類

  も幾つかに分類されていますが、粘土質になる岩石の代表は、花崗岩(かこうがん)で

  御影石と呼ばれる物です。

 ② 岩石は長い年月の間に雨(水、熱水、霜など)、川の流れ、風等によって風化し細かく

  砕かれます。砕かれ細かくなった岩石は、石や土、砂と成って湖、谷、川底等の窪地に

  流され堆積し水成岩(堆積岩)と呼ばれ物質になります。時代と共に地殻変動の影響で、

  低地から丘や山に隆起する場合も起こります。風化の途中や堆積中に他の金属(主に

  鉄分)類が混ざり込み、その地方特有な色の着いた物質になります。それ故、良かれ

  悪しかれ粘土類は日本以外の各国に存在します。

 ③ 磁器土(陶石)について。

  磁器の素地は陶石より生成されるのが一般的です。磁器土は白さが命です。

  ⅰ) 火山岩である石英粗面岩が、地熱の熱水作用により、岩の中の長石等が粘土化し、

   更に鉄化合物等の不純物が洗い流された物で、他の岩石よりやや軟らかい傾向の石の

   塊に成り、磁土の原料として最適な状態の物に成ります。

   但し、陶石をそのまま砕き微粉末にした状態では、石英分が多過ぎ成形に不向きです

   石英間に埋もれている粘土成分を出来るだけ多く集め、更に水簸(すいひ)し細かい

   粘土分が多いところを使い磁土にします。

  ⅱ) 我が国にも陶石は各地で産出しますが、代表的な物は天草陶石です。

   天草陶石の主な成分は、石英、絹雲母(セリサイト)、及び少量のカオリンです。

   天草陶石にも品質により1~4等級(1等が最上)があり、鉄化合物が少ない程等級

   が上になります。

   注; 天草陶石の組成は、石英(約70%):カオリン(約20%):絹雲母(約10%)

   他の陶石としては、有田焼きの泉山石、九谷焼きの花坂石、新花坂石などがあります

   尚、九谷焼には微量な酸化鉄の他、酸化チタンも他の陶石より多く含まれています

   ので、有田焼きよりややグレー掛かています。

  ⅲ) 半磁器土、衛生陶器(便器など)、タイルの原料としての陶石。

   代表的な産地は、主に石川県能美郡服部です。産出する服部陶石は一番く使われて

   いるそうです。これは、緑色疑灰石が熱水作用により変質した物で、酸化チタンと

   酸化鉄を比較的多く含む陶石です。

  ⅳ) 西洋の磁土と日本及び中国の磁土の差に付いて。

   西洋の磁土は日本(及び中国)の磁土より、粘土質がやや多く、石英成分がやや

   少なくなっています。

2) 陶芸に適した土とは。

以下次回に続きます。

 
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土を作る8 (廃物利用)

2011-10-16 22:02:42 | 粘土について
4) 廃物の土の利用。

 ① 轆轤作業では、削りの工程がありますので、必ず削りカスが出ます。

  これもれっきとした粘土ですので、再生して使う事が出来ます。

  但し、常に一種類の土を使っていれば、問題ありませんが、数種類の土を使用すると、どうしても

  混じり合ってしまいます。(勿論、削りカスを別々な容器に入れる様にすれば、問題は起こらない

  のですが・・)赤土や、顔料を入れた色の付いた土も、混入してしまいます。

  白っぽい作品には、仕上げられませんし、下絵付けをする作品や、透明釉を掛ける作品等には、

  向きません、しかし、他の釉を掛ける場合には、ほとんど問題ありません。

 ② 陶芸では、粘土類や釉の付いた手や轆轤、用具類を掃除して洗う必要があります。

  ) 釉の原料には、多くの金属物質等が含まれており、金属類の中には、有害な物も有りますので、

    直接下水道に流す訳にはいきません。少しずつ粘土類が流れ出しても、下水を詰まらせる恐れも

    あります。その為、途中に沈殿槽を設け下水(廃液)を貯めて、重い金属や粘土類を沈殿させ、

    上澄み液を下水に流す様にします。

 ③ この沈殿槽は定期的に掃除をする必要があります。ここから取り出したヘドロ状の物質は、

   なんらかの処理をする必要があります。

  ) 乾燥後燃えないゴミとして出す事もできます。

  ) 乾燥後、不要な容器入れ、本焼きの際に窯で焼き固めてから、燃えないゴミとして出す。

  ) ヘドロ状の物を、バケツに取り3~6ヶ月放置して置く。

     ヘドロの成分は、主に粘土類で、少量の釉が混ざり、その他、石鹸等の有機物質が含まれて

     います。数ヶ月放置して置くと、有機物は分解し、臭いもほとんど無くなります。

  ) 普通の粘土の様に使う。

     十分乾燥させたヘドロ状の中に入っている、異物を、土を砕きながら、取り除きます。

     髪の毛や小石の他、使用して流してしまった、皮や小物の用具が入っている事も多いです。

     これらを取り除いた後、水を少量加えて練ります。

     場合によってはこの状態で、寝かせれば更に、使い易くなります。

  ) 釉の混ざった土は使えるのか? ご心配無用で十分使えます。

     私の知人は、わざと粘土に釉を混ぜて、作品を作っている方もいます。

     粘土の中にガラス質のものが出来、強度が増すとも言われていますが、真偽のほどは不明です。

   ・ 粘土も釉も基本的には、ほとんど同じ成分です。釉は熔け易い様に、アルカリ成分が入って

     いて、熔ける温度が、粘土より100~150℃程度低くなる様にしてあるだけです。

   ・ この土には不純物などが多く、土の表面に斑点などが出る場合がありますが、割合趣ある質感に

     成る事もあります。(当教室にも、この土で作って見たいという人もいます。)

     但し、毎回同じに成る訳ではありませんが、釉も普通に掛ける事が出来ます。

   ゴミとして廃棄処分するよりも、活用する事を勧めます。

以上にて、「土を作る」の話を終わります。

次回は違ったテーマでお話します。

  
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