わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

手捻(ひねり)11 板(タタラ)作り5 作品を造る3

2018-09-13 14:42:46 | 手捻り陶芸
広い面積の板状にする事えで、平皿や立体的な箱状の作品の他、筒に巻きつけて、円形の作

品、又は型に押し付ける事で、轆轤作業や紐作りとは異なる作品群を、効率良く作る事がで

きます。

4) タタラで作品を造る。

 タタラは平たい状態で使う場合や、石膏型などに被せて利用したり、円筒形や角柱等に巻き

 付けたり、タタラ同士を接着して組み上げて作品に仕上げる事が出来ます。

 ① 平たい状態で造る作品。

 ②  平たい粘土を立体的形にして作る作品。

  ⅰ) 木型や石膏型などを用いた作品。

  ⅱ) 円筒状のものに巻き付けて作品にする。(以上までが前回の話です)

  ⅲ) タタラ同士を貼り合わせて、作品を作る。

   タタラを平面のまま、又はやや湾曲させて箱型等の立体形の作品を作る事も可能です

   但し、ある程度自立できる程度まで乾燥していないと作業は難しくなります。

   a) 設計図を描く。

    簡単な形であっても、スムーズに組み立てるに為には、大まかな図面は必要になりま

    す。どの様な形のタタラが何枚必要か、予め決めて作り置きしていないとその都度作

    る事になると、大変作業は捗り(はかどり)ません。

   b) タタラを作り、必要な形に切り出します。

    市販のタタラ製造機を使うと、大きな面積のタタラを作る事も可能ですが、高価な

    機械ですので、ご自分で棒を転がして、粘土を伸ばす事が多いです。
   
    以前にも述べましたが、タタラ板で土をスライス方法もあります。

    一長一短ですのでご自分の方法で作る事です。タタラの厚みは作品の大きさに合わ

    せて、決める事になります。注意点は粘土を強く叩き締め「割れ」の発生を防ぐ事で

    す。広い面積から必要な形に切り取る為に、「型紙」があれば更に便利です。

   c) 組み合わせるには、「貼り合わせと」言う技法を使用します。

    両方の接着面に針や金箆(ヘラ)等で傷(刻み)を付け、同じ粘土で作った「ドベ」

    を塗り強く圧着し貼り合わせます。「ドベ」が接着面よりはみ出す程度の量を塗り

    ます、

   d) 組み立ては底になる部分を下にして、その上に垂直又は斜め方向にタタラを立て

    ます。作品に応じて周辺から組み立てるか、中央部から組み立てる事になります。

    薄っぺらいタタラですから、底面に立てた時周囲に支えが必要になる場合が多いです

    ので、予め多めに用意して置く必要があります。時には、ある程度組み上がった

    パーツを底面に接着する事もあります。タタラを一枚一枚接着するよりは、支えが

    ある分組み立て易いかもしれません。

   e) 接着面の繫ぎ目は、はみ出した「ドベ」を拭き取り、縦箆などで撫ぜて、綺麗に

    消し去ります。

   f) 天井のある作品は要注意です。

    特に広い面積でほとんど丸みの無い形の物は、組み立て時や焼成時に変形してしまい

    ます。組み立て時には真下から「つっかえ棒」で支える事も可能ですが、焼成時では

    支え切れずに、下へ落ちてしまいがちです。

   g) 手捻りで大切なのは、仕上げ作業です。

    主に削り作業が中心になります。組み立てが終わっても、満足の行く形になっている

    事は少ないです。尚修正するには削る方法と、盛る(粘土を足す)方法があります。

    ある程度乾燥している作品に、粘土を足しても「くっつかない」場合が多いです。

    それ故、削り取った方が無難な事が多いです。

   h) 手捻りの特徴として暖か味のある作品に仕上がる事が挙げられます。

    貼り合わせの作品は、角部分が出易く作品が硬い感じになり易いです。

    手捻りでは、「キッチリ」した綺麗な形より、やや「ラフ」な形が好まれる傾向に

    あります。又手作りの雰囲気をあえて残す場合もあります。あえて指跡を残す方法

    もありです。

 以下次回に続きます。
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手捻り(ひねり)10 板(タタラ)作り4 作品を造る2

2018-09-04 16:27:59 | 手捻り陶芸
広い面積の板状にする事えで、平皿や立体的な箱状の作品の他、筒に巻きつけて、円形の

作品、又は型に押し付ける事で、轆轤作業や紐作りとは異なる作品群を、効率良く作る事が

できます。

4) タタラで作品を造る。

 タタラは平たい状態で使う場合や、石膏型などに被せて利用したり、円筒形や角柱等に巻き

 付けたり、タタラ同士を接着して組み上げて作品に仕上げる事が出来ます。

 ① 平たい状態で造る作品。(以上までが前回の話です)

 ②  平たい粘土を立体的形にして作る作品。

  ⅰ) 木型や石膏型などを用いた作品。

   同じ形状の作品を数多く作る場合に便利な方法です。

   石膏に模様などが彫り込んであれば、凸状の文様となり、表面が浮き彫り状であれば

   凹状の模様が付く事になります。型はご自分の近くにある、どの様な物でも使えます。

   型には一個で済む簡単な物から、複数個の型を組みを組み合わせて作る作品がありま

   す。型に生乾きの粘土を押し付け、型通りに変形してから、型から取り外します。

   直に粘土類を押し付けると、型離れが悪く形ちを崩してしまいますので、蚊帳(かや)

   等の布を挟み込むか、片栗粉の様な粉末を粘土又は型に筆で塗り、形離れを良くします

   蚊帳を使う場合表面に、蚊帳目の模様が付きます。釉が薄めであれば、これも模様も

   見所のつになります。

   尚、タタラの肉厚を厚くし過ぎるたり、乾燥し過ぎると、型に沿わせる際粘土に

   「ひび」が入り易くなりますので、注意が必要です。尚作品を軽く作るのであれば

   5mm程度でやや重くする場合や大きな作品の時には7~10mm程度とします。

  a) 型には型の外側を使う方法と、内側を使う方法があります。

   型に模様が付いている場合には、その文様は作品の内側又は外側に付く事に成ります

   イ) 単純な形の作品では、一般に型の外側を使う事が多いです。この利点は土

    (粘土)を強く叩き締める事が出来る点です。掌(てのひら)以外に叩き板を使う

    事も容易です。欠点は、型に被せた状態で、そのままにして置くと、粘土の乾燥が

    進み収縮し表面に「ひび」割れが発しますので、速めに取り除く必要があります。

   ロ) 内側を使う場合。

    利点はそのまま放置しても、自然に素地が収縮しますので、「ひび」の発生は少なく

    型離れ良くなります。欠点は、内側の型に素地(粘土)を沿わせる際、特殊な用具が

    必要になる事です。特に凹凸の多い型であれば、その隅々まで土を入れ込まなくては

    成りません。一般には、やや軟らかい粘土を団子状にし、強く布切れに包み込み、

    これを粘土の表面に打ち付ける様にします。この粘土は型に沿って変形しますので、

    巧く押し込むことができす。注意点は指跡を残さない事です。

   ハ) 複雑な形の作品は、複数個の型を組み合わせて使います。

    これを「割り型」と言います。型抜きが困難な「逆傾斜(テーパー)」の作品の時

    使います。型の内側を使う事が多いです。又、作品の左右(又は上下)を別々に作り

    その後両方を貼り合わせて一個の作品に仕上げる事もあります。

  ⅱ) 円筒状のものに巻き付けて作品にする。

   電動轆轤では、背の高い作品を作るには、相当年季のいる作業となります。

   しかし、筒状の物(又は角柱)にタタラを巻き付ければ、容易に背の高い作品に仕上げ

   る事ができます。その際、筒に薄い紙を巻き付けると、粘土の型離れが良くなります。

   作品に底が付く場合には、型から抜く前に底(丸又は角状のタタラ)を付けると容易に

   取り付ける事ができます。但し、内側にタタラの繋ぎ目が残りますので、綺麗に跡を

   消します。

   口の狭い作品では、手が入らない場合もありますので、「柄コテ」等の用具を使います

   型を抜き去った後、更に好みの形に変形できます。

   更に、この円筒を轆轤に載せ、轆轤作業を行えば背の高い作品を作る事も可能です。

   但し、肉厚の厚いタタラを使う事で、作業はより容易になります。

  ⅲ) タタラ同士を貼り合わせて、作品を作る。

 以下次回に続きます。
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