わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問 34-2 大物の蓋物の「ヒビ、割れ」について2

2018-05-22 20:09:32 | 質問、問い合わせ、相談事
よし様より追加の質問をお受けしましたので、当方の見解を述べます。


私は円柱形で上下同じ高さ位のものを合わせています。上下合わせて20センチ弱程の高さです。

上部は本焼き後の沈みを防ぐために、少し丸みをつけています。半磁器の理由は、白磁が好きなのと

個人の窯ではないのでSK7での本焼き温度に合わせているためです。轆轤のあと、完全に乾燥させて

から、もしくは素焼き後に再度調合した化粧土のようなものを高く塗り重ねて彫刻し、再度素焼き、

本焼きというものをつくっています。

蓋の方の轆轤の時、本焼き後の沈みを防ぐために底を浅くカーブさせて作っているのですが、

その厚さが、ご指摘の底の肉厚の問題だとは思うのですが、カーブをつけているため、中央と、

側面側の底の厚さが2倍以上違うこともあります。その後、ある程度乾燥させたあと上下合わせた

状態で削るため中央から側面側に向かっての厚さのむらが解消されてないまま削りを終え

(蓋を何度も外したり合わせたりすることで、合わせ目が欠けたりするのが怖いため一応指で叩いて

確認しているつもりですが滅多に外してません。)、乾燥させていってることに原因があると思うのですが、

カーブはどの程度つけていれば沈みを防げるでしょうか?作品としては外観をなるべく平らにして

おきたいというので外側の削りが足らず厚いままという状況になってしまっています。

また、上下それぞれ7キロ強の土を使っているので、一人ではサンドイッチでひっくり返すのが難しく、

元々土が柔らかい事もあり翌日でも、触れば指の跡がつくほどだったりするので、私の先生の提案で、

天日干しさせて手で持上げて外せるほど乾燥させてたりしたのが、縦割れの原因かと20個近く作って

今更ながら室内で(サンドイッチでひっくり返せないので)手で持上げて歪まない固さまで風通しの悪く

直射日光の当たらない部屋で数日乾燥させているのですが、やはりそれでは遅いでしょうか?

糸切りは、轆轤が終わったあと、その後、1日に朝夜確認のためやってます。

あと、削り後の乾燥のさせ方なのですが、上下合わせた状態でない場合、蓋の方はどちらを上にし、

乾燥させるべきでしょうか?蓋をひっくり返した状態だと、底がカーブつけて削ってあるため亀板との

接地面が小さく、乾燥の際歪みがないでしょうか?スポンジ等で支えすれば大丈夫でしょうか?

蓋を合わせ目を下に亀板に置くと蓋をして乾燥させているのと変わらないような気がするのですが、

亀板と蓋の間に細い板かなにか挟んで隙間を作るといった風にするのでしょうか?

色々、長々と、まとまりのない文章で申し訳ありません。

どうしても途中で諦められず、しつこく質問させていただきました。

またお時間がある時で結構ですので、よろしくお願いいたします。


◎ 明窓窯より

質問の内容から判断し、電動轆轤を始めてから数年の方と見受けられます。

その為、電動轆轤がどの様な物(特徴)なのかの理解が不足している様にも思えて成りません。

失礼ですが、貴方様には荷の重い作品を作ろうとしている様に思われます。

何が問題かを具体的に述べると以下の様になります。

1) 上下それぞれ7キロ強の土を使っている事。

 電動轆轤は、綺麗な形で薄く、速く作る道具です。逆に薄く挽ける事がその人の実力とも言われて

 います。それ故、直径35cm(生で)高さ20cm程度の作品を作るのにどうしてこれ程の土を

 使うのか理解できません。彫刻を施す為とも思われますが。この量ではかなりの肉厚になり、

 ひっくり返すのも一苦労します。その為、乾燥時に問題が発生するのは、当然とも言えます。

 実際問題として、作品が重過ぎて実用性はほとんど感じられません。但し、展示会などに出品する

 場合には、あえて実用性を無視する事も有りますが・・・

 勿論、実用性がなくても良いのですが、制作時や持ち運び時、使用時には重過ぎて取り扱いが困難

 になります。もし私が電動轆轤で作るとすあれば、上下各々2~2.5Kgも有れば十分です。

2) 明窓窯からの提案です。

 上記作品を電動轆轤で水挽するのではなく、くりぬき(刳り貫き)方式で作る事です。

 この方法であれば、水挽きを行いませんので、乾燥のトラブルを防ぐ事ができます。

 実際に陶芸作家の方には、この方式で箱物を作っている方もいます。

 その手順は以下の様になります。

 ① 素地を必要な外形にする。

  良く練った素地を必要な形にし、素地を強く叩き締めます。出来れば亀板上に据えます。

  叩き棒や板が締めれば更に良くなります。実際には本体側の円盤と蓋側の円盤の二枚にした方が

  均等に乾燥し易いです。当然この段階では、空洞は無く無垢(むく)の状態です。

  この状態で削れる程度まで乾燥させます。ちなみに今回の例ですと、直径35cmとし、

  高さは蓋の合わせ目を削る事を考慮して、2~3cm高くし、11~12cmにします。

 ② 削りは電動轆轤上で行います。

  ⅰ) 轆轤上にセットし、轆轤を回転させながら、カンナ等を用いて外形を大まかに削ります。

  ⅱ) 本体(器)側、蓋側と別々に内部を刳り貫きます。

   勿論、内側を先に削っても問題ありません。

   今回は円形ですので、轆轤を回転させながら削る事ができます。当然蓋側はひっくり返して

   削ります。蓋の内側は緩やかなアーチ(鍋底)にします。当然ですが、アーチが急な程底は

   落ちません。但し、彫刻を施す部分は、若干肉を厚くします。その際底の肉厚を測定して置き

   ます。簡単な方法は針を中央に突き刺せば測定できます。尚乾燥が甘い場合には、削っては

   乾かし削っては乾かすを繰り返します。問題は肉厚です、成るべき偏肉に成らない様にします

  ⅲ) 合わせ目を削り出す。

   蓋物の合わせ方には色々な方法があります。基本的には本体と蓋がぴったり合わさる事ですが

   焼成時の歪みや、施釉の事も考慮して、若干のガタ(隙間)が必要です。実際に合わせ、

   ガタを確認します。

  ⅳ)上下合わせた状態で全体の外形を削り出します。

   特に蓋の肩の部分が偏肉に成らない様にします。その為には、本体より取り外し実際に厚み

   を指で確認します。(蓋を何度も外したり合わせたりすることで、合わせ目が欠けたりする

   のが怖いため一応指で叩いて確認しているつもりですが滅多に外してません。)とありますが

   肉厚が厚い場合には、この様な方法では、確認は取れません。合わせ目の欠けが怖いと言う

   事は縁が極端に肉薄なのでしょうか?。それとも重たい為でしょうか?。一般には壊れる恐れ

   はほとんど有りませんので、何度でも取り外す事が可能なはずです。

  ⅳ) 蓋の乾燥は、内側を上にして行います。

   回転が掛かったり、天井部分に全重量が掛かる場合には、ドーナツ状にしたタオル等で周囲を

   支えて下さい。又は布を敷いたボール等の丸い器の内側に置くとより安全です。

   但し、乾燥が進んでいる事や、軽量に作る事で、そのまま逆さにしても。変形の恐れは少な

   いです。

3) 最も重要な問題点は、「轆轤のあと、完全に乾燥させてから、もしくは素焼き後に再度調合

  した化粧土のようなものを高く塗り重ねて彫刻し、再度素焼き、本焼きというものをつくって

  います。」の部分です。失礼ですが、化粧土に付いての認識(知識)を余り持ち合わせていない

  感じがします。化粧掛けを高く(厚く)塗る事は、大きな失敗に繋がります。更にその上から

  彫刻を施したいとのご希望ですが、ほとんど不可能な事に挑戦している様にみえます。

  なぜなら、素地と化粧土との相性(施すタイミング)、素焼き前と後での化粧土の調合の違い、

  施す(塗る)方法等を理解していないと、化粧土はどんどん剥がれてしまいます。当然厚く

  塗れば厚くなる程、剥がれや表面と素地自体の割れ(崩壊)を招きます。

  彫刻後に化粧土を、薄く施すならば、可能性は増えますが、厚く塗った化粧土に彫刻を施す事は

  ほとんどまず無理と思われます。化粧掛けはある意味、作品の形作りより難しい作業と言えます。

  試作品は化粧掛けや彫刻まで進んでいるのでしょうか?

  半磁器土なのに、危険を冒してまで白化粧を施す理由がいまいち判りません。半磁器土と白化粧

  土との差は、それ程大きくは無いと思われるからです。

4) 結論 

 当方から見ると、失礼ですが、貴方様の技量(実力)では、かなり荷の重い作品です。

 設計段階から再度検討が必要と思われます。いきなり大物ではなく、段階的に進める事を薦めます

 先生がおられる様ですので、良く相談して設計、段取り、制作方法等を決めてください。

 以上、かなり厳しく述べましたが、轆轤技術だけでなくその他の分野でも、陶芸は奥の深い物で

 す。 判ったつもりでも思うように行かない物です。一つ一つ技術の積み重ねが早道です。

 尚、困難に挑戦する事はとても大切な事ですので、チャレンジ精神を持ち続けて下さい。

 疑問、質問が有りましたら、随時コメントしてください。

以上
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質問 34 大物の蓋物の「ヒビと割れ」について

2018-05-14 14:45:07 | 質問、問い合わせ、相談事
(よし) 様より 以下の質問をお受けしましたので、当方なりの見解を述べたいと思います。

 大物の蓋物について。 はじめまして。

半磁器で35㎝程の蓋物を作っているのですが、乾燥時のひび、素焼き後の割れに悩まされています。

水挽きの際底は拳で叩いています。水挽き後亀板から外せるまで3~4日そのまま乾燥させ(上部には

ラップしています)その後石膏の上に移し完全に乾燥する前に合わせ目、高台、蓋の上部分を削り上下

合わせた状態で完全に乾燥せるのですが、削りが終わった後蓋の上部に円にそってひびが入ります。

乾燥のむら防止にシート被せてみたりするのですが、素焼き後縦に割れていたりします。

別々に完全に乾燥させてから削った方がいいのでしょうか?


 ◎ 明窓窯より

上記質問内容を整理すると、以下の様になります。

1) 直径35㎝程の蓋物を半磁器土で、轆轤挽きで作っているのが、乾燥時のひび、素焼き後の

  割れに悩まされています。(焼き上がりが直径30cm程度になります)

2) 亀板上で制作するが、底割れを防ぐ為に、底は拳で叩いている。

3) 轆轤挽き後、亀板上で3~4日そのまま乾燥させる。(上部にはラップしています)

4) 亀板から外せる程に乾燥したら、石膏の上に移し、合わせ目、高台、蓋の上部分を削る。

 削りが終わった後、蓋をした状態で更に乾燥させると、蓋の上部に円に沿ってひびが入ります。

 乾燥のむら防止にシート被せてみたりするのですが、素焼き後縦に割れていたりします。

5) 「割れやヒビ」は、蓋の上部に円に沿って入り、素焼き後縦に割れていたりします。

6) 別々に完全に乾燥させてから削った方がいいのでしょうか?


「ヒビや割れ」は、素地が縮む事が一番大きな原因です。当然大物の作品程縮む量は大きくなり

 ますので、「ヒビや割れ」が発生する確立は高くなります。縮む事は粘土類の宿命ですので、止める

 事は出来ません。

 問題解決には、制作過程(轆轤作業が適正か?)、乾燥、削り(肉厚)、焼成過程に何らかの原因

 が有ると思われます。その他、素地の選び方や、作品の形に付いても検討する必要があります。

 今回の相談から、蓋物の本体(器)側には、問題が無い様に思われます。

 ① 制作過程(轆轤作業が適正か?)

  蓋は大皿と同様の方法で作るのが一般的です。亀板の中央に素地を載せ、拳固で強く叩き土を

  締めます。

  ⅰ) 底の肉厚はどの程度ですか?

   蓋物の場合、摘み(つまみ)が有る物と無い物に分かれます。即ち無い場合は、本体器より

   若干大きな径にし、蓋の端を両手で持ち上げる様にします。摘みがある場合は、削り出しか、

   後付方法になります。当然削り出すには、摘みの高さに合わせて、底の肉厚を厚くとる必要が

   あります。底の肉厚を厚くした場合、例え拳固で叩いても、土が絞まり不足に成る可能性も

   有ります。後付けの場合は、肉厚を薄くする事が出来ますが、摘みの接着時に問題が発生する

   恐れがあります。

  ⅱ) 亀板に接する部分の面積も、ヒビ割れに関係し重要です。

   蓋の形状に応じて上記面積は変化します。即ち深皿状態であれば、面積は狭くなりますが、

   浅皿状態であれば、面積を広く取る必要があります。面積を狭く取ると、縁が落ちてしまい

   ます。当然広く取れば削り量も多くなり、乾燥も遅く、ヒビ割れの危険性も増します。

  ⅲ) 底の周囲と亀板が接する部分は、竹ヘラで大きく面取りします。

   この作業を怠ると、乾燥と共に放射状のヒビが発生します。即ち底の周辺の肉薄い部分から

   収縮が始まり底の中心に伸びて行きます。竹へらでこの肉薄部分を剥ぎ取り、周辺からの乾燥を

   防ぎます。この作業は蓋の形状が完成する前に行うとやり易いです。後からだと竹へらの入れる

   スペースが狭くなり、やり難くなります。

   轆轤作業終了時には、底の内側の水分はスポンジ等で吸い取ります。これを怠ると底割れが

   起こります。底中央部に縦に入りますので、容易に確認できます。

  ⅳ) 作品はできるだけ速く、糸を入れて亀板から切り離す事が大切です。

   質問では、亀板から取り上げるタイミングに付いては記されていますが、切り離すタイミングに

   付いての記述がありません。糸を入れても作品の形が崩れない程度に乾燥したら、糸を入れて

   亀板から切り離します。但し、亀板から取り上げるのは、もっと後にします。

   亀板上に長く放置すると、底の部分の乾燥に斑(むら)が出来ヒビ割れの原因になります。

   更に、乾燥が進むと切り離し自体が困難になります。糸を早めに入れる事で少しでも空気に

   触れさせる事が出来ます。

 ② 乾燥過程

  亀板上で3~4日そのまま乾燥させる(上部にはラップしています)と記載されていますが、

  長くても1日以内で乾燥を終了すべきと考えます。ヒビ割れの予防の処置と思われますが、逆に

  ヒビ割れの原因に成っている可能性もあります。作品の肉厚にもよりますが、一般には一晩室内で

  放置すれば、削れる程度乾燥します。上部にはラップを掛ける事も好ましくありません。

  長時間素地に水分が留まり、素地そのものが「フヤケル」事になり、素地の強度が落ちます。

  夏場など乾燥が速く進む場合には、強く絞った布や乾いた布を被せて作品上部(蓋の場合は下側)

  の乾燥を若干遅くします。濡れた新聞紙でも良い。

  石膏に移す意味がいまいち不明です。乾燥を早めるのが狙いと思いますが、石膏上では乾燥が

  速過ぎ、「ヒビ割れ」が逆に発生し易くなると思われます。あくまでも自然乾燥が理想です。

  亀板から剥がすには、作品の縁周辺が、別の板を置いても変形しない程度の時に行います。

  別の板を置き、亀板とサンドイッチ状にして、天地を逆にして別の板に移し変えます。

  この状態で底を乾かします。口周辺の乾燥が進んでいる時には、乾いた布で鉢巻にします。

  乾燥は直射日光や風等を当てない様にします。

 ③ 削り作業

  素地に半磁器土を使っているのは、磁器風に仕上げたいからですか? 即ち、薄く軽く作るのが

  目標に成っているか、綺麗な絵付けをしたい為ですか?

  肉厚が極端に薄い場合や厚い場合にヒビや割れは発生し易いです。又局部的に厚みに差がある

  (偏肉)場合にも発生しや易いです。薄い場合にはその部分が急激に収縮し、厚い場合には、

  その部分の乾燥が遅く、周囲から引っ張られ股裂き状態になります。

  特に摘みの周辺は、削り出しでも後付けでも、偏肉になり易いです。当然摘みの形状によって

  偏肉の度合いが違います。今回は大きな蓋で重量もありますので、かなり大きな摘みが必要に

  なります。土鍋の蓋の様な撥高台風か、茶道の水指の蓋の様に握る部分が太くなるかも知れま

  せん。どの様な摘みであっても、削り出し方式は得策ではありません。出来れば後付け方式が

  好ましい結果を生むと思われます。当然蓋本体と摘み部分は別に作り、両方同じ程度に乾燥さ

  せ接着します。余談ですが、近頃あまり見掛けなくなりましたが、昔より蓋の付いた大きな甕(

  かめ)が作られていました。その蓋の摘みの形状は、弓なりにした紐状の土を、蓋の頂上に後

  付けで接着しています。この方法であれば、偏肉に成る事は防げます。

 ④ 削り後に「蓋をした状態で更に乾燥させる」とありますが、この方法もお勧めできません。

  完全に乾燥する前に蓋をしてしまうと、内部の湿り気は取れません。更に内部と外側の乾燥度合い

  も大きく異なる為、作品全体にストレスが掛、割れなどの原因になります。別々に乾燥させる事

  です。乾燥の狂いが心配でこの様な仕方をする物と思われますが、普通に乾燥させればそれ程の

  狂いは生じません。

 ⑤ 素焼きの仕方

  素焼き前にヒビや割れが無い場合には、素焼きしても失敗する事は少ないです。

  但し、本体(器)に蓋をした状態で素焼きをしてはいけません。必ず別々にして素焼きします。

  その際、蓋は別の作品に寄り掛かる様にし、水平にして焼かない事です。水平にした方がヒビや

  割れが入り易くなります。立て掛けたからといって、十分乾燥させた作品では、形状が狂う事は

  ほとんどありません。

 ⑥ 結論。

  「割れやヒビ」の発生する原因は多肢に渡ります。特に轆轤挽きした作品の場合、ヒビや割れの

  状態及び発生した場所によって、その原因が判る場合があります。

  ⅰ) 底割れの場合。器の底中央に一文字又は、弱い「S字]状に入ります。内外に貫通する時と

   内側のみの場合があります。これは土の締めが甘い場合と、轆轤挽き終了時に、器の底の水分

   をしっかり取り除かった為です。

  ⅱ) 高台(今回は摘み部分)の内外と本体が接する部分に、円弧状のヒビ等が入るのは、削り過ぎ

   で肉が薄過ぎる為で、乾燥が部分的に早く進む事と、高台が上部の重みを支え切れないのが

   原因です。更に、摘み部分が巨大であれば、重量も増し下部で支えられない場合も起こり

   えます。摘み部分の形状と重み等も検討して下さい。

  ⅲ) 底周辺から中央に放射状にヒビ等が入るのは、底周辺が肉薄になり、中央部より早く乾燥し

   収縮するからです。底周辺に竹へらを入れ、肉薄部分を剥ぎ取ります。

  ⅳ) 口縁周辺より底に向かって縦方向に割れが入る場合は、肉が薄過ぎる良きや、仕上げ後の

   なめし皮で撫でる際、十分拭ききれず土の締めが甘い為です。

  ⅳ) 比較的少ない事例ですが、背の高い作品や、胴体が太い作品では、本体中央部に縦又は

   真横方向に割れが発生する場合があります。これは作品の上部の重量を下部が支え切れない

   場合に起こり易いです。下部を極端に肉薄くせず、算盤玉の様に極端な「くの字」状にしない
   
   事です。

  ⅴ) 長々と述べて来ましたが、基本的な事は、乾燥の際部分的に早い処と遅い処を出さない

   事です。その為には、出来るだけ偏肉を無くす、均一に乾燥させる。乾燥に時間を掛け過ぎ

   たり、短過ぎない様にする。その他、土は良く叩き締める。作品の傷は早めに補修する事です。

   一度付けた傷は、乾燥と共に広がります。乾燥が進んでからの補修は巧くいきません。

 ⑥ 別々に完全に乾燥させてから削った方がいいのでしょうか?

  磁器土の場合には、乾燥後に削り作業を行う事も多いのですが、半磁器の場合少ない様です。

  何より削り難くなるからです。又素地は乾燥するに従い、粘りが無くなり脆く(もろく)く

  なります。その為、新たな危険性も発生します。出来れば、今の状態で行う事を薦めます。


以上、今回の問い合わせでは、実際の割れ状態を確認できていませんので、当て推量で述べています

それ故、的を射た答えに成っていない可能性も大きいですが、参考にして頂ければ有り難いです。

   
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質問33 海の砂の使用法について

2018-05-10 13:38:29 | 質問、問い合わせ、相談事
hanayama様より以下の質問をお受けしましたので、当方なりの回答を致します。

 海の砂の使用法についての質問です

 初めてコメントします。

 陶芸超初心者です。玉作りや紐作りなどで作った器の表面に砂を摺りこんでみたいのですが、

 「擦り込む」というやりかたがわかりません。押し付けるようにすることなのでしょうか?

 わかりやすく教えていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。


◎ 明窓窯より

 今は亡くなりましたが、小生の古い友人が、九十九里焼きと言う焼き物を作っていました。

 それは、千葉の九十九里浜の海砂を、作品の一部に「擦り付ける」のが特徴な技法です。

 電動轆轤(ろくろ)を使い、生乾きさせてから、その表面に砂を擦り付けていました。

 即ち、轆轤を回転させながら、手に持った砂を、作品に押し付ける様にして擦り付けます。

 ① hanayama様との違いは、轆轤作りと手捻りの違いです。この違いは、単に形が違うだけでなく、

  素地の軟らかさ(水の含有量)に大きな違いがあります。素地が軟らかい程、砂は作品の中に

  容易に食い込みます。それ故、必ずしも強い力は必要ありません。更に、素地の乾燥と共に、

  砂を強く締め付けますので、砂が素地から離れ難くなります。

 ② 一方手捻りの場合、何らかの作品の削り作業が必要です。その後に砂を擦り付ける事になり

  ます。その為、轆轤成形よりも乾燥が進んでいます。即ち砂の食い込みが弱く成り勝ちです。

  又、作品によっては表面が凸凹しているかも知れませんので、手回し轆轤も使えないかも知れま

  せんので、均等に付ける事は難しくなります。

 ③ 結論

  作品が乾燥していると砂を強い力で押し込む事になりますし、作品の乾燥収縮と共に砂が剝がれ

  落ち易くなり、多めに付ける必要があります。

  出来れば、削り作業後に作品の表面を、変形しない程度に水で軟らかくして置く事です。

  湿った布を被せるのも一つの方法です。そうする事で弱い力で「擦り付ける」事が出来ます。

  又、押し付ける方法を取る場合、団子状の粘土を布で包み、輪ゴム等でしっかり包み込み、砂の

  表面を押す方法をとります。作品の裏側に手やコテなどが入る場合には、手やコテで支えると

  より強く押し付ける事ができます。ある程度柔らか粘土であれば、作品の形に変形しますので、

  効率よく押す事が可能です。

  乾燥した素地に、強い力で押し付ける事は、変形の他「ヒビ割れ」を起こし易くなり砂も十分に

  食い込まず、剥がれ落ち易くもなりますので、若干表面を軟らかくする事が肝要です。

 ④ 海砂を使用する時の注意点は、砂には粒子の異なる物や貝殻の破片などが混入しています。

  出来れば、目の細かい篩(ふるい)等で粒子の細かさ揃えたり、不純物を取り除く事です。

  海砂ですので、塩分を含んでいるはずです。塩分は塩釉として利用する事がありますので、

  必ずしも水洗いする必要はありませんが、水洗いしてから使用する事もあります。その差は

  洗わない方に若干色が付く程度です。

  尚、砂は本焼き程度の高い温度で焼成しても、熔ける事は有りません。縮む事も膨張する事も

  ありません。それ故、表面から砂が飛び出していると、例え透明釉を掛けても、手触りも悪く

  なり、最悪怪我の原因になりますので、表面は滑らかにして置いた方が無難です。

 ⑤ 余談ですが、市販されているハゼ石と言う長石(石英)粒を、部分的又は全面擦り付ける方法

  があります。主に信楽原土などに含まれている物質です。これは、高い温度で熔け膨張し白い

  半透明の粒子となり、表面に飛び出てきます。作品に武骨で力強さを与る効果があります。

  ハゼ石の場合には、砂よりも粒子が大きいですので、生乾きの素地に、力を入れて押し込む様に

  します。又、縄文土器などには、海の貝殻を押し付けた跡のある物があります。興味が有ったら

  試してみて下さい。

以上、色々試行錯誤して実行する事です。参考にして頂ければ幸いです。

 
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質問 32 釉の痘痕(あばた)の解消方法

2018-03-05 17:06:03 | 質問、問い合わせ、相談事
Unknown (tak) 様より以下の質問をお受けしましたので、当方なりの回答を致します。

 市販の松灰70と長石30を混ぜて作った釉薬

 そのままだとうまく焼けたのですが、コバルトを添加したらブツブツが・・・

 いつも困っていたのですが あばた、なのですね

 ほかの釉薬と一緒に焼いていますし、表面のマットな感じは気に入っているので、最高温度は

 変えたくないのですがガスをうまく追い出す方法はありますか

 900度くらいのところを長くしてみているのですが・・・

 
明窓窯より

1) 気泡(ガス)のできる理由。

 クロム、ニッケル、アンチモン等の有色金属酸化物を釉に混入させた場合、気泡が発生する事が

 あります。特に不純物が含まれる時に発生し易いです。

 又、コバルト、マンガン、ニッケル等の酸化金属は、高温で酸素との結合や酸素の放出を頻繁に

 行います。どのタイミングで吸収し、どのタイミングで放出するかは、定かではありません。

 この酸素の放出が気泡の原因です。釉の粘性が大きいと、釉の表面から完全には抜け出せず、

 表面が荒れた状態に成ります。

 又、ピンク、コバルト、クロム等の顔料を釉に添加した時、釉が縮れる場合があります。

 特に、釉に粘性が少ない時で、顔料が十分に水洗いされていない時や、硫化物が含まれる場合は、

 顕著に現れます。

2) 対策としては、釉の粘性を弱め、流動性を持たせるのが、有力な方法と思われます。

 釉に珪酸(シリカ)や石灰(炭酸カルシウム)が多く成ると、粘性が強くなると言われえいます。

 ① 松灰や長石の種類を変えたり、調合割合を変える方法。

  灰類には、種類によって20~50%の石灰が含まれます。市販されている松灰をご利用との

  事ですが、それには天然と合成のがあります。合成の物は品質が一定ですが、天然物ではその

  生育土壌、伐採時期、木の老若、木の部位(幹、枝、葉、根、樹皮等)によって成分が異なり

  ます。その為、焼成された釉の表情にも変化があります。松灰を天然から合成へ、又は合成から

  天然物に変える事で、気泡を減らせるかも知れません。

  一方長石にも正長石(カリ)、ソダー長石(ナトリウム)、灰長石(カルシウム)があります。

  多く使われるのは正長石(福島長石等)ですので、多分正長石を使用していると推察されます。

  正長石には、約65%程度のシリカが含まれています。

  以上の事から、御使用の釉は粘性が強いと思われます。

 ② 添加物を入れる事で粘性を弱める。

  御使用の釉の組成や焼成温度を変更したくないとの事ですので、粘性を弱める為には、何らかの

  物質を添加する必要があります。

  ⅰ) 硼酸を添加する。

    硼酸は珪酸と同じ様に、ガラス質に成ると同時に、釉の粘性を弱める働きをします。

    又、釉を安定化する働きもあります。流動性が求められる結晶釉にも多く使われています。

  ⅱ) 融剤と成るナトリウム、カリウム、バリウム等のアルカリ又はアルカリ土金属を添加する。

   これらを添加する事で、融点(ガラスですので、実際には融点はありませんが)を下げる事が

   出来、気泡の発生を早める事も可能になり、速やかに放出させます。

  ⅲ) 炭酸リシウム(その他、リシウムの酸化物)ははなはだ強い融剤で、わずか1%程度を

   添加する事で、流動性を増し、痘痕やピンホール等の改善に大きな効果を発揮します。

 ③ 「900度くらいのところを長くしてみているのですが・・・」

  私には、この意味が判りません。この行為は、結晶釉の結晶を成長させる時に行う物と思われ

  ます。気泡を釉から放出するには、温度が低過ぎます。

  時間を掛けるのであれば、最高温度で引っ張る事(寝らすと言う)です。引っ張る時間が長け

  れば長い程、釉は平滑になり痘痕は解消します。理想的には30~60分程度以上が必要ですが

  燃費が掛りますので、最適な必要な時間を見付けて下さい。

以上、参考に成れば有り難いです。
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質問 31 新しい釉と着色剤に付いて

2018-02-27 18:04:28 | 質問、問い合わせ、相談事
「なかくき」様 より以下の質問をお受けしましたので、当方なりのお答え致します。


お聞きしたい事が二つありましてコメントさせていただきます。

一つは、最近気になる器に出会いまして、その器の釉薬についてです。

透明のマットで今まで触ったことがないような”しっとり”した触り心地の釉薬です。

よく観察してみると厚みがあり中にたくさんの気泡が閉じこもっていました。

その気泡は一つも表面に出て来ておらずピンホールになっていません。

こちらのブログの記事にあった「灰などの珪酸成分の多く含む原料を使うと気体物質がでる」と

ゆう情報を参考にいろいろ実験をしはじめたのですが初心者で全くうまくい状況です。

もう一つは、着色剤、顔料、呉須、練り込み顔料、上絵の具、下絵の具などの着色するモノの成分

の違いです。私の調べ方が悪くはっきりと違いがわかりません。

初心者の質問ですみません。ご教授よろしく願いいたします。


明窓窯より

1) 最初の質問ですが 当方では”しっとり”した触り心地の釉についての情報を得ていません。

  どのメーカーの釉なのか、又は個人の作家さんの釉なのかも不明ですので、お答えする事は

  出来ません。もしメーカー等の情報を頂ければ有り難いです。

2) 一般論ですが、新しい釉が登場した場合、第三者がそれと同じ物を作る事はかなり困難です。

  新しい釉を作り出す為に、数年又は十数年か掛かる事は稀ではありません。

  長い試行錯誤の末に、ようやく成功するからです。それ故、第三者はその釉を見たからと言って

  簡単に作り出す事は困難です。勿論釉のレシピを公表してくれれば良いのですが、苦労して

  作り出した釉のレシピを公表する事はありません。それ故、第三者が同じ釉を作る事は、容易

  な事では有りません。  

3) 気になる点は、「それが本当の釉であるなか?」と言う事です。

  厚みが有り、マットで内部に気泡を持ち、表面に気泡の抜け出した跡も無く、”しっとり”感

  の有る釉との事ですが、手に触れて見たのでしょうか?

  もしかしたら、ガラス質の釉以外の物の可能性は有りませんか?例えば、発泡性の塗料を吹き

  付けたり、プラスチックの様な物で表面をコーテングした物とか、気泡状の物を表面に塗って

  その上からニスや漆、塗料などを塗る等の方法を採用している可能性は皆無ですか?

  新しい釉に挑戦する前に、手に持って確認できれば良いのですが・・・

  もし本物の釉ならば、苦労する事を覚悟の上、挑戦して下さい。

  世の中には、紛らわしい物も多いですので、注意が必要です。

4) 着色剤、顔料、呉須、練り込み顔料、上絵の具、下絵の具などの着色するモノの成分の違い

  に付いて。

  ① 着色には、素地(粘土)や釉、更に絵付けがあり、次の様に分類されます。

   着色剤の主な原料は、各種の金属です。複数の金属を混ぜたり、金属類の添加量によって色

   も変化します。更に、焼成する温度や焼成環境(酸化、還元など)によって、発色も変化し

   ます。この金属類に釉の原料の一部を添加した物の中に、釉の着色剤として利用できます。

   ⅰ) 全てに利用できる着色剤

    そのままで、利用できる代表的な物が弁柄などの酸化鉄です。その他、酸化銅、呉須

    (酸化コバルト)等です。前二者は本焼き程度の温度で、素地や釉の中に溶け込みますので

    釉の発色剤として利用できます。酸化鉄は茶、黒、赤、緑(青磁)など多彩に発色します

    呉須は熔けは甘いですが、瑠璃色釉として利用できます。

    絵の具としても利用できます。即ち釉や素地との相性が良いからです。但し、上絵の具は

    低い温度(800℃程度)で焼成しなければ発色しません。    

   ⅱ) 素地のみに利用できる着色剤

    市販されているのが、練り込み顔料です。勿論化粧土にも使う事が出来ます。

    但し、釉の中に添加しても、綺麗な色釉には成りません。顔料がガラス状に成らすに、

    釉とは分離し粒子状に残り、釉の表面も荒れた状態に成ります。

   ⅲ) 素地と釉に利用できる着色剤

    下絵付け用の絵の具類(主に金属類)です。絵の具にはガラス質になる成分が含まれてい

    ます。但し、下絵の具には、使用できる温度範囲があり、素焼き程度の素地では発色しない

    色もあります。又、高過ぎる温度でも発色しません。又焼成の雰囲気で発色にも変化が

    あります。

   ⅳ) 絵付けのみに利用できる着色剤

    上絵の具として利用できる着色剤です。本焼き後の作品の表面の絵付けに使います。

    下絵の具より綺麗で鮮明な色(原色に近い色)がでます。鉄、銅、金、銀などの金属類に

    ガラスの成分を含ませた物で、本焼きの表面のガラス質と一体になる様(密着)に調合

    されています。但し低い温度のみ発色します。尚、何らかの接着剤が添加されている可能性

    があります。

  ② 着色剤の成分の差は、金属の熱的変化(熔け易さ)、釉との相性を良くする材料が添加さ

   れているか、高い温度又は低い温度でも発色する事が出来るか(その金属の特性)の差と

   言う事になります。

以上、参考にして頂ければ幸いです。
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質問30 白い釉と白い土に付いて。

2018-01-08 14:58:58 | 質問、問い合わせ、相談事
岩田様より以下の質問を頂戴しましたので、当方なりのお答え致します。


◎ 酸化で、白く焼き上げる、酸化用の土灰釉薬を作りたいことが一つ。

 いままで白土は、信楽土と半磁器土を使ってきましたが、粘土を探したいと思っています。

 来週にも丸二陶料に行くつもりですが.

 キメの細かい白土をお教えねがえませんか。感じとしては、大道土のような。

 以上、簡単ですが、この二点をご教授願いたくメールしました。


◎ 明窓窯より 

土灰を使った白い釉の代表格が藁(ワラ)白釉です。白萩釉も藁を使った釉で同類と見なして良い

でしょう。調合例は以下の様になります。

 1) 三雲長石20% : 土灰30% : 藁灰50% (重量比) SK-8~9で焼成

 2) 三雲長石30% : 藁灰30% : 石灰石40% 同上

 3) 3号石灰釉7:天然松灰8: 天然藁灰2:合成藁灰1 SK-7~8で焼成

 4) 上記の釉は光沢のある釉です。光沢の無い釉(白マット釉など)にする為には、上記釉に

  マグネサイトや骨灰、長石等を混ぜます。その割合でマット状態が変化します。

 尚、粒子の細かさには、粗目と細目がありますので選んでください。

 但し、メーカーによって細目でも違いがありますので、実物に触れて選んで下さい。


◎ 白い土には、志野や古陶土があります。大道土は萩焼きの基本的な土で、単味でも使いますが、

他の土と混ぜて使う事が多いです。その他、急熱急冷白粘土(A-1)、信楽水ヒ粘土(A-2)、

茶ワン土(A-10),五斗蒔(ごとまき)土、仁清土、ロクロ白粘土、クラフト白粘土、耐火耐熱

鍋粘土(白)など各地に白い粘土が存在します。 一部はメーカーで白くなる様に調合した土も

あります。 尚、粒子の細かさには、粗目と細目がありますので選んでください。


メーカーで購入した土は、成形し易い様に成っていますので安心して使えます。

陶芸材料店に行くのであれば、遠慮なく相談し詳しい事く話を聞く事です。必ず教えてくれます。

更に、総合カタログも貰っておくと後々役にたちます。

以上 参考にして頂ければ幸いです。

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質問29 灰汁(アク)抜き後の灰の再利用に付いて。

2017-02-21 22:12:26 | 質問、問い合わせ、相談事
「オカ様」より以下のご質問を頂ました。

 釉薬について質問させて下さい。

 木の実のアク抜きに、木灰を使用するのですが、アク抜き後の灰は廃棄します。

 アク抜きの方法を簡単に説明しますと、木灰に熱湯を注ぎ、そこに木の実を入れ、混ぜ合わせ

 中和させます。数日後に灰から木の実を取り出します。

 釉薬の作り方を紹介しているサイトでは、木灰を何度も水洗いし不純物の取れた灰を、釉薬として

 使用する、というような内容でした。

 質問内容は、アク抜き後に廃棄する灰を、水洗いして釉薬として使用することは可能でしょうか。

 焼き物や釉薬について全く知識がありませんので、素人の発想で申し訳ないのですが、ご意見を

 聞かせ頂ければ有り難いです。宜しくお願い致します。


 ◎ 明窓窯より

  「結論から先に述べると、灰汁抜き後の灰を処理すれば使用可能です。」

  
  木の実や野菜類の灰汁(アク)には、炭酸カリウムやシュウ酸化合物、マグネシウム化合物、

  ある種のアルカロイドや有害物等を含むことが多く、渋味や苦味などの成分を含み、体に良く

  有りませんので、これらを食す際には取り除く必要があります。

  但し、結石の原因になるシュウ酸は茹でる事で、水に溶け出します。

 1) 木の実に使用した灰には、木の実から出た有機物やその他の不純物が、多く含まれている

  はずです。一般の灰は高温で焼成した結果生成された物質ですので、有機物などは燃え尽きて

  います。 それ故、灰汁抜き後の灰をそのまま利用するのは、問題がありそうです。

 2) 釉として使う場合には、新しい真水や熱湯に晒し、水溶性のアルカロイド等の有機物を

  取り除く必要があります。良く晒した後は天日干などで、十分乾燥させます。

 3) 更に高温で焼成し、燃焼性の不純物を取り除きます。

  簡単なのは、素焼きの際、一緒に窯で焼成する事です。粉末状態にし、更に篩(ふるい)に掛け

  て、燃えカスや塊を取り除きます。勿論、灰は本焼きで焼成すると「ガラス質」に成ってしまい

  ますので、くれぐれも行ってはいけません。

 4) 最初に投入した灰と、灰汁抜き後の灰では、別の成分が付加されますので、全く同じ性質の

  灰と言う訳には行きません。それ故、特異の性質を持つ灰(鉄分の少ない灰や独特な発色など)

  として釉に利用している場合、灰の成分の違いで異なる効果(発色)に成りますので、注意が

  必要です。土灰(雑木の灰)の様に利用すれば、十分利用価値があります。


以上 参考にして頂ければ幸いです。疑問や不明な点が有りましたら、再度質問して下さい。

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質問28 備前焼の工夫に付いて。

2016-12-07 18:51:03 | 質問、問い合わせ、相談事
hiroshi.ma様より以下のご質問を頂ました。

共同陶芸で電気窯30KWで備前土で鉢など作品を作っていますが酸化では何も変化がないし還元でも

わら、炭を使わずになにか変化をつけたいとおもいます。食塩水で加飾することを聞いたように思い

ますがよくわかりません。また食塩水でよければ簡単にクリスタリン・塩化マグネシュウムでも何か

できるのではないかと思いますが。簡単にできるような方法があえば教えてください。


明窓窯より

◎ 食塩水を使う事は、命に関わる非常に危険な行為ですので、決して行ってはいけません。

特に、電気窯の場合、屋内で窯を焚く事になりますので、窯で発生した塩素ガスを吸い込む事になり

ます。ご存知かと思いますが、塩素ガスは毒ガスで、兵器としても使用される有毒ガスです。

1) 食塩を使う釉の方法は昔から行われている技法ですが、危険の他、窯自体を痛める結果になり

 ます。

 ① 危険な理由。食塩(水)の主成分は塩化ナトリウムです。高温の窯の中で分解し、猛毒な

  塩素ガスを発生させます。屋外であれば、空気中で拡散し少しは薄まりますが、屋内ではまとも

  に吸い込み事になります。例え換気扇が回っていたとしても、絶対行ってはなりません。

 ② 窯を痛める理由。

  食塩が分解すると、塩素とナトリウムになります。このナトリウムが釉の成分となる訳ですが、

  ナトリウムは気体と成って窯の中に充満します。その為、作品以外の窯の壁や棚板、電熱線にも

  こびり付く事になります。これは容易に取り除く事は出来ません。結果的に窯の寿命を縮める

  事になります。尚今回は食塩水ですので、食塩を振り掛けるよりは被害が少ないと思われますが

  窯を痛める事は確実です。一般に塩釉を使う場合は窯を駄目にする覚悟で行う事が多いですので

  真似をしない事が肝銘です。

2) 備前焼で変化を出したい場合の方法。

 ① 弁柄を水に溶いて上から流し掛け、又は漬け掛けする。

  酸化鉄である弁柄は高温で黒色に変化します。備前土とは若干色合いが異なりますので、

  斑(まだら)模様にしたり、弁柄の一部をスポンジ等で拭き取たり濃淡を付ける事で色の変化

  を付ける事ができます。尚、弁柄以外に酸化クロムやコバルト(呉須)、黄土等を混入させると

  より変化のある色になります。又釉を少量混ぜる事で、素地との間に密着度を上げる事が出来

  ます。釉の色はほとんど問題ありません。但し釉の量が増えると、光沢が出易くなります。

  混ぜる物を色々工夫して下さい。

 ② 灰を振り掛ける。

  備前焼は薪窯で焚くのが正式な方法です。薪の場合燃料の灰が作品に降り掛かります。この灰の

  状態も備前焼の見所と成っています。電気窯では無理ですので、人為的に灰を振り掛ける事で

  備前焼風に焼き上げる事ができます。灰であれば、天然の物でも合成の物でもかまいません。

  但し、灰は種類によって発色に違いが出ますので、色々試して下さい。

  ⅰ) 灰を掛ける方法。

   a) 作品に霧吹きで水(またはCMC液)を掛ける。

    作品に灰を定着する為に行います。灰を着けたい場所近辺に霧を吹く。

    流れ出すほど掛ける必要はありません。

   b) 茶漉しを使うと自然な降灰になります。

    スプーンに灰を取り、茶漉しを振る様に掛けます。但し、作品が濡れている状態で行う事が

    大切です。一度で行う必要は無く、何度でも振り掛ける事が出来ます。当然灰の厚みが増し

    厚く掛けた灰は、窯の中で熔けて流れ落ちる場合もあります。又は熔け切らずに灰状態で

    残る場合もあります。熔け切らない場合でも、窯出し後に、灰の表面を紙ヤスリ等で擦ると

    そこも景色になる事があります。

    荒れた豪快な状態にするには、灰を投げ付ける方法もあります。

   c) 灰は作品を持ち運ぶ際や、斜めにした場合、落ちる事もありますので、若干多目する必要

    があります。更に、灰を掛けた箇所は指で触らない事です。灰が剥がれ指跡が付きます。

    その為、灰を掛ける前に、作品の底に酸化アルミナ等を塗り直ぐに窯に入れられる状態に

    して置く事です。

   d) 電気窯ですので、基本的には酸化焼成です。酸化の場合、灰は黄色味を帯びた色に成り

    ます。松灰は若干緑色になると言われていますが、はっきりとした違いは出ません。
    

以上 不明な点がありましたら再度お問い合わせ下さい。
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質問 27 織部釉の変色に付いて。

2016-12-05 21:57:38 | 質問、問い合わせ、相談事
高橋圭太郎様 より以下の御質問を頂ました。

小生、タイルメーカー勤務の52歳です。昨年末頃に、兵庫県西宮市の臨海部に銅を使用した

織部釉の陶板タイルを納入いたしました。その陶板を今年の秋に成って確認したところ瑠璃色

とも云える様な綺麗な青色に変色していました。変色は雨の当たる箇所で多く見られ、あまり

雨の当たらない部位は元のままです。焼成は最高温度1320度中性炎で焼成している製品です

が、やはり酸性雨の影響でしょうか? 何か考えられる原因が思いつけば教えてください。


明窓窯より。

当方では、織部釉が綺麗な瑠璃色とも云える綺麗な青色に変色した経験は有りませんが、原因を

ある程度推測できますので、参考までに述べます。

1) 銅釉は窯の中又は焼成後にも変化がで易い釉です。

 御存じの様に、酸化雰囲気の窯では緑色の織部色になります。但しこの織部は青織部と呼ばれる色

 ですので、青味掛かる緑色に成る場合もあります。還元焼成では、真っ赤な辰砂(しんしゃ)色

 に発色する場合も有りますが、赤紫又は青紫に出る事も多いです。高橋様が最初納品されたタイル

 がどの様な色彩であったかは不明ですが、多分青織部であったと思われます。

 即ち、窯から出し役1年後に色が変化した事になります。

2) 当方で気になる所は、中性炎で1320℃で焼成した点です。

 上記の様に酸化でも還元でもない中性炎であれば、色彩的に不安定な状態です。更に1320℃は、

 銅釉としては高過ぎる様に思われます。即ち、銅は揮発し易い金属ですので、一般には1300℃

 (SK-10)以下で使う様に云われおり、高温では銅が揮発しまい、銅の効果が半減してしまいます

  勿論揮発を防ぐ様に何らかの処理(透明釉などを上に重ね掛けるなど)をしていれば良いので

  すが、その場合には上掛けした釉が何らかの作用を施している可能性もあります。

3) 銅釉は作品の表面に薄い膜を作る事が知られています。

  その為、この幕を希塩酸などの酸で洗い流す事で、鮮明な色が表出します。高橋様の場合この

  処置が施されているのでしょうか。もし未処理であれば、1年間の間に、日光(紫外線)、

  雨(水)、潮風(塩分)等の影響でこの幕が少しづつ剥がれ、下層の綺麗な色が表出したとも

  考えられます。

  又、高橋様のご指摘の様に、酸性雨や潮風が釉の表面(幕ではない)に直接作用した事も考えら

  れます。即ち化学変化を起こした事になります。

  上記2)述べた様に、銅は揮発し易い金属ですので、銅成分は釉中より表面に集まり易くなり

  ます。高い温度で更に揮発が促進した結果、表面の銅成分も薄くなっているはずです。

  薄い銅成分は外気の諸条件(上記以外に空気中の酸素も加る)の影響を受け易くなるとも考え

  られます。

4)その他

 ご使用された釉の成分が判別できませんが、一般に透明釉(基礎釉)に5~10%程度の酸化銅を

 添加して調合します。7%前後が多い様です。手元にあるカタログの中の青織部と表示された釉

 にも数種類の釉が存在します。即ち酸化銅以外に微量な金属類(マンガン等)などが混ざっている

 事になります。若し微量な金属類が含まれている場合には、その影響と外気との相乗効果で、

 化学変化を起こす事も考えられます。特に酸化コバルト少量でも強力な青色(又は瑠璃色)を呈し

 ます。若し使われている釉の成分を知る事が可能ならば、調べてみる価値があります。

以上が当方の見解ですが、決め手になる理由を見出す事が出来ませんでした。


◎ 尚、当ブログを見ている方で、この件に関して、考え(見解)やヒント、情報をお持ちの方は、

 コメント欄に情報をお寄せ下さい。宜しくお願い致します。
  

以上 明窓窯 

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質問 25-1 二度焼きに付いて

2016-09-23 10:51:11 | 質問、問い合わせ、相談事
「りぼん」様より、引き続き新たな質問をお受けしましたので、私なりの回答を致します。

尚 前回の質問は以下の通りでした。

 ◎ 透明釉の白磁器のすり傷に常に悩まされております。

  再焼成で修正できるとのことで、是非、方法をお伺いしたくよろしくお願いいたします。

  電気炉の焼成温度(当方の電気炉は1350度まで上がります)、焼成時間

  ご多忙のところ、恐縮ですが是非ともご教授ください。よろしくお願いいたします。

 ◎ 本件の回答は、本文の「質問25二度焼きに付いて」に掲載しました。


今回の質問は以下の通りです。

 ◎ 丁寧なご教示をくださり心より感謝しております。ご教示の通り、二度焼きをしましたら、

  傷が消えました。(感激です!)さらにお尋ねしたきことがあるのですが、二度焼き後の透明釉

   にプツプツ、ピンホールが出来てしまうものが見受けられるのですが、この症状を最小限に

   する方法コツは何かございますでしょうか。よろしくお願いいたします。

 
 ◎ 明窓窯より。

1) 施釉した作品を最初に焼成する場合にも、プツプツやピンホールが出来る事はしばしば見ら

  れるトラブルです。主な原因は焼成不足(温度が低い)や逆に煮え(温度が高過ぎる)、施釉時に

  すでにピンホールやブツブツが残っている場合など、その他諸々の事情にあります。

2) 二度焼きの場合にも同じ様な事が考えらえます。もし透明釉を再度掛けて焼成した場合は、

  1)と同じと見て同じ対策を行います。具体的には、釉の厚みが均一に成る様にし、濃淡が

  出ない様にします。表面にも凹凸が出来ない様にします。

  更に釉の下に気泡が閉じ込めない様にし、釉の表面にピンホールがあれば、指先

  などで潰し穴を塞ぐ処理をします。

  但し、もう一度透明釉を塗らずに焼成した場合は以下の事が考えられます。

 ⅰ) 釉の熔けに斑(むら)が有る場合。

   電気窯の場合、熱は放射(輻射)熱になります。即ち物に当たって始めて熱となります。

   一度焼きの場合ですと、作品の表面には粉末状の釉が載りますので、放射熱は容易に素道りし

   作品本体(素地部)に当たって発熱します。それ故釉は素地側から表面に向かって熔ける事に

   なります。一方二度焼きの場合、作品の表面はガラス質になり、表面で発熱し表面から内側へ

   と熔ける事になります。即ち、熔ける方向に差が出てきます。その為表面のみが熔け、その下

   が熔け不足(斑)になる可能性があります。この様な場合表面にブツブツが発生する恐れが

   あります。

 ⅱ) 温度の過不足が関係の事も有りますが、少々事情が異なります。

   白磁ですので水分を吸収する事は少ないのですが、全くゼロと言う訳では有りません。

   特に前回の焼成から日数が経っていると、何らかの理由で釉や目に見えない貫入から、水分が

   入り込む事があります。この状態で急激に温度上昇すると、内部の水分が急激に抜け出てピン

   ホールを作る場合があります。又ゆっくり上昇させても、釉の下側に溜まった僅かな水分が

   膨張しながら、釉を持ち上げて抜き出る事もあります。この場合も表面にブツブツが発生します

3) 対策

 ⅰ) 寝らし時間を若干長くする。

  即ち、最高温度を保持した状態で一定時間焼き続ける事で、ピンホールの穴を塞ぐ事ができます

  又この事は焼き不足も解消してくれます。

 ⅱ) 電気窯の場合周囲に作品を多く置く事で、温度の(片側だけの)急上昇を抑える事ができ

  ます。本焼きの場合、一度焼きと二度焼きの作品を同時に窯詰めすると思われます。両者には

  上記の様に熔け方に、違いが生じます。周囲に一度焼きの作品を置き、中央に二度焼きの作品を

  窯詰めする事により、二度焼きの表面が急激に温度上昇するのを抑え、二度焼きのトラブルを

  少しでも軽減する事が可能と思われます。

 ⅲ) 二度焼きする作品は十分乾燥させる事です。

  (一度焼きの場合は神経を使う必要はありません。釉の表面から自然に抜けていきます。)

  上記の如くいくらかでも水分を含む場合、その水分がトラブルの原因になる恐れがあります。

 ⅳ) その他ブウブツやピンホールの発生には、釉の成分(粘性)、焼成温度、温度上昇速度

  (窯の焚き方)、窯の性質等諸々の要因があり、必ずしも万全の対策は有りません。

  ある意味試行錯誤を繰り返す必要があるかも知れません。

以上、参考に成ればと私見を述べた次第です。健闘を祈ります。
 
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