「じゅんこ」 様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。
初めて投稿させていただきます。作陶大好きです。粘土に下書き用絵の具を混
ぜて溶いて色化粧土として塗って使うことはできませんか?
もしくは白化粧土に下書き用絵の具を混ぜて色化粧として使うことはできませんか?
明窓窯より
結論から言いますと、使う事は可能と考えています。
但し、高価な絵具類が練り込み用と使う事のは少ない様です。
1) 綺麗な化粧土を作るには、白っぽい土を使う必要が有ります。
鉄分等を含む土では、綺麗に発色しません。
鉄分を含む土を使うと、好みの色を出す為には、多量の絵具が必要に成り
ます。粘土を使う化粧土は、成るべく素地と同じ種類を使う事です。
素地と化粧土の収縮率を合わせる為です。
一般的な下絵付け用の顔料は、呉須(コバルト)や鉄(弁柄など)酸化
銅、マンガン、酸化クロム等の金属類です。比較的安価である為、昔より
色土を作るのに使われる事が多いです。
2) 白化粧土を使う場合、顔料と素地の相性が悪く、化粧土を塗ると剥が
れる場合もあります。顔料を多く混入した時に起こり易いです。
その時はCMC(化学のり)を入れます。
3) 粘土などには練り込み用の絵具を使うのが普通です。
比較的安価で作る事が可能です。色も豊富にあります。
用芸材料店で入手できます。粉末状で市販されています。
乳鉢等で磨り潰し粗いブツブを無くし、更に水を加えて磨る、又は粘土類
に直に混ぜ込みます。
4) 市販されている絵具類には、赤、ピンク、紫、黄色、空色、緑等従
来の下絵具とは格段に異なり、鮮明に発色する物が多く成りました。
質問者の趣旨はこのような絵具類を、色土用として使用可能かどうかと
言うものと思われます。
5) 従来の金属類の下絵付け絵具は、昔より使用されている為、比較的安
定した発色に成ります。
近年 市場に出回っている絵具類を色土用として使用する場合、発色作用
は有ると思われますが、安定的に発色するかは不明です。
6) 近年の絵具類は比較的高価です。
費用対効果から考えますと、従来品の数十倍~数百倍の違いが有ります。
勿論 少(微)量の色土ならば、新しい絵具の費用もそれ程掛かるとは思
いませんが。
7) 実際に試す事です。
どの様に発色するかは、試して下さい。
又 絵具類は混ぜて使用する場合もあります。但し予見した色と異なる場
合が多いです。
尚、色土を使用した場合、焼成時に釉を掛けないと色がハッキリ出ない
場合も有ります。釉は透明釉が一般的です。
焼成は酸化焼成にすると良いでしょう。還元焼成では色が濁ったり、変
色する場合が有ります。
以上 参考にして下さい。
家で一人で作っています。これまでは市販の釉薬を使ってきましたが、
少し勉強しましたが、難しくてよく理解できません。
作りたいのは、焦げ茶で少し紫がかったマット釉です。
釉薬の調合は一筋縄ではいかないことは理解していますが、もし、比較
紫がかっていなくても、焦げ茶のマット釉でもかまいません。
無理なお願いで恐縮ですが、よろしくお願いします。
◎ 明窓窯より
御自分で調合して、独自の釉を作り出すには意外と簡単では有りません。
しかし、ご質問の解決方法として、今手持ちの釉に好みの色を付ける方法も有りますので、
その方法を試すのが、最も簡単だと思います。
例えば市販のマット系の釉(白、透明、青銅マットなど)に下絵付け用の呉須(ゴス=コバルトを含む鉱物)を
添加すると、添加量によって淡い紫色~濃い紫色(紺色)掛かった釉を作る事が出来ます。
又下絵付け用の鬼板(オニイタ=酸化鉄を含む鉱物)や黄土、各種の酸化鉄(弁柄や鉄さび)等を
添加すれば、添加量により、淡い茶色~濃い茶色(又は焦げ茶)の釉を作る事も可能です。
尚、呉須と鬼板を同時に添加しても、ほとんど問題は無いと思われます。
又、釉に各種の金属(銅、亜鉛、マンガン、チタン、スズその他)を添加すると
緑色や黄色、グレーなど思わぬ釉が出来る可能性が有ります。(場合に拠っては結晶釉になる)
これらの金属類は陶芸材料店や通販などで入手可能です。
但し、当初は割高であっても、最小量を購入すべきです。(1回に使用する量はわずかです)
好みの色が出るまでは、数回~数十回の試行錯誤が必要に成るでしょう。
◎ 仮に、ご自分独自の釉をご希望ならば、まずマット等の基礎釉の調合をしてから色釉に
挑戦して下さい。
以上、参考にして頂ければ有難いです。