わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の鑑定、鑑識 3 (作者、銘)

2010-08-31 21:22:05 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
前回に引き続き、鑑識、鑑定、鑑別の話をします。

4) 作家の識別

  以前は、作られた窯場は、判っていても、個人名は、不明の物が一般的でした。

  と言うより、個人名は公にし無い事が、ルールに成っていたとも、いえます。

  ① 江戸時代以降、作品に個人名や、銘を入れる人達も、多く成ります。

    但し、銘を入れる人は、作家と呼ばれる、特別の人のみで、一般的には、無銘な作品が殆どです。

  ② 作品に銘が入る事により、作品の作者が、識別出来る様に成ります。 

    (著名な作家には、必ず贋作が作られますので、見分けが必要に成りますが)

    銘は、作者の印で、染付けや上絵付けで記した書名、印章を押したり、刻印などがあります。

    その書体や、印影などの特徴で、作者を識別します。

   ・ 作者が特定できる事は、作品の価値や、骨董的価値を、高める効果があります。

  ③ 同じ作家であっても、常に同じ銘を使っている事は、稀です。

    修行時代、独立当初の時代、名声が高まる時代、成熟期、晩年期と年齢によって、銘を変えたり、

    作陶する場所を変えた時、移住により窯場を変えるた時など、環境が変わったり、何かの転機の

     際など時に、変える事が多いです。又、作品の種類毎に、銘を変える場合が有ります。

    又、同じ銘でも、書体を変えたり、字や外形の大きさを、変える事も、しばしば有る事です。

  ④ その違いによって、その作家のどの時代(年齢)の物かを、判別する事も出来ます。

    同じ銘を、代々使用続ける場合も有りますが、代替わりの場合には、デザインを一新する事も

    多いですので、何代目なのか、そのデザインで、見分ける事が出来ます。

  ⑤ 作家を特定する物は、銘が無くても判別する事が、有ります。

    作家による箱書きや、印などの他、その作品の出所によって、証明される事も有りますし、

    その作家特有の、技法が施されている場合なども、特定する手掛かりに成ります。

    即ち、作家の個性が表れている場合は、重要な手掛かりです。

5) 補修、改変を見分ける

 以下次回に続きます。

 作者と銘
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陶磁器の鑑定、鑑識 2

2010-08-30 21:27:00 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
前回に引き続き、鑑識、鑑定、鑑別の話をします。

鑑別とは、鑑識の結果、時代や、真贋、作品の良し悪しを、峻別する事です。

2) 年代の鑑識

   陶器は約1万年以上前から、作られていると言われています。

   ある時期栄え、突然消失した、窯も沢山有ります。

   (今でも、個人の窯は、この様な傾向にあります。)

   年代を識別するには、以下の方法が有ります。

  ① 焼き締まり状態で、識別する。

    窯の無い時代では、温度が上がりませんから、素焼程度の焼き締まりと、成ります。

    (焼き締まりの度合いは、、作品を指で弾いて、その音で判断できます。

     焼きの甘い物は、音が鈍く、 温度が高く成るに従い、その音色は高く成ります。)

    時代が下るに従い、窯が発達し、徐々に高温で焼ける様に成り、作品の強度が増します。
 
    要するに、硬く焼き締まった作品は、鎌倉、室町以降の作品と成ります。

  ② 釉で判断する

    釉も窯の発達で、高温で焼ける様に成ってから、自然発生的に、出現した物です。

   ) 無釉の物から、自然釉と言われる、燃料の灰が降りかかり、溶けてガラス状に成ります。

   ) 灰が、釉の原料に成る事が、判ると、灰を原料にした釉(灰釉=かいゆ)が作られます。

      灰は、その地方で、沢山出来るものを、使います。灰の種類に拠って、その色調も変化し、

      どんな灰を使っているかも、判ります。それ故、作品に掛かる釉で、どの地方の窯で、

      造られた物かを、判別する事も、可能です。(勿論、鑑識眼が、必要ですが)
     
      この釉を意識的に、作品に掛けて、作品に強度と美を、与える事になります。

  ③ 様式で識別する

   ) 形で識別する

     陶磁器は、生活用品ですので、時代、時代によって、その使われ方も、変化してきました。

     又、ある地方特有な、使用方法が、有ったはずです。当然、形の変化と成って、表れてきます。

   ) 紋様で識別する

     陶磁器には、色々な装飾技法が、存在します。単に釉の種類だけでなく、絵付け、金襴手、

     化粧掛け、削り細工、象嵌、飛び鉋、その他の紋様で、時代や個人をも、特定できる場合も

     有ります。

   ) 材質による識別

     我が国で、磁器が成功するのは、1616年、李参平が泉山石を用いて初めて、成功します。

     それ以前の磁器製品は、海外(中国、朝鮮)からの、輸入品と成ります。

     又、陶器の土も各地に有りますが、時代と共に、資源の枯渇や、新しい土の発見などで、

     同一の窯場でも、時代により、変化しています。

    それ故、土の成分を分析すれば、どの時代の、何処で焼かれた作品かも、判ります。

3) 窯の識別

  ① 作品が、どの地方の、どの窯で焼いたのかを知るには、窯跡の発掘調査で、知る事が出来ます。

   (志野焼きが、何処で焼かれたのかを、調査していた、荒川豊蔵は、牟田洞古窯跡で、古志野の

    筍絵の陶片を発見し、大萱で焼成された事を、突き止めます。)

  ② 全国に色々な土がありますが、その成分は、各々異なっています。

    昔は、土の有る所に、窯が築かれる物でした。それ故、その土が出る所を中心に、調査すれば、

    かなりの確立で、窯場が特定出来ます。

  ③ 窯の築き方は、個人や地方によって、特色が出易いです。その地方の燃料や、湿度によっても、

    作品は変化します。ある種の流行が有ったものと、思われます。

    それ故、その窯でしか焼けない作品(焼き締まり、釉の発色など)も有り、作品から、窯の位置が

    確定する事も出来ます。

4) 作家の識別

以下次回に続きます。
       
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陶磁器の鑑定、鑑識 1

2010-08-29 17:27:06 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
陶磁器は、色々な観点から、観察や研究、鑑賞の出来る、工芸品です。

・ 鑑識は、主にどの時代に、何処で作られ作品なのかを、断定する作業です。

・ 鑑定は、主にその作品の、価値と真贋を、決める作業とも言えます。

・ 鑑賞は、主に、その作品の、美醜を判断する物です。

  (厳密な定義は、定かではありませんが・・)

・ その他に、製作方法(技法)、製作過程、使われた道類(轆轤など)、焼成方法(窯の構造)、

  燃料などを、調べる研究、更には土器類や、窯跡の発掘調査など、考古学的な研究も有ります。

・ 陶磁器は、生活用品として、発達してきましたので、当然その時代の、社会的要因に、大きく影響を

  受ける事に成ります。又、土や、釉の材料の入手方法も、場所によって、かなり異なりますので、

  過去の優れた作品の復興には、それなりの苦労と、努力と研究が必要に成ります。

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

1) 真贋(偽)の鑑識

  ① 年代の真贋: 作品に、制作年代が入っているからと、それが本物とは、限りません。

     (有名な事件に、「永仁の壷」が有ります。現代作家の、加藤唐九郎が作った壷で、

      永仁の年号が入ていた為、 重要文化財に、指定されかけた事件です。勿論年号だけでは

      なく、鎌倉時代の作と、思われる要素を、備えた作品です。)

    又、箱書や、由来書など、年代を証明する物があっても、それを直ぐに、真に受けるのは、

    危険な事です。土の種類、焼成方法、釉薬、装飾様式など、他の要素を参考に、年代を特定する

    必要が、有ります。

  ② 作者の真贋: 作品や箱書に、作者の銘があるからと言い、それが、作者を断定する物では

    ありません。作品に銘が入るのは、野々村仁清以降と、言われていますので、それ以前では、

    個人銘は、ほとんど無いのが、常識と成っています。

    又、巧妙な銘(サイン)のある偽者も、大変多い様です。

    特に人気のある作家ほど、贋作(偽物)が多く、これを見抜くには、熟練と鑑識眼が、必要です。

  ③ 窯の真贋: どの時代の、どの地方の窯で、焼成されたものかを、断定します。

    窯は、中国、朝鮮の他、我が国でも、各地に作られていました。

    中国では、官窯といわれる、皇帝直属の窯があり、完成度の高い作品が多く、焼かれています。

    特に、景徳鎮は有名で、我が国に、大な影響を与えると共に、その作品も多く、輸入されてて

    垂涎の的に、成っています。

    我が国でも藩窯の「鍋島焼」や、「白薩摩焼」等が有ります。

    この様な、完成度の高い作品の、贋作は作る方にも、高い技術を要しますので、贋作は少ないと、

    思うかも知れませんが、結構ある様です。

   ・ 作品に窯場の、銘や窯印しが入っている物も有りますが、この真偽も、断定する必要が

     有ります。

   ・ 現在では、好きな土地の土を、自由に購入でき、釉もその土地の釉を入手可能です。

     又、古色を出す方法も、考え出され、いかにも、本物らしく見せかけた物も、多いとの事

     です。

以上の様に、骨董と呼ばれる分野では、贋作(偽者)が横行しています。

勿論、その作品が気に入った物ならば、真贋を問題にしない人がいても、それはそれで

良い事に成ります。

以下次回に続きます。

 真偽の鑑識(鑑定)
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工芸(品)と美術(品) 2

2010-08-28 21:25:14 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
 工芸品、装飾品、骨董品(古美術品)、小美術品について

1) 工芸品と装飾品の違いは、装飾品は字の如く、装飾すべき対象が、存在する事であり、装飾品が

   独自に、存在を、主張する物では無い事です。

   「お飾り物」と言われ、実用性には、乏しい物ですが、引き立て役です。

  又、工芸品が、人間などの有機体を、対象にするのに、装飾品は、必ずしも人などの、有機物でない、

  無機物も対象に成ります。 

 ① その対象が、人間の場合、頭ならば、髪飾り(櫛、リボン、帽子など)で、首周辺ならば、ネックレス、

   耳ならイヤリング、手や指などでは、腕輪(ブレスレット)、指輪と成ります。

 ② 部屋や床の間、壁などが対象になる場合も、多いです。

 ③ 装飾品は、工芸に比べ、より多く拘束(制約)を受ける事に成ります。

   使用上の制約、表現の制約、更に装飾の対象からの、制約と成ります。

   例えば、床の間の置物や、(掛け)軸等は、床の間の広さ(スペース)の制約を受けたり、

   指輪ならば、当然指の太さの制約を、受ける事に成ります。

2) 骨董品(古美術品)

 ① 骨董品は、人間を対象としていますが、必ずしも、人間の生活に、役立つ物では有りません。

   むしろ、人間の好奇心を、満足させる事を、目的にし、時には、投機(金儲け)の対象と成ります。

   好奇心や投機心は、人間の感情の高ぶりや、感情の急激な変化を起し、これを喜ぶ物です。

 ② 骨董品(古美術品)の条件

   骨董品として成り立つ為には、以下の条件が、必要に成ります。

  ) 珍しい事(物)

     いかに時代が古いものでも、ありふれた物では、価値が生じませんし、好奇心も湧きません。

     珍しい物を、所有している事は、人に「うらやましがられ」たり、見せる事により、より自慢

     にもも成り、優越感を与えてくれます。

     又、それを手に入れるまでの、苦労なども、更に感情を刺激してくれます。

  ) 数が少ない事

     製作品自体が、最初から少ない場合や、ある程度量があった物が、時代と経るに従い、数が

     少なくなった物が有ります。

     当然、製作自体の数が少なく、大切に保有されていた作品ほど、骨董価値は上に成ります。

  ) 歴史的背景がある事

     作品自体は、傷や割れなどの、傷んだ状態の物でも、その物が、歩んできた時代的背景が、

     定かであれば、骨董として、十分価値が有る事に成ります。

     歴史上の人物に、代々所有されていた事が、証明できる、箱書や由来書などの、付属物も

     骨董としての、重要な要素に成ります。

  ) 投機的な性質が有る事  

     無論、投機を目的に、骨董品を収拾する方は、少ないと思われます。

     (但し、骨董屋さんは、商売として、骨董を買い漁り増すが・・)

     それ故、投機性が無いからと言って、骨董的な価値が無い、訳ではありません。

 但し、上記条件が、全て揃う事は、ほとんど有りません。骨董とは品物だけでなく、人間の感情が、

 生み出す(作り出す)物で、あるからです。

3) 小美術品

   純粋芸術(使用を目的にしない)の小型化された物を、言いますが、置物、根付、文鎮等の作品に、

   美しさや、精緻な技巧が、施された物で、作品が小さい為、十分表現が、発揮出来ない物も、

   有ります。

   勿論、骨董的な要素が、含まれるばあいも有ります。

   小美術品とは、定義や境界線が、はっきりし無い物でもあります。

以下次回に続きます。

骨董品、装飾品、小美術品

    

 
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工芸(品)と美術(品) 1

2010-08-27 22:24:00 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
 工芸(品)と美術(品)について

陶磁器は、工芸品と言われています。工芸品は、芸術の一部門ですが、純粋な芸術品とは、

見做されません。

美術は、純粋な芸術と見做され、絵画、彫刻、場合に拠っては、建築も入れます。

・ 芸術とは、人間が、ある物質を使い、美意識を、表現するもので、我々に単に、美的感情を、

  与える物です。

  美術品は、目的を持たず、極端には、「芸術の為の芸術」と言う、言葉も有ります。

・ 基本的に、工芸と美術の違いは、美術が、色々な拘束を、受けない事であるのに対して、工芸は、

  ある種の、拘束(制約)を受ける事の違いです。

 1) 工芸が受ける拘束(制約)

   美術品が、鑑賞を主目的にしているのに対し、工芸品は、鑑賞と、用途(使用)の両方が、

   要求されます。

  ① 工芸品は、必ず用途(使いみち)が有ります。

    食器類や、農作物の貯蔵用など、生活用品として、日常使用されたり、又は、ある特別の場所や、

    特別な状況で、使われる物もあります。

   ・ 現在では、展覧会用にと、見せる事に重点が置かれた、作品も有りますが、基本的には、

     使用される事を想定して、作られているはずです。
 
  ② 使う材料にも制約が有ります。

    人が使用する以上、材質にも制約が有ります。

   ) 有毒な材質は、使用しない。

     鉛、銅、カドミュームなど、有害な物質は、そのままの状態で、使えません。

     陶芸の場合ですと、ガラス質で覆い、溶けて流れださない様に、する必要が有ります。

    ・ 絵画の絵の具の中には、綺麗(鮮明)な色を出す為、有毒な材料が、含まれたりしています。

  ③ 表現の制約

    工芸品は、使われる事を前提に、製作されていますから、自分勝手な形や、使い勝手の悪い形で、

    作られていては、実用に耐えません。手で持って使うものでは、持ち辛い作品は、敬遠されます。

   ・ 絵画や彫刻ですと、大きさの制限がなく、描かれている図柄などは、どんな物でも、可能です。

 2) 時代の進歩について

  ① 美術品は、時代と共に表現方法が、変化しますが、時代が進む程、美術的価値が、

    上昇する事は、有りません。

    古い時代の美と、新しい時代の美との、優劣はつけられません。

    美術品は、一点ものが多く、同一作品を、多く作る事は少ないです。(版画などは、ある程度

    量産的ですが・・)

  ② 工芸品についても、美に関しては、美術品と変わりませんが、使い勝手については、

    格段に進歩しているはずです。

    熱や衝撃などの、物理的強度が弱かった物が、格段に強くなるなど、進歩と言う物が

    見受けられます。

    又、製作すべき道具や、機械などの使用により、より精巧な作品を、大量に作れる様に成ります。

  ③ 陶芸に関しては、窯の発達、土のや釉薬の調合、轆轤(電動、蹴り)の発明発展、転写紙など、

    以前に無かった物が、新たに登場し、技術的進歩(?)が、作品の制作に、

    大いに影響を与えています。

以下次回に続きます。

工芸(品)と美術(品)
      
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無理な注文 2

2010-08-26 21:20:44 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
体験者や、初心者の要望は、なるたけ、受け入れる様にしていますが、中には、無理な注文も多いです。

4) 釉薬にグラデーションを付けて欲しい。

   所定の色に、発色させるには、釉にある程度の厚みが、必要です。それ故、徐々に薄く掛けたり、

   徐々に厚く掛けると、必ずしも、期待した色には、成りません。

   薄い釉は、どんな釉でも、光沢の無い(マット状の)茶色に成ります。
  
  ① 面倒な作業に成りますが、技術的に、徐々に濃淡を付ける事は、出来ない訳では、有りません。

    しかし、色が塗れたとしても、色調は段階的に、変化する事は、ほとんど無いと思われます。

  ② 絵付けで、グラデーションを付ける事は、容易です。

    水彩画の様に、水を加えていけば、濃度は、徐々に薄くなります。又、薄い濃度の顔料を、

    段階的に、塗り重ね、グラデーションを付ける事が、出来ます。

    但し、筆で塗る時は、塗り斑(むら)に注意します。

 5) 色見本通りの色に仕上げて欲しい。

    釉は、生と焼成した後の色が、違う物が多いです。

    又、焼成時の諸々の条件により、焼き上がりの色も、大きく変化します。

    釉によっては、常に安定した色と成る、釉も有りますが、大体は、窯から作品を出して

    見ないと、出来の良し悪しが、判らないのが、普通です。

    それ故、同じ釉でも、こんな色、あんな色にも成りますと、説明しています。

    特に、銅釉の様に変化し易い物、窯変といわれる釉、流れ易い(流動性がある)等は、

    出来上がりの予想が、つき難いです。

 6) 多色塗りの際、何処で区切るかの問題

    釉の掛け方には、色々有りますが、一番簡単なのは、釉の中に作品を浸す、浸し漬けです。

    多色塗りの際でも、塗り残しがない様に、若干の色の重なりが、必要に成ります。

    (勿論、釉同士に隙間を設け、その隙間を、無釉にする事は、可能です。)

    重なった色は、両方の中間色が出ると、思うと間違いです。

    とんでもない色に、成って仕舞う事も有ります。

    その色が、綺麗な色に成るならば、歓迎したいですが、汚い色に成る事のほうが、多いです。

   ① 器の内外の色を変えたい。

     口の真上は、どちらの色で塗るのか、内側の色か、外側の色か、更に、外側の色が内側に

     入り込んで良いのか、逆に、内側の色が、外側に出ても良いのかによっても、

     色の塗り方が違います。

    ) 市販されている、食器などは、綺麗に色が、分かれていますが、これは、それなりの

      設備が有るから出来る事で、一般には、手作業で、施釉しますので、微妙な調整は、

      困難です。

   ② 3色以上の釉薬を使いたい。

    ) 筆で塗り分ける事が、一番簡単ですが、筆で塗ると、一般には、出来上がりが綺麗では

       有りません。塗り斑や、色の濃淡が出易く、筆で塗るには、ある程度熟練を要します。

    ) 「マスキングテープ」等を使い、「ガン吹き」(霧吹き)する方法も、あります。

    ) 陶画のり(ラテックス)などを使用して、浸し掛けする方法が、有りますが、かなり面倒な

      作業となりますので、初心者が行うのは、無理な注文と成ります。

 陶芸では、どんな事でも可能とは、言われますが、それには、それなりの準備や、設備、技術が

 必要で、誰でも出来る事ではない、場合が多いです。

 それ故、今は無理な注文でも、陶芸を続けていれば、可能に成る物も、あるはずです。

以上にて、無理な注文の話を終わります。

次回は、別のテーマで、お話しする予定です。

     
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無理な注文 1

2010-08-25 21:32:17 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
私の所では、陶芸の体験教室を、開いていますが、大部分の方は、小、中学校の工作の時間以来、

土を触った事の無い人達です。それでも、なるたけ希望する作品を、作らせる様にしています。

陶芸に対して、ほとんど、知らない事だらけだと、思いますが、時には無理な注文を、出す人もいます。

その例を、幾つか挙げてみたいと思います。

 1) 短期間で作品を手に入れたい

    この夏にも、2週間程度で、作品を完成させたいとの、要望を受けました。

    夏休みの自由研究で、陶器の作品を作り、8月末までに、欲しいと言う事でした。

  ① 粘土を練り、作品に仕上げるのは、2~3時間で出来ますが、作品が完成するには、2週間では

    無理で、窯焚きの、タイミングに拠りますが、最短で3週間は掛かる事を、お話しました。

  ② 作品作り、乾燥、素焼、施釉、本焼きと手順を踏んで、作業をしますと、この程度必要に成ります。

    一番の問題は、窯焚きとの、タイミングです。窯はある程度、一杯に成らないと、焼成できません。

    小さな窯ですと、小回りが利きますが、陶芸教室の窯は、ある程度の大きさが有り、直ぐに

    満杯に成る事は、何処の窯でも、少ないはずです

  ③ 乾燥は理想的には、4~5日欲しい所ですが、少々乱暴をすれば、1日で済む場合が有ります。

    又、素焼を省略して、生掛けで施釉し、直ぐに本焼きと成れば、最短1週間程度で、仕上げる事も

    可能です。

    但し、作品が壊れる等の、かなりの危険性を、孕んでいますので、一般には、行いません。

  ④ 尚、以前お話した様に、「オーブン陶芸」なる物も有ります。

    特殊の粘土を使いますが、これだと、短期間に作品を完成させる事も、可能です。

 2) 電動轆轤で、背の高い作品を、作りたい。

   初心者が、背の高い作品を轆轤で作る事は、無理です。(但し、手捻りならば、可能です。)

  ① 轆轤は土を薄く伸ばし、綺麗な形を作る道具ですが、道具を使いこなすには、それなりの時間と、

   訓練が必要です。

   特に土を上に伸ばす事は、土を横に伸ばす(径を大きくする)事に比べ、大変難しい事です。

  ② 轆轤の練習は、基本の湯呑みなどの、小物から始め、徐々に大きな作品を、作る様にします。

    それ故、最初から、大物に挑戦する事は、無謀な事とも言えます。

  ③ 轆轤は、高さを高くする事と、径を大きくしたり、小さくしたりで、形を作りますから、

    力加減も、かなり練習しないと、難しいく、中々思う形には、成りません。

 3) 夫婦茶碗等や、同じ形の物を、数個作りたい。

   これも初心者には、無理な注文です。

  ① 手捻りで作る場合でも、必ず形は異なってしまいます。同じ物は二度と出来ないと、思って下さい。

    (それが手捻りの、良い所とも言われていますが・・)

    寸法で測れる、高さや径を揃える事は、ある程度可能ですが、カーブ(曲面)を同じにする事は、

    先ず不可能です。

  ② 電動轆轤の場合には、大小バラバラの大きさや、形に成ってしまいます。

    慣れた方でも、数を多めに作り、その中から、同じ様な物を、選び出す様にしています。

以下次回に続きます。
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轆轤が速く上手になる方法 (色々な作り方)

2010-08-24 22:19:32 | 轆轤の上達方法
轆轤が上手に成る方法について、話を続けます。

 轆轤で作品の作り方 3

 作品の形によっては、そのまま轆轤で作るのは、難しい物もあります。

 そんな時、既存の方法に囚われずに、一工夫してみると、意外と楽に作れる場合も、有ります。

 2) 上下逆さに作る

    逆円錐形の様に、底の面積が、口縁の径に対して、極端に狭い場合や、前回お話した

    「ワイングラス」の様に、 作品の途中が、細く成って居る場合など、上下逆さにして、

     轆轤挽きすると、安定して形を、作る事が出来ます。

  ① 当然、轆轤上に置かれた土は、ドーナツ状に成る様に、底を抜き、周囲の土を伸ばします。

    土は上部に行く程、径を細くしていきます。細くなると手が、内側に入りませんので、柄コテ等を

    使います。

  ② 上部を完全に閉じてしまう場合と、底に成る部分に、板状の土を貼り付ける、方法が有ります。

    又一度細くした部分より、上部を外に開き、「くびれ」を作る事も出来ます。

  ③ この様に逆さに作ると、口縁はどうしても、肉厚に成りますので、カンナなどで、削る必要が

    有ります。

 3) 分割して作る

   肩が極端に張った形や、完全な球を作る場合、背の高い、大きな作品を作る時は、分割して作り

   後で、接着して形を作る方が、簡単に、目的を達成できる場合が有ります。

  ① 肩が強く張った形では、肩より上の土を支えきれず、土が肩の内側に、落ち込んで仕舞い

    勝ちです。

    そんなときには、肩より下の部分と、肩より上の部分を、別々に作り、繋ぎ合わせた方が、

    楽です。但し繋ぎ部分の寸法を、合わせる事は、勿論ですが、繋いだ事が、解からない様に、

    綺麗に仕上げます。

  ② 轆轤で球を作る事は、大変難しい事です。

    究極の轆轤技術は、完全な球が出来る事と、言っても過言では無いと思います。

    縦長に成ったり、扁平な円に成ったりで、完全に左右、上下が対称な球には、成らないものです。

    この場合も、同じ寸法の、半円を上下別々に作り、後で繋ぎ合わせます。

  ③ 背の高い作品を作る場合にも、2~3個に分割して作ると、肉厚が薄い大きな作品を、

    作る事が出来ます。幾ら土の量を多くしても、土を上に伸ばすには、限度があります。

    無理をして、土を上に上げる事も可能ですが、かなりの肉厚になり、重たい作品に成ります。

 4) 底の位置を変える

    轆轤上で綺麗に作った作品も、底の位置を意識的に、変える事により、作品が傾き、動きのある

    形に成ります。

以上の様に、難しい形でも、どの様に作れば良いかを、常に頭に置いて、作業すれば、簡単に解決

出来る場合が有ります。

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轆轤が速く上手になる方法 (下部を細く)

2010-08-23 22:23:11 | 轆轤の上達方法
轆轤が上手に成る方法について、話を続けます。

 轆轤で作品の作り方 3

 作品を形作る際、どの高さの部分から、作っていくかと言う事です。

 一般には、下部、中部、上部と下から順に、形作る物と、思われるかもしれませんが、必ずしも

 そうとは限りません。作品の形状に拠って、作る順序を変える事は、一般に行われている事です。

 ① 下膨れの作品の場合

   極端に、下膨れの形状の作品は、急に径を大きくすると、上の土を支えきれずに、潰れてしまう

   事が有ります。上の土を支えるには、なるべく垂直に近い方が、良いですので、下部の形作りは、

   完成直前に、形作る様にします。

  即ち、中又は上の部分を形作り、これで良いとなったら、素早く下部を形作り、直ぐに終わりにします。

  素早く終わらなければ、形が崩れてしまいます。

  勿論、下膨れの形の作品でも、底を大きく取り、後の底削りで、大きく削り取り、結果的に下膨れの

  形状にする事も、可能です。

 ・ 下膨れでは有りませんが、大皿の様に、急に外に張り出す、形状の場合も、なるたけ底の径を、

   大きく取り、削り作業で、底径を小さくすれば、安全に作る事が出来ます。

 ② 極端に、下部の一部が細い形状の場合。

   ワイングラスの様に、下部の一部が極端に細い場合、そのまま形作りを、続けると、上部は振れて、

   上手に、形に成りません。

   ・ 勿論、内径を細くし、外径をやや細くした後、削り作業によって、細くする事も、可能ですが、

     初心者ならともかく、轆轤の上達を目指す人は、この細くする技法を、習得したい物です。

   a) 両手で細くする方法

     両手の親指と人差し指で、丸を作り、細くしたい部分を、抱え込み、首を絞める様に、徐々に

     細くして行きます。左右の手に、段差を付けます。

     ある程度細くなったら、両手の親指と人差し指、4本の指の腹を使い、更に細くして行きます。

    ・ 4本の指の間隔を、等間隔にして、土が一部から逃げない様にします。

      土に逃げ場があると、径は縮見ません。

    ・ 径を細くする場合、肉厚が薄いと、中々細くならずに、撚れが出ます。ある程度肉を厚違法が、

      径が細く成ります。

    ・ 当然、指には水を付け、良く滑る様にして置きます。

    ・ 急に細くすると、上部が振れてしまいますので、慎重に作業する必要が、有ります。

  b) 片手で細くする方法

    片手で細くし、他の手の掌(てのひら)で、上部の外径を、軽く抱える様に押え、振れを

    防止しながら、片手で、輪を小さくしながら、首を細くしていきます。

    この首の形状も、色々有りますので、細くする前に、どんな形にするかを、十分考えておく事です。

    作業途中で、考えている時間はありません。

   ・ 回転スピードは、やや「ユックリ」の方が、良いようです。

  何れの方法でも、細くする直前では、振れがない事と、指との抵抗を出来るだけ、少なくする事です。

  尚、瓢箪形の作品も、「くびれ」部分は、最後に作業した方が、上手に作業出来るはずです。

 2) 上下逆さに作る

以下次回に続きます。
    

   


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轆轤が速く上手になる方法 (指の使い方2)

2010-08-22 21:17:41 | 轆轤の上達方法
轆轤が上手に成る方法について、話を続けます。

 轆轤で作品の作り方 2

  手や指の使い方

 ② 片手で轆轤を挽く方法

   右手、又は左手の片方の手で、轆轤挽きする方法で、小物の場合や、皮を使う時、大皿を作る時に、

   多く用いられる、方法です。

  ) 親指と他の指(主に人差し指)を向かい合わせて、土を摘み上げる様にして、引き上げます。

    器の底から腰に掛けて、やや強く摘み、肉を薄くすると共に、口径を拡げていきます。

    即ち、斜め上に摘み上げます。同時に指に、捻りを加えて、形を作ります。

    但し、他の手は、作業する手を支え、振れを防止します。
  
    慣れ無い人は、肉厚の調整や、形作りなど、土が振ら付かない様に、上手に挽くには、

    かなり難しい作業ですが、慣れると便利な技法です。

  ) 皮で口縁の土を締めたり、綺麗に拭いて仕上げる場合にも、親指と人差し指で摘みます。

    その際、皮の一端を、他の手で掴み、皮が土と一緒に、回転しない様にします。

  ) 付け高台の場合。

    背の高い高台や、撥(ばち)高台の様に、削り出すには、不都合な場合、伏せた器の底に、

    新たな土を、ドーナツ状にして載せ、高台を付ける方法が有ります。(付け高台と言う)

    この場合も、上記皮の替りに、濡らした布を使い、親指と人差し指で、所定の高さまで、

    引き上げた後、形を作ります。

  ) 大皿の場合。

    大皿は底を叩き締め、周囲を土手状に、高く盛り上げてから、土殺しを行います。

    但し、この土殺しは、通常の土殺しではなく、土手状の部分を、三方(内外上)から押え込み、

    肉厚、高さが揃った、綺麗な円にします。

    その際も、片手の親指と人差し指を向かい合わせ、内外をしっかり押え込み、土手の上部は、

    他の手の人差し指で、押えます。

    綺麗な円が出たら、上部の指を離し、親指と人差し指で、摘み上げます。

    以後は、両手を使って、土を薄くする事も出来ます。

 この摘み上げる方法は、当然、指が届く範囲内のみにしか、使えません。それ故この方法のみで作れる

 作品の大きさは、限られてしまいます。

 こうゆう方法が有る事を、頭の隅にでも、入れておけば、何かの役に立つかも知れません。


 轆轤で作品の作り方 3

 作品を形作る際、どの部分から、作っていくかと言う事です。

 一般には、下部、中部、上部と下から順に、形作る物と、思われるかもしれませんが、必ずしも

 この通りではなく、逆にこの順では、作品が上手に、出来ない形状の物も有ります。

 以下次回に続きます。
   
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