陶芸で技術と呼ばれる物は、広範囲に及びます。しかし全ての技術を必要とする訳でもありません。
人によっては、不要な技術もありますが、一通りお話したいと思います。
1) 陶芸の技術の種類
① 土の採取: ご自分で使う土を何処かに見つけ採取する事です。
当然求める土が何処に存在しているかを、見つけ出す知識や技術が必要になります。
) 陶磁器の産地(窯元)では、その近辺に土が存在しているのが普通です。
当然地元の方は、何処にどの様な土があるかは、知っているはずです。
だからと言って、勝手に土を採取する事は出来ません。なぜならその土地は誰かの所有物で
有るからです。許可を得て採取するか、地元で土専用に販売している処から購入する事に
なります。
) 陶芸家の中には、土探しに熱心な方も多いです。野山を歩き廻り今までに無い土を見付け
作品を作る事を楽しんでいる人々です。しかし現在は各産地の土を容易に、しかも安価に
購入する事が可能に成りましたので、多くの陶芸家はその様な市販の土を使っているのが
現状です。
② 素地土(坏土=はいど)を作る
) 採取した土がそのまま使える事は稀で、多くは使える様に水簸(すいひ)したり、各種の土を
調合します。水簸(すいひ)するにはそれなりの技術や経験が必要です。
更に、「土を寝かせる」事が必要かも知れません。
) 市販されている土を使うとしても、焼成後の色、耐火温度、肌理の細かさなど、ご自分の
好みに合わせる為に、混ぜ合わせる事が多いです。この場合も、技術と経験と感が必要に
なります。
) 勿論、市販の土をそのまま使って作品を作る人が、大半かも知れません。
市販の土は可塑性や耐火度などで、そのまま使用しても良い様に成っているからです。
③ 作陶(制作)技術: 作り方には色々な方法が存在します。即ち、手捻り、電動轆轤、蹴轆轤、
タタラ(板)作り、型起こし、鋳込み等々です。これらの技術のどれかを使って作品を作ります。
これらの一つ一つには、それなりの技術が必要に成っています。陶芸の技術と言えば、この
作陶技術が中心に成っていると言える程、重要な事です。
④ 装飾技術
) 素焼き前に施す装飾: 作品の表面を凹凸を付けたり、穴を開けたり、化粧土で装飾する
方法です。およそ20種類程度の方法があります。
) 素焼き後に施す装飾: 主に下絵付けや、釉による装飾です。
) 本焼き後に施す装飾: 主に上絵付けによつ装飾です。
⑤ 乾燥に関する技術
素焼きする前に十分乾燥させる必要がありますが、この段階で、「ひび」や「亀裂」が入り易く
それを防ぐ技術も存在します。
⑥ 窯詰めの技術: 素焼きと本焼きでは、窯詰めの方法が異なります。
本焼き時の窯詰めは、その方法によって、作品の良し悪しを決定するとも、言われる大切な
技術です。
⑦ 釉の調合技術: 独自の釉を作り出す為には、原材料を混ぜ合わせて調合して釉を作ります。
制作技術同様に大切な技法ですが、市販されている釉を使う事で、特別調合する必要が無い
人も多いはづです、
⑧ 焼成技術:窯焚きの技法で、素焼き用、本焼き用、酸化焼成、還元焼成などの区別があります。
窯の大きさや種類、燃料の有無などによってその技法に特有の状況を作りだします。
尚、ご自分で窯を持ち、実際に窯を焚く事が出来る人は、陶芸を楽しんでいる人々でも、かなり
少人数だと思われます。それ故、この技術を会得出来るチャンスは、少ないかも知れません。
以下次回に続きます。