わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸の心得19(技術は体で覚える1)

2012-07-30 22:11:38 | 陶芸の心得

陶芸で技術と呼ばれる物は、広範囲に及びます。しかし全ての技術を必要とする訳でもありません。

人によっては、不要な技術もありますが、一通りお話したいと思います。

1) 陶芸の技術の種類

  ① 土の採取: ご自分で使う土を何処かに見つけ採取する事です。

    当然求める土が何処に存在しているかを、見つけ出す知識や技術が必要になります。

   ) 陶磁器の産地(窯元)では、その近辺に土が存在しているのが普通です。

      当然地元の方は、何処にどの様な土があるかは、知っているはずです。

      だからと言って、勝手に土を採取する事は出来ません。なぜならその土地は誰かの所有物で

      有るからです。許可を得て採取するか、地元で土専用に販売している処から購入する事に

      なります。

   ) 陶芸家の中には、土探しに熱心な方も多いです。野山を歩き廻り今までに無い土を見付け

      作品を作る事を楽しんでいる人々です。しかし現在は各産地の土を容易に、しかも安価に

      購入する事が可能に成りましたので、多くの陶芸家はその様な市販の土を使っているのが

      現状です。

  ② 素地土(坏土=はいど)を作る

   ) 採取した土がそのまま使える事は稀で、多くは使える様に水簸(すいひ)したり、各種の土を

     調合します。水簸(すいひ)するにはそれなりの技術や経験が必要です。

     更に、「土を寝かせる」事が必要かも知れません。

   ) 市販されている土を使うとしても、焼成後の色、耐火温度、肌理の細かさなど、ご自分の

      好みに合わせる為に、混ぜ合わせる事が多いです。この場合も、技術と経験と感が必要に

      なります。

   ) 勿論、市販の土をそのまま使って作品を作る人が、大半かも知れません。

      市販の土は可塑性や耐火度などで、そのまま使用しても良い様に成っているからです。

  ③  作陶(制作)技術: 作り方には色々な方法が存在します。即ち、手捻り、電動轆轤、蹴轆轤、

     タタラ(板)作り、型起こし、鋳込み等々です。これらの技術のどれかを使って作品を作ります。

     これらの一つ一つには、それなりの技術が必要に成っています。陶芸の技術と言えば、この

     作陶技術が中心に成っていると言える程、重要な事です。  

   ④  装飾技術

   ) 素焼き前に施す装飾: 作品の表面を凹凸を付けたり、穴を開けたり、化粧土で装飾する

      方法です。およそ20種類程度の方法があります。

   ) 素焼き後に施す装飾: 主に下絵付けや、釉による装飾です。

   ) 本焼き後に施す装飾: 主に上絵付けによつ装飾です。   

  ⑤ 乾燥に関する技術

    素焼きする前に十分乾燥させる必要がありますが、この段階で、「ひび」や「亀裂」が入り易く

    それを防ぐ技術も存在します。

  ⑥ 窯詰めの技術: 素焼きと本焼きでは、窯詰めの方法が異なります。

    本焼き時の窯詰めは、その方法によって、作品の良し悪しを決定するとも、言われる大切な

     技術です。

  ⑦ 釉の調合技術: 独自の釉を作り出す為には、原材料を混ぜ合わせて調合して釉を作ります。

    制作技術同様に大切な技法ですが、市販されている釉を使う事で、特別調合する必要が無い

    人も多いはづです、

  ⑧ 焼成技術:窯焚きの技法で、素焼き用、本焼き用、酸化焼成、還元焼成などの区別があります。

     窯の大きさや種類、燃料の有無などによってその技法に特有の状況を作りだします。

 尚、ご自分で窯を持ち、実際に窯を焚く事が出来る人は、陶芸を楽しんでいる人々でも、かなり

 少人数だと思われます。それ故、この技術を会得出来るチャンスは、少ないかも知れません。

以下次回に続きます。

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陶芸の心得18(釉は沈む物)

2012-07-28 21:44:09 | 陶芸の心得

陶芸で使う釉は沈む物です。 それ故、その事を理解した上で、施釉する必要があります。

一般に釉は、粉末状の材料を水に溶かして使用します。

釉の材料は、長石や珪石などの石の粉末に、石灰などのアルカリ成分を混入した物か、草木灰と長石との

混合物です。それ故、比重差によって自然と、水と釉は時間と共に分離します。

1) 完全に攪拌してから使用します。

  攪拌は、手又は機械を使って行いますが、大規模に釉を使用する以外は、一般に手で攪拌します。

  ① 1~2週間使っていない釉は、完全に分離し底に堆積していて、均一の濃度にするには、手間が

    掛かりますし、特に冬場には水も冷たく、溶くのに苦労しますので、他の人の使った直後の釉を

    使いたくなるものです。

    尚、沈殿防止剤なる物が市販されていますが、有効に作用する事は少ない様です。

  ② 釉玉が出来ない様に溶く。

   ) 既に溶かされている釉では、底に溜まった釉を均等に溶かします。

      釉玉が出来ると施釉した際に、濃度に差が出て、斑(まだら)文様になります。

      特別釉の塊 がくっついた場合には、その部分が十分熔けずに生の状態で残ります。

   ) 新たに釉(市販の釉、又は自家製の釉)を溶く場合は、予め釉の材料を細か摺り潰してから

      水を注ぐと、早く溶けます。

  ③ 釉の濃度の調整。

     釉の種類によっては、厚く掛けた方が良い場合と、薄掛けでもそれなりに発色する物があります。

   ) 新しい釉を溶く場合、一般に粉末状の釉1Kg当たり、0.8~1.0リットルの水で溶きます。

      この際、「マスク」を使用して、粉末を吸い込まない事です。(意外と舞い上がります。)

   ) 既に溶かされている釉でも、必ず濃度を確認します。

      濃度の確認は、攪拌した手を見て判断します。肌が見えていれば薄過ぎで、手に「ボッテ」と

      着く様ですと、濃過ぎです。このニアンスは、人に聞いたり、経験によって会得して下さい。

    ) 濃度の濃い場合は水を足し、薄い場合は水を抜きます。

     a) いきなり掻き回さない事。

       容器の釉を、いきなり掻き回しても、濃度が濃い場合には、水を追加すれば良いのですが、

       薄かった場合は、新たに釉を追加する必要が出てきます。

     b) 濃度が不明な場合、先ず上澄み液を別の容器に(0.5~1リットル程)取ります。

       その後、攪拌して濃度を確認します。濃度が濃ければ、先にとった上澄み液を少しづつ追加

       して濃度を調節します。そうする事により、新たに釉を追加する必要はありません。

  ④ 釉は直ぐに沈殿します。

     上記の様に濃度を調節しても、1分もしないうちに、沈殿が始まります。

     (釉の種類によって、沈殿速度に差があります。)

     それ故、調整後は直ちに施釉しなければ成りません。又連続して同じ釉を掛ける時でも、

     1~2個施釉したら、再度掻き混ぜてから釉を掛けます。

     スプレー掛けの様にスプレーする容器に取った釉薬も、頻繁に振って釉の沈殿を防ぐ必要が

     あります。スポイト掛けの場合も事情は同じです。

  ⑤ 釉に濃淡を着けたい場合。

     勿論濃淡に差がある、2種類以上の釉を用意し、施釉する事は可能です。

     但し、濃い釉を一度に掛けると、釉剥げが起こり易いです。それ故、やや薄目の釉を数度に

     分けて、濃くする部分に施釉した方がベターです。

     但し、下地が乾いたらその上に塗る事です。塗れた状態で上塗りしても、釉は厚くなりません。

次回(技術は体で覚える)に続きます。

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陶芸の心得17(集中力について4)

2012-07-27 21:39:35 | 陶芸の心得

前回に続き集中力の話をします。

◎ 陶芸に於ける集中力について。

1) 電動轆轤作業に於ける集中力について。

 ⑧  作品の寸法に注意する。

    轆轤挽き終了直後の出来上がり寸法(高さ、直径)は、予め決っているはずです。

  ) 「トンボ」や「スケール(物指)」を使い大きさを測定し、寸法の過不足を調整します。

     轆轤では、背を高くする事と、直径を小さくする事が難しいです。

     特に、肉厚が薄くなった作品の径を細める事は、大変困難です。それ故、若干径を小さく

     しておき、最終段階で予定通りの寸法に合わせます。

   ) 径を大きくすると、高さは低くなります。逆に細めると高くなり易いです。

      その為、径と高さを所定の寸法に合わせる事は、意外と難しくなりますので、何処かで

      妥協点を見つける必要があります。(径を重視するか、高さを重視するかです。)

 ⑨ 作品を下の土から切り離す際と、轆轤上から作品を移動させる際の注意点。

    数挽きの際には、「しっぴき」や「糸」を用いて切り離します。回転させながら行うのが一般的

    ですが、轆轤を止めたままで切り離す場合もあります。短い時間ですが、集中力が必要な作業です。

   ) 底を水平に切り離す。「糸」を入れる前に、切り離すべき位置をしっかり決め、竹へらで筋

      (細い溝)を着けておきます。轆轤が回転していれば水平にきり易いのですが、止めてあると

      水平に切れない場合が結構あります。

      切り離す直前に糸が上に持ち上がり易く、切り口が斜めになってしまいます。

   ) 作品を轆轤上から取り上げる際にも注意(集中力)が必要です。

      口縁は絶対触らぬ事です。触ると変形します。じゃんけんの「ちょき」を上向きにして、高台脇を

      はさみながら手前に倒して取り上げ、手板に移します。口縁が楕円などに変形する

      場合があり、この様な場合は、作品の腰で直します。

    ) 切り離す作品の底を大きく取ると、かえって口縁が変形し易いです。なるべく小さ目に

       取ると、変形は少なくなります。

以上の様に轆轤作業では、注意すべき事柄は多く、一連の作業が終わるまで、気が抜けません。

2) 施釉作業に於ける集中力について。

  ① 釉薬を塗る(釉を掛ける)事は、漬け掛(浸し掛け)や、流し掛けなどは、ほんの数秒で完了する

     場合が殆どです。 しかも、一発勝負が基本で、やり直しをしないのが普通です。

     その為、短い時間でも神経を集中させる必要があります。

     (尚、スプレー掛けや筆塗りなどの技法では、時間を掛けて作業が出来ます。)

  ② 施釉する際には、作品を持つ位置に気を使います。

    ) 作品を取り落とさない事。作品は大きさに応じて、片手又は両手に持って釉を掛けます。 

       片手で持てる小さな作品は、高台部を持って施釉しますが、輪高台以外の碁笥底高台や、

       ベタ高台では、持つべき処を何処にするか迷いす。作品を浸し掛けする場合、浸す際には

       保持できたものが、引き上げる際には指が滑り、容器の中に落としてしまう事も多いです。

       作品を容器の中に落としてしまうと、作品が壊れる事は少ないものの、釉の厚さが厚くなり、

       釉に斑(むら)が出ます。持ち難い作品は、釉の掛ける方法を工夫するか、「釉はさみ」を

       利用します。

    ) 大皿の様な径の大きな作品は、盥(たらい)の様な口径の大きな容器を使い、両手で保持

       しながら、釉の中を潜らせます。先に入れた部分から引き上げると、均等の厚みになります。

       又、他の人の助けを借りて、流し掛けする場合もあります。流し掛けの際には、裏面に

       釉掛けする際、どう持つか予め考えてから、行動する事です。

    ) 指痕はなるべく着けない事。着いた場所は補修しておく事。

       手を同じ釉に漬け、汚しておくと指痕は少なくなります。汚れていない手で作品を持つと、

       そこに指痕が着きます。指痕には釉が掛からず、指の輪郭に沿って釉が厚く掛かります。

       尚、釉の容器の中で、作品から手を話さないで下さい。一度沈んだ作品を、拾い上げるのは、

       難しい作業で、失敗し易いです。なるべく数少ない指(3本)で作品を持ちます。

       指痕の補修は、指や筆を用いて同じ釉を塗りますが、ほとんどの釉では、厚みの濃淡が出て

       完全に消す事は、難しいです。勿論作品によっては、指痕をわざと残す場合もあります。

以下次回(釉は沈む物)に続きます。

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陶芸の心得16(集中力について3)

2012-07-26 20:33:15 | 陶芸の心得

前回に続き集中力の話をします。

◎ 陶芸に於ける集中力について。

1) 電動轆轤作業に於ける集中力について。

  ④ 土が振れていないかを、注意する。

     土が轆轤の中心に載っていなければ、必ず作品に振れが発生します。

     この中心に載せる作業が「土殺し」と言われる作業です。特に初心者では、「土殺し」が十分

     終わらないうちは、その先の作業に進む事は出来ません。「土殺し」が終わっているかは、

     轆轤上の土の塊に手(右回転の場合左手)を当て、停止していればOKです。

     又、轆轤挽きでは、背が高くなるに従い、振れが起き易くなります。根元では少ない振れも、

     上部に行く程、振れ幅が増します。狂いは根元の方に原因がありますので、口縁を補正する

     のでは無く、根元から直す必要があります。

     注意が手元ばかりに集中していると、振れが発生している事さえ、見過ごす事があります。

     土の振れに合わせて、手(指先)が動いている場合は、振れを直す事は出来ません。

     常に、全体がどうなっているかに、注意を集中しチェックする必要があります。

  ⑤ 土の厚みに注意する事と、土の「拠れ」や「ねじれ」に注意する。

    轆轤では根元が肉厚で、上部に行くほど、徐々に肉薄になります。

    途中で上部より肉薄に成った場合、上部の土を支えきれず、「拠れ」や「ねじれ」が出易いです。

     又、水切れによる摩擦抵抗の増大によっても、引き起こされる現象です。

     一度発生させると、補正するにはそれなりの技術が必要になり、初心者には修正不可能とも

     言えます。それ故、「拠れ」や「ねじれ」を早く発見する為にも、注意力が必要になります。

  ⑥ 空気や異物の混入に注意する。

     轆轤挽きしていれば、自然とその存在が気になるはずです。特に肉厚が薄くなるに従い、

     空気の存在や、粘土の固い部分、小石等の異物が指先で感じます。

     これらは、針を刺したりして取り除きますが、他の部分より固い土がある場合には、最初から

     やり直す方が得策です。この空気や固い塊は、土練が不完全な為に起こります。

  ⑦  作品の形に注意する。

     形作りの作業(径を大きくするか、小さくする)に入ると、現在全体の形の中でどの部分を

     変形しているのかが解かり難いです。

     人の五感で一番敏感で、頼りに成るのは触覚です。回転している作品を下から上に力を

     入れずに撫ぜるだけで、その形の凸凹度や良し悪しを判断する事ができます。 

以上の様に、轆轤作業には、神経を集中させる事項が多く有りますが、これらは別々に存在するのでは

無く、一つの作業で同時に又は、順を追って発生してきます。

そして、意識せづに自然にこれらの事が遂行できる事が、轆轤に慣れた事でもあります。

以下次回に続きます。

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陶芸の心得15(集中力について2)

2012-07-25 21:43:53 | 陶芸の心得

同じ土の量で器を3個轆轤挽きして作ると、最初の1個はどうしても、小さく出来上がります。

二番目の作品は、ほぼ思った通りに、轆轤挽きができます。しかし、三番目の作品は失敗する事が

多いです。その失敗も、最初からやり直した方が早い程の大失敗と成り易いです。

① 最初の1個は、手が十分に慣れていない事が原因です。

  音楽家が楽器の演奏を毎日練習しないと、手が思うように動かないと言われています。

  同様に轆轤職人であっても、その日の最初の作品は、手慣らしとして作業するそうです。

  前回の轆轤挽きより、1週間~1ヶ月も時間が経過してしまうと、感覚を呼び戻すにはある程度の、

  練習が必要で、最初の作品は肉厚に成り易く、作品も小振りになります。

  それ故、久し振りの轆轤作業では、思うように行かないのは、自然な事とも言えます。

② 二個目は、手も馴染んできますので、以前の感覚を取り戻し、轆轤挽きもスムーズに行う事が

   可能になります。

 ③ 三個目で大失敗する原因は、集中力が途切れた為と思われます。

    即ち、二個目までは慎重に作業していたものの、ここで気が緩み大胆に成ったのか、途中の

    手順を抜いてしまったのか、力み過ぎたのか何らかの原因で、失敗したものと思われます。

  以上の様に何らかの事情で、集中力が欠けた場合には、悪い結果と成り易いです。

前置きが長くなりましたが本日の本題に入ります。

 結論を先に述べると、陶芸に於いては、一連の作業が終了するまでは、意識を集中する必要があります。

 集中できない時は、区切りの良い処で、休憩を入れる事です。

◎ 陶芸に於ける集中力について。

  陶芸のどの作業で有っても、集中力が必要ですが、特に(電動)轆轤作業に於いて重要になります。

1) 電動轆轤作業に於ける集中力について。

   轆轤作業は手捻りに対して、非常に「デリケート」な作業だといえます。

   轆轤作業は(慣れた方なら)、作るのも早いのですが、失敗して壊れるのも早いです。

   土が薄く、更に水を含んでいる為に、一寸した「ミス」やタイミングで、作品が変形して仕舞います。

   前回述べた集中力の分類の中で、② 「注意を払う集中力」(集中すべき事柄が多い)が重要に

   なります。集中すべき事柄を列挙すると、以下の様になります。

  ① 轆轤作業は主に両手の指先と、脚を使って行います。

    脚は轆轤の回転スピードをコントロールし、蹴り轆轤では回転力を与える役目もします。

    5本の指先で作品を作り出します。 実際には、指先以外に指の側面、指の関節、指の付け根、

    掌(てのひら)、手首、肘(ひじ)など、作業に応じて適宜、注意を向ける必要があります。

    その他に、目も重要ですが、初心者は目に頼り過ぎる事も多く、目に惑わされる事もあります。

    ある意味で、目で認識した事は「あて」になりません、

  ② 回転スピードは指と土との速度で調整する。見た目の速さで判断しない事です。

     作品は指先で作る事が多いですので、実際に作業している処のスピードが大切です。

     即ち原則は、径が大きくなる処での作業では、径に従い回転を落とし、径の小さい場合には、

     回転を速めます。なるべく指が感じる回転スピードを一定に保つ様にします。

     制作過程では、常に集中力を働かせ、スピードを調整する必要があります。

  ③ 「水切れ」の注意。指先が土の表面を滑っているかを確認する事です。

     轆轤挽きでは、「水切れ」が作品を歪ます原因に成ります。轆轤作業中は、土の表面に水を

     引いたり、「ドベ」を塗り水切れを防ぐと同時に、指先(手全体)を濡らしておきます。

  ④ 土が振れていないかを、注意する。

 以下次回に続きます。

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陶芸の心得14(集中力について1)

2012-07-24 22:16:23 | 陶芸の心得

勉強する場合や、スポーツの試合、人の話を聞く場合、絵を描く場合、考え事をする場合など、何かを

行う時には、どの位集中力出来るかが大切です。集中力が発揮できれば、より良い成果や作業を

上手に処理する事ができます。

陶芸に於いても、作品を作る際や、絵付けをする場合、釉を掛ける際など、全ての面で集中力が

有ると無いでは、その結果に大きな違いがあります。

集中力と言う言葉は、意味が漠然としていますが、詳しく見ていくと次の様な事柄となります。

1) 集中力を分類すると以下の様になります。

 ① 一つの事に注意を集中して、物事に取り組む力です。

   即ち、注意する範囲を出来るだけ狭くして、一点に集中させる事です。(没頭する状態です)

 ② 注意を払う集中力で、注意すべき事の全てに神経を集中する事です。

   即ち、作業や思考過程には、集中すべき範囲が一点ではなく、広く分布している場合も多いです。

    それら全てに気を使う事です。(次回述べる予定の轆轤に於ける、集中力はこの事が多いです。)

 ③ 無用な事や、関係ない事に気が散らない集中力の事です。

   周囲の出来事に気をとられたり、他の事を考えたりしているのは、集中力が欠けた状態と言えます。

  但し、これら三種類の集中力は、完全に分かれて存在するのではなく、その作業や思考過程で、

  ある場合は①を、別の場合は②又は③をと、無意識的に使い分けています。

2) 集中力は、ある程度の時間的持続(注意を持続させる事)が大切になります。 

  一般に大人と子供、その人の性格、その作業の熟練度などによって、集中できる時間に差ができます。

   その範囲は、連続時間で数分~数十分と言われ、長続きしないものです。

   適度の休息を入れて、集中する時間を延ばす事も可能です。

   又集中力は鍛える事が出来るとも言われています。

     (集中力の鍛え方などは、ネットで検索すると教えて貰えます。)

    集中して作業をすると、疲れる場合もありますが、好きな事をしていれば、意外と疲労は蓄積

    されません。

3) 集中力を発揮しているときには、脳内に「ドーパミン」と呼ばれる物質が、活発に分泌していると

   言われています。

    注 ドーパミン: 脳に対してやる気を起こさせたり、快楽を与える脳内ホルモンの一種です。

   集中力を高める事で、作業をスムーズに遂行したり、個人の最高の能力を引き出す事も可能です。

次回( 陶芸に於ける集中力について)に続きます。

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陶芸の心得13(陶芸技法にはなんら制限はない2)

2012-07-23 21:47:21 | 陶芸の心得

11) 陶芸技法にはなんら制限はありません。

    陶芸も芸術の一部であれば、当然新しい試みに注目が集まります。従来とは異なる技法や

    表現方法が求められる事になります。但し従来の伝統的技術で満足している場合には、あえて

    新規な物や奇抜な方法をとる必要もありません。

    陶芸家として世に出たいのならば、前者の方法を模索するべきで、自分の楽しみを追求する

    ならば、あえて後者の方法をとっても、なんら問題もありません。

  ④ 文様の付け方にも制約はありません。

     作品に文様を付ける方法には、溝や線を彫る、削り取る、引っ掻く、穴を開ける、貼り付ける、

     埋め込む、印花文や、縄目文等の痕を付ける、化粧土を塗る(掛ける)、絵を描く、染付ける、

     転写紙を使うなど多くの方法が存在します。

     しかし、上記方法の他に、新しい文様を付ける方法を、現在でも、どなたかが試行錯誤している

     はずです。それが世に出てくれば、世間を「あ!」と言わせるかも知れません。

   ・ 同様な事が、文様ではなく、新しい釉の開発に励んでいる人がいるはずです。

  ⑤ 焼成の仕方も色々あります。

     焼き物である以上、焼成した作品である事が、陶芸の要点です。単に粘土を使い作品を作ると

     しても、焼成温度がいかに低くても、焼成しなければ、それは焼き物として認められません。

    ) 窯の大きさと作品の大きさ。

      窯の中で焼成する以上、作品は窯の中に入る大きさか、又は作品を分割し焼成後、再構築して

      作品に仕上げる必要があります。陶壁は後者の方法で焼成されれる事が多いです。

     ・ 将来、窯を用いないで、高温を長時間閉じ込める方法が発明されるかも知れません。

        そうなると、大きな作品も一度に焼成する事が可能に成るのですが・・・

    ) 焼成で一番大事な事は、必要な温度まで、温度が上昇させる事です。

       一般に素焼きで700~800℃程度、本焼きで陶器で1250℃以下、磁土で1300℃

       以下とされています。市販されている陶芸用の土は、上記の条件で焼成される様に、

       ブレンド調整されています。 これらはあくまでも一つの目安で、この範囲外で焼成すると、

       焼き不足や焼き過ぎと成りますが、いつも見ている土とは別な顔を見る事も多いです。

       それ故、故意に過不足を作り、新たな一面を作り出す事も可能になります。

      ・ 同様な事は、釉に付いても言えます。温度が高く成り過ぎれば、釉は流れ易くなり、「煮立つ」

        感じになります。熔け不足であれば、肌は「ザラザラ」した感じの「マット状」の釉と成ります。

        何時もの焼成温度ではなく、20~30℃程度上下して焼成すると、思わぬ発見があるかも

        知れません。

取り留めの無い話に成ってしまいましたが、ここで述べたい事は、安住の地に留まらず、失敗を恐れず

新たな事に挑戦するしてはどうかと言う事です。

科学の世界では、失敗が新たな進歩の発展に繋がる事は、大変多いです。

その様な事が陶芸の世界にも、大いに有り得る事と思いまが・・・。

次回(集中力について)に続きます。

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陶芸の心得12(陶芸技法にはなんら制限はない1)

2012-07-21 22:08:28 | 陶芸の心得

11) 陶芸技法にはなんら制限はありません。

   陶芸をするに当たり、「あれはしてはいけません」 、「これをしてはいけません」と言う事は、

   基本的には有りません。どの様な方法をとろうとも、本来自由です。

   結果がどの様になろうとも、ご自分で納得できれば、誰からも文句を言われる筋合いはありません。

    但し、当然の事ですが、人に迷惑をかけない範囲内での事です。

  ① 素材は粘土や磁土が主役に成りますが、その他に金属(粉、小片、板など)類や石、砂、

    木片、紙、プラスチック、ガラス、セメント、釉薬などを、意図的に混入する事もあります。

    これらの物質は必ずしも、粘土や磁土と相性が良くなくても、今までにない肌(マチエール)を

    形成してくれます。

   ) 特にモダンアートやオブジェなどの現代陶芸では、この様な作品も多く製作されています。

   ) 石や砂などは昔から混入して使用されています。しかし従来使用されている「ハゼ石」や

      川砂ではなく、その辺に落ちている石ころや、畑土を混ぜ合わせて使用してもかまいません。

    ・ 混入された石は本焼きで、そのままの形状と色を保持するものと、膨張し溶岩状に 黒く 

      「ブツブツ」に変化する物など、色々あります。又、「畑土」などは、その成分と粒子の細かさ

      によっても、大きく変化します。

   ) これら異物を混入する事は、可塑性を著しく悪くする事になります。

      即ち、制作しにくいだけでなく、表面に亀裂が出来たり、肌が荒れたり、異物との境に隙間や

      穴が発生したり、場合によっては変色が起こります。

   ) 木片や紙、プラスチックなどは、素焼き時又は本焼き時に燃えて無くなります。

      その為、燃えた跡は穴(空洞)が発生します。 一般に、制作時に空気を閉じ込める事は、

      禁じ手になっています。 素焼き時に爆発するからです。

      しかし、素焼き時や本焼き時に出来た空洞は、爆発する危険性は少ない様です。

      即ち、素焼き後や本焼時では、素地に通気性があり、空洞中の空気や水蒸気も

      素地を通過するからだと、思われます。

      尚、わざと素地に空気を閉じ込め、故意に一部を爆発させ、その亀裂を鑑賞する作品を

      作る事も可能です。

  ② 従来とは違った陶芸用の粘土も市販される様になって来ました。

     焼成温度が低くても、十分焼き締まる粘土や、紙の様に薄い粘土、銀粘土の様にアクセサリー

     として使用できる粘土、又カラフルな粘土など、近年各種の粘土が開発されています。

     これらの粘土を上手に使い分け、その特徴を取り入れ、工夫する事により、従来 存在

     しなかった(出来なかった)作品を作り出すことも可能になってきました。

     但し、このような素材は、今のところかなり高価です。

  ③ 造り方にも制約はありません。

    一般に手捻り、轆轤挽き、機械轆轤、タタラ造り、鋳込み、型押しなどの造り方があります。

     しかし、従来の造り方に囚われずに、大きな塊から彫刻風に作品を掘り出す方法をとり、

    作品を作る人もいます。

    更に、金属加工の技法である、プレス加工、絞り加工、型押し加工などや、プラスチック加工である、

    押し出し加工、射出加工などを参考にして新たな造り方を模索する事も可能です。

    造り方が変われば、その作品も自ずから変わってきます。

  ④ 文様の付け方にも制約はありません。

 以下次回に続きます。  

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陶芸の心得11(作業スペースは広さが必要2)

2012-07-20 21:46:42 | 陶芸の心得

10) 作業スペースは結構な広さが必要です。

  ③ これだけは必要な物。

   a) 作業台: 土を練ったり、作品を作ったりする台です。

     キッチン陶芸と言い、手捻りで作品を作る場合は、作業場を台所にする事も可能です。

     土を練る台は、量にもよりますが、かなり力が入りますので、しっかりした台が望ましいです。

   b) 洗い場(水場): 粘土を使いますので、どうしても手が汚れます。又、水が必要で特に轆轤

     作業では大量の水が必要に成ります。

     手捻りで有っても、塗れ雑巾や濡れたタオルんどで、土の乾燥を押さえる必要があり、近場に

     水が欲しいです。尚、容器に水を汲み置きしても良いです。

    ・ 重要な事は、粘土で汚れた水を、直接下水に流さない事です。下水が詰まる原因になります。

     一日(一晩)置くと泥水は沈殿して、透明な水と泥に分離しますので、透明な水を下水に流し、

     沈殿した泥は一箇所に集め、再生して使います。

     同様に釉の混ざった水も直接下水に流さない事です。釉の中には重金属などが含まれ、

     人に害を及ぼす物質も含まれている場合も多いです。それ故、水と釉に分離させた後、上澄み

     液を捨て、沈殿した釉は一箇所に集めておきます。この集められた釉は色々の種類の釉が

     混入していますので、壺などの袋物の内側など、目に見えない場所に施釉して消費します。

   c) 作品を置く場所: 制作途中の作品や、素焼き前や素焼き後の作品、焼成後の作品など

      多くの作品の保管場所も問題に成ります。

      棚なども便利ですが、地震対策も考慮する必要があります。

   d) 粘土や釉の保管場所: 最初は少ない種類の土や釉も、次第にその種類も増えて行くのが

      常道です。これらは必ずしも、屋内に置く必要はありませんが、夏の暑さや冬の寒さを考えると

      屋内に置いて置きたい物です。

      尚、釉の量は多いほど施釉するのに都合が良いのですが、場所をとりますので、なるべく

      少量をバケツに溶き、他は粉末にして保管すると、場所はとりません。

   e) 参考書類やノートなど: 参考書類(技術書)は必ずしも、側にある必要はありませんが、

     ノート類は側に置きたい処です。陶芸の作業を細かく記述する必要はありませんが、ご自分で

     行った制作途中の記述(メモ)や、どんな作品にどんな釉を掛けたか、その結果はどうだったか等、

     後々参考に成りますので、覚え書きでもノートに記載する習慣が必要です。

     特に、窯焚きの途中経過(温度上昇速度)や、窯焚き作業の状態(酸化、還元の有無)のデータは

     残す必要があります。このようなノート類はいつでも取り出せる位置に保管して置きたいです。

   f) その他: 削りかすの土の保管と再生、用具類の小物(カンナ、こて、筆、竹へら、物指し)、

     掃除用具などの必要品があります。

     ・ 特に床には、土の削りカスや、釉の飛沫などが「こびりつく」事が多く、掃除も大変です。

       それ故、床を板張り、コンクリート、ビニールの敷物などにして、簡単に掃除できる様に

       しておけば、後々楽です。

     ・ 土練機やコンプレサー、ポットミル(釉を細かく粉砕する機械)などあれば便利ですが、

       大量生産しない限り、必要と言う訳では有りません。

以上の様に、自宅で陶芸を楽しむには、場所的な制約が多く、費用もかさみますが、一つ一つ工夫し、

解決して行ってください。

次回(陶芸技法にはなんら制限はない)に続きます。 

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陶芸の心得10(作業スペースは広さが必要1)

2012-07-19 19:06:14 | 陶芸の心得

10) 作業スペースは結構な広さが必要です。

  陶芸教室や公民館活動など、自宅以外で陶芸を楽しんでいる方は、問題有りませんが、将来独立し

  自宅で陶芸を楽しみたい方、又は現に自宅で作陶を楽しんでいる方は、作業場所や作業スペースに

  苦慮しているのでないでしょうか。

 ① 陶芸は絵画や書などの芸術などに比べ、かなり広いスペースが必要になります。

    楽器を扱う人達と同様に、場所の確保が問題になります。勿論都会ではなく、広い敷地が有る所

    ならば、苦労する必要も無いのですが・・・

 ② 轆轤と窯は必要か。

  ) 製作方法は、手捻りか轆轤かによって、(電動)轆轤か手回し轆轤が必要になります。

     電動轆轤の場合は、最低でも畳半畳~1畳ほどの専用の場所が必要です。

     技術が向上するに従い、馬力のある電動轆轤が欲しくなるものです。

     テーブル等に載せて使用する轆轤もありますが、馬力不足で大きな作品を作る事が出来ません。

     手回し轆轤であれば、作業台の上に載せて使用できますので、専用のスペースは必ずしも、

     必要としません。

  ) 窯の所持の有無。

    a) 陶芸をしている方は、自分専用の窯を持つ事は理想です。しかし小さな窯であっても、

      数十万円と高価であり、置くべきスペースが必要で、更に、燃料を使う窯(薪、ガス、灯油)では、

      屋外の専用の屋根付きの場所に設置しなければならず、最低でも一坪(畳2枚分)程は

      欲しいです。 小型の電気窯であっても、それなりの広さの専用の場所が必要です。

    b) 共同窯を利用する。公民館活動で陶芸を楽しんでいる方達は、自宅で作った作品をその

      共同窯で焼成して貰う事も可能です。但しある程度の、制約があるのは仕方の無い事です。

    c) 焼成は第三者に依頼する。

     イ) 特別の知り合いがいれば、焼成を依頼することも可能です。(有料が普通です)

       但し、一般に、窯の持ち主は、第三者の作品を焼成する事には消極的です。その理由は

       ・ 自分の窯を第三者に触れて貰いたくない事です。

         (特別の場合以外、窯自体を貸す事は、ほとんどありません。)  

       ・ 窯の破損(壊れる事)を恐れるからです。

         作品の作り方や乾燥の仕方によって、窯の中で、作品が爆発し、窯自体や電熱線、

         他の作品を壊す恐れがあります。依頼者が陶芸の基礎を理解して作っているかが

          不明な場合には、先ず引き受けて貰えません。

          当然、窯の所有者は依頼者に色々質問し、その人の理解度を試す事になります。

       ・  どんな土や釉を使っているかが、いまいち不明な点です。

          土の耐火度、釉の温度範囲、釉の流動性など明らかでない場合は、断られると思って

          ください。特に釉の性質が不明な場合は無理です。

        ・ 素焼きのみを依頼する場合は、割合請け負って貰える可能性が高いです。

     ロ) 陶芸材料を販売している店で、第三者の作品を焼成してくれる所もあります。

        その場合、毎月~二月に一遍、素焼きと本焼きを行っています。値段は体積(縦X横x高)に

        よって決まります。(個数によっても値段が変わります。)

    d) 窯を貸し手くれる所も有ります。

       多いのは、薪で焼成する窖窯(あながま)等ですが、焼成方法から、薪の手配までして

       貰える処も多いです。但し費用はかなり高額になります。

       一生に一度は薪で窯を焚きたいと思っている方は、仲間を集めて、挑戦するのも楽しみ

       かも知れません。

    e) 電子レンジやオーブンを使って焼成する方法や、七輪で焼成する方法の本が出版されて

       います。それ専用の土も販売されています。

       但し、従来の食器や花瓶などの実用品を作る陶芸とは違いますが、アクセサリーなどの

      小物や、小さな人形などを焼く事が可能です。

  ③ これだけは必要な物。

以下次回に続きます。

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