わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

香炉 1

2010-06-04 22:51:50 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
茶道具の一つである、香炉に付いて、お話致します。

1) 香炉の分類

  香炉には、その使い方によって、幾つかかに、分類されます。

 ① 仏事に使う香炉

 ② 香道即ち、聞き香の為の香炉

   香合(こうあわせ)と言い、 種々の香を焚いて、その香の名を、嗅ぎ当てたり、匂いの優劣を

   競ったりする遊戯(ゲーム)。

 ③ 茶道などに使われる香炉

 2) 香炉の歴史

  ① 香はインドが発祥と、言われています。

    古くから、臭気を除く事と、清めの意味で、香が焚かれ、それが、仏を供養する為の仏具にも、

    使われる様に、成ります。

  ② 我が国では、平安時代に、貴族達が、衣服(着物)に、香を焚き込み、香りを付ける、

    薫炉が、優美な嗜好として、流行します。

  ③ 鎌倉時代に、中国の、禅宗が我が国に伝わり、その影響で、仏事の香と共に、香炉なども、

    輸入される様になり、国焼(和物)も、作られる様に、なります。

  ④ 室町時代に、茶の湯が起こると、唐物茶入が、茶道具として活用される共に、香炉もまた、

    書院付の御座敷で、床の間に飾られたり、書院や違棚に、配されたりする様に、なります。

   ・ 書院飾りに用いられる香炉は、金属と陶磁器が主で、いずれも唐物です。

     金属では火舎香炉・釣香炉・毬香炉・鼎形香炉、それに獅子・麒麟・鹿・象・驢馬など

     様々の動物の形の、香炉があります。

   ・ 陶磁器製は。種類は少なく、鼎形(袴腰)や千鳥、竹節、浮牡丹などが主で、動物の獅子や

    水鳥などの、香炉があります。

  ⑤ 安土桃山時代には、千利休の侘び茶が、しだいに発展すると、香炉類は、用いられなくなります。

  ⑥ 江戸時代に、大名茶が復興し、茶家では、香炉がまた鑑賞の対象となっていきます。

    更に、香炉鑑賞は、大名茶ばかりでなく、公家茶にも浸透しますが、その功労者が金森宗和です。

    名工、野々村仁清を育て、優れた香炉の数々を生み、香炉は茶の湯の世界ばかりではなく、

    京焼全般の花形となります。

   ・ 仁清作「雉香炉」雌雄一対は、国宝として、日本美の象徴と、されています。

3) 香炉の形と素材

  ① 基本的には、上又は側面に、大きく開口した筒、椀、箱、皿状の容器であり、

    脚を備えている物が、多いです。

  ② 穴の空いた蓋(火屋、ほや)を備えた物が普通ですが、香道で用いる、聞香炉(もんこうろ)は、

    蓋を持ちません。形態や色彩、寸法などは、比較的自由に、作られています。

  ③ 材質は、不燃性の、陶磁器、金属、石材などです。

4) 香炉の種類

   居(すえ)香炉、柄(え)香炉、釣香炉、象炉などがあります。

  ① 居香炉は、前机の上に置いて、用いる物で、博山(はくさん)炉、火舎(かしゃ)香炉、

    蓮華形香炉、哩字(きりく)香炉、蛸足香炉、鼎(かなえ)形香炉などの種類があります。

  ② 柄香炉は、朝顔形の炉に、座と柄をつけ、手に持って用いる物です。

  ③ 釣香炉は、環を付けて、釣り下げて用います。

  ④ 象炉は、象を型取るもので、密教で使われ、またいで、身を清めるのに用いました。

  ⑤ 薫炉は、室内や、衣服に香を、焚きしめるのに、用いられます。

  ⑥ 聞(もん)香炉は、香道に用いられています。

以下次回に続きます。
 
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