わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 徳利を造る 2

2010-06-25 21:22:54 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、「徳利を作る」の話を、続けます。

 ③ 徳利には、酒が冷めにくい、陶器が向いています。

   現在では、電子レンジを使い、熱湯でお燗する事は、少なくなっていると、思います。

  ・ 磁器製は、肉が薄く、更に熱伝導が良いので、暖め易く、冷め易い性質が有ります。

    それ故、熱くて持てない場合や、直ぐに冷めて仕舞いがちです。
 
  ・ 陶器は、やや肉厚な事と、熱伝導が、磁器より悪いので、冷え難い、利点が有ります。

2) 徳利を作る

  手捻りと、電動轆轤(ろくろ)で作る、方法が有りますが、電動轆轤の方が、綺麗で、肉が薄く

  出来ます。それ故、ここでは、轆轤で作る方法を、述べます。

  ・ 徳利の形の、構想が出来たら、いよいよ製作に、取り掛かります。

 ① 準備

  ) 土を選び、土の量を選びます。轆轤で作る場合、数挽きと、一個挽きが有ります。

    一塊の土から、数個の作品を、作るやり方と、一個の作品を作る方法です。

    その方法の違いで、土の量も変化します。

  ) 土を良く練り(特に菊練)、気泡を抜きます。

    これを轆轤上に据え、轆轤面に密着させ、底に水が、浸み込まない様にします。

    轆轤挽きする方法は、何度かお話していますので、ここでは、省略し、注意点のみを、記したいと、

    思います。

 ②  徳利の轆轤挽きの注意点

  ) 徳利は、袋物と呼ばれる、形の物です。

     即ち、胴が広がり、肩が有り、更に首が細くなった、形です。

  ) 胴を広げてから、肩を張ったり、首を細めるのは、轆轤に成れない人には、大変難しい

     作業と成ります。それ故、形作りは、以下の順序で行えば、より容易に作業できます。

  ) 土を薄く上に粗く伸ばしたら、形作りに入ります。

    a) まず、首の太さを、設計寸法より、やや太めに取ります。

      胴は、柄コテを使い、膨らませますので、柄コテが容易に入る、太さにしておきます。

    b) 手の入らない、内部から、形を整える道具が、柄コテです。

      柄コテは、木の棒の先端近くの、側面に、凸状の出っ張りが、付けられています。

      突起の大きさや、柄の長さなど、色々な形があります。

    c) 使い方は、コテを水に濡らすか、コテの先に、布切れを巻きつけ、水を付け、水切れを、

      防ぎます。布を巻く場合は、巻く方向に注意します。轆轤の回転で、布が解けない様に

      巻きます。即ち、轆轤が右回転ならば、布も右回転に、巻きます。

    d) 柄コテは、片手(右手)で、鷲掴み(わしずかみ)にし、右手の肘は、太ももに付けて、

      固定します。コテを底に、強く押し付けると、底に孔が開く、恐れがありますから、

      底に触れ無い様に、浮かせるか、軽く押し当てます。

    e) コテの凸部を、内側に軽く押し当て、外側の左手と、向かい合わせます。

      その際、内側のコテをやや下にし、内外の位置に、上下の差を設けます。

    f) コテを持つ右手の、親指を外側に、小指を内側に成る様に、捻りを入れ、内側の壁を、押し出し

      膨らまさせます。左手は、外側を撫ぜる程度で触り、内側から押されたら、外側に

      逃げます。外側が、逃げないと、膨らみませんから、注意して下さい。

      (慣れない方は、外側が強くて、胴が膨れない場合が、多いです。)

    g)  コテと左手は、その上下差を、維持したまま、下から上に移動させます。

    h) 力の入れ具合も、大切です。強い力ですと、一部が急に膨らみ、作品が振ら付きます。

      回数を重ねて、除々に、膨らませます。一番膨らむ場所を、どこにするかによって、

      作品の、形は大きく、変化します。

      土の厚みは、下段ほど肉厚で、上に行く程、薄くなっているのが普通です。

      それ故、下部ではやや、力を強くし、上部へ行く程、力を抜く必要が有ります。

 以下次回に続きます。      
 
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